イスラエルと共にイランを攻撃した米国が中東での紛争に気を取られている隙に中国がこれを悪用した軍事圧力や認知戦を台湾が懸念している、とロイター通信が伝えた。中国国営メディアは中東での戦闘の事例を引用し、台湾が侵略を撃退するために備えている米国製兵器の有効性に疑問も投げ掛けている。

ロイター通信によると、台湾当局者は中国人民解放軍による台湾近海への大規模な侵入が3月14、15両日に再開されたことは「東アジアから中東への戦力再配置を進める米軍の動きを中国が利用しようとしていることを示す」と警戒感をあらわにした。

台湾の安全保障担当高官は「中国は影響力を行使するチャンスだと受け止めている」と分析。「中国が作り出そうとしているのは米国が部隊を撤退し、インド太平洋地域の戦力が中東へ再配置される際に緊張と不安定な状態が醸成されるという認識だ」との見方を示した。

同時に台北当局は中国が‌中東での⁠戦闘を台湾への「認知戦」のプロパガンダに利用するのを危惧。ロイター通信が入手した台湾当局内のメモによると、一例として戦闘後に中国が人工知能(AI)で生成したオンライン動画で台湾が「壊滅的な」エネルギー供給危機に直面していると主張するようなケースを想定している。

台湾の安全保障当局者は「いつか台湾が再び中国軍に包囲された際、人々のエネルギー問題に対する信頼を失うように中国側は仕向けたがっている」と話した。

さらに米ワシントンのアメリカン・エンタープライズ研究所の防衛アナリスト、トッド・ハリソン氏は「この紛争が中国にとって米軍の作戦、特にステルス戦闘機F35のような最先端の兵力を観察する絶好のチャンスになる」と注目。「中国は米国の防空・ミサイル防衛システムがどれほど機能しているか、そしてそれらをどのように運用しているか⁠について(データを)収集することになるだろう」とした。

その一方で台湾の情報筋は「米軍の配備は地域間で常に均衡を保っているため、今回の措置によって中国が攻撃の隙を突くような状況が生じる可能性は低い」と説明。米国務省の報道官は「世界的な脅威に同時に対処する米軍の能力は引き続き『圧倒的』だ」と主張し、「米国は台湾海峡全域の平和と安定を維持することに尽力している」とコメントした。

台北医学大学の張国城教授(国際関係論)は「戦闘が長期化すれば米国の武器備蓄を枯渇させ、アジア太平洋地域への関心をそらし、国内の反戦感情をあおることになる」と言及。「戦闘が長引けば長引くほど、中国が台湾に対して何らかの行動を起こした場合の米軍の思考や対応シナリオについて、中国が得られる教訓も増えることになる」と警鐘を鳴らした。

(編集/日向)

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