中国メディアの観察者網は10日、中国の病院に診察・治療を受けに来る外国人が急増していることを背景に、新たなビジネスチャンスを見つけた人たちが現れたと報じた。
記事は、「これまで中国では、富裕層を中心に海外へ渡航して医療サービスを受ける動きが一般的だったが、近年、その流れに変化が生じている。
記事によると、2025年3月、広東省は初の国際医療サービス試行病院として25施設を指定し、北京・上海に続くモデル地域となった。こうした政策の後押しもあり、同年に広東省で診療を受けた外国人患者数は前年比で20%以上増加した。SNS上では「中国での受診」や「中国の医療費」が話題となり、英国のブロガーが胃カメラ検査のためだけに北京を訪れた事例などが注目を集めた。
こうした中で、最初に恩恵を受け始めているのが関連のサービス業だという。広州市のある女子大学生は「外国人の通院付き添い」というアルバイトを始めた。セネガルから訪れた患者の通訳兼サポートを務め、検査の説明や入院の手続き、医師とのやりとりまでを担った。外国人にとって中国の医療システムは複雑で支援が不可欠であるという現状を背景に、「付き添い通訳」という新たな職種が生まれ、求人も増加している。給与水準も一定程度見込めることから、医療知識や語学力を持つ若者の新たな就業先として注目されているという。
従来は中国人を海外に送り出していた医療仲介業者も方向転換を進めている。東南アジア諸国では医療水準や価格の問題から海外受診の需要が高く、インドネシアでは年間100万人以上が海外で治療を受けているとされる。これまでマレーシアやシンガポールが主な渡航先だったが、中国も「価格と技術のバランスが優れている」と注目度が上昇しており、特に中間層以上の患者を取り込む余地があるとみられている。
一方で、外国人患者の受け入れには課題も多い。文化や医療習慣の違いが大きく、例えば中医薬に対する受容度は地域ごとに異なる。診療スタイルにも差があり、中国では複数の医師が一度に回診することが一般的だが、プライバシーを重視する外国人患者には抵抗感がある場合もある。こうした違いに対応するため、一部の病院では欧米型の診療フローを導入し、英語対応スタッフの配置や宗教への配慮を行っているという。
また、中国国内では「外国人が増えれば中国人の受診機会が減るのではないか」という懸念も根強い。この点について広東省当局は、一般外来の診療枠を減らさないことを前提に国際診療を行うことを明確化している。実際、大規模な総合病院では国際部の受診割合はまだごく一部にとどまっているそうだ。
記事によると、こうした点においては、先行した日本の事例が参考になるとされている。日本は2011年に医療ビザ制度を導入し、外国人患者の受け入れを本格化させたが、受診には政府認定の身元保証機関(仲介業者)を通す仕組みを採用した。これにより、患者の流入をコントロールしつつ、高付加価値の医療サービス市場を育成することに成功したとされる。受け入れの主体も主に民間医療機関とし、通訳や滞在支援などは仲介機関が担うことで、医療現場への負担を抑えている。
記事は、「中国でも今後、同様の制度設計が進むかが鍵となる」とし、「現状では公立病院が中心となって試行が進められているが、市場拡大に伴い、民間医療機関や関連サービスの役割はさらに大きくなる」と伝えた。
そして、「世界では年間1500万人が医療目的で国境を越えるとされ、医療ツーリズムはすでに巨大産業となっている。中国は市場に参入し始めたばかりだが、価格競争力と医療技術の向上を背景に、新たな成長分野として注目されている」とし、「その最前線では通訳や仲介業者など関連のサービス提供者がすでにビジネスチャンスをつかみ始めている。今後、制度整備が進めば、この流れはさらに加速する可能性がある」との見方を示した。(翻訳・編集/北田)











