行きたい専門学校の学科や科目、建物や雰囲気は調べていても、「学費はしっかりチェックできていない」という人は意外と多いのでは?
「専門学校の学費は大学よりも安いだろう」というイメージがあるけれど、そうとは言い切れないのが最近の傾向のよう。ひと昔前に比べ、教育内容・設備ともに充実している専門学校が増えていることから、1年間にかかる学費は大学と変わらない、ということもあるのだ。
また、学ぶ分野ごとに必要なお金に差が出てくることも、事前に確認しておきたいポイント。
目指す分野の学費をチェックし、経済的な計画をしておくことは進路決定においてとても大切なプロセス。
ここで一緒に学んでみよう!
※専門学校の初年度の学費は平均だと私立文系大学と同程度
※合計は、大学:4年間 専門学校:2年間 で算出
※国立大学は平成28年度の標準額、私立大学は平成26年度入学者の初年度納付金の平均額の調査(文部科学省)
専門学校は平成28年度昼の東京都専修学校各種学校協会調査統計部調べから作成(すべて昼間部)

『学費』に含まれる代表的なものは、①入学金 ②授業料 ③実験・実習費 ④施設・設備費など。
入学金を含めた『初年度納付金』の平均総額は124万円(※東京都内の専門学校の場合)という結果が出ている。
また、学費のほかに一時的にかかる費用としては、入試に当たっての『受験料』(選考料)がある。こちらは1校あたり2万~3万円程度となるものの、学校や学ぶ分野によって違いがあることと、複数校を受験する場合はある程度まとまった金額が必要になることを頭に入れておこう。
学びたい分野の、必要となる学費をチェックしよう!
初年度納付金とは、入学1年目に学校側に支払う学費の合計。
専門学校では学ぶ内容によってかかる費用が大きく変わるため、注意が必要になる。
例えば、同じ医療関係でも『看護』が平均90.8万円(※)なのに対し、『理学療法、作業療法』は平均171.6万円(※)。なんと倍近くも違ってくるのだ。
また、分野ごとに見ると、『医療関係』『衛生関係(栄養、調理)(製菓)』『文化・教養関係(音楽、演劇、映画、放送)』は初年度納付金が全体平均よりも高い傾向に。
これらの分野は実習が多く、実習に必要な設備・機材にお金がかかるため、『実験・実習費』『施設・設備費』が高めに設定されることが多いからだ。
ちなみに、以下で紹介しているものは入学年度にかかる学費の合計であり、授業料や実習費・設備費などは2年目以降も支払うことになる。
2年目以降の学費がいくらかかるのかは、希望校をそれぞれチェックしておこう。
※平成28年度 昼間部 東京都専修学校各種学校協会調査統計部調べ
分野別にチェック/初年度納付金の平均額(1年めにかかる学費の平均)

工業・農業関係の学費
コンピューター・IT関連のプログラマやシステムエンジニア、デジタルコンテンツのクリエーター、建築士や自動車整備士など、ものづくりを支える人材を養成する分野。
<土木・建築、測量>
入学金19.2万円 授業料69.3万円 実習費4.7万円 設備費26.5万円 その他3.3万円
合計122.9万円
<自動車整備>
入学金25.9万円 授業料46.7万円 実習費28.5万円 設備費24.6万円 その他8.8万円
合計132.0万円
<情報処理・IT>
入学金15.5万円 授業料61.1万円 実習費12.4万円 設備費27.1万円 その他2.9万円
合計119.0万円
<電気・電子、機械、その他>
入学金14.7万円 授業料62.7万円 実習費9.6万円 設備費28.7万円 その他1.4万円
合計117.0万円
<ゲーム・CG>
入学金18.7万円 授業料63.6万円 実習費15.1万円 設備費35.5万円 その他1.2万円
合計134.0万円
<バイオテクノロジー、その他>
入学金18.0万円 授業料54.2万円 実習費11.2万円 設備費35.1万円 その他3.6万円
合計122.1万円

医療関係の学費
看護師や、医師と歯科医師・獣医師を除くさまざまな医療スタッフを養成する分野。
<看護>
入学金16.3万円 授業料58.5万円 実習費4.3万円 設備費8.1万円 その他3.7万円
合計90.8万円
<臨床検査、診療放射線、臨床工学>
入学金19.2万円 授業料77.3万円 実習費28.2万円 設備費13.3万円 その他0.4万円
合計138.4万円
<理学療法、作業療法>
入学金34.0万円 授業料89.2万円 実習費22.0万円 設備費26.4万円
合計171.6万円
<柔道整復>
入学金28.7万円 授業料103.8万円 実習費3.3万円 設備費12.9万円 その他1.1万円
合計149.9万円
<はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧>
入学金38.5万円 授業料104.0万円 実習費2.6万円 設備費15.5万円 その他2.0万円
合計162.5万円
<歯科技工、歯科衛生>
入学金26.0万円 授業料70.0万円 実習費17.1万円 設備費3.7万円 その他12.0万円
合計128.8万円

衛生関係の学費
栄養士、調理師、製菓衛生師など食に関わるプロを養成する分野と、美容師、理容師、ヘアメイクアーティストなど美容に関わるプロを養成する分野。
<栄養、調理>
入学金18.3万円 授業料61.4万円 実習費32.1万円 設備費20.5万円 その他8.2万円
合計140.5万円
<製菓>
入学金20.4万円 授業料60.4万円 実習費51.9万円 設備費21.1万円 その他11.4万円
合計165.2万円
<理容、美容>
入学金11.1万円 授業料56.9万円 実習費25.0万円 設備費20.2万円 その他22.7万円
合計135.9万円

教育・社会福祉関係の学費
幼稚園教諭や保育士、介護福祉士、社会福祉士など、福祉事業に携わる人材を養成する分野。
<保育、教育>
入学金15.0万円 授業料62.2万円 実習費7.9万円 設備費17.3万円 その他8.6万円
合計110.1万円
<介護福祉>
入学金14.2万円 授業料66.3万円 実習費10.4万円 設備費15.1万円 その他4.1万円
合計110.0万円
<社会福祉>
入学金13.0万円 授業料76.1万円 実習費12.8万円 設備費12.8万円 その他2.5万円
合計117.2万円

商業実務関係の学費
経理・簿記関係の学科や、旅行・観光・ホテル・ブライダル業界を目指す学科など、さまざまなビジネス分野で即戦力となる実践教育を行っている分野。
<簿記・ビジネス・IT>
入学金14.5万円 授業料64.0万円 実習費5.5万円 設備費15.5万円 その他3.8万円
合計103.4万円
<旅行・ホテル・観光>
入学金10.3万円 授業料79.9万円 実習費8.8万円 設備費17.6万円 その他3.2万円
合計119.8万円
<医療秘書、医療管理事務>
入学金10.5万円 授業料67.8万円 実習費6.0万円 設備費16.6万円 その他4.9万円
合計105.7万円
デザイナーやパタンナー、スタイリスト、マーチャンダイザーなど多岐にわたる職種を目指す分野。
<服飾・家政>
入学金18.5万円 授業料59.3万円 実習費3.1万円 設備費16.4万円 その他6.8万円
合計104.2万円

文化・教養関係の学費
デザイン・写真などのアート系、映像・放送・音楽・声優・ダンスなどのエンターテイメント系をはじめ、語学系やスポーツ系、トリマーや動物看護士のペット系など、さまざまな分野がここに分類されている。
<語学>
入学金11.8万円 授業料86.3万円 実習費1.4万円 設備費12.8万円 その他1.4万円
合計113.6万円
<美術、デザイン、写真>
入学金17.1万円 授業料77.5万円 実習費9.7万円 設備費19.7万円 その他2.9万円
合計126.9万円
<音楽、演劇、映画、放送>
入学金16.6万円 授業料74.3万円 実習費12.9万円 設備費35.5万円 その他0.5万円
合計139.8万円
<法律行政>
入学金14.6万円 授業料68.1万円 実習費9.5万円 設備費4.4万円 その他7.6万円
合計104.0万円
<スポーツ>
入学金13.5万円 授業料64.0万円 実習費9.1万円 設備費20.5万円 その他3.6万円
合計110.7万円
<動物>
入学金20.3万円 授業料54.1万円 実習費21.3万円 設備費24.3万円 その他14.9万円
合計134.9万円
<アニメ、声優、ゲーム>
入学金13.4万円 授業料73.1万円 実習費9.9万円 設備費27.9万円 その他1.3万円
合計125.5万円
<総平均>
入学金16.9万円 授業料70.0万円 実習費12.3万円 設備費19.9万円 その他5.1万円
合計124.2万円
※私立専門学校初年度納付金平均額(東京都)
平成28年度 昼間部 東京都専修学校各種学校協会調査統計部調べ
注:各科目ごとの平均値を集計しているため、合計は一致しない。金額表示は千円以下四捨五入。

専門学校は分野ごとに大きく学費が違ってくるので、どの分野に進もうか迷っている場合は、入学から卒業までにかかる費用を計算して比較してみるのもオススメ。
最近は国内外の研修旅行を実施する学校も多く、学費以外に研修費などがかかる場合もあるので、学校のホームページやパンフレットをよく見ておこう。
ただし、学費が高くても校内の実習施設・設備が充実しているなどお金を支払うだけのメリットが得られる学校も多いので、単純に学費が「高い」「安い」だけで判断するのではなく、学べる内容や環境面も含め、総合的に判断することが大切!
分納制度や奨学金制度を上手に活用しよう!
初年度納付金や2年目以降の学費は、まとめて払う『一括納付』だけでなく、前期と後期など2回に分けて納付する『分納』が認められている学校も。
また、大学や短大と同じく、専門学校への進学する場合でも『奨学金』を利用することができる。
奨学金は、国・都道府県・市区町村が運営する公的なもののほか、学校独自のものや民間団体が運営するものなど種類もさまざまだ。いずれも、返還義務がある『貸与型(利子なし/利子あり)』と返還の必要がない『給付型』があり、対象者や条件がそれぞれ異なることも覚えておこう。
奨学金制度について詳しくは下記リンク先をチェック!
■大学、専門学校の学費が心配…。そんなキミに奨学金制度をわかりやすく解説
『奨学金』はじめてナビ
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