歌舞伎町、ホットケーキ、美空ひばり……全く脈絡のない3つが不思議と繋がったので、思わず混乱してしまった。

なぜここで美空ひばりが愛したホットケーキなんて売っているんだ? というか、そもそもなぜ美空ひばりなんだ? ……色々と気になったので注文してみた。


そのお店は「トラノコ」という居酒屋。新宿の地下街・サブナードの奥にある店で、近くの階段を登ると歌舞伎町の入口あたりに出る。

お店の正面には「串カラ(※鶏皮の串から揚げ)」と書かれたパネルがあるので、これが名物なのだろう。

またランチもやっており、サバ塩焼き定食(1006円)・から揚げ&カキフライ定食(979円)・から揚げ定食(935円)……という感じの価格帯。どれもご飯のおかわり無料である。

その時お昼どきで、お腹が空いていた私はランチ目当てで入店した。
注文したのは「サバ塩焼き定食」。

よくある「サバ塩焼き定食」と言ってしまえばそうかもしれないが、こんな健康的な食事を不健康の極みとも言える歌舞伎町の地下で食べているのはなんだか不思議な感じだ。

あと、サバとご飯&味噌汁の他に揚げ物が付いてくるほか、小鉢が3つも付いてくるのはポイントが高い。

ご飯をおかわりして、ごちそうさまでした……と思ったら! 壁に気になるポスターが貼られているではないか。

美空ひばりが愛したホットケーキだと? え? 美空ひばりって歌舞伎町の地下まで来てホットケーキ食ってたの? と思ったら違った。

「コマ劇場公演のときに当時営業していた『喫茶王城』で度々注文していた」的なことが書かれている。


ってことは、そのホットケーキは『喫茶王城』のものを完全再現したものなのだろうか? 気になって店員さんに聞くと「完全に同じではないのですが似たようなホットケーキになります」とのこと。

それでも全然OKだと思った私は、美空ひばりのホットケーキを注文した。

数分後、出てきたのがこちら。

分厚いね~

美空ひばりが日本の音楽シーンに残した功績くらい分厚い……と言ったら明らかに言い過ぎだが、少なくとも私の想像の2倍くらい厚みがあった。

というのも、私はもっと昔ながらのホットケーキを想像していた。生地が薄めで、「珈琲館」とか「ロイヤルホスト」にあるようなタイプである。


ちなみに、美空ひばりは1989年に亡くなっている。まさに昭和を生きた人なので、パンケーキも伝統的なタイプかと思ったが、違ったようだ。

まあいい。それでは実際に食べるとしよう。ナイフとフォークでホットケーキをカット。口に運ぶと……

フワフワかよ! いま流行りのトロトロ系とまではいかないが、シフォンケーキくらいに柔らかさはある。


私はホットケーキの歴史にまったく詳しくないが、この食感のホットケーキは当時結構珍しかったのではないか?

どちらにせよ、美空ひばりはフワフワ系のホットケーキが好きだった説……あると思います!

まぁ、先に述べたように完全再現ではないので、実際に美空ひばりが好んだホットケーキの食感とは違うのかもしれない。

しかしながら、歌舞伎町にコマ劇場が存在していたことも、美空ひばりがそのステージに立っていたことも、『喫茶王城』が存在していたことも事実。

それゆえに、どこか歴史的な遺産に触れるような気持ちになったホットケーキ体験であった。ごちそうさまでした!

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 大衆酒場トラノコ
住所 東京都新宿区歌舞伎町1-17-13 B2
時間 11:30~23:00

執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

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