モトリー・クルーは今朝(2月19日)、新作伝記映画『ザ・ダート:モトリー・クルー自伝』のトレーラーを公開した。それを観る限り、ニッキー・シックスのヘロイン過剰摂取からヴィンス・ニールの致命的な交通事故、ミック・マーズの骨の病気との戦い、トミー・リーのヘザー・ロックリアとの結婚まですべてに触れている。現時点ではパメラ・アンダーソンが登場するのかや、彼らの音楽が売れなくなりヴィンス・ニールが解雇され、ジョン・コラビが加入した波乱の90年代が劇中でどのように描かれるかは定かではない。『ザ・ダート』が『ボヘミアン・ラプソディ』のようにオスカーにノミネートされる可能性は相当低いだろうが、おそらくNetflixにおける大ヒット作になるだろう。
モトリー・クルーはサウンドトラック用の新曲をレコーディングするためスタジオに入ったが、映画のプロモーションのためにツアーを行うことは期待できそうにない。それは2015年のラストツアーで活動を締めくくったからというだけでなく、そのツアー開始前に以後のライブを禁止する、法的拘束力をもった”ツアー休止”契約書にサインしているからだ。「例外があるとすれば、それは4人のメンバー全員がその契約を無効とすることに同意した場合だけだ。どんなに金を積まれたとしても俺はまたやりたいとは思わないけどね。大恥をかくだけだよ」とニッキー・シックスは2014年にローリングストーン誌に語っている。
ほぼすべてのバンドがフェアウェル・ツアーで同じようなことを口にするが、実際にはライブ活動を再度行なっている。数年も経てば、経済的に厳しくなったり、単純に退屈になってきたりして気が変わるものだ。しかし、その”ツアー休止”契約書の中身を読んだ者は誰もいないわけだが、モトリー・クルーはおそらくそれを遵守していると思われる。
ロサンゼルスでのラストライブで演奏された「キックスタート・マイ・ハート」
そんな彼らも、ロックの殿堂入りが実現すれば喜んでライブパフォーマンスをするとのことだ。最近までほぼ不可能だと思われていたが、ここ数年でジャーニーやボン・ジョヴィ、キッスが殿堂入りを果たし、来月にはデフ・レパードもそこに加わる。(ボン・ジョヴィやデフ・レパードのアンチたちは意義を唱えるかもしれないが)これらのバンドは”ヘアー・メタル”と括られてきたモトリー・クルーとそこまで近いわけでもなく、ロック批評家たちがヘアー・メタルほど嫌悪してきたものはないと言えるが、もしロックの殿堂が80年代のサンセット・ストリップのシーンから一つだけバンドを選ぶとしたら、それはモトリー・クルーになるだろう。彼らの音楽は同種のバンドが作ったどの音楽よりも古臭さがなく、世間が彼らの”武勇伝”に飽きることもないようだ。さしあたって、Netflixがウィンガーやドッケン、ラットの映画には出資しそうにない理由もそこにある。
Netflixオリジナル映画
『ザ・ダート:モトリー・クルー自伝』
2019年3月22日より独占配信開始
https://www.netflix.com/title/80169469

モトリー・クルー
『ザ・ダート:モトリー・クルー自伝(サウンドトラック)』
2019年3月22日発売
日本盤詳細:http://bignothing.net/m%C3%B6tleycr%C3%BCe.html
『ザ・ダート』のために制作された新曲「The Dirt (Est. 1981)」のミュージック・ビデオ