マイケルの兄たちは米現地時間2月26日に家族として初めて『Leaving Neverland』について話をしてくれた。この最新ドキュメンタリーではマイケル・ジャクソンを告発した人々に焦点が当てられている。
ジャクソンズが海外公演を行っている最中だった。このニュースが投げ込まれた手榴弾のように突然爆発した。偉大なポップアイコンであり、彼らの家族だった故マイケル・ジャクソンに関する最新ドキュメンタリーに、新たに性的虐待で彼を告訴した2人の少年が加わることが伝えられたのである。このニュースに対する長兄ジャッキーの反応は「ほら、まただ」という単純なものだった。
新ドキュメンタリー『Leaving Neverland(原題)』は新たな告訴を含む二部構成の4時間番組で、マイケルの兄たちはまだ見ていない。すでに成人になっているウェイド・ロブソンとジェイムズ・セーフチャックの少年時代が描かれたこのドキュメンタリーで、彼らは1980年代と1990年代にジャクソンのネバーランド・ランチでのお泊まり会で性的ないたずらをされたと主張している。ちなみにネバーランド・ランチはカリフォルニア州サンタバーバラ郊外にあった。
HBOで米国時間の日曜日と月曜日(3月3日と4日)に放送されるこのドキュメンタリーは、2009年に他界したジャクソンから子どもの頃に性的虐待を受けたと最初に告訴した2人の元少年の記憶から始まる。1993年の民事裁判は示談になり、犯罪捜査も中止された。また2005年の刑事裁判は無罪判決が出た。
ジャクソン家の人々はどの告訴も受け入れることを拒んでおり、『Leaving Neverland』の主役の元少年2人が告発した動機は金銭と名声に対する欲だと推測する。この元少年たちは、ジャクソンの財産から弁護士が算出した数億ドルにのぼる損害賠償を請求する裁判を起こしたが、死亡者を訴えることのできる時効を過ぎての訴えだったため、裁判所に却下された。現在2人とも上告中である。
ジャクソンの財産を管理する弁護士ジョナサン・P・スタインサピアによると、この裁判が行われることになったとしても「こちらが勝訴する確率はかなり高いと考えている」と言う。
今週、ビバリーヒルズにあるホテルのレストランの個室にジャクソン家の親族が4人集まった。マイケルを擁護し、HBOのドキュメンタリーを非難するインタビューを行うためだ。4人のうち3人はジャクソン5のオリジナル・メンバーであるジャッキー(67歳)、マーロン(61歳)、ティト(65歳)で、ティトはトレードマークの山高帽をかぶっていた。
「マイケルが生きていても彼らはこんなことをしたと思うかい? 絶対にしなかったはずだよ」と、ジャッキーが強調する。「弟はもうこの世にいない。だから格好のターゲットなのさ」と。
ジャクソン兄弟の誰一人としてマイケル・ジャクソン・エステートから直接的な恩恵を一切受けていない。同エステートはマイケル・ジャクソンの財産を管理し、近年は大繁盛している。
だが2月にサンダンス映画祭で初公開されたこのドキュメンタリーは、マイケルの光輝くレガシーを曇らせ、死してなお人気が衰えない現在の勢いに影を落とす可能性がある。2013年に人気振付師のロブソンが最初の裁判を起こしたのは、ラスベガスのシルク・ド・ソレイユのショーで不採用が決まったあとだったと、ジャクソンの家族が指摘した。また、ロブソンもセーフチェックも、一度もマイケルから虐待を受けていないと過去に証言している。
マイケルにとって最も力強い擁護者は甥のタージ・ジャクソン(45歳)だろう。ティトの息子のタージは、彼自身も子どもの頃に(母方の叔父からの)性的虐待を受け、そのトラウマに打ち勝った過去を持つ。ローリングストーン誌のインタビューではタージも叔父たちに合流して話をしてくれた。
原告と同世代のタージは、子どもの頃に何度もネバーランドでお泊り会を楽しんだと言い、ロブソンのこともよく知っていると話した。ジャクソンズの他の叔父たちと同様に、タージ自身もマイケルに対する告訴を信じられないと言う。そして、他界してしまったマイケルに代わって、彼の名声と評判を守るのは家族の役割だ、と述べた。
―このドキュメンタリーについて話そうと思った理由は何ですか?
マーロン:もう他界してしまった弟の名前を汚そうとする輩が出現したら、誰でも弟を守ろうとするよね? あれはマイケルじゃない。彼はあんな人間じゃない。私たちは弟のことをよく知っているし、あのドキュメンタリーは偏っているし、あのドキュメンタリーが描いていることを裏付ける事実は一切ない。
―家族の中ですでにドキュメンタリーを見た人はいますか?
マーロン:見たいとすら思わないね。見る価値などないものだから。
タージ:脚本は読んだよ。僕は見たい。放送前に見たかったんだけど、彼らは絶対に見せてくれなかった。どんなことかを知っているから、僕はその話題について自由に発言できると思っている。
―このドキュメンタリーが製作されていたことは知っていましたか?
マーロン:いいや、知らなかった。
ジャッキー:2~3週間前にオーストラリアにいたときに聞いた。私は兄弟たちと一緒にツアー中で、マネージャーが私たちに「君たちの兄弟に関する番組が放送される。好意的な内容ではないようだ」と教えてくれた。だから私は「ほら、まただ」と言ったよ。その話を聞いたときにこのドキュメンタリーが気がかりになったし、ここで取材を受けているのも弟を助けたいからだよ。
―ネバーランドには頻繁に行っていたのですか?
タージ:僕はよく行っていたよ。たぶんトータルで200回を超えている。
―他の方々もあそこで過ごすことは多かったのですか?
マーロン:私たちは成人していて、子どもたちがいる。やらなければいけないことがあるから、マイケルを追いかけ回すことはしなかったよ。
ジャッキー:あそこにはけっこう行っていたね。
マーロン:つまり、ネバーランドには行っていたけど、ネバーランドに滞在することはなかったっていうことだよ。
―この類いの告訴が起きたのはこれが初めてではないですよね。人々もそれを記憶していて、それを踏まえてこのドキュメンタリーを見るはずなので、それが先入観となる可能性もありますよね。
マーロン:そうじゃないことを願うよ。事実をチェックしたら、そんな先入観は消えるから。事実はこのドキュメンタリーが伝えることとはまったく違うんだよ。
タージ:僕たち家族はこの件に関して沈黙を続けてきたけど、その理由は侮辱は無視せよと教わってきたからだ。そのため、20年間に渡ってたくさんの嘘が流布されたし、それが世間の見方の一部となってしまったが、これらの嘘は嘘でしかない。多くの人が知らないことは、1993年の告訴は性的虐待じゃなかったってことだ。あの裁判で問われたのは過失だけだった。刑事裁判ではあの少年の証言を止めるものが何もなかった。
僕はネバーランドに何度も行っていたし、あの頃の叔父はネバーランドが盗聴されていると恐れていた。だから10年間調査しても……当時マイケル・ジャクソンはまだ生きていたけど、証拠は一切出てきていない。
―それに対してマイケルは何かしましたか?
ジャッキー:かなり落ち込んでいたよ。ネバーランドは奇襲にあったんだ。彼の牧場に横付けされたパトカーをテレビで見ただろう? 彼らがあれをしたとき、マイケルはツアー中でネバーランドにはいなかったんだよ。
タージ:警察は叔父のコンピュータなど、すべてを押収したのに、証拠となるものは何も見つけられなかった。子どもを対象にした性的虐待者というのはコンピュータに証拠を残すことが知られていて、コンピュータから証拠が発見されることが多い。ネバーランドを奇襲したのは70人の保安官と保安官代理たちだった。まるで麻薬捜査でもしているようだったよ。僕たちはその様子をテレビで見ていた。でも、彼らはマイケルが幼児性愛者という証拠は一つとして見つけられなかった。

ロンドン滞在中のマイケル・ジャクソンとジミー・セーフチャック, 1988年。
マーロン:そして、(ダン・リードが)HBOに売ったドキュメンタリーが出てきた。リードは、真実を語っているとウェイドを信用し、セーフチャックを信用した。彼らを信用することが悪いわけじゃない。でも、検証すべきなんだよ。HBOは大企業だ。そんな企業が適性評価をしないと思うかい? 自分たちが世間に広めるものの真偽を確認しないと思うかい? ところが、彼らの発言に真実は微塵もない上に、リードが取材しているのはウェイド・ロブソンと彼の家族、セーフチャックと彼の家族だけだ。ジャクソン家には一切連絡がなかったし、リードは他の子どもたちにも連絡していない。
ジャッキー:マイケルの友人にも、マイケルを知っている人たちにも、マイケルが大好きな関係者には一切連絡なしだ。そういう人たちへの取材はなかったんだよ。
マーロン:そういう人たちへ取材するつもりはなかったのさ。リードは自分が作り上げている番組の情報を漏らしたくなかったし、偏った内容にしたかったんだよ。一方的な話にね。これは嘘じゃない。すべては金のためなんだよ。
―誰のための金ですか?
マーロン:ちょっと待ってくれ、「誰のための金」ってどういう意味だい?
―つまり、テレビ局なのか、元少年2人なのか、それとも……。
タージ:そういう人たち全員だよ。僕たちが住んでいるのは人気の度合いを金銭で示す世界だ。フォロワーやソーシャルメディアを通して、人気が上がれば手に入る金も増えるのが現実だよ。それに、今になってウェイドとジェイムズが主張し始めたのも偶然じゃない。遺産が何百億ドルにも膨れ上がっているから、マイケル・ジャクソンを虐待者だと告発することに興味を示したのさ。そこにダン・リードの思惑も合致した。だってマイケル・ジャクソンを扱って有名になったジャーナリストがこれまでもたくさんいるから。あのドキュメンタリーのディレクターですら、リードは世間の耳目を集めている事例を探していたと言っているくらいだ。これ以上にリードの思惑をはっきり表す言葉はないと思うよ。
―これ以外で家族の名誉を汚されそうな事柄もありますよね?
マーロン:いや、ないと思う。だって事実自体がないんだから。彼らはこのドキュメンタリーを裏付けする証拠を一切提示していない。だから、この件に関して事実は一切ないことになる。それに、彼らの主張を聞いたあとで、事実を調べることもできる。雑誌や記事などに記録として残っているから。ウェイド氏は動画の中で「マイケルは僕のメンターだった。彼がいたからこの世界で仕事することになった。マイケルがいなかったら僕はこの仕事をしていなかっただろう。彼は最高の男だった」と言い続けているんだよ。
―マイケルが存命中も、彼は子どもたちをはべらせるのが好きで、彼らと一緒に寝ているというジョークがありました。テレビ番組『60 Minutes(原題)』に出演したときに、マイケルはこれについて質問されましたよね。確かエド・ブラッドリーが「子どもたちとベッドを共有するのは今でも問題ないと思うかい?」と聞いたと思います。
ジャッキー:マイケルは自分の子どもたちと一緒にベッドに座っていたよ。私の子どももそこにいた、つまり、彼の甥と姪もいたし、あそこでは誰もがベッドに寝転がって映画などを見ていただけさ。
タージ:他の人が想像する人生と同じ人生を生きる人間なんていない。僕はあの空気の中で育った。子どもの頃はパイ投げ、水風船投げ、悪臭弾などで遊んだし、他の人に聞いても子どもの頃の思い出は大差ない。普通、大人の男が水風船投げやパイ投げをすると思うかい? 僕の叔父は子どもの心を持った大人だったし、その点を世間は理解していないと思うし、叔父が生きていた頃も理解していなかった。でも、叔父を知っている人たちはみんな理解していたよ。エリザベス・テイラーからダイアナ・ロスまで、叔父の周りにいた人たち全員が彼の心を理解していたし、「子供の心を持っている」といつも言っていた。ただ、理解するにはそれなりの生き方をしないとけないと思う。とかく世間というのは何にでも最悪を求めるものだから。
―このドキュメンタリーではマイケルとたくさんの子どもたちという状況ではなく、マイケルと一人の子どもが一対一で過ごすこともあったと主張しています。それは本当なのですか?
タージ:ああ、本当だ。でもあのドキュメンタリーでは、簡単に嘘と証明できる事柄も主張していたけど、嘘という事実には言及していなかった。例えば、ウェイド・ロブソンがジャッキー叔父さんの娘と7年間付き合っていたことに触れていなかった。これは彼らが主張する出来事の時系列にそぐわないからね。彼らはウェイドがマイケル・ジャクソンに恋をしていたと思わせたいわけだ。でもその頃のウェイドは僕のいとこのブランディと付き合っていた。14歳まで7年間もね。ところがその事実は彼らが描きたいものに合わない。だから、その事実を隠したのさ。
―1993年の民事訴訟、その後のシリアスは民事裁判というトラブルに見舞われたマイケルは、自分を擁護するための何らかの行動を起こしたのですか?
マーロン:何も悪いことをしていないのに、どうして自分を擁護する行動が必要なんだ?
―あの頃、マイケルは収監される可能性があったので。
マーロン:そうだったな。問題はこういうことだ。私たち人間はよく考えずに判断を下してしまう。お互いに愛し合うべきなのに。判断は神がすべきなのに。みんなが協力すべきなのに。ああ、マイケルは出廷したよ。彼らは証拠を一つも見つけられなかった。それだけでなく、ロブソン氏とセーフチャック氏が証言を行った。ウェイド・ロブソンに至っては大人になってからの証言を入れると2回だ。彼らはマイケルが不適切なことなど一度もしていないと証言した。ただ、彼らの話は常にころころ変わる。彼らは今もマイケル・ジャクソン・エステートを相手取った裁判の最中だ。退けられてもまた告訴する。すべては金がほしいからなんだよ。
タージ:20年間も標的として攻撃されると、それに慣れて無感覚になるものだ。マイケル叔父さんが突然攻撃されたというわけじゃない。ある程度のステータスを得たあとの彼は死ぬまでずっと標的にされていたし、叔父さんの周りには常にあれこれ噂が飛び交っていた。叔父さんは人を信用していたし、人を信じていたし、将来的にきっと真実に気づいてくれると思っていたんだ。
ジャッキー:鼻の整形にしろ何にしろ、話題のあるなしに関わらず世間は彼をいびるのが好きだった。それもマイケルが世界で一番のスターだったからで、タブロイド紙は部数を伸ばすためにマイケルをネタにしただけだった。
―ある時点でマイケルの弁護団の一人が、「マイケル、これはすべきじゃないかもしれないよ」と、トラブルに結びつく可能性のある事柄を制止したに違いないと思いますが……。
マーロン:マイケルが私に言ったことは、「子どもが大好きだ。子供の一番の魅力はこっちに何も求めないこと。彼らを助けるために僕はいるんだよ。でも大人と話をすると、みんな僕から何かを引き出そうと必死になっているのが見えてしまう」だった。
タージ:あの頃、子供として叔父と一緒に過ごした経験から言えるのは、人生の見方が違うってこと。間違ったことは一切していないなら、何も変える必要はないだろう? 自分は人々を救うために地球に生まれたと信じていたらなおさらだ。それこそ、そうじゃなきゃ、どうして自分はここにいるんだ?と思うわけだよ。親が子どもをしつけるのと似ていて、どんなに親がいい子にしつけようとしても、子どもはそうならないだろう。叔父に対して世間がしていたことはそれと似ていると思う。叔父自身や叔父の創造性を刺激したたった一つのことを取り上げて、悪意をもってそれを歪曲して、叔父を蔑むような情報に書き換えた。その上、彼らにはその自覚が確実にあった。
マーロン:私たちは子供の頃からこの業界にいるし、本当に苦労した。マイケルと私が中学校に進学したら、教室の外に大勢の子どもたちがいて私たちをじっと見ていたのを覚えている。71年、72年の話だ。私たちは2週間耐えたけど、学校に通えなくなった。それほど異常な状態でね。何もできなかったし、私たちが行く所は大抵そんな状況だった。それが人間形成にどんな影響を与えるか考えてほしい。人間の素の部分が露出する外界とほとんど交流がないんだから。私が結婚したときも、大人になったときも、私はすべての人を信用していた。でも、すべての人を信用することは不可能だとあとで気づいたよ。
―出演している元少年2人は、途切れ途切れのようですが、ネバーランドやマイケルとは長期に渡って交流があったようです。今更になって彼らがそういうことを言う理由は何だと思いますか?
タージ:ウェイドは『Michael Jackson: One』が始まる頃まで、叔父のことを褒めちぎっていた。でも、そこで彼は振付師長兼監督としての仕事を得ることができなかった。そしたら彼はいきなり書籍の出版権を出版社にオファーし始めた。これは僕たちが勝手に言っていることではなくて、紛れもない事実だよ。彼の本に興味を持った出版社は一つもなかった。だから彼はその1年後にエステートを訴えることにした。これが時系列順のことの顛末さ。ジェイムズ・セーフチャックはウェイドがNBCのニュース番組でマット・ラウアーと話しているのをテレビで見て、「おいおい、俺も同じ経験したぜ」となった。絶好の機会があることに気づいたら、彼の記憶がすべてよみがえった。ここで忘れちゃいけないのは、エステートがこの時点で何十億ドルという利益をあげているとフォーブス誌が報じたこと、エステート関連の報道、そしてウェイドは子供の頃から今までマイケル・ジャクソンの名前とレガシーを利用して生きてきた男だということだ。
―そうは言っても、当時あなたたちが気づかなかった何かが起きていた可能性はありますか?
タージ:マイケル・ジャクソンは、全世界が最も長い間観察し続けた顕微鏡並の細さで丹念に調査された人間だよ。
ジャッキー:弟をよく知っているが、彼はそんな人間じゃない。
ティト:これも裁判になった。訴因は12あったと思ったな。マイケルは基本的に……彼を表すときにいつも「普通じゃない」という言葉を使っているんだが、彼の心はとにかく純粋だった。20~22の頃の私は、地元のバーで友だちと一緒にビールを飲むことができ、友だちとおしゃべりし、夜更かししたり、ビリヤードをしたり、女の子に声を掛けることができたけど、内心それを申し訳なく思っていた。だってマイケルには一度もそんな経験は許されなかったから。子供の頃からそういう経験は一度もなかったんだ。野球をしたこともなかった。家族が住んでいたヘイヴェンハースト通りの自宅で、私たちは将来のビジネスプランなどを話し合うためにマイケルを捕まえた。ミーティング中に私やジャッキーの子どもたちの面倒を見させるためにね。実際、マイケルは子守りで忙しく走り回っていたよ。私たちはとにかく、スタジオに入って仕事の話をしたかった。でも、子守りはマイケルにとっては楽しいことだったのさ。だって彼は子供時代に子供と遊んだことがなかったから。
子供時代に子供でいられない生活を想像できるかい? 子供なのにモータウンで仕事をしたり、エド・サリヴァン・ショーやキャロル・バーネット・ショーに出演したり、ローリングストーン誌の取材を受けなきゃいけない生活だ。私たちは毎日そんな仕事をしていたわけだ。だからマイケルの人生は……私たちの生活は学校に行き、放課後は運転手が迎えに来てモータウンのスタジオに直行するという生活だった。そんな生活が3~4年続いたんだよ。それこそ毎日1曲ずつレコーディングするという状態だった。
マーロン:そして、マイケルは他のエンターテイナーには不可能な高みまで一気に駆け上ってしまった。彼は町中をうろつくことなど不可能だった。だから外出して普通の人の感覚を味わうために、彼は変装したものだよ。エンシノにあるウエアハウス・レコーズにいたことがあった。子どもたち2人と偶然ウエアハウスで探しものをしていたら、レコードを山ほど抱えた男を見かけたんだ。アフロヘアで出っ歯の男で、店内をウロウロしていた。そして、その男がレジで支払いをするとき、私は彼の背後で「マイケル、ここで何をしているんだ?」と聞いたんだ。マイケルは「マール、どうして僕だってわかったの?」と聞き返したよ。「お前の兄ちゃんだぜ。弟の歩き方に気づかないと思うか?」って答えたよ。
―このドキュメンタリーはもうすぐ公開されますが、このドキュメンタリーがさらなる告訴を誘発する可能性があると思いますか?
タージ:20年間もやり続けていることだよ。1993年の訴訟のときの地方検事は告発する証人を探していた。彼らは今でも精力的に活動しているよ。だから、今回の一件は僕たちにとって馴染みのあることでもある。20年間に渡る捜査、10年間に渡るFBIの捜査、300ページに渡るFBI記録をやり過ごすことのできる人間が何人いると思う? 無罪なのに。
マーロン:覚えていてほしいのが、ディレクターも、ウェイド・ロブソンも、セーフチャック氏も、このドキュメンタリーの主張を裏付けする証拠が全くないということだ。証拠ゼロなんだよ。そんなことに時間をかけるなら、私に話を聞くことだってできたはずだ。私だけじゃなくて、家族やマイケルの友人たちにもね。
―この告訴の中には、あなたが実際にその場にいなかったケースもありますよね?
タージ:でも僕もあの場にいたよ。ウェイドと叔父が交流している姿を見ていたし、彼が証言したときもその場で見ていた。ウェイドが婚約者を叔父に紹介しているのも見た。それに加えて、僕も子供の頃に性的虐待を受けた被害者だから、それがどんなことなのかを知っている。虐待していたのは母方のチャック叔父さんだった。当時の僕は10歳になる前で、虐待を受けていたのは僕だけじゃなくて、他の兄弟もそうだったのさ。そんな経験があるから、状況がよく分かっている。それこそ、夫から暴力を受けている妻が他のDV被害妻の状況がよく分かるのと同じさ。彼らがたとえ否定しても、その事実に気づくし、勘づくんだ。僕は叔父さんとウェイドの交流を見ながら、ウェイドが持ってきた短編映画を映すためにビデオデッキをつなげていた。ウェイドは叔父にその映画を見せるのでご満悦だった。彼の奥さんのアマンダを叔父に紹介したときも同じくらい誇らしげだったよ。そういう事実が細かく検証されないことが腑に落ちない。叔父が存命中は叔父のおかげでウェイドは利益を得ていたけど、現在のウェイドは金欠の子持ちで、とにかく金を作る必要があるんだ。
―大勢が見ることになると思いますが、このドキュメンタリーが世間に与えるインパクトはどんなものだと思いますか?
マーロン: 私たちが家族としてマイケルをよく知り、愛しているのと同じように、マイケル・ジャクソンを敬愛する人々、彼を知る人々はあの内容は信じないよ。あれは金儲けのためだけに作られたし、その程度のものだ。