AC/DCが官能的な「The Jack(原題)」を演奏している。ヴォーカル、ボン・スコットが作った性感染症を讃えるこの曲を、1979年7月13日にオランダのテレビ番組「Countdown」に出演して演奏したときの模様だ。ジーンズと靴だけのスコットは性的な暗示を含んだ歌詞を歌いながら、手に持ったマイクを愛撫し、すし詰めの観客をじっと見る。そして、ドラムのリズムに合わせて一緒に歌うように促す。アンガス・ヤングも上半身裸で、ブルージーなこの曲の途中から怪しげなギター・ソロを弾き始める。
「The Jack」はもともと1975年のオーストラリア盤『T.N.T.』に収録されていた曲で、翌年1976年にインターナショナル盤『ハイ・ヴォルテージ』に収録された。この曲名は淋病を表す。SongFacts.comによると、「俺たちはとても人懐っこい女性たちと一緒に住んでいて、バンドメンバー全員がジャックをもらっちまった」と、1976年のSounds誌でスコットが話したという。スコットのこの話は「だからこの曲を作ったし、最初にこの曲を披露したとき、彼女たちは何も知らずに客席の最前列に座っていた。『彼女は淋病持ち』という繰り返しの部分で、俺は彼女たちを一人ひとり指差してやった」と続く。そしてアンガス・ヤングが「そのあとで、この曲をプレイするたびに、最前列の女どもが会場の後ろに走って行くようになった」と付け加えたのである。
この記録映像はAC/DCが40周年記念で公開した「地獄のハイウェイ」の動画に続いて公開されたのだが、もともとはDVDボックスセット『Plug Me In(原題)』に収録されていたものだ。
最近のAC/DCは、2016年に終わったロック・オア・バスト・ツアーに続く計画に関しては口をつぐんだままだ。このアルバムをサポートする同ツアーが終わる頃に、バンドは崩壊寸前の状態になっていたのである。スコットの死後、代わりに入ったブライアン・ジョンソンが聴覚障害のためツアーの途中でバンドを脱退してしまった。それ以前に、認知症を発症したマルコム・ヤングが同アルバムのリリース前にバンドを離れており、甥のスティーヴィー・ヤングが代役でツアーに参加していた。加えて、ドラムのフィル・ラッドがニュージーランドで訴訟に巻き込まれていたのだった。しかし、ジョンソンとラッドはバンクーバーのあるスタジオの外でベーシストのクリフ・ウィリアムスと一緒に写真を撮られており、この3人が一緒にアルバムを作るかもしれないという憶測が飛び交った。