1969年にリリースされたキング・クリムゾンの『クリムゾン・キングの宮殿』を発端としてわき起こったこの斬新な音楽性は、ピンク・フロイド、イエス、ジェネシス、EL&Pといった英国勢に留まらず、世界中のロック・ミュージシャンに影響を与え、一大プログレ・ブームを巻き起こした。日本ではピンク・フロイドの『原始心母』の帯キャッチに「ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道なり!」と書かれたフレーズからプログレッシヴ・ロックという言葉が使われるようになったと言われている。
クラシック、ジャズ、現代音楽、民族音楽など、あらゆる要素をロックに採り入れ、叙情的でドラマティックでコンセプチュアルな作風、高い演奏技術や変拍子の活用、シンセサイザーやメロトロンといった近代的な楽器の多用など、限りなくオリジナリティを追求し続ける進歩的な音楽概念がプログレッシヴ・ロックであり、その革新性や実験的なアプローチがこのジャンルの最大の魅力である。
第1弾のイタリアン・ロック編(「アレア」5タイトルと「アリティ・エ・メスティエリ」3タイトル)に続いて、第2弾となる今回はブリティッシュ・ロック編。ヨーロッパやアメリカ、アフリカなど、大陸からの音楽文化の交差点としての役割を担っていた英国の音楽シーンでは、クラシックやジャズ、ロック、民族音楽など多種多様なジャンルが重ね合わさるなどし独特の進化を遂げてきた。それらの中で特にシーンを牽引する立場となったのがプログレッシヴ・ロックだった。
「5大プログレ・バンド」と評されたピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエス、ジェネシス、EL&Pなどに代表される、超凡な革新性をもったバンドが林立した70年代黄金期には、ほかにも多くの隠れた名盤がリリースされている。今回はソニーミュージックが誇るRCA、CBS、アリスタ、NEONなど多彩なレーベルに残された名盤群の中から厳選されたプログレ、ジャズ・ロック、フォーク・ロック等の作品がラインナップされた上、ロジャー・ディーン、ヒプノシス、キーフといったジャケット界の大御所たちによるアートワークが並ぶことになった。これまで何度か再発されている名盤から日本初登場となる激レア盤に至るまで、紙ジャケットならではの視覚効果を含む最上級クォリティでのリリースとなる。

ソニーミュージック プログレッシヴ・ロック紙ジャケット・コレクション
「ブリティッシュ・ロック編」 全9タイトル
発売日:2019年12月11日 (水)
※高品質Blu-spec CD2/最新マスタリング音源/新規解説、歌詞、対訳付き(一部インスト作品)
1CD:各¥2,100+税
2CD:各¥2,700+税
『閃光』
アンダーソン、ブラッフォード、ウェイクマン&ハウ
1989年作品(アートワーク:ロジャー・ディーン)
イエスを脱退したジョン・アンダーソンがビル・ブラッフォード、リック・ウェイクマン、スティーヴ・ハウといった旧友を集めて結成したABWH唯一のアルバム。イエスよりもイエスらしいサウンドに満ちた渾身の作品。アルバム未収録曲、シングル・リミックス、ライヴ・ヴァージョンの3曲をボーナス・トラックとして収録。

『結晶』
イエス
1991年作品(アートワーク:ロジャー・ディーン)
ブリティッシュ・プログレを代表するバンドのイエス。彼らが離合集散を繰り返すなかで到達したひとつの答えがこの作品。リーダーのジョン・アンダーソンが考えるイエス・ビッグバンド構想を具現化させた唯一無二の1枚。アルバム未収録曲、ラジオ・エディット・ヴァージョンの2曲をボーナス・トラックとして収録。

『人生ゲーム』
アラン・パーソンズ
1993年作品(アートワーク:ヒプノシス)[初紙ジャケ化]
アラン・パーソンズ・プロジェクト解体から3年を経てリリースされたアラン・パーソンズ初のソロ・アルバム。プロジェクト時代の手法をそのままに、パイロットや10cc、アンブロージアのメンバーらが参加したプログレッシヴな傑作。3曲のラジオ・エディットをボーナス・トラックとして収録。
『セプトーバー・エナジー』 (2CD)
センティピード
1971年作品 [初紙ジャケ化/日本初CD化]
キング・クリムゾンの初期メンバーだった前衛ジャズ・ピアニスト、キース・ティペットを中心に総勢50人以上に及ぶロック、ジャズ、クラシックの凄腕ミュージシャンたちが集まった壮大な音楽絵巻。”自由のために繋がろう”というメッセージが込められた、二度と実現不可能なジャズ・ロック・ビッグ・バンド的大作。ロバート・フリップ・プロデュース。
『ブループリント』
キース・ティペット
1972年作品 [初紙ジャケ化]
ロバート・フリップのプロデュースで作りあげたキース・ティペット初のソロ・アルバム。センティピードの流れを汲んだ無国籍的空間の中で、アコースティック・ピアノのみで饒舌に語るキースと、奥方ジュリー・ティペットの鬼気迫るヴォーカルが交錯する英ジャズ・ロックを代表する1枚。
『ブラス・ロック1』 (2CD)
ヘヴン
1971年作品(アートワーク:キーフ)[初紙ジャケ化/日本初CD化]
ワイト島フェスティヴァルでその姿を現したヘヴィ・ブラス・ロック・バンドのヘヴン、唯一のアルバム。ホーン・セクションを含む9人編成で制作されたLP2枚組というヴォリュームは、めくるめく展開と圧巻のパフォーマンスで一気に聴かせてくれる。奇才キーフによる六面変型ジャケットにも注目が集まる特大レア盤が遂に日本発売。本シリーズの超目玉商品。ボーナス・トラックとしてアルバム未収シングル2曲を収録。

『終末からの誕生』
フェア・ウェザー
1970年作品(アートワーク:キーフ)[初紙ジャケ化/日本初CD化]
60年代に爆発的な人気を誇ったバンド、エーメン・コーナーのメンバーで結成されたフェア・ウェザーのファースト・アルバム。米国スワンプ風のリズムに英国流のポップなメロディーが絡み、安定感のあるベテラン陣の演奏が心地よい傑作。キーフによる美麗ジャケット。シングル曲を網羅したボーナス・トラックを6曲収録。
『ダンドゥ・シャフト』
ダンドゥ・シャフト
1971年作品(アートワーク:キーフ)
マルチ・インストゥルメンタル奏者のマーティン・ジェンキンス率いるダンドゥ・シャフトの2作目。英国プログレッシヴ・トラッド・フォークを代表するバンドとして知られ、今作から女性ヴォーカルのポリー・ボルトンが加入して音楽の幅が広がっている。キーフによるジャケットが美しいネオン・レーベル秘蔵の傑作。
『フレッシュ・マゴッツ』
フレッシュ・マゴッツ
1971年作品(アートワーク:キーフ)[初紙ジャケ化/日本初CD化]
ミック・バーゴインとリー・ドルフィンという19歳の少年デュオによる唯一のアルバム。テンションの高いアコースティック・ギターとファズのきいたエレクトリック・ギターが空を切る緊張感がたまらない、サイケデリック・フォークの名盤が遂に国内発売。キーフによるメルヘンチックなアートワークも秀逸。ボーナス・トラックとしてアルバム未収シングル2曲を収録。