―楽曲制作を始めてまだ1年半とのことですが、デビューするまでの経緯を教えてください。
クボタ:僕はそもそも曲を作る1年くらい前からフリースタイルバトルをやっていて。友達が作曲を始めたタイミングに便乗して作ったのが楽曲製作のきっかけですね。超初期はオーソドックスにラップをしていました。ただ自分でしっくり来てなくて、失恋のタイミングで「Nakasu night.」というメロディ混じりの曲を作ったのが、今のスタイルの原形ですね。それから何曲かYouTubeにアップしたところ反響があって、デビューに至りました。
―音楽といってもいろんなジャンルや表現手段があるなか、クボタさんがラップを選んだ理由は?
クボタ:僕は音楽の手段としてラップを選んだというよりは、「フリースタイルラップおもしろい! やってみたい!」というのがきっかけでしたね。『フリースタイルダンジョン』や『高校生RAP選手権』を見ては、お風呂で一人でラップしてました(笑)。音楽的な話をすると、ラップというリズム音楽としての聴き心地の良さ&韻を踏んで進行するという構造を、自分なりに砕いて色々混ぜて作ってます。合挽きハンバーグみたい!
2019年3月発表の2nd EP『305』は、CDが即完売となる程の人気ぶり。
―初めて自分から好きになったアーティストは誰ですか?
クボタ:コブクロですかね。
―自分にとってのルーツを教えてください。
クボタ:音楽的なルーツは、まずクリープハイプですね。衝撃でした。『イノチミジカシコイセヨオトメ』から入って、気が付くとCDを揃えたり一人でライブ遠征に行ったりしてました。個人的には初期の剥き出し感と生活感が好きです。心のやわらかい時期に聴いてたので、単純な曲の良さだけじゃ無くて、様々な思い出や感情が乗っかりますね。人生のアンセムです。
―音楽以外では?
クボタ:根が超負けず嫌いなのは、部活で続けてきたバレーボールの影響ですね。全国大会にもたくさん出た強豪校で、そこで揉まれた経験はかなり影響してると思います(僕はヘタクソ)。
―今度のEP『明星』に収録された「wakakusa night.」のリリックで5lackさんに言及していますね(「feeling29のPV」のくだり)。彼も福岡を拠点にしていますが、やはり影響は大きかったのでしょうか?
クボタ:影響はあります。5lackやお兄さんのPUNPEEは日本語を使ったラップが世界一上手い人達だと思います。日本語特有の角ばった手触りを本当に上手にフロウされてる。韻の踏み方も硬い上にオシャレですね。
―他にも福岡のミュージシャンやシーンから学んだことはありますか?
クボタ:福岡のヒップホップシーンはブラックでアングラな方々が主流なので、僕みたいなのは異質だと思います。ただRin音くんやSHUN君などの似た音楽性のアーティストが同じ世代で出てきているので、少しずつ変わっていってるのかなと。
―12月4日にリリースされる『明星』は、自分にとってどんな作品になりましたか?
クボタ:その時々の悩みや出来事を等身大に綴った作品です。過去の作品から3曲、新曲を2曲揃えました。過去の曲を聴くと「あんなことあったなあ」と懐かしいし、新しい曲を聴くと今の胸に染みます。自信をもってリリース出来る5曲です。なんといっても念願の全国流通を叶えてくれた愛すべき作品ですね。
―EP全体を通じて、音/歌詞ともにメロウでメランコリックなムードが漂っている印象です。この感覚はどこからやってくるものでしょうか?
クボタ:普段はおちゃらけているんですけど、どこかに大きなネガティブを持っていて。人の共感を呼ぶための歌詞というよりは、自分の掃き溜めのように書き綴っています。だから何よりリアルだし、共感されると僕が救われます。ぶっちゃけ本当に音楽が必要なのは、楽しいときではなく辛いときで、普通の人が救われるために音楽を聴くタイミングで、僕は音楽を作ってます。聴いてね!
―1曲目の「ベッドタイムキャンディー2号」はどのようにして生まれたのでしょうか?
クボタ:いきなり「ベッドタイムキャンディー」というフレーズが降ってきたのが最初でした。それからすぐにトラックメイクをSHUN君に依頼しました。SHUN君はラッパーとして認知していて、トラックを作れるという情報はあったものの、実際に彼のトラックは聴いたことがない状態で依頼したんです。なかなかギャンブル的な依頼でしたが、彼が天才だったので大当たりでした。
歌詞は、密かに思いを寄せていた異性と身体の関係になってしまうというストーリーです。時間の経過や心境の変化をはじめ、様々な仕掛けを施してる歌詞なので、ぜひ歌詞カードを見ながら考えてください。
―この曲では歌い出しから、中原中也の「汚れっちまった悲しみに」が引用されていますが、彼のどんなところに惹かれますか。
クボタ:中原中也の詩に、よく自分の性格を重ねます。どうしようもない憂鬱を繊細な言葉選びで綴っているところに惹かれます。
―ほかにも詩や文学からの影響は大きい?
詩や小説、漫画など本全般が好きです。漫画は『僕のヒーローアカデミア』が好きで、特にヴィラン連合が大好きです!
―2曲目「TWICE」では言葉数を詰め込んだスピーデイなラップを披露している一方、3曲目の「せいかつ」ではシンガーソングライター的な歌が印象的です。自分のラップ/歌はどんなところに特徴があると思いますか?
クボタ:ラップのリズム、歌のメロディ等それぞれの成分を抜き出して自分なりに配合してるイメージです。実は配合の比率が違うだけで、ラップ/歌に振り切った曲は今のところないです。たとえば『せいかつ』でも「ワンピースを買った」「缶ビールの空」など固く韻を踏んでたり、二番なんかはほとんど「い」の音で締めています。『TWICE』も良く聴くとかなりメロディアスです。
詩は感傷的な時に書き殴ったものを後日落ち着いて整理します。そうすると感情が乗る上に美しい文章になりますね。そんな詩を、リズム&メロディの良い配合に乗せたのがクボタカイの歌です。
―5曲目の「wakakusa night.」はMega Shinnosukeさんがプロデュースしていますが、彼のどんなところが好きですか?
クボタ:なぜか彼と会うといつもサイゼリヤに行くんですけど、時々ピザをくれるところが好きです。
出会いは、僕の友達のラッパーがメガシンのバンドメンバーで、警固公園で偶然会ったのがはじめです。それからジョイフルで初めて話をして、サイゼリヤで仲良くなっていきました。
―他にも同世代で好きだったり意識したりしているミュージシャンはいますか?
クボタ:思い付いた人を挙げると、空音、yonawo、ビリー・アイリッシュ、Rin音、chelmico、No Buses、ICARUS、Tempalay、T-STONE、羊文学、kojikoji、君島大空、みゆな、etc...(敬称略)
空音やkojikojiちゃん、Rin音界隈やみゆなちゃんは知り合いなので、バシバシ刺激を貰ってます!
―Scramble Fes 2019ではどんなライブが期待できそうでしょうか?
クボタ:踊るというより揺れるライブをしていきたいです。イヤフォンで聴くのとは違う熱量を見せたいなと!
―気になる出演者はいますか?
クボタ:iriさん、そして最近良く聴くeillさんです。お客さん含め、僕が一番楽しむつもりで行くのでヨロシク!
<ライブ情報>

「Scramble Fes 2019 supported by Rolling Stone Japan」
2019年11月2日(土)東京・渋谷TSUTAYA O-EAST
時間:OPEN 14:30 / START 15:30 / CLOSE 21:30 ※予定
出演:iri・eill・TENDRE・クボタカイ・VIDEOTAPEMUSIC・betcover!!
※2ステージ制
チケット前売り:3800円(税込・別途ドリンク代)
各プレイガイド
イープラス:https://eplus.jp/scramblefes2019/
LINEチケット:https://ticket.line.me/events/3960/
ローソン:https://l-tike.com/scramblefes2019/
ぴあ:https://w.pia.jp/t/scramblefes2019/
イベント公式ホームページ:http://tsutaya.jp/scramblefes2019/
<リリース情報>
『明星』
クボタカイ
2019年12月4日(水)リリース
品番:DDCB-14067
価格:¥1,364+税
収録曲
1. ベッドタイムキャンディー2号
2. TWICE
3. せいかつ
4. 真冬のショウウィンドウ
5. Wakakusa night.
発売元:SPACE SHOWER MUSIC
販売元:(株)スペースシャワーネットワーク
クボタカイ公式サイト:
https://kubotakai.com/