ポール・マッカートニービートルズのカメラマンだったロバート・フリーマンを偲んだ。フリーマンは『ミート・ザ・ビートルズ』と『ラバー・ソウル』のジャケット写真を撮影した。


ポール・マッカトニーが覚えているロバート・フリーマンは「造像力が豊かで、オリジナリティに溢れた思考回路を持つ男」だ。ビートルズの作品の中でも最も記憶に残るアルバム・ジャケットを撮影した故ロバート・フリーマンへの追悼文で、マッカートニーはそう述べている。

フリーマンが撮影したビートルズの写真は、『ウィズ・ザ・ビートルズ』、『ラバー・ソウル』、『4人はアイドル』、『ビートルズ・フォー・セール』などのアルバム・ジャケットとして使用された。マッカートニーはフリーマンへの追悼文の中で、『ミート・ザ・ビートルズ』の写真を撮影したときを振り返り、常に背景を考慮しつつメンバー全員にライトが当たるように「緻密に計算したスタジオショットのような仕上がり」だったと述べている。

「実際、あの写真は滞在していたホテルの廊下でロバートが素早く撮影したもので、廊下の端にある窓から自然光が差していた。あの撮影は長くても30分くらいだった」とマッカートニーが当時を回想する。

また、マッカートニーは『ラバー・ソウル』のジャケット写真のストレッチ効果が偶然生まれたものだったとも言っている。アルバム・ジャケットになった場合のイメージをメンバーに伝えるために、フリーマンはいつもPLサイズの厚紙に写真を投影して見せていた。『ラバー・ソウル』のジャケット写真を確認するために厚紙に投影したとき、立てた厚紙が後ろに傾いてしまい投影された写真の様相が少し変わった。

「厚紙を立て直すことはぜず、ロバートの写真の新しい見え方に私たちは興奮した。すると彼はそのままプリントできると確約してくれた。『ラバー・ソウル』というタイトルに完璧にマッチする写真だと思ったんだ」とマッカトニー。


彼の追悼文は「この素晴らしい男がいなくなって寂しいが、これからも彼との楽しい思い出を大切にする」で締められている。

フリーマン他界のニュースは、11月8日にビートルズのTwitterで公表された。死因は明らかになっていない。


ポール・マッカートニーのロバート・フリーマンへの追悼文(全文)

親愛なるロバート・フリーマンが他界した。ビートルズ時代、彼は私たちのお気に入りカメラマンの一人で、ビートルズの代表的なアルバム・ジャケット写真を撮ってくれた。最高のプロの仕事人だっただけでなく、彼は創造力が豊かで、オリジナリティに溢れた思考回路を持つ男だった。アルバム『ミート・ザ・ビートルズ』のジャケット写真のメンバーの顔が半分影に隠れているのは、スタジオでライティングを計算して撮った写真だと思う人が多い。実際、あの写真は滞在していたホテルの廊下でロバートが素早く撮影したもので、廊下の端にある窓から自然光が差していた。あの撮影は長くても30分くらいだった。

ボブ(訳注:ロバートの愛称)は『ラバー・ソウル』のジャケット写真も撮影している。彼はいつもスライド・プロジェクターを使って、撮影した写真をアルバムのサイズにカットした白い厚紙に投影して見せてくれた。これによって、私たちは最終形がどんな感じなのかを掴むことができた。
厚紙を使っての写真の確認作業中に、小さなテーブルに立てたこの厚紙が後ろに傾いてしまい、投影された写真が「ストレッチ」したように見えたのだ。厚紙を立て直すことはせず、ロバートの写真の新しい見え方に私たちは興奮した。すると彼はそのままプリントできると確約してくれた。『ラバー・ソウル』というタイトルに完璧にマッチする写真だと思ったんだ。

この素晴らしい男がいなくなって寂しいが、これからも彼との楽しい思い出を大切にする。

ありがとう、ボブ。
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