先日、ラッパーのT.I.に世界が驚愕した。18歳の娘デイジャが定期婦人科検診を受けた際、医師に「処女膜が無傷かどうか確かめさせていた」ことを暴露したのだ。
「呼ばれて行って座って待っていると、ドクターが出てきて話し出した。ドクターはさすがプロだったね」と、39歳のラッパーはポッドキャスト『Ladies Like Us』で語った。「ドクターが言うんだ、『あの、お父さん、情報共有のために必要なんです』――それで俺は、『デイジャ、ドクターがこの書類にサインしてほしいそうだ。そうすれば情報を共有できる。父さんに知られたくないことなんてないだろ? ほらね、ドクター? 何も問題はありませんよ』」
T.I.はさらに、セックス以外でも処女膜が破れる場合もあるが――器械体操や乗馬など――自分はそれを承知で検査を依頼したことを認めた。「俺はこう言ったんだ、『いいかいドクター、彼女は乗馬もやらないし、自転車にも乗らない。スポーツは全くしていない。とにかく頼むから処女膜を調べてくれ。そして早いとこ結果を教えてくれ』」 。15歳の息子にもそのような措置を取るかと尋ねられるとT.I.はノーと答え、実際のところ息子が性欲旺盛なのはよく知っているし、それはそれで構わない、と述べた。
T.I.の発言は、インターネット上で人々の怒りを買うための模範解答のようだった。そして実際に人々の怒りを買った。
確かにT.I.の発言は確実に怒りを誘う一方、さらに穏やかならぬ現実も明らかになった。処女検査は世界中に普及していて、歴史的にはこれを口実に、若い女性が罰せられ、拷問され、しまいには殺されもしてきたのだ。
通常処女検査では、医師が2本の指を女性の膣に挿入し、処女膜が無傷かどうか内診によってチェックする。T.I.本人も指摘しているように、処女膜が無傷だからと言って必ずしも処女だとは限らないが、インドやトルコ、エジプト、南アフリカなど世界の様々な地域ではそのように捉えられている。多くの場合、女性が結婚に適しているかどうかを判断する際に検査が行われるが、他の目的でも実施される。例えばインドネシアでは、女性の警察官願者の適性を判断するために行われている。
アフガニスタンでは自殺者が出たケースも
処女検査で「不合格」となった場合、とんでもない罰則が科せられる場合もある。婚前性交渉が犯罪とみなされるアフガニスタンでは2018年まで、女性や少女が処女検査で不合格となった場合は最大3カ月投獄することが法律で認められていた。さらに過激なケースでは処女検査を落ちた若い女性が自殺したり、あるいは一家の面目を傷つけたとして家族から殺されることもあった。
処女検査の話は海外諸国の慣習に関するものがほとんどだが、T.I.の発言からも明らかなように、アメリカ以外で行われているものだと決めてかかるのは間違いだ。
だがアメリカでも、かなり日常的に秘密裏に行われているようだ。2016年、288人の内科医を対象に行ったアンケートによると、回答者の10%が、親または家族から2本指の内診の実施を依頼されたと答えた。さらに34%が実際に実施したことがあると回答した(ただし、マリ・クレール誌の取材を受けた多くの内科医が、患者を危険にさらしたくないがために虚偽の結果を伝えたと答えた)。
処女検査の科学的根拠が疑わしく、かつ女性に無理やり屈辱的な行為を受けさせるのは明らかに非倫理的であるがゆえ、人権保護団体は全世界で処女検査を禁止するよう求めている。2018年、国連と世界保健機関(WHO)は共同で声明を発表し、「処女検査は少女や女性の人権侵害であり、女性や少女の身体的、精神的、社会的福利を脅かす可能性がある」として、全世界での処女検査撲滅を呼びかけた。にもかかわらず、体系的な法律やガイドラインが欠如し、検査を禁じる法律もない以上、女性の純潔に対する時代遅れで科学的根拠を欠いた信念の名の下に、T.I.のような男性が娘にああした辱めを受けさせることを禁じる術は皆無に等しい。
「呼ばれて行って座って待っていると、ドクターが出てきて話し出した。ドクターはさすがプロだったね」と、39歳のラッパーはポッドキャスト『Ladies Like Us』で語った。「ドクターが言うんだ、『あの、お父さん、情報共有のために必要なんです』――それで俺は、『デイジャ、ドクターがこの書類にサインしてほしいそうだ。そうすれば情報を共有できる。父さんに知られたくないことなんてないだろ? ほらね、ドクター? 何も問題はありませんよ』」
T.I.はさらに、セックス以外でも処女膜が破れる場合もあるが――器械体操や乗馬など――自分はそれを承知で検査を依頼したことを認めた。「俺はこう言ったんだ、『いいかいドクター、彼女は乗馬もやらないし、自転車にも乗らない。スポーツは全くしていない。とにかく頼むから処女膜を調べてくれ。そして早いとこ結果を教えてくれ』」 。15歳の息子にもそのような措置を取るかと尋ねられるとT.I.はノーと答え、実際のところ息子が性欲旺盛なのはよく知っているし、それはそれで構わない、と述べた。
T.I.の発言は、インターネット上で人々の怒りを買うための模範解答のようだった。そして実際に人々の怒りを買った。
18歳の娘に――法律上は成人だ――処女膜検査を無理やり受けさせるのはプライバシーの侵害も甚だしいと大勢が指摘した。一方で、T.I.のダブルスタンダードに注目し、娘がセックスしていないかどうかに関しては口うるさいくせに、弟に対しては性に積極的なことを称賛している点をつつく人々もいた。
確かにT.I.の発言は確実に怒りを誘う一方、さらに穏やかならぬ現実も明らかになった。処女検査は世界中に普及していて、歴史的にはこれを口実に、若い女性が罰せられ、拷問され、しまいには殺されもしてきたのだ。
通常処女検査では、医師が2本の指を女性の膣に挿入し、処女膜が無傷かどうか内診によってチェックする。T.I.本人も指摘しているように、処女膜が無傷だからと言って必ずしも処女だとは限らないが、インドやトルコ、エジプト、南アフリカなど世界の様々な地域ではそのように捉えられている。多くの場合、女性が結婚に適しているかどうかを判断する際に検査が行われるが、他の目的でも実施される。例えばインドネシアでは、女性の警察官願者の適性を判断するために行われている。
アフガニスタンでは自殺者が出たケースも
処女検査で「不合格」となった場合、とんでもない罰則が科せられる場合もある。婚前性交渉が犯罪とみなされるアフガニスタンでは2018年まで、女性や少女が処女検査で不合格となった場合は最大3カ月投獄することが法律で認められていた。さらに過激なケースでは処女検査を落ちた若い女性が自殺したり、あるいは一家の面目を傷つけたとして家族から殺されることもあった。
処女検査の話は海外諸国の慣習に関するものがほとんどだが、T.I.の発言からも明らかなように、アメリカ以外で行われているものだと決めてかかるのは間違いだ。
医師からは処女検査は反道徳的だと非難が挙がっているものの、マリ・クレール誌が2019年の調査で指摘しているように、連邦法にも州条例にも処女検査を禁じる法律は存在しない。全米産婦人科学会(ACOG)は、処女検査は医学的根拠がない上有効な医療措置ではないことを理由に、処女検査にまつわる公式ガイドラインを未だ発表していない。「”処女検査”なんてものは存在しません」と言うのは、ノースウェスタン大学の産婦人科准教授でACOGイリノイ支部の法務部長、モーラ・クインラン医学博士だ。ローリングストーン誌に応えてこう語った。「なんらかの医療検査で女性が処女かどうか証明できる、というのは単なる俗説です」
だがアメリカでも、かなり日常的に秘密裏に行われているようだ。2016年、288人の内科医を対象に行ったアンケートによると、回答者の10%が、親または家族から2本指の内診の実施を依頼されたと答えた。さらに34%が実際に実施したことがあると回答した(ただし、マリ・クレール誌の取材を受けた多くの内科医が、患者を危険にさらしたくないがために虚偽の結果を伝えたと答えた)。
処女検査の科学的根拠が疑わしく、かつ女性に無理やり屈辱的な行為を受けさせるのは明らかに非倫理的であるがゆえ、人権保護団体は全世界で処女検査を禁止するよう求めている。2018年、国連と世界保健機関(WHO)は共同で声明を発表し、「処女検査は少女や女性の人権侵害であり、女性や少女の身体的、精神的、社会的福利を脅かす可能性がある」として、全世界での処女検査撲滅を呼びかけた。にもかかわらず、体系的な法律やガイドラインが欠如し、検査を禁じる法律もない以上、女性の純潔に対する時代遅れで科学的根拠を欠いた信念の名の下に、T.I.のような男性が娘にああした辱めを受けさせることを禁じる術は皆無に等しい。
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