ロッド・スチュワートは新作シンフォニック・アルバム『Youre in My Heart: Rod Stewart with the Royal Philharmonic Orchestra/ロッド・スチュワート・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団』のリリースを数週間後に控えているが、彼はすでに次のアルバムを見据えている。「カントリー・レコードを作るつもりだ」と、スチュワートがローリングストーン誌に教えてくれた。「カントリー・ミュージックだけでなく、フォークソングや子供の頃に聞いた古い楽曲も入れたい。これまでとは異なる自分の側面をみんなに見てもらう良い機会になる」と。
このアルバムに収録したい楽曲はまだ選定していないが、ボブ・ディランの1963年のスタジオ・アウトテイク曲「Walls of Red Wing(原題)」を狙っていると言う。この曲はディランの曲の中でも長年発表されなかった無名曲だ。この曲以外では、ウィリー・ネルソンの楽曲、アイルランド暴動時の戦いを歌ったフォークソングも考えている。スチュワートは「やりたい曲はキャッチーである必要はないが、歌詞が本当に美しいものがいい。このアルバムを作ろうと思った理由の一つは妻だ。彼女はコンサートのアコースティックセットが大のお気に入りでね。ロックンロール曲よりも俺の歌がはっきりと聞こえるせいらしい」と説明した。
今年9月下旬に、ロサンゼルスのハリウッド・ボウルでの特別ライブで、ジェフ・ベックと共にキャリア初期のロック曲を何曲か披露した。
「あれは俺がやりたかったことだったし、たぶんジェフも同じだったと思う」とスチュワート。「ジェフのギターと俺の声が合わさると、とにかく並外れたサウンドになって、それが会場を満たしたんだ。俺はいつものステージを跳ね回る派手なアクションをやめて、一歩下がったって感じ。ジェフを前面に出したいと思ったし、それが上手く行ったと思うね」
ベックが現在のロッドの音域にギターのキー合わせる必要があったものの、彼らは音合わせ程度の最低限のリハーサルしかしなかったと、スチュワートが述べた。「40~50年前と同じ高さの声を出せるシンガーなんていない。声というのは自然に少しずつ低くなるんだ。俺の声は半音しか下がっていないけど、キーを変えたものだから、ジェフはそのキーに合わせた弾き方を確認しないといけなかったね。俺のキーはギターにとっては最高のキーとは言えなかったけど、ジェフは上手く演奏してくれたし、本当に最高の音を出してくれたよ」
ベックとの再共演の予定は今のところないが、スチュワートの今後は、約1ヶ月間のUKアリーナツアー、2020年に断続的に続くラスベガスでの長期レジデンス公演、2020年秋のオーストラリア・ツアーと多忙を極める。また、1月には右ひざの人口関節形成手術を予定していて、3月6日から始まるラスベガスのレジデンス公演までに調子を戻すために、手術後はしばらくの間ハードなリハビリを行うことになるだろう。
今後の予定が目白押しのスチュワートだが、2020年に再びベックと一緒にステージに立つ機会を作るつもりでいる。
しかし、この話をしている最中に何か閃いたようで、「今、思い付いた」と言って、次にように続けた。「解決策はプロデューサーを見つけることだ。そうなれば、二人とも楽曲のマテリアルに集中できる。スタジオに入って、それだけすればいいわけだ。これは最高のアイデアだ。ジェフと俺が少しずつ金を出し合ってプロデューサーを雇えばいいだけだから。
さらに、伝記映画の可能性も浮上しているらしい。「俺はぜひやりたいね。一番幼い子どもが今8歳と10歳で、この息子たちが『父さん、僕たちは父さんに似ているよ! 父さんの若い頃を僕たちがやれるよ!』と言うんだ。それを見てみたくてね。ただ、エルトンみたいなのにはしたくない(映画『ロケットマン』のこと)。あれはほとんど『マンマ・ミーア!』じゃないか。クイーンのやつ(『ボヘミアン・ラプソディ』)は本当に素晴らしかった。あれはとても気に入ったよ。俺の映画が作られるかは、今のところ、まだわからない。まあ、俺もそんなことを思い悩んで睡眠不足になる予定もないしね」と、スチュワートらしく締めてくれた。