今年、開局30周年を迎えたFM802にて、DJ浅井博章がこだわりのロックミュージックをピックアップしてきた人気番組『REDNIQS』(9月末に終了)。同番組終了後のメモリアルライブとして04 Limited Sazabys、打首獄門同好会が出演した、「FM802 30PARTY LIVE REDNIQS」が11月19日、大阪・なんばHatchにて開催された。


開演前から浅井博章が自らDJブースに立ち、番組ゆかりのロックミュージックで大いに沸かせたかと思えば、04 Limited SazabysのGEN(Vo, Ba)との番組内でのやりとりから、打首獄門同好会に声をかけるイベントのなれそめがダイジェストが流れ、場面は一転。トップバッターとして打首獄門同好会が現れるや、ソールドアウトでパンパンのフロアの密度がさらに上がるかのように、ステージへと引き寄せられるオーディエンス。1曲目の「デリシャスティック」から大盛り上がりで、事前に場内で配られていたうまい棒が早速役に立つ(笑)。続く「歯痛くて」といい、幅広い客層が集まった会場には血気盛んなロックキッズから家族連れまでが混在し、イヤーマフ(=子ども用の防音ヘッドフォン)をつけたちびっこまでが拳を上げる風景が共存するのは、まさに打首獄門同好会ならでは。ゴリゴリにヘヴィなサウンドを疾走させつつ、「TAVEMONO NO URAMI」でも食べようと思ったプリンが冷蔵庫にないという身に覚えがあり過ぎる日常のひとこまを轟音に乗せ、日本人の永遠のテーマであるきのこの山とたけのこの里のどちらが好きかという「きのこたけのこ戦争」でも、「今からここなんばHatchをきのこたけのこ戦争の最前線とする!」(大澤・Vo/Gt、以下同)とフロアをまっぷたつに分け、各々が雄叫びで競い合うという最高にピースフルな戦いが巻き起こる。ものの数曲にして、もう完全に打首獄門同好会の虜に!

04 Limited Sazabys、打首獄門同好会が激突 「LIVE REDNIQS」レポート

Photo by Kazuki Watanabe

「『LIVE REDNIQS』始まりました、本日はようこそなんばHatchへ! 平日なのにソールドアウト、満員でございます」とのご挨拶の後、MCでは、今年が終わるまでにもう祝日がないという衝撃の事実をオーディエンスに突き付け、「今年のカレンダーから3連休はもうなくなっていたのです……叫びたいね~心の底から叫びたいね~この現象に何らかのメッセージ性を感じるね(笑)。それでは次の曲、聴いてください」

不穏なイントロからダークネスなリフが導いた「はたらきたくない」では、会場を埋め尽くす2000人による「はたらきたくないね」×「はたらきつかれたね」の魂の大合唱。「そんな気持ちのときは、猫の動画を見て過ごせばいいじゃない!」と「猫の惑星」へとなだれ込み、猫を飼ったことがある人なら首がへし折れるほど頷かざるを得ない、猫至上主義のリリックにヘドバンで応えるオーディエンス。重低音を浴びながら幕を開けた「私を二郎に連れてって」でも、ライブ初体験の者を確実にロックオンし、体験済みの者を依存症にするような楽曲群でフルドライブさせる、恐るべし打首獄門同好会。

04 Limited Sazabys、打首獄門同好会が激突 「LIVE REDNIQS」レポート

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04 Limited Sazabys、打首獄門同好会が激突 「LIVE REDNIQS」レポート

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「昨日の大阪、めちゃくちゃ暑くなかった? 24℃は、ちょっとした夏だなって。ただ、今朝はそんなでもないなと思ったら、14℃なの。最低気温なんて6℃だよ? 明日はさらに5℃まで下がるわけですよ。
今、何の話してるんだろと思ってるでしょ? これで1曲セットリストが変わるバンドがいるの(笑)。明日の朝はホントに冷え込むから、風邪を引かないように気を付けてくださいね。心がこう叫んでもちゃんと頑張って起きるんだよ。じゃあ次の曲、聴いてください」

共感しかない「布団の中から出たくない」では、のどかなムード漂うカッティングから凶暴な爆音へと瞬時にスイッチする緩急自在のビートでなんばHatchを翻弄し、「島国DNA」では、「まぐろ、まぐろ、まぐろのさしみ」コールから、フロアという大海原にまぐろの風船とダイバーが舞う!(笑) スラッシュメタル調の「ニクタベイコウ!」でも食を音で制覇していきながら、「打首を知ってる人も知らない人も踊りましょ!」と鉄板カバー曲「おどるポンポコリン」を披露! あの大ヒット曲を完全に別モノに染め上げたこの曲では、フロアも最高潮の熱を帯びて幸福なカオスが発生。「これでフォーリミにバトンを渡すんですけど、とことん温まってないと気が済まない。最後の曲は実りの秋、収穫祭でございます。それでは皆さんご唱和ください。日本の米は!?」「世界一!」とのコールから、凄まじい熱量のシャウトとともに突っ走り、ライブの空気は一気にピークに! 全身全霊のパフォーマンスで、予告通りアツアツのバトンを04 Limited Sazabysへと渡した打首獄門同好会だった。

04 Limited Sazabys、打首獄門同好会が激突 「LIVE REDNIQS」レポート

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転換時には浅井が再登場。打首獄門同好会とのトークコーナーでは、今年の年末に行われる「FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY」初出演の喜びを語り、プライベートでもBzが出演した2017年に、朝イチの新幹線に乗り日帰りで観に行ったエピソードなども飛び出した。

イベントの発端となったフォーリミの強烈にして痛快なライブ!

続いては、今回の「LIVE REDNIQS」開催の発端となった04 Limited Sazabysがいよいよステージに。SEを背に4人が登場した段階で、場内はいきなりのテンションMAX! ド頭の「fiction」から凄まじいエネルギーがHatchに渦巻き、ダイバーが続出。
生き物のようにうごめくフロアに、ソリッドなギターとタイトなビートをブッ込んでいくフォーリミ。ゴリゴリに歪んだベースが口火を切ったメロウでハイパーな「Montage」でも、照明とも見事にシンクロしたパフォーマンスで、ライブバンドの真価をこれでもかと見せつける。「大阪ついてきてる!?」(GEN、以下同)と放った「Alien」でもその手を一切ゆるめず、沸点の会場に容赦なくガソリンを注ぐようなハイエナジーな音像でたたみかけるエゲつなさは、強烈にして痛快! 

04 Limited Sazabys、打首獄門同好会が激突 「LIVE REDNIQS」レポート

Photo by Kazuki Watanabe

「今日は打首獄門同好会と我々のガチンコツーマンで。打首獄門同好会、口に出して言うとすごいバンド名だね、何たって名前に”ちくび”が入ってますから(笑)。こんなド平日に集まってる人たちは楽しむ気しかない人でしょ!? 打首と我々の轟音で、全ての皆さんのネガティブを全部ぶっ壊しにかかりたいんですけどいける? 一緒に戦える!?」なんてブチ上げた「message」~「My HERO」でも会場のボルテージはまるで収まらず、オリエンタルでファニーな「Kitchen」では、フロアに無数の拳の花が咲く。その後もRYU-TA(Gt)が、「なんばHatch! 「LIVE REDNIQS」まだまだいけるかー!!」と雄叫びを上げつつ、巧みなリズムワークで聴かせた「me?」、きらめくミラーボールが広大なHatchを照らした「midnight cruising」と、途切れることなく発生するモッシュ&ダイブも納得の熱いライブが続く。

04 Limited Sazabys、打首獄門同好会が激突 「LIVE REDNIQS」レポート

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MCでは、「久しぶりのライブ、生きてる感じがします。ありがとう!」との充実感を満たされながら、この夏、『REDNIQS』に電話出演した際、自分の周りの蝉の鳴き声がすごかったものの、電話には乗らない周波数だったためスタジオからは全く聞こえなかったという裏エピソードなども交え、リラックスモードに。そして後半戦は、スタッカートなビートに胸躍る「Letter」、「こんな幸せな時間が、永久に続きますように!」と奏でた「hello」と、フォーリミのメロディセンスを存分に味わえるエバーグリーンなポップソングを連発。そのパフォーマンス力のみならず、フォーリミがシーンをサヴァイブし続けられる理由をセットリストで示していくかのよう。

「俺ら平成と同い歳なんですよ。平成が終わるなんて想像もしてなかったし、SMAPが解散するなんて、嵐が活休するなんて、ニノが結婚するなんて思わなかったし(笑)。
当たり前に続くんだろうなと思ってたものがなくなって。もうないんだ、もう会えないんだみたいな……今年はそういうふとした別れが多かった気がします。関西だと松原(裕)さん、ヒトリエのwowaka(Vo/Gt)さんも亡くなっちゃったり……けど、いつ死ぬか分からないからこそ、今この瞬間を生きること、感じることに集中すべきだと思ってるんですよ。ここにいる間は、何かをしなくちゃとか、何かにならなくちゃとか、誰かを演じなきゃとか真似しなきゃとか、そういう気持ちは全部お休みして……だって俺たちの人生はまだまだ続くしさ! 俺たちはもう11年もやってきたけど、この旅が続く限りみんなに会いたいし、やめらないなと思います。俺たちの旅はまだまだ続く。だから、ただただ先へ進め!」

04 Limited Sazabys、打首獄門同好会が激突 「LIVE REDNIQS」レポート

Photo by Kazuki Watanabe

このMCを目の前で聞かされて、心を突き動かされないオーディエンスがどこにいるだろう。2F席の端まで拳が上がる絶景の中での「Feel」、ラストは「最高の時間をありがとうございました!」と、ぐっちゃぐちゃになるほど盛り上がった「monolith」で最高濃度のエンディングへ――! 『REDNIQS』の名のもとに集まった一夜を、フォーリミが見事に締めくくる。

アンコールではフォーリミとDJ浅井博章がまさかのコラボ!?

「大切なときにいつも力を貸してくれるFM802ありがとうございます。次はレディクレですが、我々は去年やらかしてしまったので(笑)(=HIROKAZ(Gt)のインフルエンザ発症により出演キャンセル)、今年は爆発したいなと思ってますので、そのときはまた遊びに来てください! 最近、サウナとか銭湯によく行ってて、何が好きってすごい浄化される気がして。みんなにとっても音楽を浴びる時間が、こびりついたネガティブをごっそり落とす時間になってたらいいなと思うし、心が折れそうになったときは、我々でも打首でも、音の世界に飛び込んで、現実逃避しながら戦ってください。勝手に考え過ぎて、勝手に落ち込んで、勝手に先回りして被害妄想で傷ついたり……そんな時間は今日でおしまいです。言葉に出したり行動して、やっと人生は動き出します。
考え過ぎて、考え過ぎて、自分が何なのか分からなくなってる、大阪のあなたに捧げます。自分自身に生まれ変われ~!」

04 Limited Sazabys、打首獄門同好会が激突 「LIVE REDNIQS」レポート

Photo by Kazuki Watanabe

アンコールでは、胸を揺さぶるメッセージとともに放った「Squall」が問答無用に突き刺さる中、浅井が「素晴らしいライブをありがとうございます!」とステージへ。「浅井さんには借りがあるじゃないですか。去年、我々がレディクレをキャンセルして、そのステージのその時間に浅井さんがDJをやってくれて。ホントにありがとうございます! だから今日は浅井さんと一緒に何かやらないと気が済まない!!」とGENが持ちかけ、「もう1曲やっていいですか皆さん!?」と浅井がクラウドサーフでフロアに発生したサークルの中心へと運ばれる。そこで、「僕がフォーリミを初めて知った思い出の曲を」と浅井の曲紹介から「Remember」へ突入! サークルの中心で歌い上げるものの、みるみるうちにオーディエンスに飲み込まれる浅井(笑)。終わった後はクラウドサーフでステージに運ばれかけていた浅井だったが、GENの悪ふざけでまたフロアに戻され(笑)、トドメの予期せぬおかわり「Remember」には、オーディエンスも思わず大興奮!

最後は、「(汗で)ベチャベチャや! でも、みんなのおかげで楽しい1日になりました!!」と語った浅井の音頭のもと、打首獄門同好会も呼び込み全員で記念撮影へ。そして、2組をステージから送り出した後は、浅井が最後の挨拶を。

「皆さん楽しんでいただけましたか!? 番組は終わってしまいましたけど、その想いを新しい番組(『EVENING TAP』『SUPERFINE SUNDAY』)でも受け継いで、ロックをいっぱいかけてるんで。今日は最後までお付き合いいただき、ありがとうございました! まだ息が切れてるんだけど(笑)、今日は素敵な夢が見られそうです」

そう想いを伝え、『REDNIQS』のタオルを掲げてステージを去った浅井に、満場のオーディエンスからは惜しみない拍手が送られた。

なお、この日のライブ音源とインタビューは、11月24日(日)21:00~より『802 BINTANG GARDEN』にてオンエアされる。

取材・文=奥”ボウイ”昌史
撮影=渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)
写真提供=FM802

11月24日(日)21:00~22:00 802 BINTANG GARDEN
LIVE REDNIQS After Party
◇DJ=浅井博章
◇GUEST=04 Limited Sazabys/打首獄門同好会
11月19日(火)に開催された「REDNIQS」最後の番組イベント「LIVE REDNIQS」のとれたてライブ音源を中心にラジオでAfter Party開催。
さらに04 Limited Sazabys GEN、打首獄門同好会 大澤敦史、そしてDJ浅井博章のスペシャルインタビューも。ライブに参加したアナタも、そうじゃないアナタもツーステ、ヘドバンの準備をして番組にそなえよう。
radikoで聴く→http://radiko.jp/share/?sid=802&t=20191124210000
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