キャンディスが3月27日に発表するトリビュート・アルバム『私をつくる歌 ~ザ・ウィメン・フー・レイズド・ミー』の一環で実現した今回のコラボ。
―まずは共演の経緯を教えてください。
キャンディス:もともと山崎さんのことは知ってたんです。今回、「日本人アーティストとのコラボはどう?」と話をいただいて、山崎さんの曲を聴き返したらやっぱり素晴らしかった。この機会にぜひご一緒できたらと、私のほうから提案しました。
―そのオファーを聞いて、山崎さんはどう思いました?
山崎:声をかけていただけるのは、もちろん光栄ですよね。彼女の音を聴かせてもらって、ピアノとボーカルがすごくエモーショナルだったので、ぜひやりますと。
キャンディス:嬉しいです。私も山崎さんの音楽について同じように感じていました。
『私をつくる歌 ~ザ・ウィメン・フー・レイズド・ミー』に収録される「ソリチュード feat. クリス・ポッター」(原曲はカーメン・マクレエ)
―それで、実際にお会いしてみてどうでしたか?
山崎:やっぱり「Play & Sing」……楽器を弾きながら歌う、彼女とはそこが(表現として)一緒なんですよね。ただ歌うだけのミュージシャンではない。
キャンディス:山崎さんもそうですよね、歌とギターが結びついている。
山崎:昨日レコーディングしましたけど、彼女が自分でアレンジも用意してくれたので、そのデモテープを聞かせてもらって。あとは一緒に音を出せば、彼女がどういうアプローチでくるのかもわかったし。だから、(今回のコラボは)まったく問題なかった。最初からそんなふうにできてよかったです。
―お二人はソウルやブルースといった音楽への造詣が深いから、共演すると聞いてすごくしっくりきました。
キャンディス:だからきっと、レコーディングもスムーズに進められたんだと思います。
―キャンディスさんのお父さんはチャカ・カーン、アレサ・フランクリンなどのバックで歌ったり、ソウルやブルースのシーンで長年活躍してきたシンガーで、幼い頃からそういった音楽と接してきたそうですね。かたや山崎さんも、ブルースを追求するためにミシシッピを訪れるほどの筋金入り。
山崎:ハッハッハ!
キャンディス:今の話を聞いて納得しました。山崎さんの歌やギターからは、そういった音楽のエモーションがすごく感じられたので。

―シンガーとしてはお互い、どういったところに魅力を感じました?
キャンディス:声のトーンが温かくてリッチですよね。洗練されているし心地良くて、一気に惹きつけられてしまう。山崎さんの突出したオリジナリティが伝わってきます。
山崎:さっきも言ったように、楽器を弾きながら歌うところ。ただ歌うだけの人だと、オケから外れてしまいがちなんですよ。でも弾きながら歌うから(ボーカルと演奏の)混ざり具合もいいと思うし、すごくやりやすいですよね。そこで彼女の音楽が成立している。それこそキャロル・キングにしたって、ピアノを弾きながら歌っているのであの声なわけですよ。
キャンディス:うんうん。
山崎:ただのボーカリストではなく、世界ができあがっている。
キャンディス:出来上がったカバーにはすごく満足しています。山崎さんのサポートは素晴らしかったし、声もうまくブレンドさせることができました。ハーモニーも上手く合わさり、まるで声を通じてふたりで踊っているようでしたね。
―キャロル・キングの「Youve Got A Friend」をコラボ曲として取り上げた理由は?
キャンディス:母がもともとキャロル・キングが好きで、子どもの頃からよく聴かされていたんです。そもそも今回のアルバム『私をつくる歌 ~ザ・ウィメン・フー・レイズド・ミー』は、私が成長してきたなかで様々なインスピレーションを与えてくれた女性アーティストの曲をカバーするのがコンセプトで。そのなかで、ロバータ・フラック、エラ・フィッツジェラルド、シャーデーなどと並んでキャロル・キングの曲を取り上げるのは自然の成り行きでした。
あとこのアルバムには、ノラ・ジョーンズやベーシストのクリスチャン・マクブライドなど素晴らしいミュージシャンが参加していますが、スペシャルゲストとして山崎さんに加わってもらえたのは嬉しいボーナスで、作品全体のバランスもパーフェクトになったと思います。
―お二人にとって、キャロル・キングはどんな存在だと言えそうですか?
山崎:初めて一緒にやるうえで、「Youve Got A Friend」というのはいいテーマだなと。『Tapestry(つづれおり)』は若い頃からバイブルですし、僕にとってキャロル・キングは義理の母親ですから。
キャンディス:私の母親でもあります(笑)。彼女はいわゆるレジェンドですよね。ソングライターとしても素晴らしいし、多くの楽曲がいまも愛されている。
山崎:ジョニ・ミッチェルあたりと違って、大衆的というのかな。『Tapestry』はポップスでもあるしロックでもあるし、プロデュースも行き届いていて、シンガーソングライターとしてのすべてが集約されていますよね。そのなかでも「Youve Got A Friend」はいろんなミュージシャンにカバーされていて、さっきもダニー・ハサウェイのを聴いてましたけど、あの曲は誰でも歌えるんですよ。その浸透率がすごい。
―お二人のカバーも最高でした。出来上がりについてはいかがでしょう?
キャンディス:とても満足しています。アルバムの方向性も汲みつつ、また違ったレベルにもっていってくれる曲になったと思いますね。
山崎:スタジオに入った時点で波長が合うのもわかったし、僕にとっても素敵なレコーディングになりましたね。日本におけるレコーディングって、安直にダビングを繰り返しがちだけど、彼女とはまったくその必要がない。
―セッションでの一発録りということですよね。初めて会ったのにそこまで息が合うのもすごい。
山崎:彼女は「こんなふうにやりたい」と言ってくれて、ベースとドラムもすぐに「OK」という感じ。そのアイディアもすごくセンスがいいんですよ。デモテープはキャロル・キングの演奏に近いものだったけど、当日のスタジオでクロマチックを活かしたいいリフを提案してくれて。あそこは少しジャズっぽい。
キャンディス:私のなかのポップな要素と、今回のアルバムにおけるトラディショナルな要素、両方のサウンドを兼ね備えたものになったと思います。この曲によってアルバム全体もフレッシュで風通しがよくなったことで、さらに多くの方々にエンジョイしてもらえるんじゃないかな。私もハッピーだし、リスナーの皆さんからのフィードバックが今から楽しみです!

キャンディス・スプリングス
『私をつくる歌 ~ザ・ウィメン・フー・レイズド・ミー』
2020年3月27日(金)リリース
https://jazz.lnk.to/twwrmPR
〈収録曲〉
1.デヴィル・メイ・ケア feat. クリスチャン・マクブライド(ダイアナ・クラール)
2.エンジェル・アイズ feat. ノラ・ジョーンズ(エラ・フィッツジェラルド)
3.アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー feat. デヴィッド・サンボーン(ニーナ・シモン)
4.パールズ feat. アヴィシャイ・コーエン(シャーデー)
5.エックス‐ファクター feat. エレーナ・ピンダーヒューズ(ローリン・ヒル)
6.アイ・キャント・メイク・ユー・ラヴ・ミー feat. アヴィシャイ・コーエン(ボニー・レイット)
7.ジェントル・レイン feat. クリス・ポッター(アストラッド・ジルベルト)
8.ソリチュード feat. クリス・ポッター(カーメン・マクレエ)
9.ニアネス・オヴ・ユー(ノラ・ジョーンズ)
10.これからの人生(ダスティ・スプリングフィールド)
11.やさしく歌って feat. エレーナ・ピンダーヒューズ(ロバータ・フラック)
12.奇妙な果実(ビリー・ホリデイ)
13. ラッシュ・ライフ(サラ・ヴォーン)*
14. ユーヴ・ガット・ア・フレンド feat. 山崎まさよし(キャロル・キング)*
( )はトリビュート・アーティスト
*日本盤ボーナス・トラック
キャンディス・スプリングス来日公演
2020年5月17日(日) 名古屋ブルーノート
2020年5月18日(月)19日(火)20日(水) ブルーノート東京
キャンディス・スプリングス日本公式ページ
https://www.universal-music.co.jp/kandace-springs/

山崎まさよし
『Quarter Note』
発売中
YAMAZAKI MASAYOSHI CONCERT TOUR 2020”Quarter Note”
3/20(金・祝)兵庫県 たつの市総合文化会館赤とんぼ文化ホール 大ホール 17:00 / 17:30
3/22(日)愛知県 名古屋市公会堂 大ホール 17:00 / 17:30
3/27(金)北海道 ZEPP Sapporo 18:00 / 19:00
3/29(日)茨城県 龍ヶ崎市文化会館 17:00 /17:30<振替公演>
4/4(土)愛媛県 しこちゅ~ホール(四国中央市市民文化ホール) 17:00 / 17:30
4/5(日)徳島県 阿南市文化会館・夢ホール 17:00 / 17:30
4/11(土)新潟県 新潟県民会館 17:30 / 18:00
4/12(日)長野県 須坂市メセナホール 17:00 / 17:30
4/17(金)大阪府 オリックス劇場OPEN18:30/START19:00<振替公演>
4/25(土)熊本県 熊本県立劇場 演劇ホール<追加公演> 17:00 / 17:30
5/2(土)三重県 シンフォニアテクノロジー響ホール伊勢(伊勢市観光文化会館)17:00 / 17:30
5/5(火・祝)岡山県 岡山市立市民文化ホール 17:00 / 17:30
5/6(水・振)広島県 広島NTTクレドホール 17:00 / 17:30
5/8(金)神奈川県 神奈川県民ホール 17:30 / 18:30
7/2(木)東京都 中野サンプラザホール 18:00 / 19:00<振替公演>
※以下の公演は延期
3/1(日)茨城県 龍ケ崎市文化会館 大ホール
3/8(日)東京都 中野サンプラザホール
3/14(土)大阪府 オリックス劇場
http://www.office-augusta.com/yama/