2020年2月19日、東京・渋谷WWWのレギュラーイベント「dots」が開催、AAAMYYY・んoonによる初の2マンライブが行われた。

昨年からバンドTempalayに正式加入し、TENDREのライブサポートなど幅広い活動で注目を集め、無垢で透き通った歌声とジャンルに縛られない等身大の表現、飾らない親しみやすいキャラクターのシンガーソングライター/トラックメイカー「AAAMYYY」。
FUJI ROCK FES、全感覚祭などのフェスに出演し、ボーカルJCのクリアなハイトーンボイスに、ベース・ハープ・キーボードが心地よく絡んだ独自のサウンドを作り出す「んoon」の2組が出演。新世代アーティストの代表格とも言える2組のライブということで、前売り券はソールドアウト。会場である渋谷WWWも、場内後方ドアのギリギリまで人が入る超満員となった。

定刻になると、まずステージに現れたのは「んoon」。暗転した会場の中、青とエメラルドグリーンに照らされたステージにメンバーが登場すると1曲目から新曲を披露。ぼうっとしてしまう静かな立ち上がりから、ハープ、ジャジーなアンサンブルと少しハスキーながらも甘いJCのボーカルで、一気にんoonの雰囲気を作り上げる。周りを見渡すと、お酒を片手に静かに身体を揺らすお客さんが多い。2曲目の「Custard」では楽曲の持つ甘さが場内にじんわりと広がっていくのが感じられた。

ここでJCが「こんばんは、んoonです」と簡単な挨拶を済ますとYuko Uesuのカリンバから始まる「Amber」へ。リムショットが加わったドラムフレーズで曲に勢いがついたと思えば、Yuko UesuとJCのハーモニーが響く。サビにたどり着くと曲の展開に緩急がつき、より魅力的に感じられた。グルーヴの重なったムーディな空気感を作り上げるプロフェッショナルな演奏陣に対して、無邪気に身体を揺らし、楽しそうにマイクに向かうJCの姿のギャップも、間違いなくんoonの魅力の一つだろう。
この日のライブでは、他に「Tragedy」や「Dill」、「Freeway」といった楽曲でもライブアレンジが加えられており、原曲とは全く異なる展開が繰り広げられていた。また、演奏陣のプレイにも目を見張るものがあった。猫柄の出で立ちで高音も低音も和音も単音もちりばめたグルーヴを作り出すNaoto Sekijimaのベースプレイ、「Freeway」に見られる、曲全体にピンと弾けるハリを生み出すYuko Uesuのハープ、そして同じくバンドサウンド全体に彩りをもたらすような様々なサウンドを鳴らすKensaku Egashiraのキーボード。それぞれのパートが、自身の個性を全開にして演奏にのめり込み、んoonとしてのスタイルになっている。

んoonとAAAMYYYの2マンライブで描かれた夜の静と動


顕著に表われた場面が「Freeway」のアウトロ。力強いリズム隊の上に歪んだトークボックスのサウンドが鳴り響き、音源で聴けるんoonの楽曲には無い大きなアクセントとなり、会場各所から歓声や指笛が鳴り止まない大きな見せ場となった。その後、原曲よりも明るめのアレンジになった「Dill」や、幻想的な世界観の「BodyFeel」と少しづつ、元の要素を織り交ぜた独自の雰囲気へと落とし込んでいく。終盤ではJCのトークを、Naoto Sekijimaが勝手に通訳して笑いが起こる場面も。その後は、代表曲でもある「Gum」や「Tokyo Family Restaurant」を披露。夕焼けや朝焼けを表すようなオレンジの照明と、夜を示すような青の照明が、時間の移ろいを示す歌詞と相まってより楽曲を幻想的に引き立たせる。そして、夏にはしゃぐ子供のように激しいベースフレーズが始まると会場は歓声が沸き起こる。ラストを飾るにふさわしいダンサブルなナンバー「Summer Child」でライブは終了。
各々高い技術の演奏を楽しめる、終始アダルトな雰囲気で会場を魅了したパフォーマンスに会場も大満足であった。

転換を経ると、サポートメンバーの演奏に迎えられて、真っ赤に照らされたステージに黒の衣装に身を包んだAAAMYYYが登場。「8PM」からライブがスタートすると、さっきまでのんoonが醸し出したムーディな雰囲気とは打って変わり、夜の街に遊びに繰り出すようなパーリーな雰囲気を作り上げる。「WWWの皆さんこんばんはー! みなさんの声を聞かせてくれー!」と会場とコール&レスポンスを始めるなど、序盤から彼女のご機嫌な様子が見て伺える。そのまま「GAIA」へ。ややダークな曲調とキュートな歌声が、夜遊びをしてはしゃいでいそうな少女にも見えてキュートだ。同曲では、間奏で「渋谷行けますかー!」とテンション全開だし、次の「被験者J」ではサビで飛び跳ねる姿も見せるAAAMYYY。バンドメンバーとの掛け合いも忘れておらず、本当に楽しそうに歌っている等身大の姿が印象的だ。5曲目の「I HAVE ME」を終えると、ショートMCへ。

「ありがとう! もう最高でしたね、んoon観て満足しちゃった私。でも、もっと(会場を)満足させたい。だから、皆の左にいるTENDREと1曲やっちゃおうかな!」と当日のライブのキーボードに入っていたTENDREを指して、会場の歓声を背に「KAMERA」を演奏。
2人の視線を合わせながらのボーカルの掛け合いが印象的で、チルな雰囲気を作り上げた。「BLUEV」の前にはAAAMYYYからのお願いで、スマートフォンのライトで隣の人と照らし合っている様子が見たいとのことで会場がライトに照らされる。また、ここで新曲を披露。シンセキーボードの音が響くエレクトロロックながら、しっとりと恋の終わりを歌うバラード調の楽曲で、ステージ上の歌姫のAAAMYYYが映えて見える。曲を終えた後の「ありがとう」と言う表情が満足そうなのが印象的だった。

んoonとAAAMYYYの2マンライブで描かれた夜の静と動


ここで本編最後のMC。会場とコール&レスポンスを楽しんだ後に「思いっきり楽しんでいってください、AAAMYYYでした」と語り、壮大なバラード「屍を超えてゆけ」を披露。しっとり聴かせるような曲なのに、どこかAAAMYYYらしさの溢れる切ない恋の歌が徐々にライブのエンディングを感じさせる。そのまま「EYES」へと繋いでAAAMYYYの優しい魅力を会場にしっとりと染み渡らせて本編は終了した。

アンコールでは、再びAAAMYYYが登場。バンドメンバーの紹介とセッティングの関係上でんoonとコラボレーションできないことを残念そうに伝えると、「さよなら世界」、「残すものは何もない」と今日を締め括るにふさわしい曲でライブは幕を下ろした。

ジャジーやソウルの要素を合わせて独特の大人びた夜の雰囲気を感じさせるんoonと、エレクトロで思わず夜の街へ繰り出してしまいたくなるようなAAAMYYYY。
まさに渋谷という立地でのナイトライフにぴったりな、夜の静と動、色で例えるなら、シックな寒色とカラフルな色合いのような対比を体現した2組のライブパフォーマンスは圧巻であり、いつ振り返ってもいい夜だったと記憶に残る一夜だった。

<公演情報>

渋谷WWW
レギュラーイベント「dots」

2020年2月19日(水)渋谷WWW
出演者:んoon / AAAMYYY

=んoonセットリスト=
1. 新曲
2. Custard
3. Amber
4. Tragedy
5. Lumen
6. Freeway
7. Dill
8. BodyFeel
9. Godot
10. Suisei
11. Gum
12. Tokyo Family Restraunt
13. Summer Child

=AAAMYYYセットリスト=
1. 8PM
2. GAIA
3. 被験者J
4.ポリシー
5. I HAVE ME
6. KAMERA
7. BLUEV
8. LEELOO(新曲)
MC
9. 屍を超えてゆけ
10. EYES
EN1. 愛のため
編集部おすすめ