清春の課金制配信ライブ『THE TEST / SECOND DOSE』が18日・19日に開催される。先月27日・28日に配信第一弾となる『THE TEST』を実施。
そもそも清春はコロナ禍での無料配信無観客ライヴには否定的だった。そんななか、『THE TEST』は実験的な試みとしてスタートした。通常のライブと全く変わらない入場料金で、ライブハウスのフロアまでを全面使用したライブパフォーマンスを配信。そして演奏した音をライブレコーディングし、チケット購入者にデータで全演奏曲をプレゼントする。ライブハウスを使用することでライブハウスの支援にもなり、オーディエンスは映像を観るだけではなく、ライブ音源を手にすることができるのだ。
【画像】清春がライブハウスのフロアまでを全面使用したライブを敢行(写真6点)
―ライブ自粛が続く中、清春さんが開催した配信ライブ『THE TEST』。そもそも清春さんはコロナ禍での配信に対して……。
清春:んーいまいちアンチだったんですよ。
―まずはそのへんの考えを聞かせていただけますか?
清春:コロナでライブが出来なくなって、まず自分のところにまわってきたのが”うたつなぎ”でしたけど、あれも何件か断ってたんです。「うーん、ちょっと……」って。自宅には歌う環境がないのと、Twitter上で歌うことに対して「なんでなの?」っていう想いが強かった。
―ええ。
清春:他のミュージシャンもそうだと思うんですけど、もっと早いタイミングで、例えば6月くらいにはリアルにライブができるだろうと踏んでいたんです。僕で言えば、2月からスタートしたツアーがあって、3月の公演を6月に延期してた。でも、刻々と変わる状況を見てライブに関しては割と早めの時期に、これはしばらく元には戻らないだろうと。
リアルなライブに関して簡単には元に戻らないという結論がある一方で、どうしたら自分もファンも納得できるライブのやり方があるだろうと。YouTube上ではいろんなミュージシャンが過去のライブ映像を放出してましたが、ライブができないのは今だけではないはずなので、過去の映像を流し続けるわけにはいかない。いろいろ考えた結果、ライブとしての手段はやはりどうしても配信しかなかったわけです。
PR目的ではなく普段の感覚でライブがしたい
―配信ライブでよく言われる「無観客」についてはどう思います?
清春:生のライブはもちろん普段から自信があってやるんだけど、無観客は違うと最初思ってて。僕は無観客だとパフォーマンスする意味がないと思ってしまうんですよね。ライブって目の前で観てくれる人がいることで初めてライブになる。
とはいえ、無観客ってことへの違和感はやっぱりずっとあって。コロナの自粛期間中に、2~3時間のオンラインライブをいろんなひとが無料でやり始めたんですよ。その様子を見て今度は「無料」ということに疑問を感じました。実際は投げ銭出来るライブだったりして、それだと無料とは言わないよねと思ってしまったり。
―清春さんらしい(笑)。
清春:有料の場合でも金額に違和感あったんです。例えば、渋谷のライブハウスを会場で使うとして、車をどこかコインパーキングに停めるだけで4000円ぐらいかかるわけですよ。それよりも安い金額、それこそ500円とか1000円とかでライブしたらダメなんじゃないかと。PR目的でやるというよりは、普段の感覚でライブをしたかったんですよね。
ライブって残らないから何度も行きたくなるし、その場で体験したい。でも今は直接会えない。先日の『THE TEST』の映像もアーカイヴは3日間だけは観れるんですが、それ以降は消えてしまう。で、いろいろ考えて、断片だけ残るようにしようと。それでオンラインのインフラを使って、音だけは全編ダウンロードできるようにしようというのをまず思いついたんですよね。
―観ていない方のために、あらためて『THE TEST』について簡単に説明すると、配信当日は清春さんが借りたライブハウスで約2時間のライブ演奏を敢行。生配信終了後、3日間はアーカイブとして視聴が可能。そしてライブ音源が後日データでお客さんに送られてくるというパッケージでした。
清春:一人の表現者として提案してみたんです。2時間一発録りで普通のライブで歌うよりは、レコーディングに近い形でやれるかもしれないと。無観客ライブではない、レコーディングでもなく、スタジオライブでもなく、2時間程度の長尺のMVを作る気持ちもありながら、その中間をやっていこうと。
でも自信はありました。今までたくさん映像も撮られてきたし、たくさんレコーディングもしてきたし、ライブも死ぬほどやってきた。だから本番で何かあった時の振る舞い方もわかってる。チケットは高額です。通常7000円で、Tシャツ付きで1万2500円。「え?」って思った人もいると思うんですけど、買ってくれたファン達は大満足だったんじゃないかなと。予想以上にたくさんのファン買ってくれたので、良かったのかなと思っています。
なぜ無料にしなければいけないのか?
―『THE TEST』の企画が発表された時、”その手があったか”と思いましたね。ネット環境が悪かったりサーバーにトラブルがあったりすると配信が途切れることもある。でも無期限で楽しめるライブ音源が手に入るわけで、そこの担保ができている。
清春:1回目の反省点としては、ライブ制作のスタッフがいなかったので、2回目からはフルではないにせよライブ制作のスタッフにも手伝ってもらおうと考えてます。自分たちが演奏する会場にお客さんがいなくなったことで何か変わったかというと、イベンターと制作会社に頼らなくてもできてしまうこと。そこに関してはこれからいろいろ変わっていくんでしょうけど、そういう現状にみんな気づいてしまった。でも一方で配信ライブできちんと対価を取るということには、まだ恐れがあると思うんです。
―配信でお金を取るな!みたいな声を恐れていると?
清春:そう。最初はうちのスタッフからも高いんじゃないですか?って意見も出て。
でも安くしても高くしても観る人は同じだっていう想像もあった。なのでプライドを持って普段通り行こうと話しました。値段の分は音源をプレゼントしようと。それは歩み寄りとは違う、この時期だからこそ配信だからこそ可能なプレゼント。でもタダじゃない。だってコロナじゃない時、僕はタダでライブをやったことはないんだから。なぜ急にこうなったことで無料や安価にしなければいけないのか?その点はすごく考えました。価格設定もそう。
若いアーティストは3000円くらいでTシャツ売ってますからね。Tシャツ付きで1万2500円。確かに高い方だと思いますけど僕はむしろ安いんじゃないかという気はします。そして僕のファンは昔から応援してくれる方が多いので、チケットを手配してホテルを予約して、会場には何を着て行こうかなとか、ライブ前に何を食べようなかとか、ライブ終わったら打ち上げどこでやろうとか、そういうものが無い違和感・ギャップを埋めるために、音源をプレゼントしようと思ったんです。
―演者側もオーディエンス側も納得ができる素晴らしいアイデアだと思います。
清春:換算とかしたくないけど、ライブCD出すとしたら確実に3000円はするので、それを考えたら安いのかなとも思う。普段のライブとは違って音は残せるんだけど、残せないもの(映像)もある。まあでもお金を払ってくれてるファンはそれで凄く満足してくれてます。文句言うのは無料で観ようとする人たちなんですよ。無料の人しか文句を言わない。僕らぐらいのキャリアのアーティストは、そういうのは相手にしなくていいんじゃないかと思います。ネット上で荒れるからって気にするミュージシャンがいますけど、そんなことを気にするためにミュージシャンになったんですか?って。
―(笑)実際にやってみて、清春さんの中で一番の収穫はなんでしたか?
清春:一番の収穫は、自分の映像を見ながら2時間歌ったことですね。この経験は初めてだったと思う。MVではカメラの下にモニターがあって、それを見て歌えるんですけど、今回はそれがずっと続くような感じで。ファンの人がその場にいるかいないかっていう点でいうと、レコーディングの時もいないわけだから、そこまで気にならない。モニターを見ながらライブをするっていうのは、客観視できるしファンの人の気持ちにもなれると思いましたね。音源も録っているから動きや表情だけじゃなくて、歌詞や言葉にも意識が行くというか。
―そんなことを考えながら2時間はすごいエネルギーと集中力を要しますね。
清春:終わった後はかなり疲れたけど、ある程度キャリアを積んだ人ならみんなできると思うんですよ。でも、自己陶酔的な美学の要素がないタイプのアーティストだと難しいかなとは感じました。
僕が怖いと思っているのは生配信もサブスクになること
―そして、18日と19日に早速2回目の『THE TEST』が開催されますが、1回目との違いは?
清春:2回目は『THE TEST / SECOND DOSE』、”二回目の分量”というタイトルにしてます。今回も音は録りますけど音源のプレゼントはありません。その代わり、曲数にして2曲の映像をダウンロードできるようにしました。時間にして20分くらいですかね?1曲のアウトロが長かったりするので。
―清春さんは今後も『THE TEST』みたいなやり方は当面続けていくのですか?
清春:ファンの人たちのコメントを見てると、元どおりにライブができるようになってもたまにはこの配信をやって欲しいという意見が多いですね。だから定期的にやるのもアリかなとは思います。ライブハウスのスケジュールって週末が押さえられていて、平日は空いてることが多い。それを利用して、みんなが帰宅する時間に合わせて配信していくのはいいのかなと。海外のアーティストのCDアルバム通販とか見てると、通常盤も売ってるけど、コンサートのチケットが付いてるCDとか、メンバーに会えるCDとか、いろんなパッケージがある。そういう風に配信ライブができたらなと考えてます。
―なるほど。
清春:いま僕が怖いと思っているのは生配信ライブもサブスクになっちゃうことです。要はNetflixとかHuluみたいに月額1000円くらい払えばいろんなアーティストの配信が見れますよみたいなことが、もうどこかで始まると思うんです。そうなってしまうと本当に多くのミュージシャンは儲からなくなる。だから僕が今やってることを若い子たちが見て、何かのヒントにしてもらえればと。
―シーンに媚びてないのも清春さんらしいです。
清春:僕の活動の仕方って、いつの時代もシーンは関係ない。CDにカラオケ・トラックが付きはじめた時代も拒絶してましたし、歌詞カードも無しにしてだいぶひんしゅくかったりもしてただけど(笑)。ライブハウスとホールで並行してライブをしたり、フェスが流行ってもそこには乗っからなかったり、いろいろあります。いま音楽を含めてエンターテインメント全体が岐路に立たされてますが、抜け道はあると思っていて。その抜け道を通れた人たちが生き残っていくんじゃないですかね。いつの時代もだけどその時々のメインストリームにどっぷり浸かると、ダメになる気はする。僕の場合は、時代にうまく乗りながらやっていく人たちとタイプがまったく違うので、長いキャリアで見たら目立たない感じの時期も多い(笑)。でも気づいたらずっと生き残ってる……っていうのが僕なんじゃないですかね。
―清春さんの新作(『JAPANESE MENU/DISTORTION 10』)には「SURVIVE OF VISION」という曲がありますが、サヴァイブする方法としては流行にアンチでいることだと?
清春:要はアンチではなくて、踏み入れないことです。踏み入らない理由は、単に自分に自信があるからです。あと自分の意見をみんな言わないので、俺は思ったことは普通に言いますという姿勢。スルー論ってあるでしょ? スルー・スキル最強みたいなことを言ってる人もいますけど、そんなのクソだと思ってます(笑)。こちとらはじめから気にしてないですから。スルー論とか言ってる時点で気にしてるってことですからね。残念ながら日本の音楽シーンはスルーを良しとする風潮がある。でも男ミュージシャンとして言いたいことは言う。それが僕らミュージシャン役割だとも思ってるので、これからも臆せずどんどんやっていきますよ。
<INFORMATION>
『THE TEST』SECOND DOSE LIVE STREAMING & 2 SONGS VIDEO DOWNLOAD
6.18(木)20:00 - 22:00
6.19(金)20:00 - 22:00
■チケット
ライブ配信 + ライブ映像2曲ダウンロード チケット:¥7,500
ライブ配信 + ライブ映像2曲ダウンロード + Tシャツ チケット:¥13,000
※ZAIKOでの有料配信スタジオライブ
※チケットのご購入、配信視聴にはZAIKOへの登録が必要となります。
※配信のURLは購入したZAIKOアカウントのみで閲覧可能です。
※ライブ音源のダウンロードコードはダウンロード配信の準備ができ次第別途ご送付致します。チケットご購入時にはまだPINコードのご案内はございませんのでご注意下さい。
※Tシャツデザインは配信日によって異なります。サイズはフリーサイズとなります。
■お支払い方法
・クレジットカード決済
・コンビニ決済
・PayPal
・wechatpay
・alipay
https://zaiko.io/event/326806
そこに至るまでの試行錯誤や配信についての持論など、本人の最新インタビューをお届けする。
そもそも清春はコロナ禍での無料配信無観客ライヴには否定的だった。そんななか、『THE TEST』は実験的な試みとしてスタートした。通常のライブと全く変わらない入場料金で、ライブハウスのフロアまでを全面使用したライブパフォーマンスを配信。そして演奏した音をライブレコーディングし、チケット購入者にデータで全演奏曲をプレゼントする。ライブハウスを使用することでライブハウスの支援にもなり、オーディエンスは映像を観るだけではなく、ライブ音源を手にすることができるのだ。
【画像】清春がライブハウスのフロアまでを全面使用したライブを敢行(写真6点)
―ライブ自粛が続く中、清春さんが開催した配信ライブ『THE TEST』。そもそも清春さんはコロナ禍での配信に対して……。
清春:んーいまいちアンチだったんですよ。
―まずはそのへんの考えを聞かせていただけますか?
清春:コロナでライブが出来なくなって、まず自分のところにまわってきたのが”うたつなぎ”でしたけど、あれも何件か断ってたんです。「うーん、ちょっと……」って。自宅には歌う環境がないのと、Twitter上で歌うことに対して「なんでなの?」っていう想いが強かった。
それは僕が歳をとってるからとかじゃなくて、信念の問題としてね。ただ結局、やったんです。アパレルでも絡んでるRADIOTSのYOSHIYAくんと、野性爆弾のくっきーから来た2つだけ。動画はそれなりにたくさんの人に見てもらいました。10万回以上再生されて。で、次につなげなきゃいけないじゃないですか。仲良しの人にまわすのもどうかなと思ったので、全然関係ない人にまわしたんですよね。その後、Twitter上で歌ったことに対して”やってしまったなぁ、俺”っていう気持ちが強くなり、そこから配信ライブに関しても更に拒絶していったんですよね。
―ええ。
清春:他のミュージシャンもそうだと思うんですけど、もっと早いタイミングで、例えば6月くらいにはリアルにライブができるだろうと踏んでいたんです。僕で言えば、2月からスタートしたツアーがあって、3月の公演を6月に延期してた。でも、刻々と変わる状況を見てライブに関しては割と早めの時期に、これはしばらく元には戻らないだろうと。
それでも、僕は自粛にはギリギリまで反抗していた方で。実際、3月20日にライブをやってるんですよ。感染対策・感染予防で換気もしっかりやって、急遽普通のライブからアンプラグドでギター2人と僕の3人でやったんです。そのあともリアルでライブをやることを含め、抜け道をかなり探しました。キャンセルになった会場の前で弾き語りどうなの?とか。もちろんダメだって言われましたけど。
リアルなライブに関して簡単には元に戻らないという結論がある一方で、どうしたら自分もファンも納得できるライブのやり方があるだろうと。YouTube上ではいろんなミュージシャンが過去のライブ映像を放出してましたが、ライブができないのは今だけではないはずなので、過去の映像を流し続けるわけにはいかない。いろいろ考えた結果、ライブとしての手段はやはりどうしても配信しかなかったわけです。
PR目的ではなく普段の感覚でライブがしたい
―配信ライブでよく言われる「無観客」についてはどう思います?
清春:生のライブはもちろん普段から自信があってやるんだけど、無観客は違うと最初思ってて。僕は無観客だとパフォーマンスする意味がないと思ってしまうんですよね。ライブって目の前で観てくれる人がいることで初めてライブになる。
だから「無観客ライブ」はライブにはなり得ないという、自分の中ではっきりとした区分けがあります。そんな時、レディー・ガガがやった新型コロナウイルス感染症対策支援コンサート「One World: Together at Home」があった。あれを観て、いろんなアーティストが数分だけパフォーマンスしてつないでいくのはいいなとは思いました。
とはいえ、無観客ってことへの違和感はやっぱりずっとあって。コロナの自粛期間中に、2~3時間のオンラインライブをいろんなひとが無料でやり始めたんですよ。その様子を見て今度は「無料」ということに疑問を感じました。実際は投げ銭出来るライブだったりして、それだと無料とは言わないよねと思ってしまったり。
―清春さんらしい(笑)。
清春:有料の場合でも金額に違和感あったんです。例えば、渋谷のライブハウスを会場で使うとして、車をどこかコインパーキングに停めるだけで4000円ぐらいかかるわけですよ。それよりも安い金額、それこそ500円とか1000円とかでライブしたらダメなんじゃないかと。PR目的でやるというよりは、普段の感覚でライブをしたかったんですよね。
自分のファンだけに観てほしいし、永遠ではないものをやるべきだと思ったんです。
ライブって残らないから何度も行きたくなるし、その場で体験したい。でも今は直接会えない。先日の『THE TEST』の映像もアーカイヴは3日間だけは観れるんですが、それ以降は消えてしまう。で、いろいろ考えて、断片だけ残るようにしようと。それでオンラインのインフラを使って、音だけは全編ダウンロードできるようにしようというのをまず思いついたんですよね。
―観ていない方のために、あらためて『THE TEST』について簡単に説明すると、配信当日は清春さんが借りたライブハウスで約2時間のライブ演奏を敢行。生配信終了後、3日間はアーカイブとして視聴が可能。そしてライブ音源が後日データでお客さんに送られてくるというパッケージでした。
清春:一人の表現者として提案してみたんです。2時間一発録りで普通のライブで歌うよりは、レコーディングに近い形でやれるかもしれないと。無観客ライブではない、レコーディングでもなく、スタジオライブでもなく、2時間程度の長尺のMVを作る気持ちもありながら、その中間をやっていこうと。
あくまでも「無観客ライブ」という意識は一切排除しようとしました。今まで僕みたいなライブを中心にやってきた、現場で頑張ってきたミュージシャンにとって、コロナ禍の時代における実験的なテストだと思って。
でも自信はありました。今までたくさん映像も撮られてきたし、たくさんレコーディングもしてきたし、ライブも死ぬほどやってきた。だから本番で何かあった時の振る舞い方もわかってる。チケットは高額です。通常7000円で、Tシャツ付きで1万2500円。「え?」って思った人もいると思うんですけど、買ってくれたファン達は大満足だったんじゃないかなと。予想以上にたくさんのファン買ってくれたので、良かったのかなと思っています。
なぜ無料にしなければいけないのか?
―『THE TEST』の企画が発表された時、”その手があったか”と思いましたね。ネット環境が悪かったりサーバーにトラブルがあったりすると配信が途切れることもある。でも無期限で楽しめるライブ音源が手に入るわけで、そこの担保ができている。
さらにライブハウスを使うことでライブハウスにもお金を落とせるし、裏方のスタッフにもお金が落とせる。
清春:1回目の反省点としては、ライブ制作のスタッフがいなかったので、2回目からはフルではないにせよライブ制作のスタッフにも手伝ってもらおうと考えてます。自分たちが演奏する会場にお客さんがいなくなったことで何か変わったかというと、イベンターと制作会社に頼らなくてもできてしまうこと。そこに関してはこれからいろいろ変わっていくんでしょうけど、そういう現状にみんな気づいてしまった。でも一方で配信ライブできちんと対価を取るということには、まだ恐れがあると思うんです。
―配信でお金を取るな!みたいな声を恐れていると?
清春:そう。最初はうちのスタッフからも高いんじゃないですか?って意見も出て。
でも安くしても高くしても観る人は同じだっていう想像もあった。なのでプライドを持って普段通り行こうと話しました。値段の分は音源をプレゼントしようと。それは歩み寄りとは違う、この時期だからこそ配信だからこそ可能なプレゼント。でもタダじゃない。だってコロナじゃない時、僕はタダでライブをやったことはないんだから。なぜ急にこうなったことで無料や安価にしなければいけないのか?その点はすごく考えました。価格設定もそう。
若いアーティストは3000円くらいでTシャツ売ってますからね。Tシャツ付きで1万2500円。確かに高い方だと思いますけど僕はむしろ安いんじゃないかという気はします。そして僕のファンは昔から応援してくれる方が多いので、チケットを手配してホテルを予約して、会場には何を着て行こうかなとか、ライブ前に何を食べようなかとか、ライブ終わったら打ち上げどこでやろうとか、そういうものが無い違和感・ギャップを埋めるために、音源をプレゼントしようと思ったんです。
―演者側もオーディエンス側も納得ができる素晴らしいアイデアだと思います。
清春:換算とかしたくないけど、ライブCD出すとしたら確実に3000円はするので、それを考えたら安いのかなとも思う。普段のライブとは違って音は残せるんだけど、残せないもの(映像)もある。まあでもお金を払ってくれてるファンはそれで凄く満足してくれてます。文句言うのは無料で観ようとする人たちなんですよ。無料の人しか文句を言わない。僕らぐらいのキャリアのアーティストは、そういうのは相手にしなくていいんじゃないかと思います。ネット上で荒れるからって気にするミュージシャンがいますけど、そんなことを気にするためにミュージシャンになったんですか?って。
―(笑)実際にやってみて、清春さんの中で一番の収穫はなんでしたか?
清春:一番の収穫は、自分の映像を見ながら2時間歌ったことですね。この経験は初めてだったと思う。MVではカメラの下にモニターがあって、それを見て歌えるんですけど、今回はそれがずっと続くような感じで。ファンの人がその場にいるかいないかっていう点でいうと、レコーディングの時もいないわけだから、そこまで気にならない。モニターを見ながらライブをするっていうのは、客観視できるしファンの人の気持ちにもなれると思いましたね。音源も録っているから動きや表情だけじゃなくて、歌詞や言葉にも意識が行くというか。
―そんなことを考えながら2時間はすごいエネルギーと集中力を要しますね。
清春:終わった後はかなり疲れたけど、ある程度キャリアを積んだ人ならみんなできると思うんですよ。でも、自己陶酔的な美学の要素がないタイプのアーティストだと難しいかなとは感じました。
僕が怖いと思っているのは生配信もサブスクになること
―そして、18日と19日に早速2回目の『THE TEST』が開催されますが、1回目との違いは?
清春:2回目は『THE TEST / SECOND DOSE』、”二回目の分量”というタイトルにしてます。今回も音は録りますけど音源のプレゼントはありません。その代わり、曲数にして2曲の映像をダウンロードできるようにしました。時間にして20分くらいですかね?1曲のアウトロが長かったりするので。
―清春さんは今後も『THE TEST』みたいなやり方は当面続けていくのですか?
清春:ファンの人たちのコメントを見てると、元どおりにライブができるようになってもたまにはこの配信をやって欲しいという意見が多いですね。だから定期的にやるのもアリかなとは思います。ライブハウスのスケジュールって週末が押さえられていて、平日は空いてることが多い。それを利用して、みんなが帰宅する時間に合わせて配信していくのはいいのかなと。海外のアーティストのCDアルバム通販とか見てると、通常盤も売ってるけど、コンサートのチケットが付いてるCDとか、メンバーに会えるCDとか、いろんなパッケージがある。そういう風に配信ライブができたらなと考えてます。
―なるほど。
清春:いま僕が怖いと思っているのは生配信ライブもサブスクになっちゃうことです。要はNetflixとかHuluみたいに月額1000円くらい払えばいろんなアーティストの配信が見れますよみたいなことが、もうどこかで始まると思うんです。そうなってしまうと本当に多くのミュージシャンは儲からなくなる。だから僕が今やってることを若い子たちが見て、何かのヒントにしてもらえればと。
―シーンに媚びてないのも清春さんらしいです。
清春:僕の活動の仕方って、いつの時代もシーンは関係ない。CDにカラオケ・トラックが付きはじめた時代も拒絶してましたし、歌詞カードも無しにしてだいぶひんしゅくかったりもしてただけど(笑)。ライブハウスとホールで並行してライブをしたり、フェスが流行ってもそこには乗っからなかったり、いろいろあります。いま音楽を含めてエンターテインメント全体が岐路に立たされてますが、抜け道はあると思っていて。その抜け道を通れた人たちが生き残っていくんじゃないですかね。いつの時代もだけどその時々のメインストリームにどっぷり浸かると、ダメになる気はする。僕の場合は、時代にうまく乗りながらやっていく人たちとタイプがまったく違うので、長いキャリアで見たら目立たない感じの時期も多い(笑)。でも気づいたらずっと生き残ってる……っていうのが僕なんじゃないですかね。
―清春さんの新作(『JAPANESE MENU/DISTORTION 10』)には「SURVIVE OF VISION」という曲がありますが、サヴァイブする方法としては流行にアンチでいることだと?
清春:要はアンチではなくて、踏み入れないことです。踏み入らない理由は、単に自分に自信があるからです。あと自分の意見をみんな言わないので、俺は思ったことは普通に言いますという姿勢。スルー論ってあるでしょ? スルー・スキル最強みたいなことを言ってる人もいますけど、そんなのクソだと思ってます(笑)。こちとらはじめから気にしてないですから。スルー論とか言ってる時点で気にしてるってことですからね。残念ながら日本の音楽シーンはスルーを良しとする風潮がある。でも男ミュージシャンとして言いたいことは言う。それが僕らミュージシャン役割だとも思ってるので、これからも臆せずどんどんやっていきますよ。
<INFORMATION>
『THE TEST』SECOND DOSE LIVE STREAMING & 2 SONGS VIDEO DOWNLOAD
6.18(木)20:00 - 22:00
6.19(金)20:00 - 22:00
■チケット
ライブ配信 + ライブ映像2曲ダウンロード チケット:¥7,500
ライブ配信 + ライブ映像2曲ダウンロード + Tシャツ チケット:¥13,000
※ZAIKOでの有料配信スタジオライブ
※チケットのご購入、配信視聴にはZAIKOへの登録が必要となります。
※配信のURLは購入したZAIKOアカウントのみで閲覧可能です。
※ライブ音源のダウンロードコードはダウンロード配信の準備ができ次第別途ご送付致します。チケットご購入時にはまだPINコードのご案内はございませんのでご注意下さい。
※Tシャツデザインは配信日によって異なります。サイズはフリーサイズとなります。
■お支払い方法
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