2001年度のグラミー賞でベスト・トラディショナル・ブルース・アルバム賞を受賞し、アメリカで200万枚以上、日本でも30万枚以上のセールスを達成したB.B.キング&エリック・クラプトンによる大ヒット作『ライディング・ウィズ・ザ・キング』の20周年記念エディションが6月26日にリリースされた。そこで、B.B.キング(2015年死去)の2000年当時のインタビューを発掘。
「ブルースの王様」とクラプトンの共演はどのように実現したのか?

キングでいることは気持ちがいいものだ――それもB.B.キングでいることは。伝説のブルースマンは先月、エリック・クラプトンのコラボレーションアルバム『ライディング・ウィズ・ザ・キング』が全米アルバムチャート初登場3位にランクインし、なおかつ上品なB.B.キング・ブルース・クラブ&グリルを観光客ひしめくニューヨークのタイムズ・スクエアにオープンした。いずれも素晴らしい業績には違いないが、50年にわたって100枚以上のアルバムをリリースし、世界88カ国に音楽を届けてきた「ブルース大使」のキャリアの中では、ほんの些細な出来事だ。その上、現在74歳にして留まるところを知らない。クラブの新装開店を記念したニューヨーク5夜連続公演で、毎晩2時間半のステージをこなした後、キングはそのままヨーロッパツアーへと向かった。キングに同伴してみたい? ついていけるものなら、トライしてみるがいい。

―B.B.キング・ブルース・クラブ&グリルのニューヨーク進出、おめでとうございます。今後さらに店舗を増やす予定はありますか?

B.B.キング:メンフィスに最初の店を出したときには、10店舗まで広げようと話していた。今はメンフィスに1店舗、ハリウッドのユニバーサルシティに1店舗、そしてここニューヨークに1店舗。あと7店舗だな、と話していたところだよ。1店舗目のオープンから約9年だ。

―ということは、ニューヨークのアポロシアターで演奏することはもうなくなるのですか?

B.B.キング:他の場所でもいくつか(ショウを)やるだろうが、本拠地はここだ。
もっぱらB.B.キング・クラブにいることが多くなるだろうね。

B.B.キング、エリック・クラプトンを語る「ロックのギタリストでは一番」

ニューヨークシティでパフォーマンスするB.B.キングとエリック・クラプトン(Photo by KMazur/WireImage)

―『ライディング・ウィズ・ザ・キング』でのエリック・クラプトンとの共演は誰の発案だったんですか?

B.B.キング:どちらからともなくアプローチしたという感じだったと思う。みな私のギターを褒めてくれるが、私には(エリックが)一番だ。ロックンロールのギタリストの中で彼に敵う者はいないし、ブルースの腕前も、大方のブルース連中よりうまい。「エリックと一緒に何かやったらどうだ?」という話はこれまでにも何度となく持ち上がっていた。ようやく彼の時間が空いて、今に至るというわけさ。

―ランキング初登場3位という結果に驚きましたか?

B.B.キング:いいアルバムだとは思っていたが、どんな結果になるか、批評家がどう反応するかは出してみるまでは分からない。私はつくづく幸運だと思ったよ――友人のエリック・クラプトンと一緒にやれて、世間も気に入ってくれたんだ。

『ライディング・ウィズ・ザ・キング(20周年記念エディション)』には、当時のセッションでレコーディングされたブルースのスタンダード「ローリン・アンド・タンブリン」、B.B.キングの初期作品「レット・ミー・ラヴ・ユー」という2曲の未発表トラックを追加収録

―CDのインナースリーブには、あなたとクラプトンが60年代に一緒に演奏している写真が載っていますね。場所はどこだったか覚えていますか?

B.B.キング:いや、覚えてない。だが最初に会ったとき、当時は2人とも若かったのは覚えている。彼が言うには、最初に会ったのはカフェ・ア・ゴー・ゴー(ニューヨークの伝説的なブルースクラブ)だったそうだ。
あの店にいたことは覚えているが――初めて会ったのがあそこだったかどうかは分からない。あの写真があそこで撮ったのかどうかも分からないが、その可能性はあるだろう。

―誰がアルバムの収録曲を選んだのですか?

B.B.キング:それはエリックの担当だ(笑)。彼に全部選曲してもらって、気に入らないところがあったら後で話し合うことになっていた――結局そうはならなかったがね。彼は抜群の記憶力で古い曲を引っ張り出し、素晴らしいアイデアで新しい曲を織り交ぜてくれた。彼のことは完全に信頼しているよ。

―アルバムで一番のお気に入りはどの曲ですか?

B.B.キング:「ライディング・ウィズ・ザ・キング」。我々の伝えたいメッセージが込められた曲だからね。

―歴代No.1のお気に入りは?

B.B.キング:私のお気に入りは、ウィリー・ネルソンが演奏する「オールウェイズ・オン・マイ・マインド」のテーマだ。

―長年ずっとツアーを続けているのは、演奏が好きだからというのはもちろんだと思いますが、それ以外に理由はありますか?

B.B.キング:やらずにはいられないのさ。語り継がれる昔ばなしと同じだよ。犬が走り回る中、ウサギが1匹しゃがんでいる。
犬がウサギに接近すると、ウサギは走って逃げる。別のウサギが「なぜ逃げ回るんだ?」と尋ねると、そのウサギはこう言うんだ。「そうするしかないだろう。捕まるのは嫌だからな!」 私も何年もずっとそういう感じだった。やらないわけにはいかないから、やっている。やめれば車に轢かれてペシャンコにされてしまうからね。

―ハンク・スノウというカントリーアーティストの逸話があります。彼はあまりにも長くツアーに出ていたので、家に帰ってからもツアーバスの中で寝泊まりしていたそうです。あなたもそういう経験はありますか?

B.B.キング:そこまでの状態になったことはないが、自宅に戻った最初の数日間は、夜は寝室のドアを閉めて寝るようにしている。そうすると、ホテルにいるような気分になるんだ。

―最近はどのぐらいショウをこなしているんですか?

B.B.キング:今は平均200回強というところ。以前ほど回数はこなしていない。
74歳になったので、もう少し減らすつもりだ。だが神が続けさせてくれる限り、決してやめることはないだろう。

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B.B.キング、エリック・クラプトンを語る「ロックのギタリストでは一番」

B.B.キング&エリック・クラプトン
『ライディング・ウィズ・ザ・キング(20周年記念エディション)』
発売日:2020年6月26日
形態:CD(紙ジャケット仕様)
価格:¥2,600+税
日本盤特典:アルバム・アートワークを拡大したミニ・ポスター
https://wmg.jp/eric-clapton/discography/22958/

エリック・クラプトン WMJサイト:https://wmg.jp/eric-clapton/
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