キングでいることは気持ちがいいものだ――それもB.B.キングでいることは。伝説のブルースマンは先月、エリック・クラプトンのコラボレーションアルバム『ライディング・ウィズ・ザ・キング』が全米アルバムチャート初登場3位にランクインし、なおかつ上品なB.B.キング・ブルース・クラブ&グリルを観光客ひしめくニューヨークのタイムズ・スクエアにオープンした。いずれも素晴らしい業績には違いないが、50年にわたって100枚以上のアルバムをリリースし、世界88カ国に音楽を届けてきた「ブルース大使」のキャリアの中では、ほんの些細な出来事だ。その上、現在74歳にして留まるところを知らない。クラブの新装開店を記念したニューヨーク5夜連続公演で、毎晩2時間半のステージをこなした後、キングはそのままヨーロッパツアーへと向かった。キングに同伴してみたい? ついていけるものなら、トライしてみるがいい。
―B.B.キング・ブルース・クラブ&グリルのニューヨーク進出、おめでとうございます。今後さらに店舗を増やす予定はありますか?
B.B.キング:メンフィスに最初の店を出したときには、10店舗まで広げようと話していた。今はメンフィスに1店舗、ハリウッドのユニバーサルシティに1店舗、そしてここニューヨークに1店舗。あと7店舗だな、と話していたところだよ。1店舗目のオープンから約9年だ。
―ということは、ニューヨークのアポロシアターで演奏することはもうなくなるのですか?
B.B.キング:他の場所でもいくつか(ショウを)やるだろうが、本拠地はここだ。

ニューヨークシティでパフォーマンスするB.B.キングとエリック・クラプトン(Photo by KMazur/WireImage)
―『ライディング・ウィズ・ザ・キング』でのエリック・クラプトンとの共演は誰の発案だったんですか?
B.B.キング:どちらからともなくアプローチしたという感じだったと思う。みな私のギターを褒めてくれるが、私には(エリックが)一番だ。ロックンロールのギタリストの中で彼に敵う者はいないし、ブルースの腕前も、大方のブルース連中よりうまい。「エリックと一緒に何かやったらどうだ?」という話はこれまでにも何度となく持ち上がっていた。ようやく彼の時間が空いて、今に至るというわけさ。
―ランキング初登場3位という結果に驚きましたか?
B.B.キング:いいアルバムだとは思っていたが、どんな結果になるか、批評家がどう反応するかは出してみるまでは分からない。私はつくづく幸運だと思ったよ――友人のエリック・クラプトンと一緒にやれて、世間も気に入ってくれたんだ。
『ライディング・ウィズ・ザ・キング(20周年記念エディション)』には、当時のセッションでレコーディングされたブルースのスタンダード「ローリン・アンド・タンブリン」、B.B.キングの初期作品「レット・ミー・ラヴ・ユー」という2曲の未発表トラックを追加収録
―CDのインナースリーブには、あなたとクラプトンが60年代に一緒に演奏している写真が載っていますね。場所はどこだったか覚えていますか?
B.B.キング:いや、覚えてない。だが最初に会ったとき、当時は2人とも若かったのは覚えている。彼が言うには、最初に会ったのはカフェ・ア・ゴー・ゴー(ニューヨークの伝説的なブルースクラブ)だったそうだ。
―誰がアルバムの収録曲を選んだのですか?
B.B.キング:それはエリックの担当だ(笑)。彼に全部選曲してもらって、気に入らないところがあったら後で話し合うことになっていた――結局そうはならなかったがね。彼は抜群の記憶力で古い曲を引っ張り出し、素晴らしいアイデアで新しい曲を織り交ぜてくれた。彼のことは完全に信頼しているよ。
―アルバムで一番のお気に入りはどの曲ですか?
B.B.キング:「ライディング・ウィズ・ザ・キング」。我々の伝えたいメッセージが込められた曲だからね。
―歴代No.1のお気に入りは?
B.B.キング:私のお気に入りは、ウィリー・ネルソンが演奏する「オールウェイズ・オン・マイ・マインド」のテーマだ。
―長年ずっとツアーを続けているのは、演奏が好きだからというのはもちろんだと思いますが、それ以外に理由はありますか?
B.B.キング:やらずにはいられないのさ。語り継がれる昔ばなしと同じだよ。犬が走り回る中、ウサギが1匹しゃがんでいる。
―ハンク・スノウというカントリーアーティストの逸話があります。彼はあまりにも長くツアーに出ていたので、家に帰ってからもツアーバスの中で寝泊まりしていたそうです。あなたもそういう経験はありますか?
B.B.キング:そこまでの状態になったことはないが、自宅に戻った最初の数日間は、夜は寝室のドアを閉めて寝るようにしている。そうすると、ホテルにいるような気分になるんだ。
―最近はどのぐらいショウをこなしているんですか?
B.B.キング:今は平均200回強というところ。以前ほど回数はこなしていない。
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●【写真15点】エリック・クラプトンが愛用してきたギターの系譜

B.B.キング&エリック・クラプトン
『ライディング・ウィズ・ザ・キング(20周年記念エディション)』
発売日:2020年6月26日
形態:CD(紙ジャケット仕様)
価格:¥2,600+税
日本盤特典:アルバム・アートワークを拡大したミニ・ポスター
https://wmg.jp/eric-clapton/discography/22958/
エリック・クラプトン WMJサイト:https://wmg.jp/eric-clapton/