flumpoolとMeet music on the radioを掲げる大阪のラジオ局、FM802がホストを務めたこのイベントの出演者はflumpoolの他、昨年末のライブ・イベント「FM802 RADIO CRAZY」でflumpoolと意気投合したKEYTALK、flumpoolからの影響を語る緑黄色社会とNovelbrightの計4組。

Photo by 小川星奈/渡邉一生
以下レポートをお届けする4組の熱演はそれぞれにそのバンドならではの個性を打ち出しながら、共通していたのはライブができる歓びと、そのライブでまた、みんなと会いたいという強い思い、そして画面越しでも音楽を届けたいという情熱だった。
・KEYTALK
いつもと変わらず、メンバー全員がステージに飛び出してきたのはバンド・シーンのお祭り野郎たち、KEYTALK。10余年のキャリを持つ彼らがトップバッターに選ばれたのは、もちろんしょっぱなから盛り上げてくれるに違いないと期待されたからだ。
そんな期待に応え、ラブリーなポップ・ソングの「Love me」から演奏になだれこんだ4人は「MATSURI BAYASHI」「YURAMEKI SUMMER」「MONSTER DANCE」といった彼らのライブには欠かせないアンセムをたたみかけるように披露。ダンサブルなロック・サウンドと哀愁の歌謡メロディの魅力を存分に見せつけた。
ギターをかき鳴らしながら、いつも以上にステージを動き回るガッツを見せた小野武正(Gt)は「ライブって最高!」と叫ぶと、カメラの向こうのオーディエンスにコール&レスポンスを求めた。ステージに立った以上は盛り上がにゃそんそん! 一丸となってとことん楽しむ4人の姿からは、そんなお祭り野郎たちの熱い思いが伝わってきた。

Photo by 小川星奈/渡邉一生
・緑黄色社会
自分たちが作ったFM802のジングルをSEに登場した男女混成の4人組、緑黄色社会は1曲目の「Mela!」からフュージョンのグルーブを取り入れたアンサンブルという新境地をいきなり見せつけた。
これまでのライブの定番曲は加えず、その「Mela!」をはじめ、今年4月に配信リリースしたフル・アルバム『SINGALONG』からほぼ選んだセットリストからは、新しい自分たちを見てほしいという思いも窺えた。
「あなたがどこにいても、明日の何かのきっかけになれたらと思ってここに立っています」と小林壱誓(Gt)は無観客の配信ライブに臨む気持ちを語ったが、メンバーおのおののキャラクターが音に表れた演奏はもちろん、長屋晴子(Vo/Gt)の伸びやかな歌声の魅力は画面越しでも十二分に伝わったはずだ。

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バンドがラスト・ナンバーに選んだのは、ゴスペルを思わせるシンガロングをフィーチャーした「あのころ見た光」。オーディエンスも一緒に歌っていることを信じている長屋は、その声を聴こうと耳を澄ました。そして、「絶対また会いましょう!」と呼びかけたのだった。
新旧の代表曲を披露したflumpool
・Novelbright
結成から7年。路上ライブで名を上げ、この8月、ついにメジャー・デビューを果たした5人組、Novelbrightは人気急上昇も大いに頷ける曲の魅力とバンドのスケールの大きさを30分の持ち時間に見事、凝縮してみせた。
「無観客とは言え、イベントが無事に開催できてほんとに幸せです。その気持ちを画面越しに伝えていきたい」と竹中雄大(Vo)が語りながら、歌謡ダンスロックの「おはようワールド」、同期でピアノを鳴らしたバラードの「夢花火」も交え、曲の振り幅をアピールした前半戦。そして、「ここから思いっきりロックしていきたい」と、語る言葉に熱い人柄にじむ竹中が宣言した後半戦は、ライブ初披露の新曲「Sunny drop」他、エモーショナルなギター・ロック・ナンバーをたたみかけた。
ラスト・ナンバーは路上ライブでもずっと歌い続けてきた「拝啓、親愛なる君へ」。「不安な日々ばかりだけど、あなたの心を少しでも幸せで満たせるような歌を届けたい」。そう語りかけた竹中の包み込むような歌声がアンセミックな曲調とともに胸に響いた。

Photo by 小川星奈/渡邉一生
・flumpool
曲間のMCで異口同音にflumpoolからの影響を語った緑黄色社会とNovelbrightの言葉が刺激になると同時にプレッシャーになると言いながら、flumpoolは13年のキャリアを持つバンドだ。
自分たちがもう彼らのように若くないことを自虐ギャグにする余裕も見せながら、ともに未来を歌った「NEW DAY DREAMER」「two of us」、そして「どんな状況でも咲きほこる花のように音楽を届けていきたい」と山村隆太(Vo/Gt)がこの日、演奏する意味を語ったデビュー曲の「花になれ」など、ある意味ベスト選曲とも言える新旧の代表曲を披露していった。

Photo by 小川星奈/渡邉一生

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バンドの演奏はソリッドにしてタイト。イベントのトリだからって、熱い思いや他の3組に対するライバル心は内に秘め、変にドラマチックに盛り上げようとしないところに彼らならではの誠実さが感じられた。そして、バラードの「証」、メランコリックな「素晴らしき嘘」を挟んでから、〈逢いたい〉と逸る気持ちがあふれる力強いロックナンバー「星に願いを」で今一度、会場の温度を上げると、せっかくだからと3バンドのヴォーカリストを呼び込み、「君に届け」をセッション。曲に込めた〈I love you〉という思いを、全員でオーディエンスに届けるという心憎い演出で3時間半にわたるライブ・イベントは大団円を迎えたのだった。

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