錦戸亮と赤西仁の共同プロジェクト「N/A」が、1stアルバム『NO GOOD』を完成させた。

昨年12月に「N/A」のアナウンスがされ、本来であれば今年5月にハワイでのライブが予定されていたが、コロナの影響で3月に中止を発表。
そのタイミングで赤西は「N/Aプロジェクト初アルバム2020年夏に発売決定」とツイート。4月には2人のYouTube番組『NO GOOD TV』もスタートし、総再生回数は4000万回を突破、チャンネル登録者数も70万人以上を数える。その間、錦戸はファンミーティングを開催し、赤西はベストアルバムをリリースした。

赤西は以前の取材で「時代の流れに合わせて活動していきたい」「YouTubeで番組をやる。『NO GOOD TV』という番組名で」「どうなるかは進めてみてから判断ですね。そういうのが多いです。あいつ(錦戸亮)とやるのは」と話してくれたが、YouTubeもちゃんと成功させた彼の目論見通り、アルバムもギリギリ夏に間に合う形で出来上がった。日々番組でワチャワチャしている錦戸と赤西を見ている者としては、一体いつ制作していたのかという素朴な疑問が頭をよぎる。アートワークは錦戸が「勝手にジャケ作りました」と言ってTwitterに掲載したもの。まさしく2人でプロデュースして完成させた作品なのだ。

錦戸のソロ作と赤西のソロ作を聴き比べてみると、両者の音楽的バックグラウンドが大きく異なることが分かるだろう。しかし『NO GOOD TV』から感じられる空気感は地元の友達的なファミリー感もあるし、単純にウマが合うんだろうなと微笑ましくなる。


「独立した理由としてモチベーションの部分が大きくて。そこが(仁と)一緒やから。何か作ることに関して彼はすごく貪欲であると思いますし、例えば俺がラジオで聴いた曲を口ずさんでると、仁があの曲カッコいいよねって反応して交わる瞬間もあったりして。そういう接点を手探りで見つけながら2人で交われるものを作って、皆さんの前に出せればと思っています」(錦戸)

「僕らみたいにある程度キャリアがあるプレイヤーが、新しいことをして楽しんでいる姿をファンも支持してくれる。そういうのを後輩たちというか、新しい世代の人たちにも見せていきたいというか、可能性を少しでも感じてくれたらなっていうのはあります」(赤西)

アーティストとしてタイプは異なる両者の共通点とは?

愛器のフェンダーUSAを掻き鳴らしながら真摯に音楽を紡ぐ直球の錦戸。次から次へと新しいアプローチを取り入れて進化していく変化球の赤西。アーティストとしてタイプは異なる2人だが、その根底で通じるところはたくさんあるはずだ。

2010年、赤西のソロコンサートで初披露された曲が「Hey Girl」(『NO GOOD』の通常盤限定ボーナストラックとして収録)。この曲は錦戸と赤西の合作としてファンの間では知られているキャッチーな一曲だ。

「俺がトラックを作って、仁にこれに歌詞つけたら?って言ったら、自分で考えてきたんだよね。サクサク進んで」(錦戸)

「そうそう。俺もソロで音楽を始めたばっかりで、お互いに今できることをやろうみたいなノリでやったと思う。
聴かせてもらって『いいじゃん、やろう』って。そこでクリエイティブを求めて言い合ってどうこうというのもなく」(赤西)

では今回のアルバム『NO GOOD』はどうだろうか。全体的な印象で言うと、赤西のトラックメイキングやアレンジといった「音楽を作る地力」みたいなものと、錦戸のヴォーカルやギターの旋律などに感じられるアーティスト性がうまく融合している。

表題曲でもあり、例のYouTube番組のテーマ曲で先行配信された「NO GOOD」はディスコの輝きと多幸感をうっすらと感じさせるもので、デュア・リパ、レディー・ガガ、ジェシー・ウェアなどの海外のポップシーンでも最近主流のディスコ・ミュージック回帰を連想させる。それ以外だと、レイヤーが折り重なった透明感のあるトラックや抑制されたビートなど、赤西が得意とするダンス・ミュージックの作法を下敷きにしつつ、錦戸の個性が存分に発揮されているのだ。

錦戸作「ラップダンス」のメロディのフックとクリアなギターのカッティング、「Not Bad」で聴ける浮遊感のあるサウンド。赤西の曲を錦戸がプロデュースし直した「Hey Whats Up?」も面白い。バンドアレンジが施され、原曲のきらびやかな印象とはまた異なる響きがある。

その一方でトロピカルハウス風味の「Kingdom」やR&Bテイストの「Blue」など、赤西のセンスが随所で炸裂しているのもニヤリとさせられる。頭2曲の「N/A Introduction」「Get Loose」は、これまでの赤西の曲にはなかったロック的なフィーリングが感じられて新鮮。このへんも錦戸&赤西のコラボレーションが生んだ賜物と言えるかもしれない。

仕事仲間というよりは遊び仲間の感覚

前の所属事務所では先輩・後輩の関係だった2人(錦戸が先輩)。
10代の頃、錦戸が赤西の実家に出入りし家族ぐるみの付き合いがあったりとか、仕事仲間というよりは遊び仲間の感覚で付き合ってきた。

「僕は楽しいことがやりたいので、(錦戸が)独立するとわかって、『じゃあ一緒にやろうよ』って僕から声をかけたんです。彼とは友達で気の知れた仲間だし、同じような指針を持って、同じ方向に向かっていけるかもしれない。あと音楽の面で僕とは全く違うジャンルをやっているので、そこから自分も吸収したいなと思ったし、相乗効果じゃないですけどお互いに成長して、音楽の幅が広がればいいなと思って」(赤西)

「一人で活動してるっていう意味では(仁は)先輩なので、僕がアーティストとして仁に共感してるところは姿勢だけです。曲は英語ばっかりやし何言ってるか分からへんけど、でもカッコいいと思うものもある。好きな音楽がお互いに全部一致するわけじゃないけど、だからこそ重なる部分を見つけられたらいいなと。なんの制限もなくできるからこれからが楽しみです」(錦戸)

組織に頼らず、己の腕っ節でエンターテインメントの世界に勝負を挑もうとしている。少年マンガの主人公のような2人の活躍にこれからも注目していきたい。「N/A」始動時に公開されたショートムービー「THE MENI N THE ARENA」にはこんなフレーズが使われていた。<たとえ失敗と呼ばれても/挑み続けた上での”ただの結果”に過ぎない/そんな勇士の魂は/挑戦も失敗も知らない臆病な魂と/並べるにも値しないだろう>

<INFORMATION>

錦戸亮と赤西仁が語る、「本気で楽しむこと」で切り開くエンタメの未来

『NO GOOD』
N/A
Go Good Records/NOMAD RECORDS
発売中

リード曲「NO GOOD」配信リンク
https://linkco.re/SS6vY8ZG

公式HP:www.na-official-project.com
公式Twitter:@NA_official_jp
公式Instagram:@nogoodtv_official

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