雑誌『ニューヨーカー』のライターでCNNにもレギュラー出演しているリーガルアナリスト、ジェフリー・トゥービン氏が、Zoomでの打ち合わせ中に下半身を露出し、停職処分になった。

情報サイトViceの記事によると、トゥービン氏はジェイン・メイヤー氏やデクスター・フィルキンス氏といった専属記者をはじめとするニューヨーカー誌の精鋭らとZoomで選挙報道をシミュレーションしていた。
その最中に(明らかに無意識に)カメラに向かって下半身を露出し、自慰行為に及んでいたという(トゥービン氏は後に「カメラがオフになっていると思っていた」と語っている)。

「”オッカムの剃刀” というように[訳注:物事は簡潔にとらえ、やたら難しく考えるべきではないという格言]、技術的エラーとパンデミック、判断ミスと不運が重なったために恥をさらしてしまった者には、同情、礼節、赦しの心で応じるべきだろう」。アトランティック紙の専属記者コナー・フリーダースドルフ氏はこうツイートした。CNNのブライアン・ステルター氏も、トゥービンは「大統領選挙を控えた大事な時期に降ろされてしまった」と同情気味に苦々しいツイートを投稿した(だが理論上は、CNNにはトゥービンの変わりを務められるコメンテーターはごまんといる)。すでに削除されてしまっているが、Voxのジャーマン・ロペス記者も「ほとんど全員がやっていることをたまたま見つかったからと言って、果たして全国ニュースで晒すべきだろうか」とツイートした。さらに彼はトゥービン氏に対するメディアの対応を、誰彼かまわず刑務所にぶち込む投獄問題に暗になぞらえた。

もちろん、こうした理屈はどこからどう見ても問題だ。著名な戦場記者デクスター・フィルキンス氏を交えたビデオ会議中に快楽にふけることは、「ほとんど全員がやっている」部類には当てはまらない。たしかにリモートワークにより、在宅中に快楽にふけることは以前よりも簡単にできるようになったし、従業員のストレス解消法としては決して珍しいわけでもない。

動画パフォーマー兼テレフォンセックスオペレーター兼作家のジェシー・セイジ氏は我々の取材に応じ、トゥービン事件に対する反応に驚いている、と語った。「私がチャットする時はこんなことしょっちゅうです。皆さんが騒ぎ立てるほど卑猥でもないと思います」と彼女は言った。
「(勤務中にマスターベーションする人は)退屈で、孤独を感じているんだと思いますよ」。だが、ランチタイムにムラムラして、同僚たちと会話しながら行為に及ぶのとはまるきり話が違う。トゥービン氏が会議中に自分を律することができなかったことは、結局は同僚への敬意の欠如と過剰な優遇地位の表れだ。

自分はやっても構わないと考えていたことが問題

トゥービン事件の詳細がつまびらかになるにつれ、彼の行動を男性の力の誇示、つまりおびえる女性の従属者に性器を見せつける露出狂と同等にとらえる意見もある。トゥービン氏の性器が見えてしまったことはたしかに事故だったが、それでも核心の部分――自分は職場で陰部を触ってもお咎めを受けない、という思い込みが彼を行為に駆り立てた――は真実を物語っている。問題は、トゥービン氏が勤務中にマスターベーションしたことではない。明らかに、自分はやっても構わないと彼が考えていたことが問題なのだ。一部男性陣のTwitterの反応を見る限り、その点では彼は間違っていなかった。

オフィスは男性の独壇場で、男性が昇進するのは当たり前、女性や有色人種は彼らの足元でおこぼれにあずかっていればいい、という考えが白人男性の頭に刷り込まれているような職場環境では、会議中に自慰行為をしても大丈夫とトゥービン氏が考えたとしても全く驚きではない。だがフリーダースドルフ氏やロペス氏をはじめとする男性――トゥービン氏と同じくらい著名なメディア記者で、相当数のフォロワーを抱えている――が、すぐさま彼の行為を不運だが避けられなかった技術的なミスとして片付けたことは問題だ。

多くのジャーナリストがほぼ毎日のように、今回よりもはるかに軽い罪で雇用主から解雇されるなか、トゥービン氏の処分がニューヨーカー誌の停職だけというのはいかがなものだろうか。

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from Rolling Stone US
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