2020年10月26日(月)から10月31日(土)の約1週間、コロナ禍で生まれた次世代エンタメプラットフォーム「バーチャル渋谷」上にて、ハロウィーンフェスが開催された。

新型コロナウイルスの影響で、経済や文化などさまざまな活動が制限されるなか、KDDI株式、一般社団法人渋谷未来デザイン、一般財団法人渋谷区観光を中心に参画企業50社で組成する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」の一環として、 au 5Gや最先端のテクノロジーを活用したエンターテイメントの活動を実施。
時間や場所の制約なしにさまざまなイベントの開催、参加を可能にさせる、渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」を2020年5月からスタート。今回はバーチャル空間上に設定されたリアルな渋谷で、毎年恒例のお祭り騒ぎとなるハロウィーンフェスが開催された。新型コロナウイルスの影響もあり、実際の渋谷に集まることが困難であるものの、「#StayVirtual」をテーマに、現実と比べて遜色のない多くのイベントが開催された1週間となった。

早速設定を済まして、バーチャル空間に飛び込んでみた。今回はハロウィーン仕様で、特別にジャック・オー・ランタンとキュートなお化けのアバターがデフォルトから選ぶことができた。最初に自分のアバターが登場したのは、渋谷スクランブル交差点の中心。まずは、実際の渋谷の街並みを象った空間がハロウィーン仕様に可愛らしくデザインされていることに驚いた。

今年の渋谷ハロウィーンはバーチャルで 現実と仮想の交差する可能性を感じさせた空間

(c)KDDI・au 5G / バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス

以前よりも行動できる範囲が広がっていたり、再現度の高さに驚きつつも、急いでライブワールドに飛び込むと、ちょうどきゃりーぱみゅぱみゅのライブがスタート。本来は初日のオープニングレセプションで彼女がパフォーマンスする予定であったが、イベントの人気のせいか、アクセス集中のために10月28日(水)に延期となっていた。ライブでは、「ファッションモンスター」と「Crazy Party Night~パンプキンの逆襲~」とハロウィーンにぴったりな2曲を披露。「ファッションモンスター」のイントロから「ハッピーハロウィーン!」ときゃりーが叫ぶと、彼女の煽りに合わせてファンたちのアバターが跳ねる。デフォルト設定の三人称視点からアバター視点に変更してみる。
最前に行くと人だかり、いや、アバターだかりができている。三人称視点からキャラクターの主観視点にすると皆ステージ最前の視点で楽しむこともできる。現実のライブではあり得ない、参加者全員が最前列の視点でライブを楽しむ感覚にも陥ることができて、思わずテンションが上がってしまう。バーチャル空間上に実際に本人がいるかのようなリアリティはもちろん、曲に合わせて空間上の渋谷のビルにハロウィーン風のイルミネーションが投影されたり、地面から風船が浮いてくるなど、街全体が曲に合わせて盛り上がる。曲の合間には、口笛や拍手がアバター達から鳴り響き、ファンの感情も投影することができる。実際のライブさながらの熱気がバーチャル空間上に広がった。

今年の渋谷ハロウィーンはバーチャルで 現実と仮想の交差する可能性を感じさせた空間

(c)KDDI・au 5G / バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス

また、きゃりーぱみゅぱみゅに続いて、世界を股にかけて活躍するダンサー・KENTO MORIも登場。ARアーティストとしても活躍中の彼は、骸骨のバックダンサーや音楽とマッチしたパフォーマンスだけでなく、本人の動きに合わせたリアルタイムなAR加工でオーラを纏っているようにも見える。マイケル・ジャクソンも認めたという彼のダンスのしなやかさに合わせて、煌びやかなARも投影されていきステージが彩られていき、観衆を魅了。終演後も会場からは拍手が止まなかった。

オープニングレセプションでも大盛り上がりとなったが、本イベント中には音楽以外にも、27,28日にはNetflix作品を渋谷スクランブル交差点で上映するネトフリシネマ、29日の和牛らが出演したお笑いライブも開催された。お笑いライブでは、5Gをテーマにした大喜利やネタが公開されており、どちらのイベントもリアルと遜色なくアバターが集まって、チャット掲示板に感想を寄せて交流が生まれていた。
また、その中でも特に異質だったのが、10月27日に活動3周年を迎えたVtuber・ミライアカリのトークショーだろう。このイベントでは、唯一リアルな人間が登場せず、ステージも客席もアバターのみが登場するイベントとなった。そういったアバターを介したイベントでも、そこに投影されているのが実際の人間の言動に基づいた行動=コミュニケーションである。ミライアカリがステージ下手にファンを誘えばそこにファンが集まるし、アカリのオススメの皿うどんの店を紹介すれば、アバターのリアクションや掲示板に「行きたい!」という声が集まる。バーチャルを媒介にリアルの動きにも広がりが結びついていくというのも、新しい感覚のように感じた。

今年の渋谷ハロウィーンはバーチャルで 現実と仮想の交差する可能性を感じさせた空間

(c)KDDI・au 5G / バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス

ミライアカリの「リアルでは渋谷に行かないけど、バーチャルでは渋谷に行くっていう感覚でも全然いいと思うの」という言葉が印象的だった。イベントには実際、東京以外にも日本の地方や海外からの参加者もおり、この空間内だからこそ気軽に渋谷のハロウィーンに参加できる人もいる。バーチャル空間ではバーチャル空間ならではのバーチャル仮装コンテストなどのコンテンツがあり、そして同じ空間から先に述べたオススメの店の紹介のようにリアルの動きにも波及できる。このバーチャル空間がリアルに近づけば近づくほど、楽しめるコンテンツは増えるし、実際に訪れてみたくなる気持ちも大きくなるかもしれない。可能性がバーチャルにとっても、リアルにとっても無限大なのである。

今の新型コロナウイルスの状況を鑑みると、実際に渋谷に集まってハロウィーンを盛り上がるのは健全ではない。だが、人種やジャンルを問わずに人々が行き交えるあの空間が、新しい軸で広がっていき、それが現実とうまく作用していく時。
きっとこの世の中の楽しみなコンテンツが2倍にも、3倍にもなっていくはず。そんな可能性を感じるイベントだった。

<イベント情報>

バーチャル渋谷
「ハロウィーンフェス」

2020年10月26日(月)~10月31日(土)
=プログラム内容=
10月27日(火)16時~/18時~/20時~/22時~ Netlix presents ネトフリシネマ(スマパス会員限定)
10月28日(水)16時~/18時~/20時~/22時~ Netlix presents ネトフリシネマ 20時~ オープニングレセプション「au 5G Presents きゃりーぱみゅぱみゅ バーチャル Mini Live」
10月29日(木)21時~「au 5G Presents BiSH バーチャル Live in association with Apple Music」
10月30日(金)18時30分~「au 5G Presents「みんなの5G」 和牛の超高速ライブ Supported by よしもと」 
        19時45分~「au 5G Presents SPECIAL∞LIVE supported by よしもと」
        21時~「GOOM STUDIO Presents ミライアカリ バーチャル TALK」
10月31日(土)19時~「au 5G Presents Rin音 バーチャル Live」
        20時~「au 5G Presents NULBARICH バーチャル Live」
        21時~「DJ IN THE MIRROR WORLD」SUPER DOMMUNE」

イベント公式サイト:https://shibuya5g.org
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