中野サンプラザでのワンマンライブは毎年恒例となっているものの、昨年はコロナ禍で開催することができず、公演のタイトルもそのまま据え置いての「2020」に。
YO-KINGと桜井秀俊の真心ブラザーズに、上野一郎(Ba)、須貝直人(Dr)、伊東ミキオ(Key)、うつみようこ(Cho)、MOUNTAIN HORNS(上石統(Tp)西岡ヒデロー(Tp)首藤晃志(Sax)、宇田川寅蔵(Sax))を加えた10人編成のMBSでのライブは久しぶり。期待が高まる中、「MB」の電飾が降りてきて、メンバーがステージに上がる。桜井のギターがフィードバックで唸りを上げて始まったイントロは、「新しい夜明け」だ。ライブのラストを飾ることも多い大合唱ナンバーからのスタートで、客席は総立ちに。大合唱は心の中で、ということでみんな拍手をしたり手を振ったり踊ったり、YO-KINGの声に合わせてジャンプしたりと、目一杯身体で感情を表しつつ、会場は早くも一体となる。”悲しい出来事には僕は無力無力 だからこそ楽しい気持ちで溢れてたいのさ”と歌う一節が胸に沁みる。
「みなさん、ようこそ! 本当にようこそいらっしゃいました!」(YO-KING)
「拍手があったかい!」(桜井)

桜井秀俊
「ライブが延期になって演奏しそびれていたニュー・アルバム『Cheer』の曲をMBSバージョンで」との桜井の紹介から、「ビギン!」、「妄想力」と新曲が続く。サイケデリックなムードの中、ファンキーな演奏を聴かせた「妄想力」では、MBS初参加の伊東ミキオの縦横無尽なオルガンの演奏が光る。
歌の良さが際立つアルバム『Cheer』の曲を散りばめつつ、90年代後期に発表されたアルバム『GREAT ADVENTURE』、『I will Survive』、『GOOD TIMES』からの、ホーンセクションを活かしたソウルフルな楽曲が目立ったこの日のセットリスト。そんな中で前半のクライマックスとなったのが「FLYING BABY」だ。

YO-KING
中盤はYO-KING、桜井、上野、須貝の4人編成となり、1ワードで押し切るファンクロック「ふっきれてる」、疾走感のある「紺色」で、ソリッドな演奏を聴かせる。YO-KINGの静かな弾き語りに始まりバンドが加わって爆発的なサウンドへと変化する「素晴らしきこの世界」から、 ”ぼくらはもっと正しくなくていいよ”と歌う「不良」へ。争いの絶えないこれまでの世界とコロナ禍の世界が続けて歌われる、メッセージ性のあるセクションとなっていた。換気タイムを挟んで桜井が「1曲、全力で歌唱させていただきます!」と、ギターを置いてマイクを手にステージ前に出て「あれあれ、あの、あれ」を、ビッグバンド風サウンドをバックにステージ狭しと動き回り、煽りながら熱唱した。間奏のYO-KINGのギターと伊東のピアノのソロ掛け合い、桜井がホーンセクションの間に入ってのスキャット等、見どころ聴きどころたっぷり。サビのコール&レスポンスは声に出せないものの、会場中の心の声が響いた瞬間であった。
熱をさますようにゆったりと、桜井のギターリフからのイントロアレンジで始まった「RELAX~OPEN~ENJOY」からライブは終盤へ。続く「BABY BABY BABY」同様、ホーンが入りYO-KINGとうつみようこの歌声が重なると、これぞ王道の真心ライブといった趣で興奮と楽しさが止まらない。
お待ちかねの「ENDLESS SUMMER NUDE」が飛び出すと、サビで会場中の”はしゃぎすぎてる春の大人”たちが右手を左右にブンブン振って盛り上がった。間奏でホーンセクションのキメ、オルガンソロ、ユニゾンのギターリフ、ドラム、ベースが一体となって昇りつめて、YO-KINGのボーカルへと繋ぎ最後のサビへ入っていく流れは鳥肌もののカッコよさだった。ライブのエンディングは、さらに会場が1つになる「EVERYBODY SINGINLOVE SONG」で締めくくられた。解放感に溢れたソウル・ナンバー、コール&レスポンスできる曲が多めに演奏され、無我夢中で楽しめた約2時間。声は出せずとも、音楽で心が通じあうことが実感できた、とてもあたたかく最高に楽しいライブだった。

<ライブ情報>
『はしゃぎるぎてる春の大人さ2020』
配信期間:2021年2月23日(祝・火)23:59まで
視聴料:¥3,500(税込)
https://eplus.jp/sf/detail/0019600001?P6=001&P1=0402&P59=1