トーマによると、最新のヘルメットは「スパイダーマンの最新作を手がけた」ハリウッドの特殊効果チームが製作したものだという。彼はダフト・パンクのことをアートとマス・プロダクションを融合させたアンディ・ウォーホルに例えているが、このデュオはウォルト・ディズニー・カンパニーやコカ・コーラといった知財を守る多国籍企業にも似ている。自家製のロボット・ヘルメットはオンライン上で増殖し、ファンサイトでモデルにされたり、eBayで売られたりもしている。「しかし、写真を見ただけでプロポーションを揃えるのは本当に難しく、どれも少しズレているように見える」とトーマは語る。
太陽が沈もうとしているなか、ダフト・パンクはスタジオを出て、ブロック下のカフェでエスプレッソを飲み、地下鉄に降りて待合列車に乗り込む。車内は4分の3が満席で、誰も(素顔の)2人を気にかけてはいない。アメリカの有名ミュージシャンと一緒にニューヨークの地下鉄に乗るなんて想像できないだろう。彼らは無名のアイコンなのだ。
「マスクについて気に入っていることの一つは、近寄ってくる人がいないところだ。忘れられるのはいいことだよ」とトーマは言う。
ただ時折、マイナスなこともあったそうだ。トーマは数年前にイビサ島で、ある男が自分をダフト・パンクだと言い張り、クラブで法外なバー代を巻き上げている場面に出くわしたことがあるという。
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