作品賞、主演女優賞、監督賞というアカデミー賞でもっとも栄えある賞とともにクロエ・ジャオは、監督賞を受賞した初の非白人女性として歴史に名を刻んだ。女性が監督賞を受賞するのは、ビンラディン暗殺作戦の裏側を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』で2010年に同賞を獲得したキャスリン・ビグロー監督以来2人目だ。『ノマドランド』に主演したフランシス・マクドーマンドは、3回目となる主演女優賞に輝いた(1997年に『ファーゴ』、2018年に『スリー・ビルボード』で主演女優賞を受賞)。
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ほかのアクティング部門では、『ファーザー』で認知症の父親を演じたアンソニー・ホプキンスが2回目の主演男優賞を受賞するというちょっとした番狂わせもあった(ホプキンスは1992年に『羊たちの沈黙』で同賞を受賞)。その一方、『ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア(原題)』で米黒人解放組織「ブラックパンサー党」のリーダー、フレッド・ハンプトンを演じたダニエル・カルーヤが助演男優賞を受賞。アメリカに移住した韓国人の家族を描いた『ミナリ』で主人公一家の祖母を演じたユン・ヨジュンが助演女優賞を受賞した。
脚本賞を受賞したのは、『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェネル。13年前に脚本家のディアブロ・コーディが『JUNO/ジュノ』で同賞を受賞して以来2人目の女性監督/脚本家による受賞となった。脚本賞は、『ファーザー』のフロリアン・ゼレール監督と脚本を手がけたクリストファー・ハンプトンに贈られた。
音楽部門では、『ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア』の主題歌「Fight for You」を手がけたH.E.R.が主題歌を受賞。『ソウルフル・ワールド』のトレント・レズナー、アティカス・ロス、ジョン・バティステが作曲賞を受賞した(レズナー&ロスにとっては2度目、バティステにとっては初のオスカー)。
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新型コロナのパンデミックにより、今年の授賞式はおなじみのドルビー・シアターではなくロサンゼルスのユニオン・ステーションで開催され、例年と比べるとかなり小規模だった。だが、アメリカ西部のターミナル駅であるユニオン・ステーションは、光が降り注ぐ大きな窓の効果によって魅力的な授賞式会場となった。そこでは、選ばれた少数のゲストたちが社会的距離を保ちながらテーブル席に着いた。多少は2月に開催されたゴールデングローブ賞授賞式と似たり寄ったりな雰囲気もあったが、授賞式のディレクターを務めたグレン・ウェイス——ならびにスティーブン・ソダーバーグ、ステイシー・シェア、ジェシー・コリンズといったプロデューサー陣——は映画にふさわしいスタイリッシュさを備えようと力を尽くした。女優のレジーナ・キングが颯爽とメインステージに上がるオープニングシーンは、ソダーバーグ監督の『オーシャンズ』シリーズから飛び出してきたかのような印象を与えた(司会者不在のアカデミー賞授賞式は今年で3度目)。
今年の授賞式の最大の変化は、主題歌賞のパフォーマンスが授賞式から授賞式前のイベントに移行した点だ。イベントではドラマーのクエストラブがDJを務め、続いて俳優でコメディアンのリル・レル・ハウリーがアカデミー賞に関するクイズゲームの司会進行役をこなした。その後、女優グレン・クローズが「Da Butt」に合わせて披露したダンスでイベントは幕を閉じた。「Da Butt」は、スパイク・リー監督の1988の映画『スクール・デイズ』のサントラ収録曲で、作曲者はワシントンDCを拠点に活動するゴーゴーバンドE.U.(この直後に毎年恒例の「追悼コーナー(In Memoriam)」が続き、3時間半におよぶ怒涛の授賞式が行われた)。
今年のアカデミー賞は、従来の授賞式よりも時間の使い方に対してずっと寛大だった。忌々しいBMGによって強引にスピーチを中断される心配もなく、受賞者は時間をかけてスピーチを行うことができた。このおかげで感動的なシーンの自然さが際立つ結果となった。
このほかの今年の受賞作には、ディズニー&ピクサーにとってまたとなる長編アニメ映画賞を受賞した『ソウルフル・ワールド』が含まれる。長編ドキュメンタリー映画賞には『オクトパスの神秘:海の賢者は語る』が輝いた。技術系部門では、『マ・レイニーのブラックボトム』のミア・ニールとジャミカ・ウィルソンがメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞。初の黒人女性としてアカデミー史に名を刻んだ。さらには、同作で衣装デザインを受賞した89歳のアン・ロスがアカデミー賞受賞最高齢記録を打ち立てた。
さらに賞授賞式では、「音響編集賞」と「録音賞」をひとつにした「音響賞(Best Sound)」という部門が新たに導入され、『サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~』が同賞を受賞した(ジェイミー・バクシュト、ニコラス・ベッカー、フィリップ・ブラッド、カルロス・コルテス、ミッチェル・コートレンツ)。同作は編集賞にも輝いた(ミッケル・E・G・ニールセン)。『TENET テネット』が視覚効果賞を(スコット・R・フィッシャー、アンドリュー・ジャクソン、デヴィッド・リー、アンドリュー・ロックリー)、『Mank/マンク』が美術賞を(ドナルド・グラハム・バートとジャン・パスカル)と撮影賞(エリック・メッサーシュミット)を受賞した。
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短編実写映画賞に輝いたのは『隔たる世界の2人』だ。
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