【動画を見る】21年前に失踪の車、川の中で発見する瞬間
2021年末、サイズさんは米テネシー州ホワイト郡スパータ付近の水域を捜索中、一台の車を発見。21年前に失踪したエリン・フォスターさん(当時18)とジェレミー・ベクテルさん(同17)の車だった。車は同州を流れる川に沈んでいた。
42歳のサイズさんは金属探知機を携えてYouTubeを始めた。ジョージア州アクワースの自宅付近で公園や南北戦争時代の建物を散策しながら、古い硬貨や道具やガラス瓶などのお宝を探していた。ダイビングのライセンスを取得してからは水中へ活動の場を移し、19世紀の入れ歯から年代ものの爆弾、骨壺まで、あらゆるものを回収するようになった。「骨壺は大変です」と彼は言う。「一度、底に穴の開いた骨壺がありました。何なのかよくわからないまま持ち上げたら、遺灰を全部まき散らしてしまって、『こりゃ大変だ』という感じでした」
サイズさんはさらに続け、2021年1月に初めて行方不明者の捜索を行った時のことを語った。オレゴン州ベンドを拠点とするYouTubeチャンネルAdventures With Purpose(以下AWP)のダイバー仲間が一緒だった。
警察との関係はおおむね「良好」
2021年1月、AWPは他のダイバーを誘って、ナッシュビルでビル・シモンズさんの捜索を行った。57歳のシモンズさんは6カ月間行方が分からなくなっていた。この時、サイズさんは車の引き揚げ方を学んだ。その日はシモンズさんの発見に至らなかったが、チームは後日発見した。以来、サイズさんは失踪者の捜索に夢中になった。
そうした思いはユーザーの心にも響いている。ロビンソンさんの発見以来、AWPも変わった。「ユーザーから、車ごと行方不明になった友人や家族の未解決事件が送られてくるようになりました」とビショップさん。2020年以降、AWPは20人の行方不明者の遺体を発見しているそうだ。
サイズさんがお宝発掘から失踪者捜索にシフトすると、閲覧回数も急増した。2021年中盤、彼は出張タイヤ修理の仕事を辞めてYouTubeを本職とし、物販の売り上げや寄付、有料購読で広告収入を補った。2021年末にフォスターさんとベクテルさんを発見した時には、フォロワー数が3倍に増えた(現在のフォロワー数は約36万人)。オーディエンスにも変化が起きている。かつてはダイバー仲間やお宝発掘仲間だったのが、今では捜査の状況や進展を見に来る人がほとんどだ。「こうした動画を見に来る失踪者コミュニティはものすごく協力的ですよ」と彼は言う。
サイズさんをはじめとするダイバーは、素人探偵としての役割を真剣に受け止めている。
ダイバー探偵は貴重な存在
警官を退職後、現在は未解決事件の解決を支援するNPO団体Season of Justiceのエグゼクティヴディレクターを務めるスティーヴ・デュボワさんは、YouTubeで活動するダイバー探偵は失踪者捜索に貴重な存在だと考えている。「警官仲間には違う意見の者もいるかもしれませんが、発見後は(警察に知らせるよう)配慮し、私有地に入る許可を取っている限り、マイナスな点はないと思います」。ダイバーが失踪事件を解決してくれるなら、警察の捜査部署をひとつ減らして経費削減できる、というのがデュボアさんの見方だ。
Quality Towing社のシニアスタッフ、ダスティン・マイルズさんは、これまでにサイズさんと4台の車を引き揚げた。
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