【動画を見る】ジェフ・ベックとスティーヴィー・ワンダー、夢の共演動画
ワンダーはデトロイト・フリー・プレス紙に対し、このように語っている。
ベックとワンダーが初めて一緒に仕事をしたのは1972年、後者がのちに名作と呼ばれる『Talking Book』を制作していた時のこと。プロデューサーであるロバート・マーゴレフとマルコム・セシルの紹介で、ワンダーはベックに収録曲「Lookin for Another Pure Love」のソロを弾いてもらうことになった。
「彼のことはよく知らなかった」。ワンダーはベックとの出会いを述懐する。「でも、ニューヨークで彼の演奏を聴いて、『Lookin for Another Pure Love』を作っているときに、『この曲で演奏してみないか?』と言ったら、彼も乗り気だった。彼は1つのパートを置き、次に別のパートを置き、さらに別のパートを置いた。本当に素晴らしかったよ」。
名曲「迷信」に関するエピソード
スタジオに入ったワンダーとベックは、当時ワンダーが書いた別の曲「Superstition」(邦題:迷信)もプレイした。ワンダーはもともと、ベック・ボガート&アピスのためにこの曲を提供することに同意していた。そのトリオが先に 「Superstition」をレコーディングしたが、モータウンはこの曲のヒットの可能性に気づき、ベック・ボガート&アピスが1973年のデビューアルバムを出す前に、ワンダーのバージョンをリリースすることになった。
「『聞いてくれ、これはジェフ・ベックのために作ったんだ。彼はこの曲が好きなんだ』とモータウンに言ったよ」と、ワンダーはフリー・プレス紙にそう語っている。「私は『Sunshine of My Life』を最初のシングルにすべきだと思っていた。彼らは『ダメだ、ダメだ。最初のシングルは『Superstition』にするべきだ」と突っぱねてきた。だからジェフのところに戻って、この件で相談したんだ。
それでも、このトリオによる「Superstition」は、ベックの最高傑作のひとつとなった。ベックはその後、1975年のアルバム『Blow by Blow』で「Cause Weve Ended as Lovers」「Thelonius」の2曲をワンダーと録音し、2009年のロックの殿堂入り25周年記念ショーでワンダーと再会して「Superstition」を演奏している。
ワンダーはフリー・プレス紙に対し、ベックの訃報を受け、「Lookin for Another Pure Love」を聴き直したと語った。「今日改めて聴き直し、当時のことを思い出しながら感情的になった」 とワンダーは述べている。「音楽には何かがあるんだ。ファンであるあなたにとって、曲はあなたをある時間・空間に連れ戻すものだと思う」
「その人のことを話している限り、その人は生き続けることができる。
From Rolling Stone US.
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