第65回グラミー賞は、協調的で、ウィットに富み、涙を誘い、そして意外にも感動的だったーー時代と折り合いをつけることができない音楽賞のショーにしては。
だからこそ、ビヨンセが最優秀アルバム賞を受賞しなかったことは、より衝撃的で、レコード・アカデミーが自身を侮辱しているようにも感じられた。音楽シーン最大の夜は、なぜ黒人女性に正当な評価を与えることを嫌うのか?
ビヨンセの7作目『RENAISSANCE』は、頭脳的なリリックとクィアコミュニティへの深い賛辞を込めた魅惑的なクラブバンガーであった。ローリングストーン誌のレビューで、ライターのMankaprr Contehは「ダンスミュージックの歴史を横断して、ナイトライフの圧倒的な自信と深い人間的なつながりを思い起こさせる。(中略)『RENAISSANCE』はクラブのエネルギーと自尊心を、自己愛のデモンストレーションとして表現している」と評している。
技術的なレベルでは、『RENAISSANCE』はダンスクラシックとして、また音楽史の象徴的な作品として成功した。ビヨンセが最優秀ダンス/エレクトロニックアルバム賞を受賞し、グラミー賞の最多受賞アーティストという歴史を作り、さらにこのジャンルを発明したクィア・コミュニティに感謝を捧げたとき、それは明らかだった。とはいえ、最優秀アルバム賞に選ばれなかったことは、レコード・アカデミーがよりよいものを生み出すアーティストに対する基本的な理解をまだ欠いていることを証明している。
これは以前にも見られた光景だ。ビヨンセはベック(2015年)、アデル(2017年)、そして今回のハリー・スタイルズ(2023年)が賞を獲得した瞬間、歓声に包まれながら立ち尽くしていた。しかし今回、黒人アーティストの音楽史への貢献がこれほどまでに強調された夜、ビヨンセへのsnub(冷たい態度)は特に腹立たしく感じられる。
From Rolling Stone US.