【ライブ写真まとめ】レックス・オレンジ・カウンティ来日公演(全10点)
今回のツアーでサポートアクトに抜擢されたのはグレントペレス(Grentperez)というシドニーのシンガーソングライター。2001年生まれのフィリピン系オーストラリア人で、近年その抜群のポップセンスで人気を集めている。当日はスリーピースのバンド編成で開演時間ぴったりに登場。日本を訪れたのは初めてだというグレントペレスだが、オーディエンスにROCの名前をコールさせたり、スマホのライトをつけさせたり、なぜか深呼吸させたりと、相互にやり取りしながらユーモアたっぷりのハートフルなステージを披露した。人懐っこいメロディに陽気でキュートなキャラクター。21歳の時点でここまで自然体で人々を楽しませることが出来るのは並大抵のことではないし、確実にファンを増やしたに違いない。

Photo by Ryo Mitamura
グレントペレスの堂々たるパフォーマンスから30分後、待ちきれないオーディエンスから「アレックス! アレックス!」というコールが何度か自然発生したのち、遂にROCが登場。1曲目は2015年の1stアルバム『Bcos U Will Never B Free』の冒頭を飾る「Rex (Intro)」だ。当時16歳のROCが自分らしくありたくても、その自分とは一体何なのかが分からずにいるという出口のない複雑な感情を歌った曲である。月と太陽を模したキャラクターが大きく描かれた幕が上がると、サックス、ドラム、ベース、ギターのバンドメンバー4名が現れ、性急なエイトビートの上でベースが唸りを上げる。
ROCが「みんなこの曲は知ってるかな?」と尋ねると、アルバム未収録の「Sunflower」を歌い始める。イントロだけでフロアは爆発的な悲鳴に包まれ大合唱が起こっていたのは、いくら観客に外国人が多かったとはいえ、衝撃的な光景だった。他にも「Uno」や「Edition」などのアルバム未収録曲でもオーディエンスの盛り上がりは衰えることがない。「THE SHADE」でのコールアンドレスポンスや、「4 Seasons」では歌詞の「LA」を「Tokyo」に言い換えるなど、ROCもご満悦の様子だ。

Photo by Ryo Mitamura

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幕が下りてバンドが一旦隠れると、ここからはROCによるソロでの弾き語りコーナー。ピアノの伴奏のみで披露された「Always」は、オーディエンスは自然とスマホでフロアをライトアップし、親密な空間を演出する。

Photo by Ryo Mitamura

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この日最もマジカルな瞬間だったのは「Best Friend」の後半部だったと、会場にいた人々は口を揃えるに違いない。
帰りに周囲を見回すと、多様なバックグラウンドを持った人々が集まっていたのだなと改めて感じた。終演後にBGMとして流れるSZAの「Kill Bill」を口ずさむ声があちこちから聞こえてきたのも新鮮な感覚だった。ステージをバックに記念撮影する若者グループの多くは英語以外の外国語を話すアジア系の人々だったし、欧米圏の白人らしき人々の他にもヒジャブを被った女性も複数見かけた。この日、ROCは一流のエンターテイナーとして見たことのない景色を何度も見せてくれた。そしてそれはこの一夜限りのオーディエンスと共に作り出した景色でもあるのだ。

Photo by Ryo Mitamura
〈セットリスト〉
1. Rex (Intro)
2. Television/So Far So Good
3. 10/10
4. AMAZING
5. Sunflower
6. Face to Face
7. Uno
8. Edition
9. THE SHADE
10. 4 Seasons
11. Always
12. Happiness
13. Untitled
14. Corduroy Dreams
15. KEEP IT UP
16. IF YOU WANT IT
17. Never Enough
18. Best Friend
19. Loving Is Easy
20. It's Not the Same Anymore
21. Pluto Projector
セトリプレイリスト:https://sonymusicjapan.lnk.to/tokyosetlistRS