いに対する一つの答えを示すような、彼らの表現の真髄が凝縮された渾身のライブだった。順を追って振り返っていきたい。
【画像】PEOPLE 1、有明アリーナ公演(全6枚)
会場に入ると、まず、PEOPLE 1のテーマカラーである赤色を基調としたステージセットが目に入る。そして開演時間を迎えると同時に、ライブの幕開けを告げるオープニングムービーが流れ出す。それは、「PEOPLE 1とは何か?」という問いに対して、様々な人が自分なりの定義を返答する音声を繋いだもので、「一言では表せない。」「複雑。」といった返答が次々とコラージュされていく。やがて、ステージをスモークが覆い、荘厳なSEが轟き始める。そして、「PEOPLE 1とは、君が今から観る全て」というナレーションの言葉が届けられ、オープニングナンバー「アイワナビーフリー」からライブが幕を開ける。メンバーの衣装は赤色をベースとしたもので、それぞれが手に持つ楽器も赤い(この日のためにドラムを赤く塗装したとのこと)。幕開けから容赦なくTakeuchi(Dr)の豪快なドラムがアリーナを激しく揺さぶり、Deu(Vo・G・B・Other)の「騒げ、有明アリーナ!」という熱烈な扇動を受け、次々と一人ひとりの観客の歌声が重なり、やがて壮大な大合唱となって会場全体に響き渡っていく。Deu「『PEOPLE 1の世界』へようこそ、素晴らしい夜をつくろうぜ。」、Ito(Vo・G)「有明、会いたかったぜー!」という挨拶を交えつつ、「さよならミュージック」、立て続けて「鈴々」へ。Itoは同曲の《ずっと騒いでいようね》という歌詞を《ずっと騒いでいようぜ、有明!》と替えて歌い、その想いに応えるように観客は一斉ジャンプをばっちりときめる。次にドロップされたのは、熱烈なパーティーチューン「ハートブレイク・ダンスミュージック」だ。
最初のMCパートでは、Deuから、5周年を迎えたタイミングで行う今回の本公演には明確なコンセプトや縛りはなく、それはつまり、この5年間の全てを出し尽くすベスト的なものになることが伝えられた。熱く、温かな拍手が巻き起こる中、「ラヴ・ソング」から次のブロックが幕開け。Itoは、センターステージ上で胸に手を当てながら渾身の想いを歌い届け、そして同曲の終わりで両手を左右に大きく広げて「騒げ!」と全方位の観客に叫び、「GOLD」へ。2番のサビでは、マイクを丸々フロアに託し、その信頼の念を受け、観客はめいっぱいの大合唱を響かせていく。なんて熱いライブコミュニケーションなのだろう。ここから、今回の公演だからこその特別な展開へ。まずは、「スクール!!」を大々的にアレンジした「新訳:スクール!!」がドロップされる。重厚さ、鋭さを容赦なく高めた鮮烈なトラックを基軸としたアレンジで、間奏では、Takeuchiの全身全霊のドラムソロが届けられる。その後、彼はドラムを離れ、花道を辿ってセンターステージへ。
圧倒される観客たちに向けて次に放たれたのは、2024年リリースの「メリバ」だ。スクリーンに大々的に映し出される「MERRY BAD END」の文字。曲に入る前にItoが「みんなが愛してくれているように、僕もみんなのこと愛してます。好きだから殴るんです。」と語っていたように、まるでお互いに愛をぶつけ合うような熱烈な応酬がステージとフロアの間で巻き起こっていく。次の「DOGLAND」では、観客が真紅に光るスマホの画面を掲げ、メンバーの熱烈なライブパフォーマンスを猛烈に彩ってみせる。ステージ後方では、X状の炎も高らかに放出。またしても、クライマックスのような熾烈な一幕となった。続けて、Itoの「ダンスを続けようぜ。」という呼びかけから「フロップニク」「銃の部品」の2連打へ。
ここで、スクリーンに幕間映像が映し出される。今回の問いは、「大衆音楽とは?」。それは、PEOPLE 1が、この5年間を通して一貫して掲げ続けている究極のテーマだ。様々な人が、自分が思う"大衆音楽"の定義を応える音声が次々とコラージュされていくが、誰もがその答えを一言で明確に答えられない。そして、「僕が言葉を紡げば、君と分かり合える。僕が歌を歌えば、話ができる」「なんて素晴らしい、なんて嫌な気分」というナレーションを挟み、「大衆音楽」が披露される。Deuは、全ての始まりの部屋である"113号室"を模したようなセンターステージで、パソコンに向かい、自らの創作の過程を見せながら、《あの子はラブソングに夢中》《あの子はポップソングに夢中》と歌う。《ロマンチックな歌を作ろう 君の気を引く歌を 君の言う通りにね》《こんなにも君のことを想ってしまう僕だ》これらの言葉たちが象徴的なように、この曲には、"大衆音楽"という壮大なテーマに一人で立ち向かうDeuの苦悩や葛藤の跡が深々と刻まれている。
ここで、TakeuchiのMCパートへ。
いよいよ、ライブはクライマックスへ。「常夜燈」では、観客がスマホのライトを大きく左右にウェーブさせながらメンバーのライブパフォーマンスを美しく彩り、本編ラストの「魔法の歌」では、《恐れるな 愛おしき日々を 世界の終わりは君の左手で その反対側は僕の右手なのだ》という揺るぎない確信がメンバーから一人ひとりの観客に共有されていく。
セットリスト
1. アイワナビーフリー
2. さよならミュージック
3. 鈴々
4. ハートブレイク・ダンスミュージック
5. ラヴ・ソング
6. GOLD
7. 新訳:スクール!!
8. 新訳:もっと!ドキドキする
9. メリバ
10. DOGLAND
11. フロップニク
12. 銃の部品
13. Ratpark feat. 菅原圭
14. 大衆音楽
15. 怪獣
16. 113号室
17. idiot
18. 僕の心
19. 常夜燈
20. 魔法の歌
EN1. 紫陽花
EN2. 東京
EN3. エッジワース・カイパーベルト


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