様々な映像作品の音楽を手掛け、ボーカル楽曲に重点を置いたプロジェクト・SawanoHiroyuki[nZk]でも絶大な人気を博す澤野弘之。そんな彼が「常に夢中にさせてくれるボーカリスト」と絶賛するシンガー・Harukaze。
独創的なアートワークを手掛けるクリエイティブコレクティブ・Classic 6。そこへ新たなボーカリスト・Yunoaが加入し、ツインボーカル体制となったNAQT VANE(ナクトベイン)のコンセプトEP『NV』が完成した。

今回のインタビューでは、昨年5月より新体制で活動してきたふたりのボーカルに2025年のNAQT VANE像、ふたりから見た音楽プロデューサー・澤野弘之、運命的な出逢いだったと思わせるHarukaze+Yunoaの今日までのストーリー。そして、各々のソロ歌唱曲からふたりの新バージョンへと進化した代表曲まで収録された『NV』について語ってもらった。

-昨年5月よりHarukazeさんとYunoaさんのツインボーカル体制となり、今現在、NAQT VANEはどんなユニットやプロジェクトになっているなと感じていますか?

Harukaze:NAQT VANEは「挑戦者に追い風を吹かせる」というコンセプトで立ち上がったプロジェクトで、当初から「新しいメンバーがどんどん加わっていくかもしれない」みたいな話はしていたんですけど、実際にYunoaが新たに加わったことによって、楽曲の深みも増したし、こうやって進化していくのがNAQT VANEなんだなと。なので、こうなるべくしてなった今の体制だなと感じています。

Yunoa:「挑戦者に追い風を吹かせる」というテーマ通り、私自身も挑戦が多い1年だったんですよね。加入してすぐラップを任せられるようになったんですけど、今までやったことがなかったから最初は上手くやれると思っていなくて。今もまだまだ上達させたいポイントはたくさんあるけど、ラップという新たな力を手に入れたことで、ステージングだったり、加入前のソロ活動ではやっていなかったことがたくさん吸収できて。これからもそういう機会が増えていくと思うとすごくワクワクするし、そういう意味でも面白いプロジェクトだし、NAQT VANEに参加させてもらえたことに感謝しています。

-ラップ経験者じゃないアーティストに「自分の音楽にYunoaのラップはハマる」と思ってチャレンジさせる澤野弘之さんのプロデュースワークも面白いし、実際にNAQT VANEの音楽を進化させられているところが凄いですよね。

Yunoa:最初は「ラップ? いやいや、出来ないですよ」みたいな感じだったんですよ。
でも「そんなにゴリゴリのラップじゃないからやってみよう」と言われて。それで新体制初の新曲「FALLOUT」を昨年9月にリリースすることになったんですけど、「めっちゃラップやん」みたいな(笑)。でも、実際にやってみたら、自分の中でも想像以上にハマって「あ、私、意外と出来るのかも」って。ムチャぶりされてやってみるのも悪くないなと感じましたね。

Harukaze:Yunoaは成長のスピードがすごく速くて「ここまで吸収力があるんだ」と驚きました。それだけ全速力で駆け抜けていると思うんですけど、それにちゃんと体も追いついているから「NAQT VANEの一員としてやっていくぞ」というエネルギーの凄さを感じますね。

-ちなみに、NAQT VANEは元々Harukazeさんのワンボーカルでしたけど、Yunoaさん加入後はふたり体制バージョンのHarukazeというものを意識して活動していたのか。それとも今まで通りのマインドで活動していたら自然と噛み合っていったのか。どっちだったんでしょう?

Harukaze:どちらかと言ったら、ふたり体制に合わせていった感覚のほうが大きかったかも。Yunoaが加わって初めてNAQT VANEを知った人もいるわけだから、ふたりが同じところからスタートしたように見せたいという思いもあった。Yunoaの魅力を引き出せるように私も合わせていったという感覚ですね。

-その感覚はどこで培われたものなんですか?

Harukaze:NAQT VANEに入る前は、レコード会社で働いていたこともあって、「人を笑顔にしたい」「誰かの役に立ちたい」「誰かの為に何かをやりたい」という気持ちが元々強いんですよね。
なので、もちろんNAQT VANEを引っ張っていく存在ではありたいんですけど、Yunoaの魅力も引き出していきたいと思っているんです。例えば、今回のツアーは私がプロデュースする「太陽」の回と、Yunoaがプロデュースする「月」の回の昼夜公演でライブさせてもらったんですけど、夜はとにかくYunoa=月にスポットライトを当てるみたいなイメージで私は立ち回っていましたね。

-今回は澤野さん不在のインタビューなので、こんな質問もしてみたいんですけど、ふたりにとって澤野さんはどんな存在になっていますか?

Yunoa:澤野さんはなんでも拾ってくれるし、なんでも笑ってくれる。例えば、ミックスとかで一緒になったときに、飴がスタジオにあって「どれ食べる? 俺はキャラメル味が好き」「おいしそうですね」みたいな他愛のない話をしてくれるんですけど、それがすごく楽しくて。音楽の話でも、澤野さんはすごくいろんな音楽を聴いてるから「こんな曲も聴くんですね。私はこういう曲を聴きます」「え、それも聴いてるの?」みたいな感じで盛り上がれるし。だから、人見知りな私でも関わりやすいし、すごく話しやすいです。

NAQT VANE(ナクトベイン)が語る、澤野弘之の存在、コンセプトEPに込めた新しいヴァイヴス

Yunoa(Photo by Jumpei Yamada)

Harukaze:最初はクールなイメージだったんですけど、実はすごく接しやすいんですよね。あと、ツアーでも披露したんですけど、今回のコンセプトEP『NV』には、ふたりそれぞれのソロ曲「O」(Harukaze)と「C」(Yunoa)が収録されていて。これまでも「自分の知らない面を引き出してくれた」みたいなことはあったんですけど、音でこんなに私たちの魅力や個性を表現できるんだと驚いて。もちろん凄い音楽プロデューサーであることは分かっていたんですけど、NAQT VANEでひとりで歌っていたときより「私たちのことをすごく見ているんだな」と感じました。澤野さんは忙しいから会う回数もすごく多いわけではないし、今回のソロ曲を制作するうえで長時間話したわけでもないのに、あそこまで私たちっぽい曲を生み出せるプロデュースの凄さを再認識したというか、ここに来てまた改めてリスペクトする気持ちが大きくなっています。


NAQT VANE(ナクトベイン)が語る、澤野弘之の存在、コンセプトEPに込めた新しいヴァイヴス

Harukaze(Photo by Jumpei Yamada)

-プロデュース対象の認識能力がズバ抜けているんでしょうね。

Harukaze:ズバ抜けていると思います。普段はそれを表に出さないんですけど、生まれてくる楽曲を聴くと「こんなに分かってくれているんだ」と驚かされるんですよね。並外れた観察力と聴力があるからこそ、今回のソロ歌唱曲もこれだけふたりの魅力を音で表現してもらえているんだろうなって。本当に有難いです。

-澤野さんは、様々な映画やアニメの音楽を担当したり、NAQT VANE以外にも多くのプロデュースを手掛けていたり、中国での大規模コンサートを成功させたり、無数のプロジェクトを同時並行されていますが、その活動ぶりに対してはどんな印象を持たれていますか?

Harukaze:あまりにも幅広くて「どこまでいくんだ、この人!」って思います。元々グローバルに認知されていますけど、最近は劇場アニメ『ベルサイユのばら』などの劇伴もやりながら、K-POPの方たちともお仕事されたりしていて、これからさらに広く知られていくんだろうなって。そのうちグラミー賞とかにもノミネートされそうだし、本当に世界が見える。「最近、何しているんですか?」って聞くと、スケジュールがとんでもないことになっていて何年も先までいろいろ決まっているし。その中でどうやって……シンプルに「いつ寝てるの?」って思います(笑)。でも、毎回素晴らしい作品を生み出しているわけじゃないですか。凄いです。


Yunoa:その脳を使い分けられるのが凄い。私なんてソロとNAQT VANEだけでいっぱいいっぱいなのに、澤野さんは数え切れないほどのプロジェクトを常に進行しているわけでしょ。

Harukaze:それで、私たちと雑談もできてさ。

Yunoa:普通、そこまでいろいろ抱えていたら雑談する余裕なんてないよね(笑)。

Harukaze:でも、澤野さんは楽しく雑談してくれる(笑)。

-先日、LiSAさんのインタビューで「澤野さんと「ReawakeR(feat. Felix of Stray Kids)」で久々にご一緒されてみていかがでしたか」と聞いたら「澤野さんは頑固で早口(笑)」と言っていて。たしかに澤野さんは早口だし、あの速度でいろいろ脳内処理されているんだろうなと思いました。

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Harukaze:たしかに早口(笑)。レコーディングのときも颯爽と現れて、バァーってしゃべって。でも、澤野さんはあの早口に助けられているのかも。いろんなことを処理しなきゃいけないから、早口になっちゃっていっているのかもしれない。

-昔はそこまで早口じゃなかったけど、仕事が増えるにつれて……。


Harukaze:どんどん速度が上がっていったのかもしれない(笑)。

-そんな数多ある澤野さんのプロジェクトの中で、NAQT VANEではどんな特色を打ち出していきたいと思っていますか?

Yunoa:NAQT VANEは洋楽っぽさがいちばん強いと思うので、いちばん海外に手が届きやすいんじゃないかなって。外国人でも分かるヴァイヴスがあるなと思うので、それを全面的に打ち出していきたいなと思っています。

Harukaze:あと、澤野さんの他のプロジェクトは毎回ボーカルが変わっていったりする中で、NAQT VANEはこのふたりで継続してやっていくものなので、成長がいちばん見えるプロジェクトなのかなって。澤野さんだけじゃなく、私たちもどんどん変化していくプロジェクトだからこそ、いつまでも追いかけ甲斐があると思うんですよね。

-それに加えて、NAQT VANEは澤野さんの強みであるアニメカルチャーとの関わりをまだ敢えて持たないようにしているじゃないですか。そういう意味では、純粋に音楽作品とパフォーマンスでどこまで勝負できるかチャレンジしているプロジェクトでもあるのかなって。

Yunoa:ツインになったからこそ、もっとそれが感じられるようになったというか。ボーカリストがふたりいて、お互いがお互いの魅力を引き出し合っていて、アートワークを担当して下さっているクリエイティブコレクティブ・Classic 6も含め、純度高いアート作品としての音楽を表現できるようになっていると思うんですよね。それでいて、どんどん成長を感じさせられるし、どの楽曲もいったん完成しておしまいじゃないし、今回のコンセプトEP『NV』で表現しているように進化していく。さらには、HarukazeとYunoaが交わった魅力と個々の魅力も伝えられるプロジェクトだから、その唯一無二なところに注目してもらいたいなと思いますね。

-そんな様々な特色を持つようになったNAQT VANEですが、そこに至るまでのふたりのストーリーも掘り下げさせて下さい。
先程話してくれたツアーの前にリリースイベントで全国各地をまわっていましたよね。実際にやってみていかがでした?

Harukaze:Yunoaがそもそも全国各地にあんまり行ったことがなくて、ほぼどこも「初めて来ました」みたいな。そんな感じでいろんなところへ行ったので、そこでふたりの仲も深まったし、パフォーマンスを毎週立て続けにやるから「精度を上げたい」という気持ちも強まったと思います。VANEs(※NAQT VANEファンの呼称)の皆さんもふたりのNAQT VANEを観るのは新鮮だったと思うし、私もひとりでやっているときとは全然違う印象でした。

Yunoa:私はそもそもアーティストになって数ヶ月しか経っていなかったので、ステージでパフォーマンスする経験も少なかった中でのリリースイベントだったから、Harukazeを見ながら「なんとか吸収しなきゃ」って。でも、初めて各地のVANEsに逢って「めっちゃあったかいやん。こんなあったかいファンいる?」ってビックリしました。眼差しが本当にあったかくて……急に満たされる。

Harukaze:親みたいな眼差しで観てくれる人もいるもんね。

-NAQT VANEって世界観も大事にしていると思うんですけど、リリースイベントって剥き出しじゃないですか。ゆえに世界観を創り出しづらいし、そういう意味では通常のライブよりタイトだと思うんですけど、その辺の難しさは感じませんでしたか?

Harukaze:感じました。だから、とにかく歌唱力で勝負しなきゃいけない。それで、歩行者や買い物客の皆さんにも「誰? この人たち。歌うまい!」と思って足を止めてもらう。もしくは「すごい盛り上がってる!」と思って集まってきてもらう。皆さんの日常の中で非日常を感じさせなきゃいけないから、そこは意識して頑張っていましたね。

Yunoa:ずっと緊張していました。初めてのことだらけだったし。でも、ステージの前を通ってくれる人がいたら「絶対に目を合わせよう」と思って。そういうことをずっと考えながら歌っていました。

-路上ライブにも近いですもんね。

Harukaze:そうですね。そこで営業になりすぎないようなトークもしなきゃいけないから。「これを買ってよ、聴いてよ」だけでは興味を持ってもらえないし、だからその地方に合ったトークを考えたりとか。でも、リリイベはCDショップという音楽に愛があるところで出来るじゃないですか。そういう意味では、いちばん伝わりやすいのかなと思ってリリイベも大切にしているんですけど、毎回挑戦があって、発見もあって、それが楽しかったですね。

Yunoa:あと、そのリリイベ期間のエピソードとしては、私はしばらくHarukazeに敬語で接していたんですけど、どこかのタイミングで「タメ口にしない?」みたいな瞬間があって(笑)。それから急に距離が縮まってアーティスト同士として、パートナーとして繋がれたような気持ちになりました。

Harukaze:敬語でしゃべっていたこと、忘れてた(笑)。

Yunoa:それまでは「Harukazeさん」とか「Harukazeちゃん」って呼んでいたんですよ。

Harukaze:それまでも何回か「タメ口にしない?」と言っていて。そこを取っ払わないと言いたいことも言えないし……たしかにリリイベ期間だったわ! そこからは何でも話せるようになっていって。私、パートナーがYunoaでよかったと本当に思っているんですよ。太陽と月みたいに全然違うところもあるし、対の部分が多いと言えば多いし、もし同じ学校にいたら話していないかもしれないけど、実際に話してみたら共通点もめっちゃあるし。で、すっごい優しいんですよ! 心が! マジメだし、そこに私はすごく惹かれていて。人間としてリスペクトできる部分がたくさんあるからこそ、私もちゃんと向き合えるし。

NAQT VANE(ナクトベイン)が語る、澤野弘之の存在、コンセプトEPに込めた新しいヴァイヴス

NAQT VANE(Photo by Jumpei Yamada)

-それは、共に活動していく中で重要な部分ですよね。

Harukaze:音楽を一緒にやるうえで「声がいいね。パフォーマンス力もあるね」とかだけじゃダメで、やっぱり人間として好きにならないとあれだけのステージは一緒にできなかったと思うし。でも、人間性が合うかのチェックなんてしていなかった中で、ここまでちゃんと合ったのは奇跡だなと思うし、有難いなと思うし。まぁ、私が思っているだけかもしれないんですけど……。

Yunoa:そんなことないよ(笑)。

Harukaze:ちゃんと人間性の部分でパズルが上手くハマったなって。

Yunoa:私は、食べ物の好みが同じ人は仲良くなれると思っているんですよ(笑)。自分が好きな食べ物を「好きじゃない」と言われちゃうと仲良くなりづらい。でも、Harukazeはめっちゃ食べ物の好みが合うんです。SNSとか見ていて「これ、食べたくない?」が一致するんですよね。今は桜の時期だから「ミスドの桜もちっとドーナツ、食べたいな」みたいな(笑)。

Harukaze:常に送り合ってるもんね。食以外にもそういうところがたくさんあるんですよ。だからこそ、一緒に音楽をやっていても上手くいくというか。声色は結構違うのに「ハモったらこんなに綺麗なんだ」とか。それも事前にテストとかしていないから、どうなるか分からなかったんですけど……そういう奇跡が重なって一緒に活動できているからこそ、愛も強くなるし。

-自分も2人のツアー「NAQT VANE Prologue Tour 2025 - DUOVERSE ep.1」KANDA SQUARE HALLでの昼夜公演を観させてもらったんですけど、ふたりの声の掛け合いを体感して「ここまで相性良く、どんどん爆発力が増していくのか」と驚かされました。そのうえで今の話を聞いて、人間性と音楽性ってニアリーイコールなんだなと。

Harukaze:それはあると思います。まず人間性にリスペクトがなければ、自分の喉から出ている声を本能的に合わせにいかないと思うんです。「この人と人間的に合わないな」と思ったら、どうしても距離を置いちゃうじゃないですか。それが声に出ちゃう。でも、私たちは人間性がピッタリ合っているから、声も自然と合っていくんだろうし、動きもどんどん合っていくんだと思います。今回のツアーは8公演しかしていないけど、この先も回数を重ねて、これがどんどんシンクロしていったら、もっと凄いライブをお届けできるんじゃないかなと思っています。

-そんなふたりの交わりと個々の魅力も堪能できるコンセプトEP『NV』が完成しました。今回のツアーで初披露した太陽(Harukaze)の「O」と月(Yunoa)の「C」も収録されていますが、それぞれどんな印象を持たれていますか?

Harukaze:まず「O」に関しては、たぶん元気な曲が上がってくるんだろうなとは思っていたんですけど、「ここまで自分の良さが出る曲に仕上げてくれるなんて!」と驚きました。さっきも話したんですけど、凄いプロデュース力だなって。あと、今回のツアーでお客さんに初披露して、歌う度に「O」に込める自分の想いはもちろんなんですけど、VANEsのエネルギーみたいなものも「O」に加わって、どんどん「O」が大きくなっていくイメージもあったんですよ。なので、今後、例えばまた次の作品に収録されるとしたら「O」の表記が大きくなっているかもしれない(笑)。

-タイトルのサイズがどんどん大きくなる曲、今まで見たことないです(笑)。

Harukaze:それぐらいツアーでこの曲の良さが増した感覚もあるし、毎回いろんなことに挑戦しているんですけど、今回の「O」のレコーディングでは、最後にフェイクを録音していて。海外に留学していた時代、友達と楽曲制作をしていたんですけど、その当時はフェイクを入れるレコーディングが好きだったんですよ。それを今回思い出せたというか、元々持っていた自分の歌唱法をNAQT VANEでも表現することができたんですよね。あと、サビの部分でもいろんな声色で歌ってみたんですけど、エンジニアの人と「シンディ・ローパーみたいに歌ってみようよ」って盛り上がって。だから「O」には、私の中のシンディ・ローパーがいるんですよ。で、自分の得意なしゃくりも凄い出る曲だし、すべてにおいて自分にめちゃくちゃフィットしている曲なので、改めて澤野さんの凄さを実感しました。

-Yunoaさんのソロ曲「C」にはどんな印象を?

Yunoa:これはもう、私がずっと考えていたことがそのまま表現されているなって。元々、私はネガティブ人間なんですけど、それを人前では出さないようにしていたんです。それこそ音楽でしか出したことがなくて。ただ、NAQT VANEはポジティブな曲が多いんですよ。その中で私の意見を尊重して、ネガティブを受け入れたうえで最後はポジティブに終われる、ちょっと光が見えるような曲を仕上げてくれたんですよね。なので、NAQT VANEのYunoaとしてもフィットするし、素の自分にもフィットするし、すごく腑に落ちる曲だなと感じています。

-Yunoaさんだからこそ表現できる曲になっていると。

Yunoa:ネガティブな人にとりあえず「大丈夫だよ、頑張れよ」と言う人って多くて、私も「今、ネガティブになっている。どうしたらいいか分からない」と思っていたときに「Yunoaなら大丈夫だよ」って片付けられることが多かったんです。それがすごくイヤで。で、そういう人って私以外にもいっぱいいると思うから、この曲「C」を聴いてもらえたらなって。何事も最終的にはひとりで戦わなきゃいけないんだけど、この曲を聴いている間は自由になっていいし、泣いてもいい。それをそのまま音楽に乗せてくれた曲なので、自分も救われました。ちゃんと自分の曲だなって感じられましたね。

-また、本作には、新体制初のシングル曲「FALLOUT」に加え、既存曲「TOUCH」「NOWVERSE」「Ditty」「Break Free」のNV(Harukaze+Yunoa)バージョンも収録されています。

Harukaze:ひとりで歌っていた時代の1stフルアルバム『Dispersion』のバージョンよりも、最近はNVバージョンのほうが聴いているし、それぐらい私の中で自然になっていたものだったので、それが形となってVANEsたちにも、まだVANEsじゃない人たちにも届けられるのは嬉しいですね。新体制の魅力がすべてギュッと詰まった作品ですし、元の音源との違いも明確に分かると思うので、ぜひ多くの人たちに聴いてもらいたいです。

Yunoa:個人的には、自分の曲がCDになるのは初めてなので、それがすごく嬉しい。あと、Harukazeが元々ひとりで歌っていた楽曲に私が入ったことで、全然違うバージョンになっていて、各楽曲の私の捉え方とHarukazeの捉え方のちょっとした違いが上手く混ざり合っていると思うので、それを聴き比べてみてほしいなと思います。

NAQT VANE(ナクトベイン)が語る、澤野弘之の存在、コンセプトEPに込めた新しいヴァイヴス

NAQT VANE(Photo by Jumpei Yamada)

-では、最後に『NV』を聴いてほしい皆さん。そして、NAQT VANEの今後に注目してほしい皆さんにメッセージをお願いします。

Harukaze:『NV』って「NAQT VANE」とか「New Version」とかいろんな意味があるんですけど、実は「Newborn Vibes」という意味もあって。私たちが大事にしているヴァイヴス、この新しいヴァイヴスを4月から新生活が始まる人たちも多いですし、これまでNAQT VANEを支えてくれているVANEsはもちろん、いろんなイベントやフェスに参加して頂けるように頑張って、新しい人たちにも届けていけたらいいなと思っています。

Yunoa:これからどんどん日々を重ねていく毎に成長していく私たちを見てほしいし、このEP『NV』を聴いて「こういう曲が生まれている」という感覚を染み込ませておいてもらって、私たちもブラッシュアップして、どんどんパフォーマンス力を上げていって、レベルアップした私たちを見せにいけたらなと思っています。

<リリース情報>

NAQT VANE
Concept EP『NV』
2025年4月2日リリース
初回生産限定盤
価格:¥2,860(税込)
品番:AVCD-63694
※オリジナルパズルピース封入
※連番シリアル入り特殊仕様
ご予約はこちらから https://NAQTVANE.lnk.to/NV_PKG

Official HP  https://naqt-vane.com/
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