3月16日、東京ガーデンシアターを満員にして、上質なポップスのライブを繰り広げたAile The Shota。前日3月15日にリリースした「SAKURA」を、ライブ本編最後、桜吹雪が舞う中で披露した。


『Aile The Shota Oneman Live ”REAL POP”』では、自身がプロデュースを手掛けるダンスクルー・ODORI、森光奏太(dawgss/Ba)、Hiromu(Key)、So Kanno(BREIMEN/Dr)、HIRORON(DJ)という布陣のバンドメンバー、さらにMaddy Soma、Kenya Fujita、寺久保伶矢(Trumpet)、Shin Sakiura(Gt)、KenT(Sax)、SKY-HI、MANATO(BE:FIRST)、SOTA(BE:FIRST)とともに、歌・演奏・ダンスを掛け合わせた極上の音楽ライブを完成させた。それはAile The Shotaが常々語ってきた、自身のJ-POPやダンスカルチャーなどのルーツと音楽の歴史にリスペクトを向けながら「本質的で大衆的な音楽」=「REAL POP」を作りたいという理想が、本人の想像すらも超える形で実現したものだった。新たなポップスの表現でメインストリームにて活躍することを夢見るソロアーティストたちにも希望を与えているのが、今のAile The Shotaだ。

あのライブで何を感じ、なぜあの日涙を流し、そしてなぜ誰かにとっての生きる理由を背負う決意をしたのか――自身最大規模公演を成功させて、今年「春夏秋冬」にちなんだ4曲をリリースすることを発表しているAile The Shotaが今考えていることをじっくりと聞かせてもらった。

【ライブ写真ギャラリー】『Aile The Shota Oneman Live ”REAL POP”』

―最初に『Aile The Shota Oneman Live ”REAL POP”』について聞かせてください。レポートに書いた通り、新しい上質なポップスを体感させてくれた素晴らしいライブでした。

Aile The Shota:ライブの次の日は死んだように寝て、その翌日にやっと自分で映像を見たんですけど……普通に「すごっ、こいつ」「このアーティスト、やばっ」ってなりました(笑)。

―いつも「自分が好きな自分でいたい」とおっしゃっていますけど、ちゃんと自分が誇れるAile The Shotaで在れたんですね。

Aile The Shota:ちゃんと自信がつきました。圧倒的なライブができるようになったなと思っちゃいましたね。これ、言うか迷いますけど……BMSGの中で圧倒的に一番いいライブをしていると思えているので。みんなライブのやり方が違いますけど、俺が一番好きなライブは、俺が一番できていると思う。
社長(SKY-HI)や(Novel)Coreができないことで俺にできることがあるとも感じたので、BMSGで引っ張らなきゃなって思いました。映像を見返してみて、俺だけど、俺が知ってる俺じゃなかったので不思議な感じがしました。3年でこんなにいいライブができるアーティストになったんだなって……自分が見ている自分より、ちょっと上にいる感じがしていますね。だから自分のマインドを追いつかせなきゃなって思います。

―Shotaさんが常々言ってきた「REAL POP」「本質的で大衆的な音楽」というものが、Shotaさん自身の想像も超えるくらい形にできたんじゃないかなと、ライブを見ながら感じていました。

Aile The Shota:想像を超えられた感じはありました。「REAL POPとは」を具現化できましたね。ライブが決まったのは1年以上前ですけど、実際にリハーサルが動き出したのは近くなってからで。すごいものを作っている覚悟はあったんですけど、マジでやばいのをやれちゃったんだなっていう感じがします。バンドメンバーもODORIもAile The Shotaへの愛がすごくて。

―それはShotaさんが愛を与えているからなんだろうし。ステージ上でみんなにハグしにいくシーンを見て、いつもこうやって他者との壁を自分から壊しにいっているのだろうなと思って。


Aile The Shota:マジで嬉しかったですね。終わったあとのみんなの顔とか写真を見て、「いやもうバンドじゃん」って思いました(笑)。森光奏太(Ba/dawgss)の存在もデカいです。「愛が深い」って言われる自分が、「いやいや、この人こそ愛が深い」って思うくらいの人間なので。そんな奏太が紹介してくれたメンバーで、奏太が俺への愛を体現してくれているからこそ、それが伝播してみんなも躊躇なく俺に「好き」って言ってくれる感じがしました。しかもYOASOBIの現場にジョインして、バンマスとしてのレベルがぐんぐん上がっているし。(Kanno)Soくん(Dr/BREIMEN)も忙しいし自分のバンドもある中で、サポート以上の愛を持って、魂を燃やして叩いてくれたなと思います。俺のヒップホップサウンドの打ち込みから「FANCITY」までを叩けるのはSoくんしかいないっていう話を奏太としてオファーさせてもらったんですけど、「誘いがきたとき、めっちゃ嬉しかった」って言ってくれて。みんなからの「そんなに愛をくれるんだ」っていうのがステージ上に溢れまくっていて、それに助けられましたね。

―でもエモさとか、アーティストストーリーの回収とか、そういうことではなくただただ音楽で楽しませたい、とにかくいい音楽を届けるライブをしたい、ということも前々から話してくれていて。そういうライブだったなと思いました。

Aile The Shota:初めて見た人とか俺を知らない人でも楽しめるくらい、音楽的にすごくいいライブを作りたくて。
それをより細かい言葉にするなら「マジで幸せにする」っていうことだなと思って、「あなたへ」「楽しんでもらうために」ということをずっと念頭に置いてました。そういう中で、それだけじゃダメだから「東京ドームでやるから」「俺についてきてほしい」ということも言って。そのバランスが気持ちよかったなと思います。(お客さんと)対話をしたなっていう感じがします。

―その対話の感じも含めて、今までで一番、自然体なShotaさんがステージに立っているように見えてました。

Aile The Shota:俺としては今までにないくらい緊張してたんです。めっちゃ喉乾くし。でも1秒1秒逃したくないから、「肩肘張らない」「素でいたい」というスイッチをずっと入れ続けていて。ライブが終わったあとに日髙さん(SKY-HI)ともしゃべってて――前は唯一の課題が「もう1枚服を脱ぐだけだね」みたいなところだったんですけど、多分俺は、俺が着たい服を着続けていたら、それがめちゃくちゃ自然になったタイプで。日髙さんが思い描いていたものとは違う形で大成功したんだと思います。プロデューサーの想像を超えられた気がします。俺にしか見せられないものを作れたんだなと思って、それが嬉しかったです。


―Shotaさんはずっと「迎合しない」「媚びない」ということを大切にしていて、あのライブで、その意味もすごくよくわかりました。多くの人に音楽を届けることを目指したとき、すでにある方法論を真似したり迎合したくなったりするんだけど、そうではなくて、本来は新しいものを作った先に「売れる」という現象が生まれるはずで。

Aile The Shota:本当にそう。

―Aile The Shotaはちゃんと新しいポップスを作りにいこうとしているし、それが成功しているライブだったと思いました。自分のルーツや音楽の歴史に根ざしたポップスを鳴らすという意味でも、Aile The Shotaがいう「本質的で大衆的な音楽」が形になっていたなと思います。

Aile The Shota:メンバー、セトリも含めて、「REAL POP」に説得力を持たせられたかなと思います。渋谷eggmanの話と東京ドームの話をするアーティストは、俺しかいないので。でもそれが事実だから。その中で、Maddy Soma(Aile The Shotaが渋谷eggmanで活動していた頃の兄貴的存在)が来てくれて。地続きで、等身大で、「東京ドームでやりたい」と言えたことが嬉しかったです。

―ダンスカルチャーを大事にしたい、ダンスクルーを作りたいと言っていたのも、こうやって歌・演奏・ダンスがすべて噛み合った、音楽的でエンターテイメントに魅せられるライブを作りたいから必要だったということがよくわかりました。バンドの生演奏に合わせてODORIが踊るのもすごくよかったです。


Aile The Shota:ODORIは生楽器とのセッションができるスキルを持っている子たちを集めたんです。ダンスはストリート発祥だということを絶対に忘れないように、セッションでサイファーも組み込んだりして。今までやったライブから、オーガナイズイベント(『PANDORA』『Place of Mellow』)まで、全部がつながりましたね。

―クラシックなブラックミュージックのノリから最新のヒップホップのビートまで鳴らせるバンドの演奏も、ジャズシーンで活躍する寺久保伶矢さんなどのゲストも、ODORIも、全部が「本質的で大衆的なポップス」の「本質」の部分を担っていたなと思います。「REAL POP」とは何か、インタビューで深く語ってくれていたからわかっていたつもりだけど、想像を超えてきてくれて本当に感動しました。

Aile The Shota:よくないときはよくないって言ってくれる身内の人たちも、ライブを見にきてくれたアーティストの友達も、それこそ憧れているSIRUPも、BE:FIRSTの2人(SOTA、MANATO)も、めっちゃ褒めてくれたので。「こんな人たちがこんなふうに言ってくれるところまで来たんだ」と思って、さっきも言ったように、自分が見ているよりもっと上を見なきゃいけないんだなって思いました。もちろん謙遜は大事ですし、驕らないですけど、その人たちに失礼のないように照準を合わせなきゃなって。次のワンマンはちょっと先になると思うんですけど、そのときの世の流れとか、それまでの自分の結果とか、俺自身の心の流れによって何ができるのかが楽しみです。

―Shotaさん自身の歌も進化して、それこそが「本質的で大衆的な音楽」「REAL POP」の核になっていて。新曲「SAKURA」の音源も歌い方がますます洗練されているなと思ったんですけど、歌に対する意識はどうですか?

Aile The Shota:「歌手として歌に向き合う」ということも『REAL POP』を出す時期から言っていたんですけど、着実にそれができたライブだったなって感じました。今までは「技術」「丁寧に」「100点のライブを」みたいに完璧主義になっていたところを、今回で抜けられた気がします。
それはりょんりょん先生(ボーカルトレーナー)のおかげですね。いつもは繊細に音を置きにいく歌い方の印象だと思うんですけど、よくも悪くもライブが音源っぽくて、それがりょんりょん先生からしたら物足りなくて。今回のライブは、足を後ろに引く数が減っているんですよ。声が出ないときこそ絶対に引かない、足を後ろに下げない、一歩前へ、ビビったら声が出なくなるぞ、っていうことを言われて、それを信じてやってました。だからXに書いてくれたことがめっちゃ嬉しかったですね。

Aile The Shota の
Oneman Live "REAL POP"
東京ガーデンシアター

Shotaという人が 人柄が
気持ちのいい浄化されるような優しい空気を生み出して 

その空間は澄み切っていて真っ白で
歌パフォーマンスや演出によって彩りを加えて行くようなライブだった

ただ優しいだけじゃない…— りょんりょん (@ryon2sensei) March 16, 2025

だからShotaには
人の心を優先しすぎないように
控えめすぎないように

自分を自分の歌で浄化して
自分に最高の気持ち良さを味わわせてあげるようなステージにして欲しかった

それが 私の願いでした

普通は 自分のことばかり考えてないで
会場のみんなを幸せにしてあげて
と私は言うのだけど…— りょんりょん (@ryon2sensei) March 17, 2025

―Aile The Shotaはすでに下の世代から憧れられる存在になっているだろうし、この先、夢を見させる存在でいなきゃいけないのだろうなとも思いました。クラブとかTikTokには、R&Bを歌いながらメインストリームにいきたいと思っているソロアーティストがいっぱいいて、Aile The Shotaはそういう人たちの道を拓く存在になってくるんじゃないかなと思います。

Aile The Shota:なりたいですね。REIKOにも「ヒーローだった」って言われたし。ソロでやりたい、ポップスが好き、でもかっこよくいたい、みたいな子っていると思うんですよ。でも結局ビジュアルが大事とされる世の中だったりもする中で、それがきっかけで諦めちゃう子が想像の何倍もいると思っていて。俺もそっち側の人間だったので。それを救いたいです。そこに今目を向けている人はあまりいない気がする。本質的に音楽で夢を見せるための行動をしたいですね。音楽が好きなだけで夢を目指してほしい。そこは頑張りたいなと思います。

Aile The Shotaが語る、春に咲かせたREAL POPと「SAKURA」の希望

Photo by Satoshi Hata

涙の理由と「次」に向かう覚悟

―ライブで「アノナミダ」を歌ったときに溢れた涙は、どういう涙だったのだと思いますか?

Aile The Shota:びっくりしました。ピュアに「幸せにしたい」という気持ちが念頭にあったからこそ、今回のライブは泣かないでやりきろうと思っていたんですけどね。気をつけるものじゃなかったですね、そんな話じゃなかった(笑)。歌いながら歌詞と向き合った結果、ああなったという感じでした。あの曲は、身内の不幸から書いたもので。身内の不幸を歌にするのが怖い、誰かの死を消費したくはない、という気持ちがあったんですけど、それに対して「忘れたくない」という気持ちもあって。人間って、その瞬間の悲しみを忘れちゃうから。そういう中でわーっと書いた曲を歌っていると、その人のことがフラッシュバックしたというか。忘れないでいられているからこその涙だったと思うので、この曲で言ってることがちゃんとできているなって思いました。

―それは、Shotaさんの人生の中で一番大きな喪失というくらいの出来事だったんですか?

Aile The Shota:それくらい(の喪失が)ありましたね。Aile The Shotaとして忙しくなることによって、会える頻度が減るじゃないですか。それをめちゃくちゃ悔いたんですよね。「Aile The Shotaにならなきゃよかったのかな」とか思うくらい。《限りある時間と心を天秤にかけて》というのはまさにそれでした。

―どういう関係の人だったのか、聞いてもいいですか?

Aile The Shota:おじいちゃんのお姉ちゃん。うち、家族関係がすごく近くて。小さい頃から大好きな人だったから、めちゃくちゃくらいました。人って死んじゃうんだなと思って。「次、誰が死んじゃうんだろう」っていうことを2日に1回くらい想像して怖くなる。それがルーティンみたいになってますね。楽しいことをしてないと、そういうことを考えちゃうんです。自分の死も怖いし。

―「Like This」からそう歌ってますもんね。

Aile The Shota:そう、デビューEPで「死にたくない」って曲を書いてますからね。だから変わらずですね。うちの家族、親戚含めて愛が深いから、みんな喪失感がエグいんですよ。その喪失感を近くで感じていたから、その感覚が自分の中に強く残っているんだと思います。人がいなくなることを重く感じちゃう。でもそういう感覚だからこそ書ける曲が多い気はします。「アノナミダ」も、「人生とは」「Aile The Shota哲学」みたいなものが詰まっている歌詞で。偶然あの場で泣いてしまったことによって、俺がどれだけこの曲を大事にしているかがファンにも伝わったのかなと思うと、それはすごく嬉しいです。「LOVE」「Epilogue」とかもそうで、大衆に矢印を向けて書いてはないけど、自分にとって大事な曲なので。

―ライブ前日には「SAKURA」がリリースされました。そもそも今年1年かけて春夏秋冬に曲をリリースするというプランは、どういう発想からですか?

Aile The Shota:それはずっと前から決まっていたわけじゃなく、きっかけはこの「SAKURA」っていう曲が生まれたのと、「踊りませんか?」に《春夏秋冬》というフレーズが入っているので回収しようと思って。あと、やっぱり俺が通ってきたJ-POPには四季を感じられる曲がたくさんあるので、どこかで絶対にやらないとなとは思っていて。今のAile The Shotaにとってはシングルを気合い入れてやるのが大事だと思っているので、今こういうことをやろうかなと。実はこれ、だいぶ前に作っていて、ずっと温めていたんです。デモがあったのは去年の春かな。Taka(Perry)と「何か曲を作ろう」ってスタジオに入って1日でできたのがこれでした。

―アルバム『REAL POP』を経て、よりポップスを突き詰める上で《ぐるぐるぐるぐる》みたいな余白とキャッチーさのあるリリックを作った、ということなのかなと思ってました。違ったんですね。

Aile The Shota:全然。ビートとメロディを考えて浮かんだのがこれだったっていう感じです。1日だから、そんなに考えて作った感じではない。それがよかったですね。1年くらい考えて《ぐるぐるぐるぐる》を出すのはまた違うじゃないですか。それはやりにいってる(笑)。

―そう、やりにいってないことがちゃんと曲のよさになっていますよね。

Aile The Shota:自然な感じ。普通にポップスとして、いい音楽として聴ける。《夢の中で笑う ふたりの影と涙》というフレーズが鍵ですね。別れたあとのことを歌ってるから、「踊りませんか?」のあとのストーリーな感じがします。「踊りませんか?」のMVの楽しい感じとかがまさに《夢の中で笑うふたり》みたいな。忘れられない側が歌ってますよね。付き合ってるときに起きた影や涙とか、「あのとき自分はなんて言えばよかったんだろう」みたいな感情はみんなにあると思うから、そういうところにフォーカスしました。

―だから「アノナミダ」とのつながりを感じたりもしてました。《空》《水溜まり》って、両方の曲で言ってるし。

Aile The Shota:それは「YOLO-You Only Live Once-」(オーディション『THE FIRST』の審査中に、BE:FIRST・SHUNTO、REIKO、RUI、TAIKIと制作した曲)の回収をしました。あの曲で《桜》って使ってたから。

―うわ、なるほど!

Aile The Shota:「SAKURA」は、あのMVを撮れたおかげで解釈が広がりました。直近の恋愛とかだけじゃなくて、青い春を思い出せるいい曲になったなと思えたし、そういう奥の部分まで歌えるようになりました。MVを撮ってるとき、自分の青い春を思い出してものすごい気持ちになったんですよ。高校で撮影したんですけど、戻れない青春ってこんなに美しくて、こんなに痛いのかって。普段記憶に残りにくいタイプだからこそ、フラッシュバックするときはすごくて。その日ブワーってきて、高校の友達に「高校のときの写真、全部送って」って言って送ってもらいました。過去を思い出したいって思わせたい曲ですね。

―自分は忘れっぽいと思っているから、忘れたくないことを常に音楽に刻んでいる感覚がありますか?

Aile The Shota:そうなんですよ、そういうことを歌っちゃう。昔から思い出が消えちゃうんですよね。だから「忘れる」「思い出す」はAile The Shotaの一個のテーマですね。ずっと言ってるもん、「忘れたくない」「思い出したい」とか(笑)。そういう言葉が日常にあるんでしょうね。

―「SAKURA」はライブでバンドとともに歌うと、真っ直ぐなロックに聴こえる感じに仕上がるんだなと感じました。

Aile The Shota:それを完全にイメージして作ってました。ずっとエアギターしながらメロディとかを考えてましたもん。今後出させていただくフェスで、会場をロックできる曲だと思います。あそこまでライブっぽいサウンドの曲はあまりなかったですよね。ライブ感のある曲にしたいって日髙さんに相談して、ベースの出し方とかもアドバイスをもらって、奏太のベースをめちゃくちゃ前に出したりました。本格的なロックはできないっていう客観視はちゃんとできているんですけど、俺の中のJ-ROCKのルーツにちょっと触れてみた感じです。

―今年の展望というと、春夏秋冬の4曲を大事に届けていくことが一番の軸になってきそうですか?

Aile The Shota:春夏秋冬のシングルでどこまで行けるかで、次の箱の大きさが決まる気がします。ライブとしては『Place of Mellow』(5月16日、Zepp Shinjukuにて)があるし、ファンクラブイベントもやっとやれるし。来年は、近い距離でのワンマンをやろうかなと思っています。まだ行ってない地域がいっぱいあるので、一回全部会いにいかないとなって。「ライブを見るまで人生をやめようと思ってました」みたいなメッセージがくるから、次の楽しみを作ってあげたいなと思う。楽しみがないと希望がなくなってしまうくらい、俺のことを重く見てくれている人がいると自覚しているので、マジで生き延びてもらうためにちゃんと次を提示したいなと思います。「あいつが東京ドームとか『紅白歌合戦』に行くまで死ねねえわ」って思ってもらってほしくて。みんなの生きる希望になれたら嬉しいです。

―本当に、あの音楽がドームで鳴ってほしいなと思いました。アーティストによっては、誰かの生きる理由になることは重すぎてしんどいっていうタイプもいますけど、Shotaさんはそれを背負いたいと思えているんですね。

Aile The Shota:そうですね、背負いたいという気持ちはあるかも。背負っているときが一番強い気がしちゃう。前回のツアーの時期はそれが逆にちょっとしんどかったんです。スタッフさんの数が急に増えた感じとかも、ありがたいけど超きつかった。でも、ODORIクルーが一個の成功体験ですね。プロデュースしなきゃいけないから、体力もギリギリの中で一人ひとりと面談したり深夜練したり大変だったんですけど、みんなが笑って仲良くなったときの幸せって、もうすごいから。そういうことが近いところだけじゃなくていろんなところで生まれているんだなと思うと、背負えるだけ背負いたいという気持ちになっちゃいました。

Aile The Shotaが語る、春に咲かせたREAL POPと「SAKURA」の希望

「SAKURA (Prod. Taka Perry)」
Aile The Shota
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