ゴシックなガーゴイルたちが現れ、照明が落とされ、観客がプリマドンナの名を唱える。砂漠のオペラハウスにて──金曜夜(アメリカ現地時間)のコーチェラ、レディー・ガガが『MAYHEM』の物語を語り、まさに”生涯最高のパフォーマンス”を披露しようとしていた。
約2時間・4幕構成のステージでガガが描いたのは、彼女自身の中にある「光」と「闇」の戦いだった。光の側は、金髪の天使のようなガガ・モンスター、闇の側は「Abracadabra」で歌われる「レディ・イン・レッド」──陰のガガ。
第1幕のオープニングでは、3階建てにもなる巨大なドレスを身にまとったガガが登場し、「Bloody Mary」を熱唱。TikTokで再燃した『Born This Way』収録の名曲に新たな命を吹き込んだ。続いて披露されたのは「Abracadabra」。ヴィクトリア朝時代のオペラ歌手を彷彿とさせるダークな姿で歌い上げる。そして「Judas」では、かつて物議を醸したMVの振付をそのまま再現した。
「今夜の気分はどう?……ようこそ、わたしの”『MAYHEM』の館”へ」。ガガは「Scheiße」と「Garden of Eden」を終えた後、初めて観客に語りかけた。
第1幕の終盤では、Bステージで「Poker Face」を披露しながら、光と闇のガガが直接対決──”光のガガ”は敗れ去ったように見えた。だがご安心を。第2幕では、ガガは白いコルセットドレスで土の山から這い出して復活。周囲を囲むのは頭蓋骨のマスクをつけたダンサーたち。「Perfect Celebrity」に合わせて踊るその姿は、「完璧なスター」とは死を経て初めて完成する──そんな痛烈なメッセージのようだった。
「Alejandro」の前にはこんなスピーチもあった。「この混沌の時代に、ロマンチックな贈り物をあなたたちに届けたかった。今年は砂漠の中にオペラハウスを建てたの」「あなたたちがくれた愛と喜びと強さに、心から感謝してる。20歳の頃、夢の中に落ちて、それからずっと夢を見続けてきたみたい。目を覚ましたくなかった……だって、あなたたちがそこにいなかったらって思うと怖かったの」
第3幕では、フレンチDJのゲサフェルスタインが登場。未来的な魅力で、時代設定を遥か昔に置いたステージに不思議な違和感を与えた。彼は「Killah」のDJを務め、ガガは銀とロイヤルブルーのレオタードでダンス──初期の「Just Dance」を思わせる衣装だ。
「Zombieboy」では、まるで”ウェンズデー・アダムス”の物語のように、骸骨のダンサーたちとツイストを踊るガガ。骨の山を使った挑発的な演出は、保守的な批判を再び呼ぶかもしれない。
物語の筋に合わない定番曲も、さりげなく散りばめられていた。「Die with a Smile」のショートバージョンや、感涙を誘う「Shallow」では、素顔のガガが顔を見せた。
「人は、自分が選んだ存在になるの。あなたたちはそれを教えてくれた。ありがとう」とガガは語り、観客の中にいる婚約者マイケル・ポランスキーにキスを送りながらこう言った。「ベイビー、愛してる……そして、わたしの”彼”をわたしに届けてくれてありがとう」と観客に感謝を伝えた。
もっとも感動的だったのは、「Vanish into You」の最中、華氏100度を超える灼熱の砂漠を乗り越え、会いに来てくれたファンたち──リトル・モンスターにガガがハイタッチし、抱きしめて回った場面だろう。誰に聞いても、あの夜は「報われた」と言うはずだ。
グランド・フィナーレでは、羽をまとった天使のようなガガがステージに舞い戻る。「Bad Romance」のイントロが流れ、色とりどりの花火が夜空に炸裂。
パリス・ゲーベルとともに構築したこのストーリーテリングは、ガガの類いまれなる創造性を示し、まさに「一世一代のポップ・アイコン」としての地位を不動のものにした。
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From Rolling Stone US.
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