OK Goが、2014年の『Hungry Ghosts』以来、約10年振りとなる野心的な5枚目のスタジオ・アルバム『And the Adjacent Possible』をリリースした。

限界を押し広げることで知られるバンドにとっても、このアルバムは非常にエレクティックな作品となっている。
ポストモダンでジャンルを溶解しており、ファジーでサイケデリックなオープニング曲 「Impulse Purchase」と、瞑想的で禅のようなクローザー「Don't Give Up Now」の間には、フィル・スペクター、トニー・ヴィスコンティ、ナイル・ロジャースへのオマージュが散りばめられている。バンドの長年のコラボレーターであるデイヴ・フリッドマン(ザ・フレーミング・リップス、スプーン、テーム・インパラ、MGMT)の独特なミキシングによってまとめられた全12曲は、カメレオンの皮の中で快適に過ごしているバンドの姿を描き出している。

ダミアン・クーラッシュは言う。「どこか馴染みのある場所、もしかしたら子供の頃に住んでいた家かもしれないけれど、そこに今まで見たこともない扉があって、どこかありえない魔法のような場所へと通じている、そんな夢を見たことがあるでしょう? 子供を持ったことで、私の愛に対する理解はそんな風に変わりました。長年住んでいた小さなアパートのすぐそばに、突然、巨大で新しいボールルームが出現したのです。愛という全く新しい翼が、壮大で高く舞い上がり、圧倒的な空間を創り出しました。私たちが存在すること、宇宙の広大な虚空に、偶然にも小さな意識を持った星屑の塊が存在していることは、計り知れないほど素晴らしいことです。そして、私たちは愛を体験できる。信じられないほど素晴らしいことです」。

また、心を揺さぶられるミュージックビデオ「Love」も公開された。バンドはいつも、自分たちの限界を超えられないように思えるのだが、「Love」のビデオで、彼らはまたやってのけた。1テイクで撮影されたこのビデオでは、バンド、29体のロボット、60枚以上の鏡が複雑な振り付けを披露し、無限の反射と人間スケールの万華鏡が織り成す、まばゆいばかりの、そして深く感動的なスペクタルが繰り広げられている。
ブダペストの駅の色褪せた輝きの中で撮影されたこのクリップは、クリエイティブエージェンシーSpecialGuestとのパートナーシップのもと、ダミアン・クーラッシュ、アーロン・ダフィー、ミゲル・エスパーダが共同監督を務め、1stAveMachineがプロデュース、SpecialGuestXがテクノロジー・インテグレーションを担当した。

OK Goのダミアン・クーラッシュ、ティモシー・ノードウィンド、アンディ・ロス、ダン・コノップカは、自分たちの凝ったビデオを記録する新しい方法を常に模索しており、制作の舞台裏の映像を撮影するために、レイバンのメタメガネを終始かけていた。

「僕たちはいつも壮大な光景や驚きに惹かれるんだ」とクーラッシュは言う。「今回の目標は、これまで以上に心を揺さぶる、感情的な世界へと導くことだった。この曲は僕にとってとてもパーソナルな意味を持つ。2枚の鏡の間で無限に反射する光は、僕が歌っているような圧倒的で現実を揺さぶる愛の完璧なメタファーなんだ。二つのシンプルなものが合わさり、そこから新たな次元が弾け出て存在する。魔法が無限に広がる。不可能が目の前にある。そんな驚きに、僕は涙を流すんだ」。

アルバムから先行配信された「A Stone Only Rolls Downhill」のビデオは、64台のスマートフォンで64本の動画が再生されるという驚異的なモザイク動画で、すでに合計再生回数が500万回を超えている。クーラッシュとクリス・ボンジョルノ(『スター・ウォーズ/スケルトン・クルー』)が監督を務めたこのビデオは、1000テイク以上の撮影を要し、2時間20分を超える1テイクのクリップが最後のフレームに凝縮されている。
映画制作雑誌『Shots』は、「OK Goの新作ビデオが公開されるたびに、クリエイティブ・コミュニティーの期待とプロとしての嫉妬が入り混じった感情が伝わってくる」と感嘆している。

アルバムのパッケージもまた、無限の創造性と細部へのこだわりを体現している。初回限定3,000枚のアナログレコードは、180グラム、45RPMの2枚組LPで、フルカラーのインナースリーブと箔押しのゲートフォールド仕様。リスナーがパッケージを開けると、立体的な彫刻が飛び出す。パッケージ・デザインはTeam SuzukiのYuri SuzukiとClaudio Ripolが手掛け、3D sliceform design とポップアップ構造はLovepopのWombi Rose、Hà Trịnh Quốc Bảo、Emilio LaTorreが担当した。

音楽の大部分はアップビートだが、歌詞は時にダークな内容だ。OK Goの冷笑的なウィットが光る「Impulse Purchase」は、聴き手を選別するアルゴリズムに、遊び心たっぷりにダイレクトに語りかける。「今、君にここで直接話しかけても 現実問題として無意味だ/どんな確率的な調整も/海の中に溶けてしまうだろう/君が以前飲み込んだ全てのこと、全ての人、全ての場所、全ての行いの海に」。明るいタイトルの「A Good, Good Day at Last」でさえ、「”怒り”、彼女は気まぐれな妹の”希望”よりも忠実」といった歌詞がある。しかし、希望の光もまた溢れている(「Love」「Dont Give Up Now」)。

北米ヘッドライン・ツアーの多くの日程がすでにソールドアウトしている中、ロサンゼルス、サンフランシスコ、バンクーバー(BC)での2回目の公演とソルトレイクシティでの公演を追加した。OK Goは7月25日に日本で開催されるフジロック・フェスティバルにも出演する。


<リリース情報>

OK Go、29体のロボットと60枚以上の鏡が織り成すスペクタル「Love」MV公開


OK Go
『And the Adjacent Possible』
国内盤発売日:4月25日(金) 
品番:PDUT332JP 価格:3,500円(本体+税)
=収録曲=
1. Impulse Purchase
2. A Stone Only Rolls Downhill
3. Love
4. A Good, Good Day At Last
5. Fantasy vs. Fantasy
6. This Is How It Ends
7. Take Me with You
8. Better Than This
9. Golden Devils
10. Once More with Feeling
11. Going Home
12. Dont Give Up Now
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