1995年生まれのヴィブラフォン奏者、ジョエル・ロス(Joel Ross)は、2020年に名門ブルーノートからのデビュー作『KingMaker』で一躍注目を集めた逸材だ。ミュージシャンの間でも評価は高く、ミシェル・ンデゲオチェロやマカヤ・マクレイヴンらの作品に起用され、瞬く間にシーンのキープレイヤーになった。


僕(柳樂光隆)は2020年代以降のジャズに関しては、イマニュエル・ウィルキンスやジョエル・ロスの世代が牽引していくのではないかと思っている。昨年、Rolling Stone Japanでイマニュエルに取材した際、彼は壮大でフィクショナルな物語を通じて、21世紀のアフリカ系アメリカ人としての音楽を形にしようとしていた。

ジョエルは2022年に『Parable of the Poet』、2024年に『nublues』を発表している。どちらのアルバムも、これまで耳にしてきたジャズとは一線を画すムードやフィーリングを湛えており、誰もがうまく掴みきれない作品だった。それでも、この二作が並外れた作品であることは、多くのリスナーが直感的に感じ取っていたはずだ。『Parable of the Poet』はブラックチャーチの文化とジャズの関係を表現し、『nublues』は「ブルースとは何か?」を形にしたもの。二作品ともアフリカ系アメリカ人の音楽のルーツと本質を見つめ直すような作品になっていて、そこではフリージャズにも通じるような即興演奏が鍵になっている。その発想はイマニュエルとも共有しているものがありそうだ。

4月25日(金)~27日(日)のブルーノート東京公演を前に、ずっと機会をうかがっていたジョエルへの取材がついに実現。「ジャズの今」を深く理解するためにも欠かせない、二つの重要作について語ってもらった。

※4月28日(月)には石若駿、井上銘、渡辺翔太、マーティ・ホロベックとブルーノート東京で共演。公演詳細は記事末尾にて

「信仰」は言葉よりも行動で示すもの

─『Parable of the Poet』のコンセプトについて教えてください。


ジョエル:2016年か2017年くらいから一緒にやってるアンサンブルと作ったアルバムなんだ。自分にとっては大きめの編成で、ホーンが4~5人いて、リズム・セクションもある。小さい編成でやるときと同じように、基本的には即興演奏をもとに曲を作っていくっていうスタイルだね。即興で演奏したものを、僕やメンバーが(譜面に)書き起こして、それを持ち帰ってアレンジしていくって感じだった。

だから基本的には各楽器ごとに細かいパートがあるわけじゃなくて、1~2曲を除いて、ほとんどリードシート(※曲のメロディ、コードと歌詞やフィールなどのジャズ・ポピュラー音楽の基本的な部分のみを書き記す記譜法)だけ。みんなでそれを見ながら演奏して、その都度、どう演奏するかを見つけていく。たくさん演奏することで、その曲の「形」が徐々にできてくるっていう感じだね。そうすると面白いのは、演奏が毎回違うものになるってこと。細部まで決まった譜面がないからこそ、演奏のたびに新しい解釈が生まれるんだ。

それに、楽器の役割を少し崩してみたかった。リズム・セクションがただコードやベースラインを弾いたり、伴奏に徹するんじゃなくて、ホーンみたいに自分のアイデアをどんどん出してもいいという感覚。逆にホーンも、リズム・セクションのように伴奏にまわる場面があってもいい。
だから曲のなかで、独自のハーモニーを作ったり、単音の即興を使って伴奏したりすることもある。そんなふうにして出来上がったアルバムだね。

─メンバー各々の自由な即興性や解釈に重きを置いていたと。

ジョエル:そう。即興っていう要素が、自分自身や信仰、その時々の自分のあり方を反映しているんだ。しかも、それを親しい友人であるテナー・サックスのセルジオ・タパニコと一緒に演奏できたから、ああいう形になった。アルバムの核になってる即興の多くは、彼と一緒に演奏しているときに生まれたんだ。

ジョエル・ロスが語る「2020年代のジャズ」と教会音楽、ブルースの密接な繋がり

2019年のブルーノート公演にて(Photo by Takuo Sato)

─”Parable”はキリスト教の文脈で用いられる言葉だと思います。宗教的な言葉をタイトルに使った理由について聞かせてください。

ジョエル:まさに、そういう意味でこの言葉を使ってる。”Parable(寓話)”っていうのは、短い物語のこと。その小さな物語のなかには、たいていもっと大きな意味が含まれていて、一見シンプルだけど実は奥深く、そこから何かしらの教訓や気づきを得られるような構造を持っている。


このアルバムも、演奏を聴き返すたびに新しい発見があるような作品になっていると思う。つまり、聴く人によってさまざまな解釈ができるという意味でも、”Parable”に似ている。寓話のように、一つのかたちにとらわれず、それぞれの視点で読み解くことができる音楽、みたいな感じかな。

─各曲のタイトルについても伺いたいのですが、どれも聖書や宗教的な意味合いを感じさせるものばかりですよね。「PRAYER(祈り)」「 GUILT(罪悪感)」「 DOXOLOGY(頌栄)」「BENEDICTION(祝祷)」といったネーミングは、アルバムのタイトルともつながっているのでしょうか?

ジョエル:その通り。自分はシカゴの(バプティスト)教会で育ってきたし、父はサンデー・スクールの教師をしていて、両親はずっと教会に仕えてきた。だから、「信仰」は自分のバックグラウンドのなかでもとても大きな存在なんだ。このアルバムでは、曲の並びを礼拝の流れに近づけたいと思っていた。あるいは、人がキリストに出会うまでの”旅路”としても聴けるような構成にしたかったんだ。

ーというと?

ジョエル:たとえば、まず最初の曲が「祈り=PRAYER」。神に語りかけるところから始まり、そこから自分の行いに対する「罪悪感=GUILT」やその重さと向き合う時間へと続く。そこから、自分がこれまで「選んできた道=CHOICE」とその結果に気づいて、何かが「こみ上げてくる瞬間=WAIL」が訪れる。
感情が最も高まるのはそのタイミングで、自分にとってはその部分を表現した曲がいちばんエモーショナルに響いていると思う。だからこそ、そのメロディはイマニュエル・ウィルキンスに吹いてもらいたかった。

そこから音楽の流れは上昇していく。「もっと良くなりたい、もっと正しくありたい」という意志(「THE IMPETUS」)や、和解の感覚がそこにはある。そしてその先に、キリストへの「希望=DOXOLOGY」があって、最後は「祝祷=BENEDICTION」で締めくくられる。礼拝の最後に捧げる祈りのような、静かで深い終わりのかたちになっている。

つまり、このアルバムは体系的な流れに沿って構成されている。ちょうど制作を始めた時期は、自分がもう一度神と近づこうとしていた頃でもあって、だからこそ、自分の信仰と音楽をダイレクトに結びつけたかった。演奏者たちともそのスピリットを共有しながら、できるだけ正直なかたちで音楽を届けたいと思っていたんだ。

─過去のアルバムにも、キリスト教に由来する曲名はありましたが、ここまで全面的に宗教的なモチーフで統一されているのは初めてですよね。そうしたアルバムを作った理由を教えてもらえますか?

ジョエル:まず、アーティストとしての基本的な姿勢として、「今ここにいる自分に正直であること」を何より大切にしてるんだ。このアルバムを準備していた当時、自分はたしかに教会で育ったけれど、両親から教わったような距離感で神とつながれていたかというと、必ずしもそうではなかった。
その頃はちょうど、「信仰を立て直そう」としていた時期だったんだ。だから『Parable of~』に関しては、自分の中ではっきりと「信仰の証としての音楽」をつくるという意志を持って取り組んだ。最初からそのコンセプトのもとで曲を書いていったんだ。

実は今年の5月にはNYのヴィレッジ・ヴァンガードでライブを予定していて、うまくいけば年内に次のアルバムも録音できたらと思ってる。その新しい作品に向けて、今あらためて聖書の勉強をしているところなんだ。まさに、これからの創作の土台になるものを深めている最中なんだよ。これからも自分の信仰はより深まっていくと思うし、その過程を、正直に音楽に反映させていきたい。信仰は、自分にとって創作の大きな原動力。これから先も自然と作品ににじみ出てくると思うよ。

─ここまで徹底して信仰を基盤にした作品を作るにあたって、インスピレーションになったものはありましたか?

ジョエル:一番わかりやすいのは、ジョン・コルトレーンの『A Love Supreme』だと思う。あのアルバムで彼は、自分自身と向き合い、信仰の中へ深く入っていった。その姿勢は、音楽やライナーノーツを通して率直に表現されていて、僕はそこから大きな影響を受けている。
だから、自分のアルバムでは父に各曲の意味や定義を書いてもらって、それをライナーノーツとして収録したんだ。コルトレーンのやり方とまったく同じではないけど、それぞれの曲に込めた想いや背景を、実際にLPやCDを手に取ってくれた人に少しでも伝えたかったからね。

アンサンブルの構成という意味では、オーネット・コールマンの『Science Fiction』もインスピレーションになっている。大人数のアンサンブルのなかで、各プレイヤーがどう相互に関わり合い、響き合っているかに着目したんだ。だから自分のバンドでも、メンバー同士がどう音を交わし合えるかを意識した。信仰を音楽でどう表現するかという点でも、アンサンブル全体でどう音をつくっていくかという点でも、その二つの作品からは本当に多くのことを学んだよ。

ー今お話ししてくれたような意図を、バンド内でどのように共有したんでしょうか?

ジョエル:いや、実はメンバーにはわざわざ説明していないんだ。僕にとって信仰っていうのは、言葉よりも行動で示すものだと思っているから。聖書にも「人はその実(行い)によって知られる」とあるしね。自分の生き方やあり方を通して、音楽に込めた意図が伝わってくれたらいいなと思ってる。

そして実際、メンバーたちは僕が目指していた”スピリット”をちゃんと感じ取って、それを音にしてくれた。だからこそ、自分にとってメンバーとの関係はすごく特別だし、個人的にも大切なものなんだ。彼らは単なる演奏者じゃなくて、”一緒にこの信仰を生きる仲間”なんだよね。

「教会」と「ブルース」は切り離せないもの

─次は最新作『nublues』について、まずはコンセプトから教えてください。

ジョエル:前作『Parable of~』とは大きく方向性が変わった作品だね。あの頃はちょうどパンデミックの真っ只中で、世の中のすべてが止まってしまって、僕自身もツアーができなくなった。実は大学生のころ、仕事が忙しくなりすぎて、やむを得ず大学(NYのニュースクール)を中退したんだけど、パンデミックを機に復学することにしたんだ。

そのときに受けたのが、アルトサックス奏者のダリウス・ジョーンズの授業で、クリエイティブ・ミュージックやアヴァンギャルド音楽の歴史をたどる内容だった。ただ、その前提として、”ジャズの起源”のようなところから授業は始まって、ブルースという音楽の響きや意味について深く掘り下げる時間があった。それがきっかけで、僕は「ブルースってなんだろう?」と考えるようになったんだ。

─そこからどんなことを学んでいったのでしょう?

ジョエル:正直なところ、ブルースに唯一の定義なんて存在しないし、誰かが「これがブルースだ」と決めつけられるようなものでもない。でも、その授業を通して僕が気づいたのは、ブルースとは「人間の生の体験、特に困難や苦しみに根ざした表現」なんだということ。特に、黒人アメリカ人の音楽的基盤として、祖先たちが受けてきた抑圧や痛みを音楽に昇華してきたところに、ブルースという表現の本質がある。

そう考えていくうちに、「じゃあ、”今”のブルースって何だろう?」という問いが生まれた。パンデミックで何百万人もの命が失われて、家族とも離れ離れになって、仕事もなくなり、お金も入ってこない。ようやく自分の信仰を再確認できたと思った矢先に、そんな世界が待っていた。そのなかで、「自分にとっての希望とは何か?」「それはどんな響きを持っているんだろう?」という問いが、『nublues』の出発点になったんだ。

ーそれは深い問いですね。

ジョエル:だからパンデミックのあいだは、ずっと「自分にとっての”ブルースの音”」を探っていたんだ。まず気づいたのは、「ブルースは12小節やブルーノートのことじゃない」ということ。音楽教育の中で教えられるブルースって、形式やスケールの話ばかりだけど、本質はそこじゃないんだ。

ブルースって、自分の感情を音にする”スピリット”そのものなんだと思う。自分が何を感じているのか、それをどれだけ誠実に表現できるか。その気持ちを込めて音を出していたら、自然とそれが音楽として形になっていった。

……まあ、僕はメロディが美しい曲に弱いんだけどね(笑)。そう、それが1曲目の「early」でやろうとしたことだった。あの曲は、パンデミック初期の朝にいつも感じていた気持ち、そのときのリアルな感情をそのまま音にしている。「希望を持ちたい」「前向きになれるものを見つけたい」っていう思いを、音で表現してみたんだ。「early」は、いくつものメロディが自然に重なり合って生まれた曲で、すべてが「その瞬間の感情をどう音で伝えるか」にフォーカスしている。

─自分にとってのブルースを探し求める過程で生まれた一曲、ということですよね。「Bach」という曲も収録されていますが、この曲もブルースと紐づいているのでしょうか?

ジョエル:「Bach」は、実は別の授業の課題から生まれた曲なんだ。セロニアス・モンクとバッハを並行して学ぶ授業で、「バッハのある曲の最初の8小節をリハーモナイズする」っていう課題が出されてね。もともと宗教的な要素が強い楽曲だから、自分が普段から親しんでいるハーモニーとも自然に結びついた。

それをこのアルバムに収録したのは、自分の信仰から生まれる”希望”を音で表現したかったから。ブルースって、そもそも教会の響きに深く浸ってる音楽だと思うし、自分にとって”教会”と”ブルース”は切り離せないもの。この曲は、そのつながりを一番はっきりと示した表現だと言えるね。

ブルースの本質は「パーソナルな表現」

ー先ほどの話にあったダリウス・ジョーンズによる授業の中で、たくさんのブルースを聴かれたと思うんですが、その中でも特に印象に残っているものがあったら教えてください。

ジョエル:「Tangle Eye Blues」っていう曲があるんだけど……(※曲を再生)。これはアラン・ローマックス(※1950年代にアメリカ各地を巡り、フォークソングやワークソング、ブルースなどの音楽を録音・収集した民族音楽学者)のフィールドレコーディングなんだ。ローマックスの録音は授業でもよく取り上げられたし、そのメロディを自分たちで採譜する課題も出された。

ローマックスの録音は本当にたくさんのことを教えてくれた。何より衝撃的だったのは、それまで自分が持っていた「ブルースってこういうものだ」というイメージが、根本から覆されたことだった。

─どういうことでしょう?

ジョエル:たとえば、すべてが正確なテンポやリズムで進んでいるわけじゃない。足踏みや手拍子、歌も”完璧なタイム感”ではないし、ギターにしても、ずっと1コードで引っぱってからようやく4コードに行く、なんてこともある。学校で習うような、きっちりした構成のブルースとは違う。でも、だからこそ本物だと感じられた。人間的で、より正直な表現だと思った。形式に従うんじゃなくて、「今がそのタイミングだ」と感じた瞬間に音が動いていく。それこそが”ほんとうの表現”なんだと気づかされたんだ。

だから『nublues』でも、自分たちの演奏のなかでその精神を大事にした。テンポに縛られない自由なメロディ、音の揺れや微妙な音程のずらし——そういう要素が持つ意味をしっかり考えながら実践している。

特にタイトル曲「nublues」の即興パートでは、「キーの中に収めよう」みたいな意識すら持っていない。大事なのは、僕らのあいだで交わされている”会話”。「今、自分は何を感じているか」「この瞬間に何を伝えたいか」——それを表現することがすべてだった。ある意味で昔のブルースにおけるコール&レスポンスへの応答になっていて、あの時代のサウンドやハーモニーも参照しつつ、もっと違うかたちでそれを使っている。

─先ほどご紹介いただいた音源は、いわゆる”ワーク・ソング”やフィールドハラーといったブルースの源流だと思いますが、そこまで遡ってリサーチしたんですね。

ジョエル:そうだね。ワーク・ソング、奴隷時代のスピリチュアルやフィールド・ハラー。デルタ・ブルースやミシシッピ・ブルースの音源。ギター一本で弾き語りをしてる演奏が多かったけど、誰もがそれぞれ全然違うアプローチでやっていた。歌い方も演奏の仕方も人によって全然違ってて、それが印象に残ってる。ブルースは本質的にはものすごくパーソナルな表現なんだよね。

─そのあたりの感覚は、『Parable of~』における即興性の話とも通じる部分があるような気がします。

ジョエル:そうだね。あと、『nublues』でもうひとつ意識したのは「自分たちの音楽が、少しでも聴き手に届いてほしい」という思いだった。もちろん、いつだって自分たちに正直な演奏をしてきたし、それは今も変わらない。でも、アーティストとして、そしてバンドリーダーとして少しずつ成熟していくなかで、「どうすればリスナーがちゃんと受け取れるか」ということに、これまで以上に目を向けるようになったんだ。”聴き手ともっと深くつながりたい”という気持ちが、この作品には込められている。

ジョエル・ロスが語る「2020年代のジャズ」と教会音楽、ブルースの密接な繋がり

2019年のブルーノート公演にて(Photo by Tsuneo Koga)

─個人的に興味深いのは、『nublues』と同様に、あなたと関係の深いイマニュエルの『Blues Blood』やアンブローズ・アキンムシーレの『On the Tender Spot of Every Calloused Moment』(2020年)もブルースが大きなテーマになっていましたよね。それぞれのかたちで”ブルース”に改めて向き合っていたのが印象的です。

ジョエル:アンブローズのアルバムが出たときのことも、はっきり覚えてる。あの作品も自分にとって大きなインスピレーションになった。彼が「自分にとってのブルースとは何か」をどう表現しているのかを聴くことで、「ブルースにおける個人の表現」の重要性をはっきりと再認識できたんだ。

それに、ダリウスの授業ではAACMやアルバート・アイラーについても学んだ。たとえばアイラーの「Ghosts」を聴くと、本当にブルースの精神が染み込んでいるのを感じる。あの表現力は間違いなくブルースの一形態だし、それまでの「ブルースとはこういうものだ」という固定観念を塗り替えていくような力がある。

AACMのアーティストたち――レスター・ボウイ、ロスコー・ミッチェル、ヘンリー・スレッギル、アンソニー・ブラクストン……彼らの演奏も本当にパーソナルで、それぞれがまったく異なる方法でブルースを体現している。そうした多様なアプローチを目の当たりにすると、「●●がブルースをやってる/やってない」って形式的に語れるようなものじゃないんだなって思わされる。つまり、大事なのは”何を弾いているか”じゃなくて、”それがその人にとって何を意味しているのか”。そこにこそ、ブルースの本質があるんだと思う。

─あなたを含め、アフリカ系アメリカ人のアーティストたちが、自分たちの音楽とその歴史をただ”振り返る”のではなく、真正面から向き合い、それぞれの視点で受け止めて、自分なりに表現しようとする姿勢はとても興味深いです。

ジョエル:本当にそうだと思う。自分も含めてアーティストはみんな、自分たちの前に道を切り拓いてくれた人たちの肩の上に立って、その土台の上で自由に自分自身を表現できたらと思ってるはずだ。もちろん、全員が同じように考えているかはわからないけど……でも、少なくとも自分にとっては、それがこのアルバムをつくるうえで大きな支えになったのは間違いないよ。

─最後に、来日公演について話を聞かせてください。

ジョエル:きっとすごく楽しいライブになると思うよ。ブルーノート東京ではカルテット編成でやるんだけど、もう長年一緒にやってる中核のメンバーだから、そういう意味でも”型に縛られない”演奏ができると思う。どんな方向に進んでも、必ずついてきてくれるっていう信頼関係があるんだ。だから自分としても、より自由に、より開かれた演奏ができるのをすごく楽しみにしてるよ。

JOEL ROSS' GOOD VIBES来日公演

2025年4月25日(金)
[1st] 開場 17:00 / 開演 18:00
[2nd] 開場 19:45 / 開演 20:30

2025年4月26日(土)・27日(日)
[1st] 開場 15:30 / 開演 16:30
[2nd] 開場 18:30 / 開演 19:30

会場:​ブルーノート東京

出演:
ジョエル・ロス(ヴィブラフォン)
ジェレミー・コレン(ピアノ)
カノア・メンデンホール(ベース)
ジェレミー・ダットン(ドラムス)

公演詳細:https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/joel-ross/

石若駿、井上銘、渡辺翔太&マーティ・ホロベック
with special guest ジョエル・ロス

2025年4月28日(月)​
1st] 開場 17:00 / 開演 18:00
[2nd] 開場 19:45 / 開演 20:30

会場:​ブルーノート東京

出演:
石若駿(ドラムス)
井上銘(ギター)
渡辺翔太(ピアノ)
マーティ・ホロベック(ベース)
スペシャルゲスト:ジョエル・ロス(ヴィブラフォン)

公演詳細:https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/shun-ishiwaka/
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