ー4月10日にアメリカの人気TV番組『ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジミー・ファロン』に出演しましたよね。おそらく子供の頃から観ていた番組だと思いますが、出演してみてどのような気持ちになりましたか?
最初は恐ろしくて震えてたけど、いざ始まってみるととてもハッピーな気持ちになれたね。正直、人生が変わるくらいの体験だったよ。出演できて良かったと思ってる。
ー楽屋のドレッシングルームから歌い始めて、ステージに登場してバンドと合流するという演出も素晴らしかったです。
あの曲のストーリーを伝えるためにいろいろな動きを入れたんだ。実際、番組に向けてドレッシングルームでたくさん練習をしてたから、ドレッシングルームから始めるのは良いアイデアだと思ったんだ。いろいろと動きながらライブで歌うわけだし、完璧に歌えるというわけじゃないけど、ストーリーを語って、ファンに舞台裏を見せているような感じになったから、最高のものになった。
ー番組で披露した「Ordinary」ですが、この曲はどのように生まれたのですか? リリック、メロディ、テーマなど、いろいろありますが、どこから始まったのですか? あるいはハープのサウンドからですか?
ラバーブリッジ・ギターから生まれたんだよ。そのギターの音を調整してハープのような音に変えたんだ。
ーそこでは人生を特別なもの(extraordinary)にしてくれた人のことを歌っていますからね。
僕の奥さんは僕の人生を特別なものに変えてくれたからね。彼女は最高だよ。彼女は僕と出会って、僕と一緒に車で寝泊まりしてくれたんだ。
ー二人はどのように出会ったのですか?
友達を通じて出会った。最初はインターネットで話をしてたから、実際に会うまでの3カ月間はオンラインでデートしてたことになる。そこでもう一つ、普通ではないことがあるんだけど、僕たちは実際に会う前にオンラインで付き合うことになったんだ。クレイジーな話なんだけどね(笑)。
ー番組で「Ordinary」を披露した時、ステージ上にはバンドもいるし、ハープ奏者もいるし、コーラスもいましたよね。前から思っていたことで、その時にも強く思ったのですが、あなたの歌にはゴスペル・クワイアとか讃美歌を感じさせるものがあるんですよね。
その通りなんだ。僕はゴスペルから非常に大きな影響を受けてる。僕はクリスチャンとして育てられたし、教会にも通って、讃美歌を歌ってた。
ーもう一つの人気曲「Carry You Home」についても聞きたいのですが、日本では結婚式で聴きたい楽曲として、大人気なんですよ。
それは本当に素晴らしいね! そんな遠くにまで届いてたなんて、知らなかったよ。
ーこの曲も「Ordinary」と同様、愛をテーマにしていますが、アプローチが異なりますよね。
この曲は僕の結婚式のために作ったんだ。僕たちが結婚することになった時、二人で一緒に踊れる曲がないという話になってね。僕はミュージシャンだから自分で曲を作ることにしたんだ。それで翌日、家に帰ってきた時には「Carry You Home」は出来てて。彼女に曲を聴かせたら、「わあ! テイラー・スウィフトの「Lover」を聴いて踊りましょう」なんて言うんだ。僕は「わかったよ」って感じで(笑)。僕は彼女のために結婚式の曲を作ったのに、結婚式からは外すことになったんだ。だからスペシャルな曲になったわけだけどね。
ーこの曲はすぐに出来たのですか? それとも産みの苦しみがありました?
ラブソングは難しいんだよね。いつも作ろうとするんだけど、なかなか上手くいかない。僕にとって奥さんはスペシャルな存在だから、完璧なラブソングを作りたいし、奥さんのことをベイビーとかダーリンなんて呼びたくはない。安っぽいラブソングなんて作りたくなかったんだ。産みの苦しみはあったけど、「Carry You Home」は僕としては完璧で、今までに作った中で最高の曲になったと思ってる。
ー「Carry You Home」をリリースしてから1年が経ちますが、ライブで歌ったりもしていく中で、今この曲を振り返るとどのような思いがありますか?
素晴らしいよ。お客さんもこの曲を愛してくれてるからね。この曲を歌う時は特別な瞬間になるんだ。
ー2024年6月に行われた、あなたの実際の結婚式の映像も入った、ウェディング・ヴァージョンのMVもありますが、本当にこの曲は結婚式では歌わなかったのですか?
NO(笑)。彼女はテイラー・スウィフトの「Lover」が好きだし、この曲はまだリリースされてなかったからね。ウェディング・ヴァージョンの映像ではこの曲が流れているけど、実際の結婚式では流れていないんだ。
ー「Carry You Home」に対するリアクションはかなり大きなものがあるんじゃないですか?
けっこうあったね。
「アレックスのソングブック」
ー制作のプロセスについても聞きたいのですが、あなたは同じプロデューサー、同じチームとともに制作をしていますよね。どのように曲を作り、形にしているのでしょうか。
「アレックスのソングブック」という本があって、そこに自分の人生で起こったことのすべてを書いてるんだ。そこには候補となる曲のタイトルも書かれてる。それで、今日はこのタイトルを使って曲を作ろうとか、そういうことをやるんだ。その中からアイデアが生まれるんだけど、本の中には良いことも悪いことも書かれていて、良いことよりも悪いことの方が多いんだよね(笑)。チームはみんな僕の親友で、そこからどのように曲を始めたいのかを話して、ピアノやギターから始めてみて、良いヴァイブスを探していって、どんどん進めていくんだ。
ー何年も前にその本に書いたことをたまに読み返してみたりもします?
そうしようと心がけてるけどね。今はちょうど次のアルバムの核となる曲を書いているところで、ほぼ完成してるんだけど、そこでは今の人生で起こってること、今の自分がどこにいるのか、そういうことを書いてるね。でも今後、また新たなプロジェクトが始まったら、過去に書いたことを読み返すこともあると思うよ。
ーあなたはSNSが得意だと思うのですが、自分の曲をプロモートする時の何かコツみたいなものはあるのですか?
僕はファンとの関係を築き上げてきたから、ファンは僕のことをよくわかってくれてると思うんだ。それに僕は何も隠しはしないからね。コツがあるとしたら、それは僕自身になるのかな。スペシャルなことがあるとしたら、ファンは最初からここに参加できて、僕の愛と僕の音楽の成長を見てきてくれた。彼らも僕と同じ熱量で人生に賭けてくれてる感じがあるんだよね。
ー「Ordinary」では、TikTokに投稿してファンからのフィードバックをチェックしたんですよね。どういうやり方を考えたんですか?
わからないよ。とにかく僕はたくさん投稿するからね(笑)。しかも何を投稿すべきかわかってる。そこでテストみたいなこともできるし、楽しいんだよね。僕はとにかくそれが大好きなんだけど、もう一つ重要なのは、ファンが自発的に僕の曲を広めてくれる瞬間なんだ。みんな必ずしもその作業自体を好きなわけではないのに、そうしてくれるから。そういうことに僕はとても心を奪われてしまうんだよね。
ー2024年9月にリリースしたデビュー・アルバム『You'll Be Alright, Kid (Chapter 1)』についても聞きたいのですが、このタイトル(注:「大丈夫だよ、きっと」の意味)は昔の自分に向けた言葉になりますか? また、「(Chapter 1)」とあるのは、続きがあるからですか?
今ちょうど続きの第2章を作ってるところだ。もうすぐ完成すると思うよ。こういう取材を受けるとよく言われるんだけど、「大変な人生を送ってきましたよね。今、昔の自分に向けて言葉をかけるとしたら、何になりますか?」って聞かれるんだ。だけど僕としては、何を言ったらいいかわからないんだよね。だから曲を作り始めたわけだ。僕がこのアルバムを締めくくるに当たって伝えたいのは、まさに「You'll Be Alright, Kid(大丈夫だよ、きっと)」というメッセージなんだよ。
ー実際に子供の頃は何を思っていました? 自分の人生は大変だと思っていました? そこから抜け出したいと思っていました?
間違いなく子供の頃は大変だと思ってたよ。僕は不利な条件からスタートしたわけで、多くの人なら簡単に悪い道に走ってしまいそうな状況だったけど、僕はただ働くことを選んだし、人生を立て直そうとしたし、自分が何者で何をすべきなのかを模索し続けたんだ。当時はわかってなかったけど、これまで経験したことのすべては、今の自分を作るために必要なことだったと思うし、どんなものとも引き換えにしたくはなかったんだ。
ー新作についても聞きたいのですが、今話せる範囲でどのようなものになるのか、教えてもらえませんか?
サウンド的にはいろいろなものが入ってるよ。どの曲も違うし、どの曲もパーソナルなものだ。みんなきっとこのアルバムを気に入ってくれると思う。僕にとっては逃げも隠れもしないアルバムになってるね。とにかく飛び込んでみてほしいし、僕のストーリーに耳を傾け、その曲があなたに何を感じさせるのかを聴いて、その上で自分で判断してほしい。
ーいつのリリースになるのかは話せますか?
今は4月だよね。今から3カ月から5カ月の間には出せると思うよ。
ー現在ツアー中ですが、日本に来る予定はありますか?
めちゃくちゃ行きたいよ。今年行く予定があったんだけど、ツアー・スケジュールが忙しくて行けなくなってしまった。今年中か来年の頭には行きたいと思ってる。僕の奥さんも日本にハマってるから、彼女も一緒に行くはずだ。僕はラーメンも大好きだし、日本のセブン-イレブンは最高だよね。あと、日本にあるリスペクトの気持ちも素晴らしいと思ってる。

「Ordinary」
アレックス・ウォーレン
ワーナーミュージック・ジャパン
配信中
https://wmj.lnk.to/ORDPu
『Youll Be Alright, Kid ( Chapter 1) 』
https://wmj.lnk.to/AW_YAK1_ALPu
「Carry You Home」
https://wmj.lnk.to/CYHPu