サミー・ヘイガーのニュー・シングル「Encore, Thank You, Goodnight」が公開された。ギタリストのジョー・サトリアーニと共作した楽曲について、「これは間違いなく”あの世”からのコンタクトだった。
疑いの余地はない」とヘイガーは語る。

エディへの感謝、ふたりが共に過ごした記憶

エディ・ヴァン・ヘイレンが2020年に亡くなってから約1年後、サミー・ヘイガーは、彼とリラックスした時間を共有している夢を見たという。「エディはギターを首から下げていて、久しぶりの再会を喜び合う、愛にあふれた時間を過ごしていたんだ」とヘイガーはローリングストーン誌に語っている。「すると彼がリフを弾き始めて、俺はそれに合わせて歌い出したんだ」

完成までには数年を要したが、ヘイガーは最終的にこの曲を仕上げた。タイトルは「Encore, Thank You, Goodnight」と名付けられた。ギタリストのジョー・サトリアーニ、ヴァン・ヘイレンの元ベーシストであるマイケル・アンソニー、そしてドラマーのケニー・アロノフが制作に参加している。ミュージックビデオ(動画はこちら)は、ヘイガーが4月27日(アメリカ現地時間)にステージコーチ・フェスティバル(Stagecoach Festival:コーチェラの翌週末、同会場で開催されるカントリーを中心とした大型音楽フェス)でパフォーマンスする際に初公開され、4月30日から始まるラスベガスでのレジデンシー公演「Best of All Worlds」の初日に初めてライブ演奏される予定だ。今すぐその音源を聴くこともできる。

毎回、夢の中ではヘイガーが「彼はもうこの世にいない」と気づいた瞬間に夢が終わるという。今回もそうだったが、彼は目覚めた直後に、そのとき2人で作っていた曲を詳細に覚えていたのだという。「すぐにメモ帳と鉛筆をつかんでね」と彼は語る。「それからiPhoneも手に取った。
妻は『何してるの?』って叫んでたけど、『曲を書いてるんだ!』って答えたよ。次から次へとメロディやアイデアが溢れてきた。翌朝にはギターを手に取って、コードを探りながら曲を組み立てていったんだ」

2年間、その曲は、iPhoneに録音されたラフな音源と、走り書きのメモ、そして鮮明な夢の記憶だけにとどまっていた。だが今年初め、ヘイガーはジョー・サトリアーニの力を借りて、ついにこの曲を完成させる決心をした。「もうエディと曲を書くことは二度とない。これがそれに最も近い形だと思ったんだ」とヘイガーは語る。「ジョーに夢の話をして、その録音を聴かせたら、『うわぁ、最高じゃないか。これは完成させよう。すごくいい曲だよ』って言ってくれたんだ」

〈音楽をありがとう/歌をありがとう/訪ねてきてくれてありがとう、どうしてそんなに時間がかかったの?〉という歌詞は、エディへの感謝と、ふたりが共に過ごした素晴らしい年月への想いを表現している。この曲のギターにサトリアーニがぴったりだという確信は、昨年、彼とともに北米中を回ってヴァン・ヘイレンの曲を演奏してきた経験から生まれたものだという。「ジョーは学者みたいな男さ」とヘイガーは言う。「彼はエディのギターソロもコード進行も完全に理解していた。
そして、この曲にもエディらしいクラシックなギターパートを取り入れようとしてくれたんだ」

観客の「エディ」コールをミックス

イケル・アンソニーとケニー・アロノフは、曲を完成させるために少し遅れて参加した。プロデューサーとして加わったのは、ナッシュビル拠点のデイヴ・コブ。彼は、ヴィンテージ・ヴァン・ヘイレン風のバッキング・ボーカルを取り入れたいと考えていた。しかし、なかなか理想のサウンドにたどり着けなかったため、彼らはヴァン・ヘイレン時代の名プロデューサー、ドン・ランディとテッド・テンプルマンに助けを求めた。ふたりは、「アンソニーのボーカルをダブルで録って、それにヘイガー自身のダブルトラックの片方に三声目を重ねろ」とアドバイスしてくれたという。

「テッドが言ったんだ。『彼は実際、2つ自分の声、1つ君の声を重ねて、君も2つ重ねる。そうすれば完成だ』って」とヘイガーは振り返る。「それでスタジオに行ってやってみたら──クソッ、なんて最高のトリックだって思ったよ」

曲の終盤では、かつてのヴァン・ヘイレンのライブで観客が「エディ!」と連呼する音源をミックスしている。そのために、ヘイガーは膨大なライブ音源をチェックし、「エディ」コールがクリアに録られている瞬間を探し続けた。そしてついに見つけたのが、1995年の『Balance』ツアー最終公演──ハワイ・ホノルルのニール・S・ブレイズデル・センターでの録音だった。

「他の公演だと、俺も一緒になってマイクに向かって叫んでたり、『サミー/エディ、サミー/エディ』みたいに両方の名前をコールされたりしてたんだ」とヘイガーは語る。
「でも、このときだけは違った。あれが最後のショーだったし、バンド内もゴタゴタしてたから、誰も何も言わなかった。ただ観客だけが『エディ!』って叫び続けたんだ。──あれは特別な瞬間だったよ。あのパートを聴くと鳥肌が立つ。これからも毎回そうなると思う。早くライブで演奏したくてたまらないよ」

From Rolling Stone US.

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