全国5都市で15公演に及ぶ『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE] 』が、5月6日の福岡公演を皮切りに開催中だ。タイトルの”XQUARE”は、「X:未知数=INI」と「SQUARE:革命が起こる広場=ライブ会場」を掛け合わせた言葉となっており、「INIならではの方法で導く新たな革命の場所」という意味が込められているとのこと。
ボリューミーなセットリスト、ツアーならではの楽曲アレンジ、洗練されたステージセットなど、至るところに彼らの挑戦の証が刻まれていた。本稿では、5月25日に行われた神奈川公演の様子をお届けする。

【写真】2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE] 神奈川公演

物語の始まりを感じさせるドラマチックなオープニングを経て、メンバーはステージに登場。「WMDA(Where My Drums At)(XQUARE ver.)」を投下し、一気に場内の熱気をあげていった。カメラが捉えていくひとりひとりの顔つきは、自信に満ち溢れているばかりでなく、自己プロデュース力の高さを感じさせる。表情や所作、声色といったエッセンスを緻密に作り込み、個性と曲のカラーを柔軟に溶け合わせてしまうのだ。「LOUD (XQUARE ver.)」においても、調和力の高さは健在。むしろ、パフォーマンスを重ねていくなかで、磨き上げられてきたといってもいい。よりグラデーションの段階が豊かになった表現は、作品の持つ空気感をエモーショナルに映し出していく。MINI(INIのファンダム名)のコールも伸びやかに響き渡り、一体感のある空間が作られていった。

どんなアーティストであれ、何度も披露してきた楽曲に新たな魅力を宿すのは、簡単なことではない。しかしながら、新たな革命を起こそうとしているINIにとって、そんなことは心躍る挑戦のひとつにすぎないのだろう。
視線が釘付けになるオープニングで「BOMBARDA (XQUARE ver.)」を導いたかと思えば、花道を効果的に用いて迫力あるダンスを展開。静寂をまといながらピンスポットに佇んだ木村柾哉が、”Lets go”と切り出す瞬間なんて、思わず息を飲んでしまうほど。「CALL 119 (XQUARE ver.)」では、荒々しく歌声を響かせながらも、細かなモーションで遊び心を魅せていく。目の前のステージと丁寧に向き合ってきた軌跡が、パフォーマンスに演出を加えて一味違うアプローチを生み出すことも、それぞれのオリジナリティに任せて生感のあるアクセントで彩ることも可能にしているのだろう。数々のダンス&ボーカルグループが活躍している時代のなかで、”INIならでは”と向き合い、着々と実力を磨き上げてきた事実を感じさせた。

INI『XQUARE』ライブルポ アリーナに広がる“革命”のストーリーテリング

©LAPONE ENTERTAINMENT

INI『XQUARE』ライブルポ アリーナに広がる“革命”のストーリーテリング

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さらに今回のツアーでは、池﨑理人が作詞に挑戦した「Potion」も初披露。歌詞にこめられた”やんちゃながらにも自分と向き合う姿”を体現するかのように、抜け感のあるステージングを繰り広げていく。客席からコールが湧き上がると、メンバーは嬉しそうに声のほうへ耳を傾けていた。

怒涛の勢いで本編を走り抜け、ほどなくしてアンコールへ。軽やかなステップを携えて、愛嬌たっぷりに「Party Goes On」を歌い上げていった。そして、最後のMCでは、木村が「愛知・名古屋、公式アンバサダー(※『第20回アジア競技大会』『第5回アジアパラ競技大会』愛知・名古屋2026公式アンバサダー)をやらせていただいてます。そんな愛知にゆかりのあるサプライズの発表を持ってきました」と切り出し、バンテリンドーム ナゴヤでの『2025 INI LIVE [XQUARE - MASTERPIECE]』の開催を発表。
予想だにしなかった告知に、会場は興奮に包まれ、華やかな歓声で溢れる。木村が「メンバーもスタッフさんも頑張ってくれてるけど、何よりMINIのみんなのおかげなので。ありがとうございます!」と伝えると、温かな拍手が巻き起こったのだった。

”INIならでは”を見つめ直すのみならず、たくさんのチャレンジを取り入れて、可能性の拡張を図っていた『2025 INI 3RD ARENA LIVE TOUR [XQUARE]』。公演を目撃した多くの人が「いかにINIが未知数なのか」を実感したに違いない。フレキシブルな感性で何者にでも染まり、さらにはその色や情景、音が持つイメージさえも、自分たちらしく刷新していってしまうのだ。彼らにとっての代表作が、どのように描かれていくのか――。今から楽しみでならない。

INI『XQUARE』ライブルポ アリーナに広がる“革命”のストーリーテリング

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