PompadollS【ツタロックフェス2025】速報ライブ写真(写真8点)
このライブを観て一発でヤラれてしまった自分は、その後何度も彼らのライブに通い、物販でメンバーと交流し、やはり5人が本物であることを確信。そして思った、「インタビューがしたい!」と。結成されたばかりのバンドにインタビューするというのはかなり異例だが、今回こうして実現した。6月8日開催の「ツタロックDIG LIVE Vol.17-OSAKA-」出演を控えたPompadollS、初となるロングインタビューをくらってほしい。
―「ツタロックフェス2025」でのライブ、ものすごいインパクトでした。まず、どんな気持ちで大型フェス初出演となるステージに臨んだのか、聞かせてください。
青木 初のフェス出演が初めてのバカデカい会場だったんですけど、僕としては正直な話、「わからせてやるぞ!」的な気持ちのほう強かったですね。とにかくインパクトを与えることで、「何気にすごいことしてるバンドがいますよ」っていうことを伝えたかったんです。だから、セットリストやMCもそういう方向で考えてました。
―確かに、めちゃめちゃ強気でした。
青木 あの日は特に、「ここでデカい夢を言っておけば、あとからそれを実現していくのをみんなが目撃できる」みたいな気持ちでした。ツタロックはそういうストーリーづくりの場としてもいいんじゃないかと思ってたんですよね。
―戦略家ですね。
青木 僕は普段からそういうことばっか考えてるタイプです(笑)。バンドアレンジにしても、とにかくインパクトを残したい、リスナーをびっくりさせたいっていう気持ちが強いです。
―五十嵐さんはどうでしたか?
五十嵐 私はライブになるとけっこう舞い上がっちゃうタイプなんですけど、あの時は会場がデカすぎて(笑)、逆に冷静になってました。ここから先、もっと大きいステージに出ていくんだっていう気持ちも強かったし、逆に、「ここでコケたら終わりだ」とも思っていたので、とにかく取り返しのつかないことだけはしないように、この1歩目でなんとかぶちかましたいって気持ちでした。
―ライブの反響はどうでした?
青木 ファンが「自覚」を持ち始めたのは、あのタイミングかもしれないです。
―自覚?
青木 僕らはさりげなくファンネームを「DollS」にしたりして、以前からファンに意識を高めてもらおうとはしていたけど、ああいう大きなステージに立つことで、「PompadollSのファンであることを誇りに思っていいんだ」と思ってもらえたというか。あのライブ以降、ファンが一段階上の、信者的な熱量を持ち始めてくれた気がします。今も毎回ライブに来てくれてる人たちの中には、ツタロックで初めて僕らのライブを観た子もいて。
―たしかに、PompadollSのファンは熱心ですよ。
青木 ファンは熱いですけどバンドとしてはまだまだ小さいので、だからこそ、「一緒に大きくしていきたい」って思ってくれている子たちがいるのはすごくありがたいです。
―最初にPompadollSが広く認められるようになったきっかけはどの曲だったんですか?
青木 「スポットライト・ジャンキー」ですね。ちょっと広告を出したこともあって再生数がグンと伸びたんですよ。広告って再生されるだけで終わることが多いんですけど、それ以上に反応も得られながら広がっていったのがあの曲だったのかなと。狙ってつくった部分もあったので、うまくいってよかったです。
―韓国でも人気があるって聞きましたよ。
青木 ああ、そうなんです。実は、僕らがバズったのは韓国のほうが先だったんですよ。「スポットライト・ジャンキー」は、イントロのギターとか、意味わかんないほど速いピアノとか、キャッチーなサビとか、僕的にはバズる要素しかないと思ってたんですけど、広告を出しても最初は「バズった」ってほどじゃなかったんですよね。でもあるとき、韓国の音楽キュレーターのアカウントが「スポットライト・ジャンキー」の切り抜きを投稿して、それが韓国で40万再生くらいされて、「え、なにこれ……」って(笑)。
バンド結成のきっかけ
―僕は、PompadollSに対してひとつ大きな疑問があって。皆さんは結成してまだ1年ちょっとですよね? それなのになんであんなに演奏がうまいんですか? しかも、バンド感もすごい。
青木 ありがとうございます(笑)。いや、みんなの日々の努力だと思いますよ。今日もこのあとスタジオですからね。
―スタジオにはどれくらいのペースで入ってるんですか?
青木 最近は週2くらいですけど、メンバーに学生が多いこともあり、前までは週1入るかどうかって感じでした。でも、曲がバズったり、大きなステージに出るようになってからは、「やれることは全部やろう」っていう雰囲気になってきて、バンド全体の意識が変わってきましたね。もともと、この2人(青木と五十嵐)は「バンド頑張りたいよね」って思ってたけど、最近は、音程のズレやちょっとしたリズムの違いに気づけるドラムの(但馬)馨くんが積極的に意見を出すようになってきたし、里菜ちゃんとベースのサイカ(ワタル)も、以前よりも意欲的についてきてくれるようになりました。
―え、そういう細かいところを意識し始めたのはツタロック以降だったんですか?
青木 そうです。ツタロック前まではそういう空気はあんまりなかったけど、今まさに成長中です。元々、みんな楽器は上手いんですよ。
―青木さんはなんだかすごく冷静ですけど、五十嵐さんから見て、青木さんはどんな人なんですか?
五十嵐 私もまだ出会って2年ぐらいなんで、あんまり分からないですね(笑)。でも、初めて会ったときは「怖そう」って思いました。賢いゆえに冷たそうというか。
青木 まじかよ……でも忙しすぎて、今のほうが冷たいし怖いかもしれない(笑)。
―そもそもお二人は、別々の場所でバンドをやりたいと思っていて、共通の知り合いを通じてつながったんですよね?
青木 そうですね。全然知り合いじゃなかったです。
―バンド結成のきっかけはどちらからだったんですか?
五十嵐 最初は私が「バンドやりたいな」と思って、友達に「誰かいい人いない?」って聞いたら、「バンドやりたがってるギタリストがいるよ」って紹介されたんです。それが青木くんでした。
青木 でも、僕はそのときはもう、バンドは諦めてたんです。
―えっ、そうだったんだ。
青木 はい。最初は就職せずにバンドを続けてて、そのあと芸人もやったんですけど、「これは無理だな」と思って漫画の編集者になったんです。だから、五十嵐と初めて会ったときもまだ会社員で、バンドをやりたいとは言ってたけど、趣味程度の感覚だったんですよね。でも、彼女から最初に送られてきた曲や歌、みんなの演奏を聴いて、「これはいいな」と思ったんです。その時点では、僕と五十嵐以外はほとんどバンド未経験者だったんですけど。
―五十嵐さんはバンド結成前から曲を書いていたんですね。
五十嵐 バンドを組む目処も立ってないのに、曲だけはずっとつくってたんです。それを全部送りました。
―もともと何か音楽活動をしていたんですか?
五十嵐 高校のときに軽音楽部に入ってて、3年間バンドをやってました。オリジナル曲をつくって大会に出たり。卒業してからは何もしてなかったんですけど、バンドを組まなくても曲ができちゃうので、それならやろうかなって。
青木 彼女に会う前に最初に送られてきた曲が、この前リリースした「ロールシャッハの数奇な夢」だったんですよ。
―へぇ~!
青木 で、初めてのスタジオで「悪食」を合わせてみたら全員バラバラだったので、それぞれが自分のできることをして、みんなで形にしていきました。だから、ぬるっと結成した感じなんですよね。そもそも、最初は「ロールシャッハの数奇な夢」のMVを作りたいって言ってたし。
五十嵐 そうそう、バンドでMVを出したいって話だったんですよね。
青木 うん。でも、1曲、2曲と作っていくうちに、バンドに対するみんなの理解が深まっていって。バンドアレンジのスピードも速くなったし、新曲も定期的に上がってくるし、そうこうしているうちに今の形になってきたって感じです。
―最初の7曲の中にすでに、ファンから大きな支持を得ている「悪食」があったというのはすごいですね。
青木 そうなんですよ。その7曲のうちのもう1曲が6月に出るEPに入る予定です。楽しみにしててください。
青木&五十嵐の音楽的ルーツ
―ちなみに、お二人の音楽的なルーツはなんですか?
青木 僕はBUMP OF CHICKENやRADWIMPSからの、なぜかレッド・ツェッペリン。そこからボン・ジョヴィとかディープ・パープル、ヴァン・ヘイレンみたいな派手で激しめの洋楽。最後はグリーン・デイとHi-STANDARDです。
―あはは!
青木 最終的にすごくシンプルな(笑)。中学生のときにバンプに出会ってギターを始めたんですけど……。
―そこまでは理解できますよ。そのあと、どうしてツェッペリンに行くのかと。
青木 意味分かんないですよね(笑)。でも、中学生だったんでそれがカッコいいと思ってたんです(笑)。
―厨二病的な。
青木 まさに中2でギターを始めたんですよ。僕は運動も勉強もできなかったんで、ギターを手にして初めて「得意なこと見つけた!」って思いました。それでもっと上手くなりたいと思うようになったんですけど、そうなると洋楽を聴いたほうがいいんじゃないかと思ったんですよね。それで、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジという3大ギタリストの存在を知って聴いてみたらジミー・ペイジが一番カッコよかったので、そこからツェッペリンをコピーするようになりました。で、高校では「俺、ツェッペリン弾けるんだぜ!」みたいなテンションだったんですけど、だんだんライブがカッコいいバンドが一番だと思うようになって、グリーン・デイ、Hi-STANDARD、10-FEETあたりが最終的な好みになっていきました。
―面白いですね。しかも、今挙がったバンドのほとんどが青木さん的に世代じゃないという。
青木 そうなんです。今いないバンドとか、活動してないバンドのほうが好きなんですよ。漫画も連載中より完結してるもののほうが好きだったりして。ちょっとひねくれてるんです(笑)。
―では、五十嵐さんのルーツは?
五十嵐 親が洋楽ロック好きで、ガンズ・アンド・ローゼズとかメタリカが子守唄でした。
―へえ!
五十嵐 今でも安眠できます(笑)。そこからボカロを通って、高校では軽音楽部でThe Birthday、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、BLANKEY JET CITYに出会ってどハマりしました。部活の先輩がコピーしてるのを見て、自分のバンドでもスーツ着たりして(笑)。
―それ、めちゃくちゃカッコいいですね。
五十嵐 あんまり筋の通ったルーツじゃないかもしれないですけど、その都度出会った音楽を好きになる人生って感じです。ガンズはこないだのライブも観に行ったし、今でもたまに聴いてます。
―ちなみに、ガンズで一番好きなアルバムは?
五十嵐 『Chinese Democracy』が一番好きですね。あれが一番眠れる気がします。安心するんですよ(笑)。
―おお、面白いチョイス。じゃあ、メタリカだと?
五十嵐 一番有名なやつが好きです。赤いジャケットの……。
―赤いやつ? 『Master of Puppets』かな?
五十嵐 多分それです(笑)。家にあって、ずっと聴いてました。
―それでいて、PompadollSみたいな曲ができるというのが不思議です。
五十嵐 たしかに(笑)。でも、歌詞の渋さみたいなものは大事にしていて。たとえば、「LINE」とか固有名詞はあまり使わないようにしたり、言い回しも軽くしすぎないようにしています。それは多分、自分が通ってきた音楽の影響かなと。
―あと、童話をベースにした曲が多いですよね。
五十嵐 今出てる曲は全部そうですね。
―それはどこから着想を得たんですか?
五十嵐 昔、家の近くの図書館が閉館することになって、そのときに「蔵書をいくつか持っていっていいですよ」って言われたんです。それで『世界童話全集』というすごく分厚い本をもらって、子供の頃はそれをずっと読んでました。童話って全部、教訓がベースになっているんですよね。そういう教訓が自分の中に蓄積されて、それを思い出したり修正したりしながら今を生きてる感覚がずっとあるんです。曲を作るのって自分の内面をさらけ出すことだと思うんですけど、その入口として童話を使うと表現しやすくなる気がしたんですよね。それで童話をテーマに曲をつくってみようと思いました。
―五十嵐さんが書く曲について、青木さんはどう見ていますか。
青木 僕は感受性が死んでるタイプなんですけど(笑)、それでも彼女の歌詞はちゃんと伝わるし、バンドアレンジの視点で言うと、高低差がはっきりしていて最後に向けて盛り上がっていく曲が多いので、演奏者としてはやりやすい。あと、スタジオで「1番と2番の違い、どう表現する?」って話になったときに、「歌詞にリンクさせよう」みたいな話をすることもよくあります。この前も、歌詞に<足並みがズレる>っていう歌詞があったので、「じゃあ、ピアノだけリズムをずらしてみよう」っていうアイデアが出たり。あと、童話がモチーフになってるから、曲をイメージしやすいっていうのもありますね。マイナーな童話のときはちょっと難しいけど、基本的にキャッチーで扱いやすいです。
小松&但馬の音楽的ルーツ
―PompadollSの曲はたまにジャズっぽい雰囲気も感じます。
青木 狙ってたわけじゃないんですけど、童話が持つアンティーク感につながっているのかもしれないですね。ジャズらしさを入れるとオシャレになるから、現代人にも受けやすいと思うんですよ。あと、藝大組のふたり(小松と但馬)がそういうのがすごく得意で、「ここ、ちょっとオシャレにしたいんだよね」って言うと、すぐ反映してくれるんですよ。
―藝大組のお二人はクラシック出身だそうで。
青木 そうです。演奏者としてはほとんどクラシックしかやったことないと思います。でも、キーボードの里菜ちゃんはindigo la EndとかPenthouseとか、邦ロックも少しつまみ食いして聴くタイプ。ドラムの馨くんは音楽的探究心が強くて、これまでロックに触れたことはなかったけど、今はロックの歴史を勉強しています(笑)。ドラムの先生だか誰かが作ったというロック史のPDFに自分でメモ書きしてるんですよ。マディ・ウォーターズみたいなブルースから始まって、エルヴィス・プレスリー、ツェッペリン、ディープ・パープル……。さらに、「なんとか的なドラムとなんとか的なギターが混ざってる」みたいな分析までしてて、「こいつ、すげえな」って(笑)。彼のそういうところに助けられてます。
―サイカさんはどんな人なんですか?
青木 THE ORAL CIGARETTESみたいなダンス系の邦ロックが好きで、プレイスタイル的には、支えるというよりは前に出てくる我の強いベース。僕が弾くハードロック寄りのギターとクラシック出身の芸大組の音の間に、サイカのダンサブルでシャレたベースがあることで、PompadollSの音楽を今の時代に届くものにしてくれていると思います。
―なるほど、すごく納得できます。
青木 僕の音に寄りすぎるといなたくなるし(笑)、藝大組に寄りすぎると難解になりすぎる。サイカはその中間を上手くとってくれる存在ですね。バンドアレンジ的にすごく貴重です。
―ギターの音もすごく面白いと思いました。
青木 本当ですか? 意外と頑張ってるんで(笑)、そう言ってもらえると報われます。最近までは好きな音を出してる感覚が強かったんですけど、今はバンドとして音をまとめる段階に差しかかってきてると思います。
―五十嵐さんのボーカルは、チバユウスケからの影響が大きいんでしょうか。
五十嵐 そうですね、あんまりキレイには歌わない気がします。けっこう苦しんで曲を書くタイプなので、それをキレイに歌い上げるのは違和感があるというか。だから、苦しみながら歌ったり、ちょっと激情っぽく歌うほうが自分的にはしっくりくる気がします。
―逃げも隠れもしない、堂々としたボーカルですよね。その潔さがすごく好きです。意図してはいないでしょうけど、パンク的なまっすぐさを感じます。
五十嵐 ありがとうございます、嬉しいです。テクニカルなことがうまくできないから、いつも0か100か、みたいな感じでやってる気がします。
―それにしても、五十嵐さんはステージ上だとものすごくストレートで快活な印象ですけど、こうやって改まって話をすると控えめですね。
五十嵐 話すのがあまり得意じゃなくて……。だから音楽をやってるんですけど。
―得意じゃないっていうほど喋れてない感じはしませんけど。
青木 言葉を大事にしすぎるせいで、喋るのに時間がかかるのかもしれないですね。でも、喋らせてみると、日常会話の中でもけっこういいワードが出てくるんですよ。
五十嵐 やだな、分析されるの(笑)。
―言葉にこだわるようになったのは、本をたくさん読んでた影響もあるんでしょうね。
五十嵐 たしかに、小さい頃から本はいっぱい読んでたと思うんですけど、なぜ言葉を大事にしようと思ったかは説明するのが難しいですね……。
青木 じゃあ、俺が喋って時間を稼ぎます(笑)。俺は、人によって態度を変えるやつが一番嫌いで。小中学生の時、俺、いじめられっ子だったんですよ。そのときもスネ夫ポジションのヤツが一番ムカついて。ジャイアンの前ではヘコヘコして、のび太系の俺の前では強く出る。そういうヤツの一番の特徴が、言うことがどんどん変わるんですよ。だから、俺はそういうことはやりたくないんですよね……どう、イケる?
五十嵐 (笑)。私は、親が転勤族だったので、いろんな土地を転々としてたんです。だから、決まった人たちと話す時間が短くて、もし友達に対して何か間違った言葉を使ってしまったときに、それをフォローできる時間が十分にあるか分からないような生活だったんです。それくらい、「もうすぐ転校するかも」みたいなことが多かったんですよね。だからこそ、普段から言葉を大事にしてる気がします(と、ノートに何かメモを取る)。
―……あの、今日、ずっと気になってたんですけど、五十嵐さんみたいにインタビュー中にメモを取るアーティストは初めて見ました(笑)。一体、何を書いてるんですか?
五十嵐 え……「本当はこういうことを言いたかったな」と思うことをメモして、それを次のインタビューに活かしたくて。インタビューが苦手なので、復習用ですね……。
―真面目ですよね。それでいて「他のバンドと一緒には見られたくない」という尖りもある。
五十嵐 それはめちゃくちゃあります(笑)。別に秀でてなくてもいいけど、別のものではありたいと思ってます。
青木 理想としては本当にそうですね。今の段階では「◯◯に似てる」とか言われることもありますけど、それは全然よくて。そこから検索で僕たちにたどり着いてくれるかもしれないし。でも、もっとバンドが大きくなったら、「そんなバンドと一緒にすんなよ」って言い始めるかもしれない(笑)。
―そういうことを言うと敵をつくりますよ(笑)。
青木 それは本当に気をつけたいです。僕、いじめられてたというより、多分嫌われてたんですよね。親からも「死んだ魚の目をしてる」って言われて育ったし、基本的に反抗的なんですよ。年上からは反抗的って言われるし、年下からは見下してるって言われるし(笑)。やめたいです(笑)。
―でも、その尖った姿勢に惹かれる人もいると思いますよ。現に自分もそうだし。だから、その姿勢は大事にしてほしいですね。さて、PompadollSは、6月8日に大阪・心斎橋BIGCATで開催される「ツタロックDIGライブ vol.17」に出演します。大阪ではどれくらいライブをしたことがありますか?
青木 今年の2月、3月、4月の3回ですね。
―あ、今年に入ってからなんですね。
青木 そうです。そもそも、ライブ活動が本格化したのが去年の12月なんですよ……(ここで青木の携帯のアラームが鳴る)。
―ん? 大丈夫ですか?
青木 すみません、大丈夫です。これはSNS投稿用のアラームで、毎日20時前後に鳴るようにしてるんですよ。ライブの出番前とかに鳴ると焦るんですけど(笑)。
―すごいな(笑)。青木さんは、SNSの更新とかバンドの窓口もやってるんですよね? 大変じゃないですか?
青木 今が一番大変かもしれないですね。ただ、最近はライブハウスのスタッフの方が手伝ってくれたり、ほかにも助けてくれる人が少しずつ増えてるので、これから楽になっていく気がしてます。
「得体が知れないバンド」っていうのは、僕たちが一番なりたかった姿
―どこかのマネジメントに所属しようとは考えてないんですか?
青木 PompadollSの音楽を広めてくれる、レーベルには入りたいんです。でも、今はなんだかんだ全部自分たちでできてるし、もうちょっと忙しくなったら人を雇うくらいでいいかなと。なので、今のところ昔ながらの全部任せてしまう、みたいなマネジメントは考えていないかもしれないです。
―では、イベントの話に戻ります。会場はBIGCATですよ。
青木 でかい箱ですね。ツタロックの幕張を除けば一番大きいかもしれない。めちゃくちゃ楽しみです。
―大阪は東京と比べて雰囲気は違いますか?
青木 だいぶ違いますね。リアクションがすごくいい。大阪の方は、こちらから何か投げかけたときのリアクションが大きいんですよ。
五十嵐 うん、そうやって応えてくれるから、こっちも「ありがとう」がいつもよりちょっと多くなるんですよね。つい言いたくなっちゃう。
青木 今では定番になってる「スポットライト・ジャンキー」のサビ前に言う「かかってこいよ!」って煽りも大阪で生まれたんですよ。大阪で初めて試してみたら、お客さんが「うおーっ!」って返してくれて、「これ、いいじゃん!」って。
―「これが”かかってきてる”状態か……!」って(笑)。
五十嵐 正直、意味は分かんないですけどね(笑)。
青木 意味が分かんなくても、そう言わせちゃう空気感が大阪にはあるんですよ。すごく能動的なんですよね。
―PompadollSはちょうど中盤での出番です。
五十嵐 私たちの次に出るクジラ夜の街は、高校のときに軽音楽部の全国大会で一緒になったことがあるんですよ。だから、今回一緒に出られるのはすごく嬉しいです。私は千葉代表で、クジラ夜の街は東京代表だったと思います。学年は違うし、話したこともないし、向こうは全然覚えてないと思いますけど(笑)。
―でも、PompadollSみたいに、やたら勢いのある得体の知れない新人バンドは怖い存在ですよ。
青木 たしかに。「得体が知れないバンド」っていうのは、僕たちが一番なりたかった姿なんで、そう言ってもらえるのはすごく嬉しいです。
―だって、ここまで1時間ほど話を聞いてきたけど、「なんで結成1年でここまで勢いがあるのか」という疑問に対する答えは見えないままですから。今のPompadollSは、自分たちでも把握しきれていない、ある種のバンドマジックとしか言いようのないものをまとってますよね。マリオのスター状態というか、何をやっても上手くいく感じ。
青木 今はまさにその状態に入ってる気がします。でも、まだまだここからだと思います。
―PompadollSはどんなバンドでありたいですか?
青木 邦楽ロックを代表するバンドですね。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTとかくるり、ナンバーガールみたいに、日本語でロックをやる人たちの代表格。今ってそういうオルタナティブな存在ってあまり出てきていない気がするんですよね。もちろん、今も素晴らしいバンドはたくさんいますけど、それ以上に、聴いた人を衝動的に突き動かすようなバンドになりたいですね。
五十嵐 私は、「どんな人になりたいですか?」って聞かれたときにも同じことを言ってるんですけど、何も恐れなくていいバンドになりたいです。キャリアのある先輩バンドと対バンすると、自分たちなんてボコボコに潰されるんじゃないかって不安になったりするけど、自分たちの音楽がしっかり確立されていたり、自分たちが自分たちである限りは絶対に揺るがない、そう思えるバンドになりたいです。
―素晴らしい。音楽が生き様になってますね。これまでの人生がしっかり音に反映されていて、それを自分自身で肯定してる。そんな印象を受けました。素敵な話が聞けました。ありがとうございます。
青木 こちらこそありがとうございます。余計なことまでベラベラ喋っちゃってすみません(笑)。インタビューって、ついOasisみたいなことを言いたくなっちゃうんですよね(笑)。
―いいと思いますよ(笑)。
青木 前に、音楽の違法ダウンロードが横行して、ノエル(・ギャラガー)がメディアから「どう思いますか?」って聞かれたときに、「音楽が広まるのはいいと思う。でも、オアシスの曲が違法ダウンロードされたら俺は裁判を起こす」って答えたらしくて。それくらいのことを俺もずっと言い続けたいし、「みんな勝手にすればいいけど、俺たちも自由にロックやるぜ」みたいな姿勢でいたいですね(笑)。

「窮鼠、猫を噛む」
PompadollS
配信中
https://linkco.re/1F9zZdeU
ツタロックDIG LIVE Vol.17-OSAKA-
2025年6月8日(日)心斎橋BIGCAT
料金 4,400円 (全自由・入場整理番号付・ドリンク別・税込)
開場/開演:12:00/13:00
主催・企画制作:CEミュージッククリエイティブ株式会社 /KYODO GROUP inc.
協力:Rolling Stone Japan
問い合わせ キョードーインフォメーション 0570-200-888(11:00~17:00 ※土日祝休業)
公式HP https://cccmusiclab.com/tsutarockdig17
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