【写真ギャラリー】ライブ写真・現地撮り下ろし(全12点)
※以下、セットリストへの言及あり

Photo by Stuart Garneys for Rolling Stone UK

Photo by Stuart Garneys for Rolling Stone UK
リアムとノエル・ギャラガーが手を取り合ってステージに姿を現し、それを高く掲げる──その瞬間、ようやく現実として胸に響いてくる。カーディフに集った観客はこの16年間、この光景を待ち続けてきたのだ。そして数分後、リアムが歌い始める。「帰ってこられて嬉しいよ」──かつて誰もが不可能だと思っていたこの夜は、「Hello」で幕を開けた。
この1年、なぜオアシスが再結成されたのかを巡って、人々はいくつもの理由を語ってきた。「リアムとノエルがついに和解したらしい」「ギャラが良すぎて断れなかったんだって」「母親のためにやるって決めたんだよ」──でも、蒸し暑いこの夏の夜、カーディフ・セントラル駅を出た瞬間に思う。そんな理由はもうどうでもいい。ただ、このバンドに人生を重ねてきた何百万人というファンのため、それだけのために再結成されたのだと。

Photo by Stuart Garneys for Rolling Stone UK

Photo by Stuart Garneys for Rolling Stone UK
「お前、そのチケットに4万ポンド払ったって? その価値はあったか?」リアムがそう言ってニヤリと笑う。返事を待つまでもない。
2025年──いや、この10年で最大のカルチャー・トピック──に、もはや余計な煽り文句は不要だろう。だが、それが金曜の夜にカーディフのプリンシパリティ・スタジアムで行われたという事実が、その特別感に拍車をかけている。この会場は、イギリスのスタジアム・ツアーの中でも異色の存在だ。ウェールズの首都カーディフのど真ん中に位置し、中央駅から歩いてわずか5分。駅から会場までの道沿いには、無数のパブやバーが並び、街全体が祝祭の舞台と化す。
バンドの仕上がりは「神がかっている」
「カーディフはもう盛り上がってるぞ!」そんな声がライブ前日の24時間以上前から飛び交い、スタジアム周辺の街はすでに熱気に包まれていた。限定グッズのポップアップストア、バケットハットで作られた巨大な壁画などが通りに出現し、その賑わいぶりはまるでFAカップ決勝の日のようだ。ライヴというより、街を挙げた祭りのような祝祭ムードが広がっている。会場内に入れば、その熱狂をさらに後押しする仕掛けがある。プリンシパリティ・スタジアムの可動式屋根はこの夜、完全に閉じられており、広大なスタジアムというよりは、比較的親密なアリーナ・ショウのような臨場感を生み出していた。
そして午後8時過ぎ、オアシスがついにステージに現れ、『(Whats the Story) Morning Glory?』の冒頭曲「Hello」で幕を開ける頃には、スタジアムの中は濃密で熱狂的なエネルギーに満ちていた。セットリストはどうなるのか、バンドのメンバー構成は?(気の毒なザック・スターキーは、今年ザ・フーから何度もクビを言い渡された挙句、今回は不在)、ロンドンの倉庫で行われたリハーサルの怪しげなスマホ録音──ツアー開幕前にはさまざまな憶測や話題が飛び交っていた。

Photo by Stuart Garneys for Rolling Stone UK

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バンドのサウンドは──リアムの決まり文句を借りるなら──まさに「神がかっている(biblical)」。開始からわずか30分の間に、「Acquiesce」「Morning Glory」「Supersonic」「Cigarettes & Alcohol」と、轟音で次々に繰り出される。オアシスが世代を象徴する名曲の宝庫であることは今さら驚くべきことではない。だが、こうしてそれらが立て続けに放たれると、圧倒されずにはいられない。その勢いは、2時間以上にわたってまったく衰えることがなかった。
中盤にはノエルが歌う2曲、「Half the World Away」と「Little By Little」が並び、意外にもこの夜最大級のシンガロングが巻き起こる。そしてリアムは「Slide Away」と「Whatever」を、熱を帯びたエネルギーで力強く歌い上げた。

Photo by Stuart Garneys for Rolling Stone UK
感動的な瞬間も用意されていた。終盤、「Live Forever」の最後の一節に差しかかったとき、前日に交通事故で亡くなったリヴァプールのストライカー、ディオゴ・ジョタのユニフォームがスクリーンに映し出されたのだ。
2009年、ノエルがパリの「ロック・アン・セーヌ」フェス直前に劇的な脱退を表明し、イギリス音楽界最大の”シットコム”は、じつに皮肉な形で幕を下ろした。その後の16年間、兄弟はソロ活動に打ち込み、再結成の噂が絶えず流れ、そして終始一貫した口撃合戦でメディアを賑わせ続けてきた。
兄弟は多くを語らず、楽曲にすべてを託した
今回のツアーが発表されて以降も、ファンの間では「発表に使われた2人の写真は合成では?」「再結成の話は交わしていても、リアルには一度も顔を合わせてないらしい」といった憶測が飛び交った。チケットが発売されると、価格が変動する「ダイナミック・プライシング」について世界的な議論が巻き起こり、ついには英政府が調査に乗り出す事態にまで発展。──これだけでも、まさにドラマそのもの。
そしてリアムは、ライブの最後に「Champagne Supernova」を披露する前にこう言い放つ。「俺たちって、マジでめんどくせえよな。分かってるよ」
これまでの騒々しい経緯に比べると、肝心のライブ本編は意外なほど”ノードラマ”だった。ヒット曲の数々は完璧に披露され、バックバンドも絶好調。その一方で、当の兄弟はどこかしら「まあ、当然でしょ」とでも言いたげな、無表情な顔つきで演奏を続けている。彼らは自然と、かつての役割に戻っていた。

Photo by Stuart Garneys for Rolling Stone UK

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It has begun pic.twitter.com/JVrsNJ7SJB— Oasis (@oasis) July 4, 2025
リアムは扇動役として、「Cigarettes & Alcohol」の最中に観客に向かって、愛するマンチェスター・シティの”ポズナン・ダンス”をやれと呼びかける。一方ノエルは、冷静沈着な相棒としてその隣に立つ──まるで16年の空白などなかったかのように。
ライブ冒頭、象徴的に掲げられた兄弟の腕──その幕開けを締めくくるのは、ステージを去る直前、ややぎこちなく抱き合った二人に向けられた、地鳴りのような大歓声だった。
数々のいざこざや口論、ハイ・フライング・バーズやビーディ・アイといった派生プロジェクトを経てもなお、変わらずにそこにあったのは、この世代を象徴するアンセムの数々。そしてそれらは、カーディフが史上最高の一夜を体験したその後も、きっと変わらず鳴り響き続けるだろう。
▶︎当日のライブ動画(現地撮影)&セットリスト
From Rolling Stone UK.

▼UKカーディフ公演のセトリプレイリスト
https://OasisJP.lnk.to/0704SetlistRS

オアシス
『モーニング・グローリー:30周年記念デラックス・エディション』
2025年10月3日リリース

ベストアルバム
『Time Flies...1994-2009』(2CD限定仕様リマスター盤)
発売中
購入:https://sonymusicjapan.lnk.to/Oasistf9409AW

オアシス来日記念公式サイト
https://oasislive25.jp
日本唯一の公式オンラインストア
「Oasis Live 25 JAPAN Official Online Store」
https://items-store.jp/oasis2025
渋谷・MIYASHITA PARKにて、来日記念ポップアップショップ開催決定!
※詳細な開催日程・内容は、公式サイトおよび公式Xにて随時発表予定
Jul 4 2025
Oasis at Principality Stadium, Cardiff, Wales
1. Fuckin in the Bushes(SE)
2. Hello
3. Acquiesce
4. Morning Glory
5. Some Might Say
6. Bring It on Down
7. Cigarettes & Alcohol
8. Fade Away
9. Supersonic
10. Roll With It
11. Talk Tonight
12. Half the World Away
13. Little By Little
14. DYou Know What I Mean?
15. Stand By Me
16. Cast No Shadow
17. Slide Away
18. Whatever
19. Live Forever
20. Rock n Roll Star
ENCORE:
21. The Masterplan
22. Dont Look Back In Anger
23. Wonderwall
24. Champagne Supernova
NIGHT ONE
Cardiff
04.07.25#OasisLive25 pic.twitter.com/MKCwdBvH8a— Oasis (@oasis) July 4, 2025