2日間にわたり開催されたヒップホップフェスティバル「POP YOURS 2025」。ここではPOP YOURSならではのセクション「NEW COMER SHOT LIVE」にフォーカス。
今シーンで注目を集めている新しいアーティストが、1日4組ずつ登場。現場を大いに盛り上げた。文筆家/ライターのつやちゃんによるルポをお届けする。
【画像】「POP YOURS 2025」ライブ写真(全58枚)NEW COMER SHOT LIVEは、POP YOURSにおいて新進気鋭のアーティストたちがパフォーマンスを披露するセクションだ。各日4組が立て続けに5分間のライブを行う形式で、次世代のシーンを担う若手の登竜門としてすっかり定着した感がある。中にはまだデビューしたての演者もおり、大観衆を前に舞台に立つなんて夢のような機会。この枠に入ろうと、ニューカマーたちは日夜しのぎを削っているわけだ。
さて、今年そのチャンスを手にしたのは、DAY 1がSTACK THE PINK、Tete、TOKYO世界、ziproom、DAY 2がDAB、5Leaf、lilbesh ramko、Tade Dustというラインナップ。オルタナティブな価値観を打ち出すラッパーも多く、多様性という点では非常に面白い8組が揃った。まずトップバッターは、岐阜県を拠点とするSTACK THE PINK。スマッシュヒット曲「YOUNG STAR」でいきなり驚異的な高速ラップを見せつけ、会場から大歓声が沸き起こった。音源でスキルフルなラップを聴かせている彼のようなラッパーが、きちんと生でも爪痕を残すのはすばらしい。
続いて、ziproomが登場。神戸を中心に活動するコレクティブだ。「Dive」のアンビエントでダークな音響が幕張メッセに広がっていく中、オーディエンスはぐいぐいziproomの世界へと引きずり込まれていく。そして、TOKYO世界が登場。今回のSHOT LIVEで一番驚いたのは彼だ。1年前はまだラップスタアに応募したばかりでほぼ無名だった彼が、大観衆の視線を自由自在に操るパフォーマンスを見せたことに感動した。「幕張、少しだけ失礼いたします」という控えめなMCが嘘のような、堂々としたラップだった。初日の最後を飾るのは、Tete。長崎発の実力派ラッパーは、ライブ構成もひと味違った。アカペラで歌い、JJJのサンプリングも聴かせる。見ている視座が高く、今後のさらなる飛躍を予感させる大物感があった。
2日目は、5Leafからスタート。
2024年のラップスタア出身という点ではTOKYO世界と同様で、1年前はほぼ無名だった彼女が堂々としたステージを見せていて痺れた。5Leafは、ステージでのたたずまいがサマになる、スター性あふれるラッパーだ。ラップや歌唱ももちろん巧いが、マイクを握って立っているだけでフロアの視線をグッと集められる存在感は彼女ならではのもの。続くlilbesh ramkoは、最もエモく最も混沌とした時間を生み出した。DJバー・阿佐ヶ谷DRIFTのTシャツを着て、ハイパーなサウンドの中で声を振り絞るプレイは、熱気あふれる界隈の空気を幕張メッセにそのまま持ってきたかのようだった。DABは、スロウでドープなサウンドとともに彷徨うようなラップを披露。フードをかぶりながら、没入感ある世界観を作り出していた。最後はTade Dustのスタイリッシュなビート&ラップでフィニッシュ。「自分がどこから来てどこに行きたいかを刻みたくて今日ここに立っています。皆、ついてきてくれますか?」と投げかけたMCには、多くの歓声が生まれていた。バラエティにあふれていて、既存の価値観では計れないユニークな演者たち。NEW COMER SHOT LIVEは今年も、シーンの未来を照らす充実した時間だった。
<ライブ情報>
POP YOURS OSAKA 2025
2025年10月18日(土)大阪城ホール
時間:開場12:00 / 開演13:00
https://popyours.jp/osaka2025出演者:
Awich
Tohji
LEX
bZm
Elle Teresa
guca owl
Kaneee
MFS
MIKADO
Red Eye
STUTS
Vingo
NEW COMER SHOT LIVE (New)
FANI
Pxrge Trxxxper
and more
(AtoZ)
チケット:
オフィシャル3次先行(※抽選制)
受付期間:7月28日(月)19:00~7月30日(水)23:59
受付URL ローソンチケット:
https://l-tike.com/popyours-osaka/