SUMMER SONIC 2025が8月16日(土)・17日(日)、東京・大阪の2会場で開催された。東京はプラチナチケット及び2DAYチケットが完売し、大阪は全券種ソールドアウト。
サマソニ公式メディアのRolling Stone Japanによる、東京公演のハイライトをまとめたライブレポートをお届けする。本記事ではDAY2・8月17日(日)を総括。

※以下、当日の出演時間順に掲載

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Mrs. GREEN APPLE
11:00〈MARINE〉

サマソニに登場するのは3年ぶり。この3年間でミセスは数々の金字塔を打ち立ててきた。朝イチのMARINE STAGEには異例の数のオーディエンスが詰めかけた。大森元貴、若井滉斗、藤澤涼架の3人がステージに姿を現すと客席で自然とハンドクラップが上がった。「ブルーアンビエンス」の大森ソロバージョンで度肝を抜いたと思ったら、若井のギターソロが冴えわたった「ライラック」では特大のシンガロング。3年前は若井が体調不良で出られなかったことに触れ、大森は「小さいアクスタがそこに立ってたんですよ?」と笑顔で懐かしむ。大森が「最後は夏が始まった合図がした曲を」と言うと怒号のような歓声が上がった。お得意の縦眉を見せた後、「青と夏」へ。イントロでステージから水が吹き上がり、oiコールからの数万人によるシンガロングへ。大森が「Mrs. GREEN APPLEでした! 以後、お見知りおきを」というフェーズ1でも口にしていたミセスの謙虚さと誠実さを象徴するような言葉を発し、3人は深々とおじぎをして去っていった。
国民的バンドに相応しい圧巻のライブだった。
[小松香里]

「SUMMER SONIC 2025」MARINE STAGEにお越しいただきありがとうございました

トップバッター過去最高人数動員!
入場規制がかかるほどの多くの方々がお越しくださいました

皆さんと一緒に盛り上がれて
夏の大切な思い出がまた一つ増えました

引き続き、体調に気を付けながら
「SUMMER… pic.twitter.com/QYKN4qKFsZ— Mrs. GREEN APPLE (@AORINGOHUZIN) August 17, 2025

INI
11:00〈MOUNTAIN〉

生バンドでの初ステージから、わずか1年しか経っていないとは思えないほどに、演奏と密なステージを作り上げたINI。ブラスアレンジの「FANFARE」で華やかにオープニングを飾る姿には、余裕すら感じられる。ヘヴィなサウンドに負けない声の圧、モーションの力強さ、そして「なんとしても魅了する」という強い意志。聡明でブライトな佇まいはそのままに、レベルアップを重ねてきたのだろう。「HI-DE-HO」ではハンズアップを促して一丸となった空気を作り出し、「Party Goes On」ではキュートでキャッチーな魅力を解放。11人から発せられるオーラには、気づいたら笑顔になってしまうパワーがある。それでいて「HERO」のユニゾンでは、目頭が熱くなるハーモニーを響かせてしまうのだから、彼らの底力は計り知れない。
[Rolling Stone Japan編集部]

BE:FIRST、イ・ヨンジ、Feidなどが躍動 サマーソニック総括レポート【東京DAY2】


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©︎SUMMER SONIC All Rights Reserved.

MAZZEL
12:10〈MOUNTAIN〉

MOUNTAIN STAGEのOpening Actを務めて以来2年ぶりのサマソニ。SEITOが「いち音楽ファンとして皆さんのことを仲間だと思っててよいですか? 生きていて傷付いたり周りと違うなと思って孤独を感じることもあるかもしれませんがそれがあなたの個性です!」と言った後、「俺たちの個性と切り札をひとつにした曲」として披露したのは「J.O.K.E.R.」。バキバキのダンスブレイクといい、MAZZELのギラギラの個性が混ざり合い、えも言われぬ高揚感が漂う。NAOYAの「はじめましての人もMUZE(MAZZELファンの呼称)も乾杯しましょう!」という乾杯の音頭の後は、EIKIが「この声を聞いてくれてるあなたの夏が素敵な夏になりますように!」と言って夏のアンセム「Seaside Story」へ。
ラストは「Parade」でポテンシャルを見せつけた。
[小松香里]

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JO1
12:15〈MARINE〉

2024年に開催されたツアー以降、JO1とWONDER SHOWを掛け合わせた”JO1DER SHOW”を、ずっと引き継いでいくライブコンセプトに据えたJO1。サマーソニックの演目も、その延長線上にあるようなショータイムだった。指揮棒を持った川尻蓮が大勢のダンサーと共に「BE CLASSIC」をドロップし、他のメンバーがどこから現れるのかと思っていたら、なんとダンサーのなかに混ざっていたというサプライズ。ドラマティックな始まりだけでもグッと引きこまれてしまうのに、「Test Drive」では一致団結した空気を生み出し、「ひらく」では胸を打つ歌声を響かせる。フェスの一枠という限られた時間であっても、自分たちの手札を出し惜しみすることはない。”JO1の美味しいところ全部詰め”と言わんばかりの濃密なステージとなった。
[Rolling Stone Japan編集部]

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KATSEYE
13:15〈MOUNTAIN〉

HYBEとGeffen Recordsが主催するオーディション番組を通して昨年デビューしたグローバル・ガールズ・グループKATSEYEは、この日随一の注目度の高さを伺わせる集客ぶり。多国籍なメンバー5人(マノンは体調不良のため欠席)はブラックのエナメルジャンパーで揃えたシック&ストリート仕様なコスチュームで登場したが、2曲目の途中でジャンパーを脱ぐと全員髪を振り乱してトゥワークで場内のボルテージを一気に引き上げる。K-POPの育成メソッドを用いて結成された彼女たちだが、韓国人や日本人を中心に構成されるグループと比べてダイナミックな体躯と表現力を生かしたパフォーマンスが特徴的だ。楽曲もパンキッシュでヘヴィなドラムが響くものから、ラテンやフラメンコビートを取り入れた曲、爽やかなガールズR&Bまで実にクロスカッティング。日本でライブするのが夢だったというメンバーたちは「超ヤバイ!」「みんな元気⁉︎」と拙い日本語と英語でMC。
K-POPが世界中に広まったことの影響力と新たな旋風の予感を実感する時間となった。
[鳴田麻未]

Tokyo, you made our hearts race!! thank you for the incredible time at @summer_sonic, we love you all so much we missed our sweet girl, Manon and are wishing her a speedy recovery!! pic.twitter.com/diHyJWExwA— KATSEYE (@katseyeworld) August 17, 2025

BE:FIRST
13:25〈MARINE〉

デビュー前、BE:FIRSTにとって初の有観客ライブ「SUPERSONIC」から始まり、前人未踏の5年連続出演となるBE:FIRST。6人での日本初ライブとなった「CANNONBALL 2025」は錚々たるラインナップの大トリということもあり、序盤こそ緊張が伝わったが、勝手知ったるサマソニは1曲目の「GRIT」から貫禄のパフォーマンス。「THE FIRST」からワールドツアーまでの約4年間のBE:FIRSTの奮闘を凝縮したRYOKIのラインを新たに担ったSHUNTOのラップもRYOKIへのリスペクトを宿しつつ既に板についている。再び最強の7人になる時まで最強の6人であろうとするBE:FIRSTの姿からは、何よりも音楽に真摯であろうとするアティチュードが伝わる。会場の暑さを気遣ったSOTAが「みんなの分、俺らが踊ります! 腰抜かすなよ!」と言ってからの「Boom Boom Back」、LEOが「初めましての人もBE:FIRSTのことを嫌いって人もいるかもしれないけど、今日こうやって会えたんだから勝手にあなたのために歌って帰ります!」と言ってからの「Great Mistakes」と、一人ひとりのオーディエンスに深く向き合ったMCを交え、最後はSHUNTOが「朝からこのMARINE STAGEで日本人の素晴らしいアーティストがたくさん歌ってくれて、ここから切り替わって海外の素晴らしいアーティストがライブをやります。僕たちは最後に日本のゴリゴリのラブソングを歌っちゃいます!」とサマソニに敬意を捧げ、珠玉の歌声で魅せる「夢中」で締め括った。
[小松香里]

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NESSA BARRETT
14:00〈SONIC〉

ラナ・デル・レイやビリー・アイリッシュを想起させるような、いわゆるサッドガールの文脈にある耽美な世界観で同世代の女性から支持を集めるのが、23歳の新鋭ネッサ・バレットだ。バックバンドがパワフルに叩き出すダークで歪んだエレクトロポップの上を浮遊する、バレットの沈み込むような歌声。ポーティスヘッド「Glory Box」のカバーも披露したが、その選曲も含めて現代のサッドガールの王道と言うべきだろう。その一方で、銀ラメの装飾が全体に施された上下セパレートのセクシーな衣装に身を包み、官能的に踊りながら歌うバレットの姿は、ラナやビリーのようなオルタナティブなアイコンより、もっとオーセンティックなポップスター像に近い。ただ彼女は、プエルトリコ系のアメリカ人。
幼い頃は痩身の白人女性の友人に囲まれる中、滑らかなカーブを描く自身の体型にコンプレックスを抱いていたという。その意味では、このステージでの魅せ方も自分らしさを肯定するセルフエンパワーメントのひとつなのだろう。このライブでは、「サッドガールとはこういうもの」という固定観念には捉われない、そのユニークな在り方のひとつを観た。
[小林祥晴]

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TINASHE
14:25〈MOUNTAIN〉

同じステージのひとつ前をダンス・ポップで駆け抜けたKATSEYEに続くのが、プログレッシブなR&Bをポップに展開するティナーシェというのは美しい流れだった。MVを含めたバックスクリーンの映像と連動するように、4名の男性ダンサーと艶かしいムーブで律動しながら人気曲を連発。その光景は今年1月の来日公演を思い出させてくれたが、終盤に「2 On」などで懐かしさを誘った後、6月に発表したディスコ・ラインズとのコラボ曲「No Broke Boys」を披露したステージは、さらに新しく進化していた。UKガラージ路線にケイトラナダとのフューチャー・ハウス、スロウ・グルーヴと緩急つけて揺さぶり、トゥワーキングを交えて挑発的なダンスもする。コケティッシュなのに勇ましいパフォーマンスは、シンガロングを誘った「Nasty」までカッティングエッジそのもの。クラブDJの感覚を持つシンガーという思いを強くした。
[林剛]

Da-iCE
14:30〈PACIFIC〉

コミカルなMCと積極的にオーディエンスを巻きこむパフォーマンスで、初見の心すらも鷲掴みにしていったDa-iCE。みんなが聴きたいであろう「CITRUS」のサビを伸びやかに歌いあげ、一瞬にして空気を掌握。「TAKE IT BACK」と「BACK TO BACK」で抜け感のある実力を魅せると、その後はみんなでライブを楽しみ尽くすことに徹していった。
「I wonder」や「スターマイン」といったキラーチューンを惜しげもなく投下し、会場一体となる大合唱やクラップ、ジャンプを巻き起こす。研ぎ澄まされた歌やダンスのスキルを、自分たちの凄さを誇示するためではなく、全員でハッピーな時間を過ごすために使っていくのである。そのライブスタイルには、国民的アーティストの矜持を感じざるを得なかった。
[坂井彩花]

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J BALVIN
14:35〈MARINE〉

ラテンデーでもあるサマソニ東京の2日目。まずMARINE STAGEにはコロムビア出身のレゲトン/ラテンポップ界のスター、J・バルヴィンが登場。巨大な顔のオブジェが鎮座するステージ。のちにサッシャのMCで明らかにされていたが、日本で購入したというお気に入りの空調服を着用したJ・バルヴィン。ビートとメロディが一体化したような心地よすぎる歌を聞かせながら、一旦オーディエンスを座らせてジャンプさせたり、とにかく盛り上げるのがうまい。かと思ったら、しゃがみこんでBad Bunnyとの名バラード「LA CANCIÓN」を歌い、溶けそうな陶酔感を漂わせる。BEACH STAGEのトリを飾るFeidが登場して「Doblexxó」を披露し、さらなる熱狂を呼び込みつつ、最後はスクリレックスとの「In Da Getto」。空調服からTシャツ姿になり、終盤にはTシャツを脱いで客席に投げ込み、日本語で「ありがとうございます」と感謝を伝えた。この約3時間後には「In Da Getto」をプロデュースしたタイニーがBEACH STAGEで見れてしまうのだからたまらない。

[小松香里]

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SOMBR
15:15〈SONIC〉

長身で余計な贅肉が一切ついていないランウェイショーのモデルのような体型。俳優のように彫りが深くて整った顔立ち。立っているだけで絵になるとは、彼のような人のことを言うのだろう。今年のサマソニで最注目の新人ソンバーは、誰が見てもわかるほど明白にポップスターのオーラを身にまとっていた。もちろん魅力的なのは、その見た目だけではない。名門校で声楽を学んでいただけあって、ファルセットもシャウトも自在に力強く響かせる。その声の響きの美しさは、「caroline」のようなアコースティックなバラードで特に際立っていた。

また、待望のデビューアルバム発売まで1週間を切ったタイミングのため、同作からライブ初披露の新曲を幾つも歌ったが、どれも完成度が高いアンセミックな曲ばかり。オーディエンスも初めて聴く曲であるにもかかわらず、静まり返ることなく、歓声を上げながら体を揺らしている。その反応こそが、彼のソングライターとしての実力の高さを何よりも証明していた。もちろん、「back to friends」や「undressed」のような大ヒット曲で、オーディエンスが熱狂の渦に包まれたのは言うに及ばない。曲や歌声が高いレベルで安定しており、ステージでの存在感も抜群。「ソンバーをこの規模感、この時間帯に観られるのはこれが最後かもしれない」と多くの人が囁いているが、実際にそうなることはほぼ間違いないはずだ。
[小林祥晴]

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LEE YOUNGJI
15:40〈PACIFIC〉

バンドを従えて「叫べー!」とアジテートしながら降臨した韓国の人気女性ラッパー、イ・ヨンジ。常にエネルギッシュな彼女のステージは、老若男女の日頃の鬱憤を代わりに晴らしてくれるような痛快さがいつも伴う。激しいラップをしながらペットボトルの水を自分の体にかけて挑発する、ヒップホッパーとしての度量を発揮したかと思えば、バラエティ番組のMCとしてもおなじみのサバサバした親しみやすさも健在。韓国語、英語、日本語を”伝わりゃいい”と言わんばかりにごちゃ混ぜにしてオーバーアクション多めで伝えてくれる姿に、初見のオーディエンスもすぐに引き込まれる。昨年台風の影響でやむなくキャンセルとなったサマソニにこうしてリベンジできたこと、星野源とのコラボ曲「2」を日本のステージで披露できたことは、本人にとっても嬉しい出来事だったはず。
[鳴田麻未]

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CAMILA CABELLO
16:05〈MARINE〉

フェスの場合、ヘッドライナーでもない限り、簡素化されたステージセットでライブをこなすポップアクトも珍しくない。しかし、カミラ・カベロは最新ツアー「Yours, C」を象徴する巨大な白いキューブ状のセットをそのまま持ち込んでのパフォーマンスを見せてくれた。まずはその心意気が嬉しい。テトリスのブロックのように組み合わせ自在な白いパフのパーツと、二階建て家屋を骨組みだけにしたような白い立方体が、立体的な動きを見せながら次々と形を変えていく楽しいステージ。それを存分に使って動き回り、ときにセクシーに、ときに可愛く、ときに情熱的なパフォーマンスを見せていくカミラの姿が大観衆を飽きさせない。代表曲を網羅したセットリストは、ラテン、エレクトロポップ、バラード、ハイパーポップと幅広い。だがそれでも違和感なく聴かせられるのは、彼女のシンガーとしての力量――豊かな声量と伸びやかな歌声の心地よさゆえだろう。もちろん、常に陽性のヴァイブを放つ彼女のチャーミングなキャラクターも、終始オーディエンスを魅了していたのは言うまでもない。彼女の日本初ライブにかける想いや、表現者としての確かな実力が十分すぎるほど伝わってきた。
[小林祥晴]

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BMSG POSSE
16:50〈PACIFIC〉

SKY-HI、Novel Core、Aile The Shota、edhiii boi、REIKOというBMSGが誇るソロアーティストが集結したクルー、BMSG POSSE。「MINNA BLING BLING」で圧倒的なスキルと華と自由度を見せつけた後、BOSSであるSKY-HIが「はめ外す準備できてるか? 一番自由な時間来たぞ!」と開幕宣言。オーディエンスを巻き込んでの「シカト!」が轟いた「SHIKATO!!!」、Aile The ShotaとREIKOの美しいハーモニーを堪能できた「Tokyo Night Dreaming」。REIKOのラップもedhiiiの歌も炸裂し、まるで全員がオールラウンダーだ。Aile The Shotaが「大事な人を大事にしてな!」と言うとSKY-HIは「良い締め方をするな」と賞賛しつつ「ポップミュージックは形が変わっていくけれど、自分がどんな音楽を求めているか立ち返ってください」と。SKY-HI、Novel Coreに続いてのフリースタイルで成長を見せたedhiiiに大喝采が送られる中、SKY-HIは「人生楽しもうぜ!」と呼びかけ、「OVERDRIVE」で世界一自由な時間は終演した。
[小松香里]

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JORJA SMITH
17:00〈MOUNTAIN〉

サマソニ出演は2018年以来7年ぶり。今回もバンドセットだが、キーボード、ギター、ベース、ドラムの各奏者に、今回はパーカッションと3名のバック・コーラスが加わっていた。特にパーカッションの打音が強調され、幕開けの「Try Me」からボ・ディドリー風ジャングル・ビートが際立ち、ダンスホール、アフロビーツ、UKガラージ、トライバルなハウスまで、コラボ曲を含むお馴染みのダンス・ナンバーをストイックかつ激しいグルーヴで放っていく。今年リリースしたシングル「With You」と「The Way I Love You」もシームレスに繋いで披露。切なくも情熱的なボーカルは以前に比べてエレガンスと渋みを増し、風格を漂わせながらディープに歌い込んでいくジョルジャは、そのビジュアルも含めてシャーデー・アデュに近づきつつあるようにも感じられた。大きく成長してサマソニに帰ってきたのだ。
[林剛]

aespa
17:55〈MARINE〉

マジックアワーの空に加えて光の演出が映え始める18時台に、aespaのミステリアスかつカリスマ性溢れるアクトを目撃できたのは贅沢だった。「Supernova」をはじめ「Next Level」「Armageddon」などのメガヒット曲をバンドバージョンで堪能。吸引力抜群のクールさが武器のウィンター、神がかったビジュアルに幾度も歓声の上がるカリナ、東京出身としてこのステージに特別な思い入れがあると話した日本人メンバーのジゼル、エキゾチックな魅力を高い歌唱力と共に振りまくニンニン。近未来的でファンタジックなパフォーマンスとは裏腹に、全編日本語でMCをがんばる4人にキュンとする。火照り光り輝くグリッターメイクとお肌の綺麗さを大ビジョンで眺めていると、とても同じ人間とは思えない。「Whiplash」「Dirty Work」を畳み掛けたSっ気たっぷりのラストスパートが特に本領発揮と感じた。
[鳴田麻未]

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JEFF SATUR
18:00〈PACIFIC〉

MUSIC AWARDS JAPAN 2025で特別賞を受賞したJeff Saturが、サマーソニックで初来日。さすがタイのスーパースター、楽曲を繊細に紡ぎ上げる歌唱力が圧巻だった。「Why Dont You Stay」で降り積もっていく歌声の、なんと切ないことか。彼が声を落とすたび、周りの空気がどんどん澄み渡っていくような感覚に。10年を超える音楽キャリアと俳優経験が成せる業なのだろう。たっぷり空気を含んでエアリーに響かせたり、温かい強さを内包させたり、細やかなチューニングで声を緻密に操っていく。感情の機微を精妙に汲み取った歌唱は、日本語曲のカバーになっても健在だ。原曲へ敬意を払いながらも、自分の想いもしっかりと乗せて歌い上げられた米津玄師の「Lemon」は、優しくもエモーショナルだった。
[坂井彩花]

21 SAVAGE
18:20〈MOUNTAIN〉

既にスロットがほぼ埋まっている段階でアーティスト側からサマソニへの出演希望オファーが舞い込み、おそらく主催者もかなり頑張った結果、スペシャルゲストという形で東京2日目のマウンテンステージへの出演が決定した21サヴェージ。今年のサマソニの客層とどれだけ相性がいいのか未知数だと思っていたが、蓋を開けてみれば、世界的なトップラッパーの初来日を待ち侘びていた観客が詰めかけ、フロアは尋常でない熱気に包まれた。まずはDJがマイクを片手にフロアを煽りまくり、十分に温めたところで21サヴェージが登場。縦横無尽にステージを駆け回っていたDJとは対照的に、その佇まいは至ってクール。無理やり観客を盛り上げようとする素振りはなく、ある意味で淡々と、実直にラップを続けていく。だがそれは決して「やる気がない」ということではない。彼のラップは平熱を保った淡々としたフロウにこそ背筋の凍るような凄みがあるが、それと同種のかっこよさがそのステージングからも感じられた。

セットリストはもちろんヒット曲満載で、オーディエンスからフックの合唱が巻き起こった「Bank Account」、メトロ・ブーミンとの「Runnin」、ドレイクとの「Rich Flex」そして彼が参加したポスト・マローン「rockstar」まで披露する大盤振る舞い。気づけばフロアには巨大なサークルピットが発生しており、観客のボルテージはどこまでも上がっていく。最初にDJによる煽りタイムもあり、パフォーマンスの時間は決して長くはなかった。だがそのぶん、むせかえるほどの熱気を凝縮し、最後まで一気に駆け抜ける伝説の初来日となった。
[小林祥晴]

TAINY
18:50〈BEACH〉

ラテン界のスター、フェイドが自身の誕生日を祝して行われるスペシャルキュレーション企画「Feliz cumpleaños Ferxxo」。トリ前を飾るのは押しも押されぬラテン界のトッププロデューサー、タイニーだ。ビジョンに映ったアニメーションのキャラクターが日本語で「私を作ったタイニーの音楽の世界に皆さんを誘います。異国の音楽の数々が今夜ここでひとつとなるのです」とアナウンス。既にBEACH STAGEにはサマソニ史上一番と言っていいほどさまざまな国のオーディエンスが集まっており、異国情緒たっぷりだ。ステージから頻繁にCO2が吹き上がり、タイニーはラウ・アレハンドロとスクリレックスとフォー・テットとの「VOLVER」、バッド・バニーとロザリアの「LA NOCHE DE ANOCHE」、J・バルヴィンとデュア・リパとバッド・バニーとの「UN DIA」、バッド・バニーの「Neverita」や「Yonaguni」といった自らが手がけたラテンポップのメガヒット曲を中心にプレイ。シンガロングの嵐となった。
[小松香里]

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NiziU
19:15〈PACIFIC〉

PACIFIC STAGEのトリは、デビュー5周年でサマソニ初出演となるNiziU。自己紹介代わりの1曲目「Make you happy」から場内は息の合ったコールで大盛り上がり。JYPエンターテインメント伝統のガーリーで細やかな振りを一糸乱れぬ隊形で見せていく。その様から真面目に研鑽を重ねているグループだと伝わる。生歌+バンド編成をうまく取り入れていたことをはじめ、培ってきたライブ筋力と、ファンと築いてきた絆が感じられるステージだったと言えよう。中盤は「Shining day」「LOVE LINE -Japanese ver.-」など今年日韓でリリースした楽曲を中心に構成し、最後は再びコール&レスポンスがこだまする「Take a picture」で〆。「サマーソニックの最後、最高の思い出を皆さんと作れて本当に幸せでした!」国産グループならではのホーム感の中、ヒット曲の詰め合わせでガールズパワーを炸裂させた。
[鳴田麻未]

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FEID
20:10〈BEACH〉

「Feliz cumpleaños Ferxxo」もついにフィナーレへ。トリを務めるのはもちろん主催のフェイドだ。自身の故郷であるコロンビアだけでなく、数々のラテンの国の国旗が広がるフロアを見て、歓喜の表情を浮かべた。右肩上がりに熱気を増していき、「NOS DESCONOXIMOS」の演奏中にはMARINE STAGEのアリシア・キーズのアクトが終わったことを告げる花火が上がり、多幸感が爆発。プエルトリコ出身のヤンデルのゲスト出演に加え、”トモダチのラッパー”として紹介されて現れたのは千葉雄喜。新曲「OMOTE REMIX」を初めてライブで披露し、日本×コロンビアの「OMOTE!」の応酬にフロアは熱狂。BEACH STAGE×ラテンポップがいかに最高かを実証してみせた「Feliz cumpleaños Ferxxo」。この流れが今後も続くことを期待したい。
[小松香里]

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JVKE
20:20〈SONIC〉

ステージ上にはベッドや机やフロアライトが置かれ、机の上にはキーボードやモニタースピーカーも。そしてバックスクリーンには、ポスターが貼られた壁や本棚、マットが敷かれた床などが映し出されている。これはTikTok発でブレイクしたジェイクの創作現場、つまり彼のベッドルームを模したデザインだ。自分の音楽家としてのアイデンティティは華やかな業界や豪華なスタジオではなく、今もベッドルームにある――このセットからは、そんな彼の主張が端的に伝わってきた。

ライブはまさに彼のベッドルームに観客が招待されたようなアットホームな雰囲気で進む。彼のスマホが鳴ったと思ったら、バックスクリーンに映し出されたのは、LE SSERAFIMのキム・チェウォンとTOMORROW X TOGETHERのテヒョンからのビデオコール(を模した映像)。そのままビデオ通話を繋いでの共演という形で、2人とのコラボ曲「butterflies」を披露する演出も楽しい。そして驚かされたのは、生で聴くと思いのほかサブベースが効いている曲が多いこと。彼の曲は、クラシックの影響が感じられるドラマティックなピアノや、透き通った美声で歌うポップなメロディが魅力。感動的なバラードや透明感のあるポップソングとトラップ的な重低音の融合は、従来の常識では「ミスマッチでは?」という先入観を持ちがち。だが、その合わせ技を何の抵抗感もなく自然にやれてしまうところに、ポストジャンル・ネイティブ世代のフレッシュな感性を感じた(そして実際、曲に重低音がマッチしているのだ)。本編ラストは全米トップ10ヒットを記録した代表曲「golden hour」を感動的に歌い上げ、アンコールの「Upside Down」では花道に駆け出してファンと近距離で熱唱。新世代的な感性が光るそのステージは、観客の喝采に包まれながら余韻たっぷりに幕を閉じた。
[小林祥晴]

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SUMMER SONIC 2025
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