ジョルジャ・スミス(Jorja Smith)が7年ぶりにサマーソニックへ帰還。昨年10月のジャパンツアーよりも増員したバンドを従え、UKクラブカルチャーと多様な音楽要素を融合させた独自のR&Bを披露した。
センセーショナルなデビューを飾った1stアルバム『Lost & Found』、大きな成長を示した2023年の2ndアルバム『falling or flying』の楽曲に加え、今年リリースしたダンサブルな新曲「With You」「The Way I Love You」でも大いに沸かせたジョルジャ。サマソニ東京会場の出番終了後、興奮冷めやらぬ様子の彼女にインタビューを実施した。
Photo by Masato Yokoyama
─日本を訪れるのは2018年のサマーソニック、昨年のツアー以来だと思います。これまでの日本滞在中に印象的だった出来事やエピソードはありますか?
ジョルジャ:前回のサマーソニックは初めての日本で、時間もあまりなかったから色々と見て回ることはできなくて。でも、日本の人たちが私の音楽を聴いてくれているというだけで感動しました。去年の来日時(10月に大阪・なんばHATCH、東京・豊洲PITで公演)も忙しかったけれど、また日本に来られただけですごく楽しくて。
で、今回は(先に出演した)大阪で少し時間があって。買い物したり食事したりできたんです。あれは……何ていったっけ? 日本のバーベキュー…焼き…焼肉! あれに行ったの。でも、やり方がわからなくて煙がいっぱい出ちゃって、お店のなかをモクモクさせちゃった(笑)。
─2018年のサマーソニックの時と比べると、歌のスケール感が格段に増したように感じます。この数年でご自身の歌唱にどんな成長や変化を感じていますか?
ジョルジャ:成長した、ということだと思う。
─「On My Mind」や「Little Things」で畳み掛ける展開がとても印象的でした。ダンサブルかつグルーヴィーであることは、あなたのパフォーマンスにとってどれくらい重要だと思いますか?
ジョルジャ:大事なことでもある、けれども音楽を聴いて感じるままに体を動かせるって、素晴らしいことだなって。パフォーマンスしている側としても思う。私は自分でもそういう場所に遊びに行くのが好きで、DJをやっている友達も大勢いるから、自分の曲がそのセットリストの中にミックスされているのを聴くと、そしてみんなが踊ってくれるのを見ると、すごく嬉しい。でも、私の曲から感じるものは色々だと思う。聴いて踊るだけじゃなく、泣きたくなったり、どこか別の場所へ運ばれていくような気持ちになったり……。うん、どう感じてくれても構わないし、むしろ色々な感情を呼び覚ます音楽をやりたいので、アップビートな曲ももっとやりたいけれども、あらゆるスタイルの音楽をやっていきたい。
─今のお話にもあった通り、デビュー当初からあなたの音楽はクラブカルチャーと密接につながってきましたが、クラブミュージックからはどんな影響を受けてきましたか?
ジョルジャ:両親もそういう音楽が好きだったから、(クラブミュージックは)自然と自分に染みついているものだと思う。
─2025年リリース「The Way I Love You」のMVは、シェフィールドの伝説的クラブ〈Niche Nightclub〉が舞台になってました。このクラブにリスペクトを捧げた理由を聞かせてください。
ジョルジャ:私はウォルソール出身で、シェフィールドの近くにあります。そこでは、伝説的なナイトクラブNicheやクラブカルチャー全体が1980年代から盛り上がっていました――私が生まれるずっと前のことです。自分はまだ生まれていないし、クラブに出かけるようになったのは18歳ぐらいからだから、伝説のクラブには行ったことがない。だからあのビデオはオマージュ。そこで流れていたという音楽を、私は学生時代にさっき話したような友人のDJたちのミックスを通じて知って、大好きになって。どういう場所だったか話を聞いて、ずっと憧れていたの。あのビデオの監督のKCロック(KC Locke)がすごく優秀で、見事に表現してくれたけど、私の実体験というわけではないんだ。
─最新シングル「With You」は夏のラブソングとのことで、どこかノスタルジックな雰囲気が漂っています。
あの曲は温もりを伝えたいと思って書いたもの。愛の温もり、というか。私にとっては正に自分がそういう気持ちだったから書いたラブソングだったんだけど、あるときミュンヘンでのパフォーマンスで曲の説明をしたら、みんなけっこう意外そうな顔をしていて。どうやらライブアンセムのような感覚で受け止められていたみたい。でもあの時、私もお客さんと繋がっている実感がものすごくあったのも事実なの。
そこで思ったのが、英語圏の国でなくても感じてもらえる温もりとか愛があるのなら、個人的なラブソングにとどまらず、「ファンのみんなと私のラブソング」という捉え方もできるな、ということ。だからひとつのことを意図して書いても、それぞれの物語の中で色んな意味合いを持つようになるんだなって思った。
─夏の曲といえば、2019年の「Be Honest (feat. Burna Boy)」が今でもライブアンセムとして愛されています。リリース当時、アフロビートとあなたの歌声の融合を新鮮に感じたものですが、この曲はあなたのキャリアにとってどんな意味を持つ一曲になりましたか?
あれは正にサマー・チューン。夏の雰囲気をみんなで楽しめる曲がほしかったから、ドロップした途端に反応があったという意味でも、ライブでやって盛り上がるという意味でも、すごくビッグモーメントを感じる曲。ああいう曲がまた欲しいなと思ってる。
─近年はツアーを精力的に行っていますが、新しい作品の制作も進んでいるのでしょうか?
まだかな。
Photo by Masato Yokoyama
ジョルジャ・スミス
「With You」
配信リンク:https://famm.orcd.co/withyou
「The Way I Love You」
配信リンク:https://jorjasmith.ffm.to/thewayiloveyou
センセーショナルなデビューを飾った1stアルバム『Lost & Found』、大きな成長を示した2023年の2ndアルバム『falling or flying』の楽曲に加え、今年リリースしたダンサブルな新曲「With You」「The Way I Love You」でも大いに沸かせたジョルジャ。サマソニ東京会場の出番終了後、興奮冷めやらぬ様子の彼女にインタビューを実施した。

Photo by Masato Yokoyama
─日本を訪れるのは2018年のサマーソニック、昨年のツアー以来だと思います。これまでの日本滞在中に印象的だった出来事やエピソードはありますか?
ジョルジャ:前回のサマーソニックは初めての日本で、時間もあまりなかったから色々と見て回ることはできなくて。でも、日本の人たちが私の音楽を聴いてくれているというだけで感動しました。去年の来日時(10月に大阪・なんばHATCH、東京・豊洲PITで公演)も忙しかったけれど、また日本に来られただけですごく楽しくて。
で、今回は(先に出演した)大阪で少し時間があって。買い物したり食事したりできたんです。あれは……何ていったっけ? 日本のバーベキュー…焼き…焼肉! あれに行ったの。でも、やり方がわからなくて煙がいっぱい出ちゃって、お店のなかをモクモクさせちゃった(笑)。
─2018年のサマーソニックの時と比べると、歌のスケール感が格段に増したように感じます。この数年でご自身の歌唱にどんな成長や変化を感じていますか?
ジョルジャ:成長した、ということだと思う。
デビュー当初はステージで客席に向かって自分の言葉で話すのにも慣れていなかったけれど、今はお客さんとやり取りをしたり、曲のストーリーを伝えたりすることが自然に、自信をもってできるようになっている。それと、お客さんの方もすごく変わったんじゃないかな。日本のお客さんも、今回は特に活気があってどんどん参加してくれている印象があった。もちろんそれは、それだけ時間が経って、私の曲をよく聴いて知ってくれている人が増えたからでもあるんだろうけど。
─「On My Mind」や「Little Things」で畳み掛ける展開がとても印象的でした。ダンサブルかつグルーヴィーであることは、あなたのパフォーマンスにとってどれくらい重要だと思いますか?
ジョルジャ:大事なことでもある、けれども音楽を聴いて感じるままに体を動かせるって、素晴らしいことだなって。パフォーマンスしている側としても思う。私は自分でもそういう場所に遊びに行くのが好きで、DJをやっている友達も大勢いるから、自分の曲がそのセットリストの中にミックスされているのを聴くと、そしてみんなが踊ってくれるのを見ると、すごく嬉しい。でも、私の曲から感じるものは色々だと思う。聴いて踊るだけじゃなく、泣きたくなったり、どこか別の場所へ運ばれていくような気持ちになったり……。うん、どう感じてくれても構わないし、むしろ色々な感情を呼び覚ます音楽をやりたいので、アップビートな曲ももっとやりたいけれども、あらゆるスタイルの音楽をやっていきたい。
─今のお話にもあった通り、デビュー当初からあなたの音楽はクラブカルチャーと密接につながってきましたが、クラブミュージックからはどんな影響を受けてきましたか?
ジョルジャ:両親もそういう音楽が好きだったから、(クラブミュージックは)自然と自分に染みついているものだと思う。
でも実験するのも好きで、例えばガラージのサウンドが好きだから「On My Mind」と「With You」にはその要素が入っているし、いくつかの楽曲ではドラムンベースの影響も聴き取れると思う。どちらも子どもの頃から聴くのが大好きだったサウンドだから、自然な流れで取り入れました。
─2025年リリース「The Way I Love You」のMVは、シェフィールドの伝説的クラブ〈Niche Nightclub〉が舞台になってました。このクラブにリスペクトを捧げた理由を聞かせてください。
ジョルジャ:私はウォルソール出身で、シェフィールドの近くにあります。そこでは、伝説的なナイトクラブNicheやクラブカルチャー全体が1980年代から盛り上がっていました――私が生まれるずっと前のことです。自分はまだ生まれていないし、クラブに出かけるようになったのは18歳ぐらいからだから、伝説のクラブには行ったことがない。だからあのビデオはオマージュ。そこで流れていたという音楽を、私は学生時代にさっき話したような友人のDJたちのミックスを通じて知って、大好きになって。どういう場所だったか話を聞いて、ずっと憧れていたの。あのビデオの監督のKCロック(KC Locke)がすごく優秀で、見事に表現してくれたけど、私の実体験というわけではないんだ。
─最新シングル「With You」は夏のラブソングとのことで、どこかノスタルジックな雰囲気が漂っています。
この曲ではどんなことを表現したかったのでしょう?
あの曲は温もりを伝えたいと思って書いたもの。愛の温もり、というか。私にとっては正に自分がそういう気持ちだったから書いたラブソングだったんだけど、あるときミュンヘンでのパフォーマンスで曲の説明をしたら、みんなけっこう意外そうな顔をしていて。どうやらライブアンセムのような感覚で受け止められていたみたい。でもあの時、私もお客さんと繋がっている実感がものすごくあったのも事実なの。
そこで思ったのが、英語圏の国でなくても感じてもらえる温もりとか愛があるのなら、個人的なラブソングにとどまらず、「ファンのみんなと私のラブソング」という捉え方もできるな、ということ。だからひとつのことを意図して書いても、それぞれの物語の中で色んな意味合いを持つようになるんだなって思った。
─夏の曲といえば、2019年の「Be Honest (feat. Burna Boy)」が今でもライブアンセムとして愛されています。リリース当時、アフロビートとあなたの歌声の融合を新鮮に感じたものですが、この曲はあなたのキャリアにとってどんな意味を持つ一曲になりましたか?
あれは正にサマー・チューン。夏の雰囲気をみんなで楽しめる曲がほしかったから、ドロップした途端に反応があったという意味でも、ライブでやって盛り上がるという意味でも、すごくビッグモーメントを感じる曲。ああいう曲がまた欲しいなと思ってる。
─近年はツアーを精力的に行っていますが、新しい作品の制作も進んでいるのでしょうか?
まだかな。
まずはショウをひとしきり楽しんで、それからスタジオに入ることになる。私はピアノやキーボードでひとりで音楽を作ってきたから、スタジオではその形に戻るのが楽しみ。最近は女性でも自分で声をいじったりプラグインを使ったりして面白いものを作っている人がたくさんいるから、そういう動きに刺激を受けて私もやってみたくなっている。ツアーもショウも大好きなんだけど、一段落して地元に戻ってまとまった時間が取れるようになったら、そんな感じでひとりでやり始めてみようと思ってる。

Photo by Masato Yokoyama

ジョルジャ・スミス
「With You」
配信リンク:https://famm.orcd.co/withyou

「The Way I Love You」
配信リンク:https://jorjasmith.ffm.to/thewayiloveyou
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