ガラクタ×ちゃくら×berry meetの3組による対バンライブ「GOOD BOPS SUMMER 2025」が、8月6日、Zepp Shinjukuにて開催された。

このライブは、2024年5月に敢行された全国7都市のライブハウスを巡る対バンツアー「GOOD BOPS TOUR 2024」の延長線上に位置付けられるもの。
それ以前から交流があった同世代の3組は、昨年のツアーを通して”戦友”としての絆を深め合い、そして、その後の約1年間を通して、各々がそれぞれの道を突き進みながら、かつ、お互い刺激し合いながら、大きな成長を重ね続けてきた。そしてこの夏、3組が、Zepp Shinjukuにて再集結。はじめに結論から書いてしまえば、今回の「GOOD BOPS SUMMER 2025」も、文字通り、3組同士の”対決”としての色合いが非常に濃い対バンライブになった。ただ、それだけではなかった。3組それぞれが、約1年間を通して深めてきた自信と確信を胸に、自分たちの、自分たちだけの音楽を堂々と示す。そうした熱く揺るぎない気概を全編から感じた。順を追って振り返っていきたい。

【画像】ガラクタ×ちゃくら×berry meet、Zepp Shinjuku公演(全25枚)

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

ちゃくら(Photo by EdoSota)

トップバッターは、ちゃくら。「はじめよう、Zepp Shinjuku!」ワキタルル(B・Cho)による豪快な呼びかけ。1曲目の「もういいよ、おやすみ」の冒頭から、フロアから無数の拳が突き上がり、コールが轟き、そして、葉弥(Dr・Key)が高く上げたスティックに合わせて熱烈なハンズクラップが巻き起こる。落ちサビでは、サクラ(Vo・G)が「聞かせて?」と大胆に歌を託し、観客が懸命に歌声を重ねて応えてみせる。歌の精度、バンドアンサンブルの揺るぎなさ、そして、観客を信じる想いの深さ。
あらゆる面において、昨年のツアーファイナルから大きく進化している。「ウソノハナシ」の後には、ガラクタの「どこか」のカバーを披露。ガラクタの原曲が誇る爽快で鮮やかな疾走感に、ちゃくらのソリッドさ、パワフルさ、並々ならぬ熱量が加わった、あまりにも痛快なカバーだった。

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

サクラ(Photo by EdoSota)

次に披露されたのは、ガラクタとberry meetのメンバーがコーラスとしてレコーディングに参加した「いびつな愛ですが」。ワキタは、「今日しかできないことが一個だけある。それは、berry meetとガラクタと一緒に歌うこと!」と力強く告げ、2組をステージへ呼び込む。ちゃくら4人それぞれのマイクに分かれて歌声を重ねていくガラクタとberry meetのメンバー。ラストは、ガラクタのはるが〈これからも〉、berry meetのたくが〈ずっと〉、そしてサクラが〈そばに~〉と歌い繋いでフィニッシュ。全員が大集合する光景は、まるでこの日のクライマックスのようだったし、何より、3組の熱く温かな関係性がダイレクトに伝わってくる一幕だった。

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

ワキタルル(Photo by EdoSota)

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

葉弥(Photo by EdoSota)

ここから後半へ。青いライティングの中、まるで海の奥深くへと潜っていくようなバンドセッションが展開。ゆっくり、じっくり、深く、深く。
そして、ピンスポットライトを浴びたサクラが弾き語りで「海月」を歌い始め、バンドイン。猛烈な勢いで圧倒するだけではなく、自分たちの世界へと深く誘い、包み込んでいく。そうした展開に、彼女たちのバンド表現の深化を強く感じた。

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

まお(Photo by EdoSota)

その後、切実なエモーションのとめどない昂りを遺憾無く体現していく鮮烈な楽曲が続いていく。「だった人」の冒頭では、凛と張り詰めた空気の中、サクラのアカペラの歌が堂々と響きわたり、「万人様」では、まお(G)が言葉にならない感情の躍動を渾身のギターソロをもって伝え抜いてゆく。なんてエモーショナルなのだろう。ラストは、昨年のツアーを通して、また、それ以降の約1年間を通して、輝かしいロックアンセムとしての存在感を放つようになった「まるで駄目な女子高生はバンドマンになった」。訳も分からず涙が流れてしまう。劣等感に殺されそうになってしまう。そんな"君"のことを抱きしめてあげられる存在になりたい。そう伝えたワキタは、「ちゃくらは、君の心の底で生きていくバンド」と自分たちの存在意義を改めて掲げた。サクラの歌を通して語られてゆく彼女たち自身の軌跡。
やがて、〈言葉が君と生きる〉という深い確信が歌い届けられ、その勇壮な響きに呼応するように、観客がめいっぱい拳を高く突き上げる。凄まじい熱気の中、最後にサクラは、「君と生きていくガールズロックバンド、ちゃくらでした」と告げ、ステージを去っていった。

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

ガラクタ(Photo by EdoSota)

2組目は、ガラクタ。ちゃくらのライブパフォーマンスの熱き余韻が消えない中、豪快に口火を切ったオープニングナンバーは「したいことリスト」だ。はる(G・Vo)は、〈2人でしたいことリスト増やそう〉という歌詞を、〈ちゃらみでしたいことリスト増やそう〉と替えて歌いながら、3組の再会の歓びを伝えてみせる。何より、はるの歌声は、Zeppの天井を突き抜けるような伸びやかさで響いていて、また、4人のバンドアンサンブルは、しなやかさとタフさの両方を感じさせる。まさに、「柔よく剛を制す」。他の2バンドがそうであるように、ガラクタも、昨年のツアーファイナル以降、数々の経験を重ねながら大きくビルドアップしていて、Zeppのスケールに全く負けない堂々たる4人の勇姿とライブパフォーマンスに冒頭から強く心を掴まれた。

続いて、ひろと(B)のルート弾きから、先ほどちゃくらがカバーした「どこか」へ。「本家を見せつけてやります!」と叫んだはるは、「いけるかい!」と観客に呼びかけた。一人ひとりの観客と深く呼吸を合わせるように、優しく手を取り合うように、力強く躍動していく歌とバンドサウンド。なんて頼もしいのだろう。
「一生片想い」の後には、berry meetの「脳内告白」のカバーを披露。原曲に滲む熱さと、ガラクタの温かさが絶妙にマッチした名カバーだった。

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

はる(Photo by EdoSota)

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

ひろと(Photo by EdoSota)

はるは、この3バンドの共演について、「ただの馴れ合いじゃない」「ジャンル違う。お客さんの層も同じじゃない。共通するのは、音楽が好きで、本気で音楽に取り組んでいること」「これからも、親友であり、ライバルであり、いい関係性でやっていけたらな」と語り、ここから後半へ突入。同期のキーボードを交えながら壮大なスケールを描き出していく「愛してるだけ」。ここから、はるの歌心にグッとフォーカスしていく展開が続く。ちゅうじょう(Dr)のドラムに合わせて観客の熱烈なハンズクラップが巻き起こった「あくびがうつる」では、はるの歌声の温かな親密さがより際立ち、また、こた(G)が奏でる深いコーラスの効いたギターのアルペジオに導かれて始まった「一目惚れ」では、空高くダイナミックに飛翔してゆくようなはるの歌声の鮮やかさに心を打たれた。

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

ちゅうじょう(Photo by EdoSota)

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

こた(Photo by EdoSota)

何より、最新曲「キミに似合うワタシ」が、Zeppのスケール感の中で非常によく映えていた。まっすぐな愛をストレートに伝え抜くパワフルな新曲「プレゼン」も素晴らしく、自分たちの音楽を、より遠く、より広く届けることを目指す今の彼らの勢いと姿勢がありありと伝わってきた。最後は、渾身の代表曲「貴方依存症」「アイラブユーが足りないの」を立て続けて放ち、はるは、「ちゃらみ、最高!」と高らかに叫び上げた。時間が少し余ったということで、「デートしよ!」を追加。
観客がそれぞれ手に持つタオルを回し、フロアがカラフルに彩られる中で迎えた、あまりにも熱すぎる大団円だった。

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

berry meet(Photo by EdoSota)

ちゃくら、ガラクタからの熱いバトンを受け取り、最後にステージに立ったberry meet。1曲目は、「結婚式には呼ばないで」。いこたん(Dr・Cho)のキックに合わせて、フロアから瞬く間に高速手拍子が巻き起こり、たく(Vo・G)は、それを推進力にするかのように情熱的な歌を高らかに響かせていく。「いけるかい、GOOD BOPS!」そう呼びかけたたくは、先ほどガラクタがカバーした「脳内告白」へ繋ぐ。高く上げたスティックを叩きながら、観客のクラップを求めるいこたん。たなかり(B)も、同じようにベースのボディを叩きクラップを求め、観客はその想いに応えるように熱い手拍子を重ねていく。コールもばっちりきまっていた。

「純情」では、まるでジェットコースターのような性急で目まぐるしい展開が続くが、3人のライブパフォーマンスは、一人ひとりの観客を誰も置き去りにせんとするような温かな包容力を感じさせられる。そして、心を熱く沸き立たせるだけではなく、3ピースサウンドのグルーヴを通じて心を踊らせる、そんなアンサンブルもより強固になっている。前の2組と同じように、berry meetもこの約1年を通して大きく進化してきたことがたしかに伝わってきた。「嘘」では、たくといこたんの美しいコーラスワークが光り、また、たなかりが台の上に上がりスラップをかます一幕も。
天井のミラーボールがまるで月のように輝いた「月が綺麗だって」は、ここがZeppであることを忘れてしまうほどに壮大なスケールを感じさせる名演だった。

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

たく(Photo by EdoSota)

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

たなかり(Photo by EdoSota)

ガラクタ×ちゃくら×berry meet、戦友の絆を示したZepp Shinjukuでの熱き再集結

いこたん(Photo by EdoSota)

たくは、仲間であり、戦友であるガラクタとちゃくらについて、「こんな仲間は、バンドを、音楽をやっていなかったら出会えていなかったと思うわけですよ」と深い感慨を込めて語った。そして、この日の恒例となっているカバー曲へ。「リスペクトを持って、ちゃくらの曲をカバーしたいと思います」という言葉を添えて披露したのは、「もういいよ、おやすみ」だった。ちゃくらの原曲に宿る昂る激情、そしてberry meetだからこその温かなぬくもり、そのマリアージュが冴えわたる素晴らしいカバーだった。「疲れちゃった」の後には、新曲「片想いトリップ」を披露。昭和歌謡テイストの艶やかなメロディとダンサンブルなビートが融合したナンバーで、berry meetの新境地を感じさせる一曲だ。たくは、「一緒にクラップしてほしいんだけど……もうやってくれてるね!」と嬉しそうに観客に語っていた。リリース前の新曲にもかかわらず、既に観客のコールもばっちり成立していて、今後、新たなライブアンセムの一つになっていく予感がした。

いよいよ、残すところあと2曲。「図星」では、たくは、「ぜんぜん足りない」と観客を煽りつつ、落ちサビで「一緒に歌ってくれますか?」と丸々マイクを観客に委ねてみせる。もちろん観客は大合唱で応え、その勢いのままラストの「溺愛」へ。昨年のツアーを通してライブアンセムとして成長してきた同曲は、言うまでもなく、その後の約1年を通してさらに大きな輝きを放つ一曲となっていた。次々と成立する観客の合いの手のコールによって彩られた熱烈なフィナーレ。最後に、たくは、「愛してるよ!」と万感の想いを叫んだ。

セットリスト

ちゃくら
1. もういいよ、おやすみ
2. ウソノハナシ
3. どこか(ガラクタ Cover)
4. いびつな愛ですが
5. inst2
6. 海月
7. 一、人
8. だった人
9. 万人様
10. まるで駄目な女子高生はバンドマンになった

ガラクタ
1. したいことリスト
2. どこか
3. 一生片想い
4. 脳内告白 (berry meet Cover)
5. 愛してるだけ
6. あくびがうつる
7. 一目惚れ
8. キミに似合うワタシ
9. プレゼン<新曲>
10. 貴方依存症
11. アイラブユーが足りないの
12. デートしよ!

berry meet
1. 結婚式には呼ばないで
2. 脳内告白
3. 純情
4. 嘘
5. 月が綺麗だって
6. もういいよ、おやすみ(ちゃくらCover)
7. 疲れちゃった
8. 片想いトリップ<新曲>
9. 図星
10. 溺愛
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