そして、9月23日に地元・群馬のGメッセで、10周年記念無料ライブ「愛する人、場所」を開催する。『overturn』とはどのような作品で、どのような気概をもってキャリア史上最大のワンマンライブに臨むのか。アマダシンスケ(Vo・B)、カマタリョウガ(G・Cho)に訊いた。
―いきなり核心めいたことから訊いてしまうのですが、『overturn』(ひっくり返す/覆す)というタイトルの言葉は、いつ、どのように出てきたものなのでしょうか。
アマダ:このタイトルを付けたのは、本当に1番最後で。マスタリングが終わる直前というか。曲名もそうなんですけど、もう本当に1番最後に付けましたね。
―6月~7月にかけて敢行した結成10周年ツアーを経て、その次へ向かっていく。そうした野心や気概が滲んでいる言葉だと思いました。
アマダ:このEPの制作中でもあり、10周年のツアー中っていうタイミングで、柿ピーさんが脱退するっていうのが決まって。複雑な気持ちのままライブをやってて。「10年やってくれてありがとう」「これから先もFOMAREを大好きでいたいです」っていうお客さんに対して、もう決まってることを率直に言えない申し訳なさだったりとか、いろいろ重なって。
―結成10年ツアーの後、オグラさんの脱退と、9月23日に10周年無料ライブ「愛する人、場所」を地元・群馬のGメッセで開催することが、同時に発表されました。
カマタ:脱退してしまうけど、心配いらないよってことを分かってほしかったので、あえて、ああいうふうに同時に発表をしたっていうのもあるんで。みんなも分かってくれて。俺らのお客さん、いいやつ多いなって感じましたね。
―オグラさんが8月いっぱいで脱退することを発表した後、何本かライブがあったと思いますが、お客さんからはどのようなリアクションがありましたか?
アマダ:もう、みんな泣いてライブを観に来てくれて。それこそ直近だと、yonigeとツアーを回って、これまでなかなか行ったことがなかったところに行ったんですけど、そこにも急遽駆けつけてくれたファンの人たちもいて。うん、なんかそんぐらい、なんて言うんだろうな、本当にこの3人だからこそ愛されてたんだなって思います。やっぱ、でも、お客さんは今も複雑だと思うんすよ。
―8月30日の「SWEET LOVE SHOWER」が、3人体制最後のライブになる予定です。(インタビューは、8月下旬に実施)
アマダ:どうなるんだろうって思ってますけど。でも、やっぱ柿ピーさんのこと好きだし。すごいいろんな、なんて言うんだろう、俺ら結成5年目で柿ピーさんが入ってくれて、そっからコロナ禍を迎えつつも、バンドがネガティブな方向に行かずに、メジャーを1回離れてインディーズに戻ったりとかしても、たぶんこの3人だから、いろんな壁を越えてこれたっていうのは確実にあるんで。そう思える人って、やっぱ、なかなかいないし。ありがたいことに、バンドで出会った友達だったりとかもそうだし、交友関係がいっぱい増えてく中で、でも、一緒にバンドをやりたいなって思う人って他に1人もいなかったし。そういう意味で今は、あと1本だけど、メンバーっていうか、その、愛する人と、最後ちゃんとこういうふうに、しかもネガティブじゃなく、ちゃんとポジティブな方向性で、いったん今のFOMAREに点を打てるっていうのが、すごいことだよなっていうふうに思いますね。寂しいけど、素晴らしいことでもあるというか。
―カマタさんは、いかがですか?
カマタ:とりあえず、前乗りするんで。
―3人から2人になるということは、きっと僕の想像が追いつかないくらい、お2人にとってはとても大きなことだと思っていて。それでも、足を止めずにバンドを続けていくという意志と覚悟の深さが、すごく伝わってきます。変なことを訊いてしまうようで申し訳ないですが、2人になっても、バンドであるという意識はやはり相当強いですか?
アマダ:うん、ありますね。2人でも、ちゃんとバンドとして受け入れられるような存在でいたいですね。
―僕は、2人の、2人になったとしてもバンドであるという意識に、すごく熱い矜持のようなものを感じます。
カマタ:2人になるっていうことで、すんごい変わるってわけではないと思うんですけど、逆にさらによくなるチャンスかなぐらいに思ってる。変化できる、しやすいというか。そういうふうに捉えてます、今は。
―ありがとうございます。
カマタ:これまでは、基本的にはアレンジャーさんを入れないで曲を作ってたんですけど、もっと勉強したいし、もっと吸収したいなって思って。レーベルの人に相談したところ、この人たちがいいんじゃないかって。2人とも、すごい人柄もよくて、やりやすかったんですよね。幅を広げるために、2人にはすごい力を借りて。
―6月には、先行して、「サウンドトラック」(編曲:akkin)がリリースされました。メロディの響き方をとっても、サウンドの感触をとっても、今まで以上に大胆にJ-POPナイズドされている曲という印象を受けました。制作においては、きっと新しい挑戦の連続だった想像しましたが、いかがでしょう?
カマタ:akkinさんはギタリストで、自分もギターなんで、すごい、けっこう無理難題を言ってくるなってのもあったんですけど(笑)、最終的にはすごい寄り添ってくれて。特に、音作りとかすごいシビアで。めちゃくちゃミスがバレるような音にしてくるんですよ。なんでかっていうと、そのほうがいい音だから。ごまかせない。
―先ほど、「もっと勉強したい」「もっと吸収したい」とおっしゃっていましたが。
カマタ:もう、かなり成長させてもらいましたね。(コード)進行の仕方とか。あと、あり得ないほど高いアコギとかも持ってて。そのアコギを使って録った曲もあるんですけど、本当にいいものができたかなと思ってます。一方、トオミヨウさんはピアノの方なんで。ピアニストっぽいコード使いだな、とかありましたね。
―使うコード一つとっても、ギターと鍵盤では指使いがぜんぜん違いますもんね。アマダさんとしては、お2人と組むことを通して、ソングライター、もしくは、ベーシストとして、どのような学びや刺激を得ましたか?
アマダ:そうですね。今まで、ベースは、低音としての役目を果たすぐらいの感じで、どっちかって言ったら、俺ボーカルだからみたいな感じだったんですけど。この作品は、もうベースと歌は別物として、ベースはベースで歌のことを考えないで録って。
―この結成10年のタイミングでそう思えたのは、とても大きなことだと思います。
アマダ:めちゃくちゃでかかったっすね。
カマタ:でも、10年やんないと受け入れられなかったと思うんすよ。受け入れる環境ができあがったっていうのが、今なんなんだろうなって。
―今回のEPに収録されている5曲中4曲は、akkinさん、トオミヨウさんがアレンジャーとして参加していて、改めて、今までよりも、さらに遠くを、より広い景色を見据えてる作品なんだろうと感じました。
アマダ:そうっすね。10年ライブハウスで年間100本ぐらいずっとライブをやってるんですけど、もともと俺もカマタも、移動中に聴く音楽がほとんどJ-POPだったりして、かなり影響を受けてると思うんですよ。FOMAREの音楽って、そこまで意識はしてないんですけど、わりとJ-POP寄りなメロディーというか、キャッチーさみたいなのもありつつ。無理せずバラードを作れるバンドだったという。ゆっくりした曲を、絶対1作品に1曲、もしくは2曲あったほうがいいよねっていうのを、デモ音源の頃から俺ら言ってて。最近思ったのが、そういう曲をライブハウスの距離感でやるのも全然間違いじゃないと思うんですけど、やっぱり、大きい会場でやればやるほど、それこそいろんなフェスとか呼んでもらったりとか、自分らのファイナルでZeppがあったりとか、そういう時に、速い曲だけじゃなくて、ちゃんとしっかり聴かせる曲を入れて、そのバランスを考えていつもセトリ組むんですけど、それをもうちょっと安定させていきたい。バラードだったり、ちゃんと声を聴かせる曲を演奏する場面も大事というか、必要というか。そういう曲だけのツアーとかも、いつかやってみたいなっていうふうに思ったんですよね。
ーそれこそ、9月23日の会場はGメッセで、そういった広大な会場では、今作の収録曲はさらに輝くと思います。カマタさんは、改めて今作の制作を振り返ってみて、いかがですか?
カマタ:今作は、本当に、曲がよくなるためだったらなんでもするみたいな感じでアプローチしました。歌のメロディーが求めるものやストーリー性に、今回は特に徹してると思います。なので、本当にいろんな音を使ってますし、結果、曲が求める感じになってると思うんで。なんで昔はストリングスとか嫌がってたんだろうな、ぐらいの感じで。今後もどんどんやっていきたいし、今はとにかくいい曲を、っていうふうに考えてるんで。それが結果、おっしゃって頂いたように、遠くへ、どんどん発信されるような曲になればいいと思ってますね。
―繰り返しになってしまいますが、そう思えるのも、これまでの10年があったからこそかもしれないですね。
カマタ:そうですね。最初からは絶対できないですから。
―アマダさんは、カマタさんのギタリストとしての変化や成長をどのように見ていましたか?
アマダ:成長してるっていうか、生きてるっていうか。やっぱライブをたくさんやったりとか、いろんなバンドに出会って、いろんな音楽を知ったりとか、ってなってくると、やっぱ変わっていくよなとも思うし。まだ発展途上っていうか、今回、色が増えたというか、また新しいFOMAREの色を出せた気がするんで。まだぜんぜん途中段階な気がしてて。ぜんぜんこれで終わりじゃないし。
カマタ:やりたいことがまだまだあるし、そう思えてるのが嬉しいです。
―こうしてお話をお聞きして、改めて『overturn』というタイトルを見ると、すごくグッときます。
アマダ:FOMAREに対しても、自分自身に対しても、ひっくり返す、じゃないけど、自分がまだ想像もできないような、自分もまだ知らない自分がこれから先いっぱい出現してくると思うんです。曲に関してもそうだし。そこでちゃんと、このアルバムを作った時の自分を、倒すって言い方も違うけど、ちゃんと更新していく。もっといい『overturn』をずっと繰り返していくための、まず第1歩。柿ピーさんとの最後の作品でもあり、俺たち2人になった1枚目の作品でもある、このEPを今回ちゃんと残せてよかったなって思います。
―3曲目の「宝物」は、結成10周年ツアーのファイナルのO-EAST公演のダブルアンコールで披露された曲ですよね。偶然か意図的か分からないんですけど、この曲には、〈愛してる人へ今日も 愛しているの響きを〉という歌詞があって、この言葉は、9月23日のライブのタイトル「愛する人、場所」と響き合っているように思います。
アマダ:意識はしなかったんすけど、そうっすね。偶然でもあるし、「愛する人、場所」ってタイトルも、自分らの曲の歌詞からとったんですけど。この「愛する人、場所」っていうのは、なんて言うんだろう。大好きな地元と、愛する人っていうのは、俺らを応援してくれるファンの人もそうだし、ライブハウスもそうだし、仲間もそうだけど、やっぱりこのタイミングを一緒に迎えたかったオグラユウタの存在も、この愛する人の中にはこもっていて。この曲、今回のEPの制作の一番最後、柿ピーさんの脱退が決まってから歌詞を書いて1番最後に歌入れしたんですけど、柿ピーさんに対しての気持ちと、これから先の2人になったFOMAREに対する、ちょっと俺個人的な応援歌でもある曲で。だから、偶然とはいえ、やっぱちゃんと繋がってるものはあると思ってます。
―僕は、O-EAST公演を観ている時はオグラさんの脱退のことは知らなかったのですが、皆さんとしては、この曲をあの場で3人で披露した時、きっと、相当感慨深かったんだろうなと想像しました。
アマダ:相当感慨深いものがありましたね。もう、あの日が、3人でこの曲を演奏するのが最初で最後で。しかも、一番FOMAREっぽい曲だし、みたいな。グダグダだったけど、すごいやってよかったなと思いますね。
―9月から2人体制でのライブが始まり、9月23日には、地元・群馬での最大級のワンマンライブが控えています。このステージで、どんな姿をファンに見せたいと考えていますか?
カマタ:やっぱり、もう本当に、ありがとうって、感謝を伝えたいです。これからもっととんでもないことが起こる、その一番最初の仕掛けだから、楽しみにしてほしいし、期待をしてほしいって思っています。
アマダ:音楽好きな人たち、そして音楽の中でもバンド好きな人たちって、ずっとバンドに期待をしてたいと思うんすよ。ずっと活動してるなら、やっぱり何かしらの楽しみを欲してる、ずっと期待をしてくれてると思うんですけど。でも、お客さんは、ドラムがどうなるんだろうかとか不安もあると思うんですけど、そこはもう絶対的に安心させてあげられる自信があって。あと、これから先のFOMAREが挑戦することとかも、この日に発表したいなっていうふうに思ってて。ちゃんとみんなの期待に応えつつ、みんなが喜んでくれる楽しみをちゃんと提供できる日を作りたいなと思ってます。
<リリース情報>
FOMARE
EP『overturn』
2025年9月24日(水)発売
https://tf.lnk.to/overturn_CD
初回生産限定盤 [CD+BD] TFCC-81152~81153 ¥3,000+税
初回仕様限定盤(通常盤) [CD] TFCC-81154 ¥2,200+税
※封入特典あり
初回生産限定盤付属 Blu-ray 収録内容:『FOMARE 揉みに揉まれて10周年ツアー』ドキュメンタリー
<ライブ情報>
FOMARE 10周年記念無料LIVE ”愛する人、場所”
2025年9月23日(火)Gメッセ群馬
LIVE HALL OPEN 16:30 LIVE START 17:30 19:00頃終演予定
※先行グッズ販売・FOODエリアのOPENは12:00~予定
チケットについて
・無料ライブとなりますがチケットを購入いただきます。
・ライブに関する料金は無料となります。
・今回のチケット購入時にかかる料金は当日のドリンク代¥600となります。
・LIVE HALLへの入場順はチケット記載の整理番号順となります。
・席種は全てオールスタンディングとなります。
チケット一般発売中 https://w.pia.jp/t/fomare-10th/
FOMARE オフィシャルサイト https://fomare.com