『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のミックステープ制作から、イギー・ポップ&テディベアーズの隠れた名曲「Punkrocker」をスーパーマン経由で今夏のヒットへと押し上げたことまで。DCスタジオ共同CEOのジェームズ・ガンは、音楽とスーパーヒーローの世界を自在に結びつける達人だ。
そして『ピースメイカー』シーズン2も例外ではない。Foxy Shazam(フォクシー・シャザム)による強烈なテーマ曲「Oh Lord」、さらにFoxy Shazamとロングヘア・ロックバンドのネルソンが共演したレア曲「To Get Back to You」で締めくくられるフィナーレは圧巻だった。
今回ガンはローリングストーンとのZoomインタビューに登場し、シーズン2の音楽、そしてDCユニバース全体の構想について語ってくれた。
※本記事には軽度のネタバレを含みます。
―なぜネルソン? なぜこの曲を?
最初に選んだのは曲の方だったんだ。僕が『ピースメイカー』のために曲を選ぶときは、膨大なリストからスタートする。今の時点で”ピースメイカーらしい”と思える曲が何千曲もあるんだ。シーンを書いているとき、音楽からインスピレーションを得ることもあれば、「ここで音楽を入れたい」と思ってから探すこともある。今回は後者だった。リストを見ていく中で、「これしかない」と思える瞬間があってね。ネルソンの2010年のアルバム『Lightning Strikes Twice』は本当に素晴らしい作品なんだ。あまり知られていないけど、メロディック・ロックの理想形みたいなアルバムで、この曲はその中でもとびきりの一曲だと思う。
―まるでその曲の運命を変えようとしているみたいですね。
その通りだよ(笑)。Foxy Shazamの曲もそうだったけど、どちらも最高にクールなんだ。
―曲の候補は他にもあったんですか?
もちろん。Foxy Shazamの曲の中でも特に好きなもののひとつで、バンド自体の大ファンなんだ。でも最初の段階では、何を使うかまったく決めていなかった。「”Do You Wanna Taste It”(シーズン1のテーマ曲)をもう一度使うべきか? それともまったく新しい曲にするか?」なんて考えていたよ。結局、選んだ曲は想像以上の効果を発揮した。最初は「前の曲の方がよかった」とか「イントロの方が印象的だった」と言われていたけど、8話目に入る頃には「最初はピンとこなかったけど、今はめちゃくちゃ好きになった」という声が一番多くなってたね。感情のこもった曲で、シーンにも完璧に合っていたと思う。
―この曲を”キャストに演奏させよう”とは最初から考えていた?
いや、それは後から思いついたアイデアなんだ。でも、番組のラストでこの曲を使う構想自体は最初からあった。
―今後のDCU作品でも、音楽の使い方を意識していますか?
そうだね。でも一方で、各作品のクリエイターの自由にも任せている。ただし、音楽の使い方が”使い古された”ものになるのは避けたい。正直、もう映画で「Ballroom Blitz」(Sweet)を聴く必要はないと思う(笑)。バンドは大好きだけどね。
よく「ジェームズは70年代の音楽が好きだから気に入るはず」なんて言われるけど、それは違う。僕が好きなのは”ガーディアンズの世界に合う音楽”であって、単に70年代が好きなわけじゃないんだ。もちろん70年代も好きだけどね。
―『スーパーガール』やHBO Maxの『Lanterns』にも音楽的要素は?
どちらにも音楽はある。でも、音楽の有無そのものは大事じゃない。僕にとって音楽は”語りの一部”なんだ。『スーパーマン』はスコア中心の映画になるだろうしね。面白いのは、『ピースメイカー』で一番大きなヒットになった曲が、実はWig Wamじゃないかもしれないってこと。『ガーディアンズ~』の「Come and Get Your Love」と同じで、”再発見された曲”として輝くことがあるんだ。
DCUの今後のプラン(『ピースメイカー』のネタバレあり)
―シーズン2のラストは一見ハッピーエンドのようで、すぐに衝撃展開がありました。……正気ですか?
(笑)聞いてくれ、この旅はまだ終わってないんだ。
―ということは、今後もこの展開が続く?
ああ、間違いなく。
―『スーパーマン』の続編『マン・オブ・トゥモロー』でピースメイカーの行方が描かれる可能性は?
それはない。でも、軍やリック・フラッグらが”別次元のメタヒューマン刑務所”を作ったという設定は、今後のDCUにも関わってくる。単なるアーカムの再利用じゃなく、物語の重要な要素として。政府とメタヒューマンの間で戦争がエスカレートしていく……それがこの世界の新しい軸になるんだ。
―つまり、政府高官が権力を乱用して無実の人々を追放する……?
(笑)完全にフィクションだよ。こんなこと、僕らの世界じゃ起こるわけがない。でも、だからこそコミックの世界では自由に描けるんだ。
―この戦いは『Lanterns』や『スーパーガール』にも関わってくる?
もちろん。最初の構想段階から、どちらの物語も全体のタペストリーの一部として考えていた。
―DCUのこのフェーズには、まだ他にも大きなアークがある?
ああ。『Lanterns』は今後の展開をセットアップするうえで、極めて重要な作品になるよ。
―ジェームズ・マンゴールド監督が他の契約を結んだことで、映画『スワンプシング』の計画は消えたのでは?
いや、全然そんなことはない。まだ進行中だよ。彼とも話をしていて、いまでも強い関心を持ってくれている。時間がかかることもあるけど、僕らは希望を持って進めている。
―シーズンの終盤に登場した新チーム「チェックメイト」のスピンオフ構想は?
それは……時が経てばわかるだろうね。今はまだ謎のままだ。
―最後に。
あの設定は『Salvation Run』というコミックのコンセプトを一部参考にしている。物語自体はまったく違うけれど、いくつかの要素は今後の展開の鍵になるはずだよ。
from Rolling Stone US
そして『ピースメイカー』シーズン2も例外ではない。Foxy Shazam(フォクシー・シャザム)による強烈なテーマ曲「Oh Lord」、さらにFoxy Shazamとロングヘア・ロックバンドのネルソンが共演したレア曲「To Get Back to You」で締めくくられるフィナーレは圧巻だった。
今回ガンはローリングストーンとのZoomインタビューに登場し、シーズン2の音楽、そしてDCユニバース全体の構想について語ってくれた。
※本記事には軽度のネタバレを含みます。
―なぜネルソン? なぜこの曲を?
最初に選んだのは曲の方だったんだ。僕が『ピースメイカー』のために曲を選ぶときは、膨大なリストからスタートする。今の時点で”ピースメイカーらしい”と思える曲が何千曲もあるんだ。シーンを書いているとき、音楽からインスピレーションを得ることもあれば、「ここで音楽を入れたい」と思ってから探すこともある。今回は後者だった。リストを見ていく中で、「これしかない」と思える瞬間があってね。ネルソンの2010年のアルバム『Lightning Strikes Twice』は本当に素晴らしい作品なんだ。あまり知られていないけど、メロディック・ロックの理想形みたいなアルバムで、この曲はその中でもとびきりの一曲だと思う。
―まるでその曲の運命を変えようとしているみたいですね。
その通りだよ(笑)。Foxy Shazamの曲もそうだったけど、どちらも最高にクールなんだ。
―曲の候補は他にもあったんですか?
もちろん。Foxy Shazamの曲の中でも特に好きなもののひとつで、バンド自体の大ファンなんだ。でも最初の段階では、何を使うかまったく決めていなかった。「”Do You Wanna Taste It”(シーズン1のテーマ曲)をもう一度使うべきか? それともまったく新しい曲にするか?」なんて考えていたよ。結局、選んだ曲は想像以上の効果を発揮した。最初は「前の曲の方がよかった」とか「イントロの方が印象的だった」と言われていたけど、8話目に入る頃には「最初はピンとこなかったけど、今はめちゃくちゃ好きになった」という声が一番多くなってたね。感情のこもった曲で、シーンにも完璧に合っていたと思う。
―この曲を”キャストに演奏させよう”とは最初から考えていた?
いや、それは後から思いついたアイデアなんだ。でも、番組のラストでこの曲を使う構想自体は最初からあった。
「Do You Wanna Taste It」も、ただの主題歌じゃなく、最終的には第8話でハーコート(ジェニファー・ホランド)の血に象徴されるような意味を持たせたかった。今回の曲も同じで、新しいチーム”チェックメイト”に集まる傷ついた魂たちの結束を象徴するものなんだ。Foxy Shazamの登場は撮影直前に決まったんだけど、ボーカルのエリック・ナリーとは友人で、「せっかくだからネルソンのライブシーンに出てもらおう」と思いついたんだ。ハーコートとピースメイカーの絆を音楽で表すうえでも、この曲はぴったりだった。
―今後のDCU作品でも、音楽の使い方を意識していますか?
そうだね。でも一方で、各作品のクリエイターの自由にも任せている。ただし、音楽の使い方が”使い古された”ものになるのは避けたい。正直、もう映画で「Ballroom Blitz」(Sweet)を聴く必要はないと思う(笑)。バンドは大好きだけどね。
よく「ジェームズは70年代の音楽が好きだから気に入るはず」なんて言われるけど、それは違う。僕が好きなのは”ガーディアンズの世界に合う音楽”であって、単に70年代が好きなわけじゃないんだ。もちろん70年代も好きだけどね。
僕は音楽全般が好きなんだ。『ピースメイカー』を作る過程で”スリーズ・メタル(Sleaze Metal)の男”になったけど、実はその前から旅は始まってた。でも本質的に自分はパンクロッカーなんだよ。最近はPup(カナダのパンクバンド)やSprints(アイルランドのパンクバンド)をよく聴いているし、現代的なオルタナやヒップホップもたくさん聴いている。ラッセルっていうすごいヒップホップアーティストもいるんだ。今は本当に面白い音が多いよ(※ここでの”ラッセル”は、アメリカのラッパー=Russ(ラッス)を指していると思われる)。
―『スーパーガール』やHBO Maxの『Lanterns』にも音楽的要素は?
どちらにも音楽はある。でも、音楽の有無そのものは大事じゃない。僕にとって音楽は”語りの一部”なんだ。『スーパーマン』はスコア中心の映画になるだろうしね。面白いのは、『ピースメイカー』で一番大きなヒットになった曲が、実はWig Wamじゃないかもしれないってこと。『ガーディアンズ~』の「Come and Get Your Love」と同じで、”再発見された曲”として輝くことがあるんだ。
DCUの今後のプラン(『ピースメイカー』のネタバレあり)
―シーズン2のラストは一見ハッピーエンドのようで、すぐに衝撃展開がありました。……正気ですか?
(笑)聞いてくれ、この旅はまだ終わってないんだ。
―ということは、今後もこの展開が続く?
ああ、間違いなく。
―『スーパーマン』の続編『マン・オブ・トゥモロー』でピースメイカーの行方が描かれる可能性は?
それはない。でも、軍やリック・フラッグらが”別次元のメタヒューマン刑務所”を作ったという設定は、今後のDCUにも関わってくる。単なるアーカムの再利用じゃなく、物語の重要な要素として。政府とメタヒューマンの間で戦争がエスカレートしていく……それがこの世界の新しい軸になるんだ。
―つまり、政府高官が権力を乱用して無実の人々を追放する……?
(笑)完全にフィクションだよ。こんなこと、僕らの世界じゃ起こるわけがない。でも、だからこそコミックの世界では自由に描けるんだ。
―この戦いは『Lanterns』や『スーパーガール』にも関わってくる?
もちろん。最初の構想段階から、どちらの物語も全体のタペストリーの一部として考えていた。
『スーパーガール』は宇宙を舞台にした冒険譚で、『ガーディアンズ』のようなテイスト。『Lanterns』はまた別の独立した物語だけど、同じ大きな世界観の中でつながっている。それぞれが交わり、補完し合うんだ。
―DCUのこのフェーズには、まだ他にも大きなアークがある?
ああ。『Lanterns』は今後の展開をセットアップするうえで、極めて重要な作品になるよ。
―ジェームズ・マンゴールド監督が他の契約を結んだことで、映画『スワンプシング』の計画は消えたのでは?
いや、全然そんなことはない。まだ進行中だよ。彼とも話をしていて、いまでも強い関心を持ってくれている。時間がかかることもあるけど、僕らは希望を持って進めている。
―シーズンの終盤に登場した新チーム「チェックメイト」のスピンオフ構想は?
それは……時が経てばわかるだろうね。今はまだ謎のままだ。
―最後に。
ピースメイカーが取り残された惑星には、誰かの声のようなものが響いていました。彼の運命は?
あの設定は『Salvation Run』というコミックのコンセプトを一部参考にしている。物語自体はまったく違うけれど、いくつかの要素は今後の展開の鍵になるはずだよ。
from Rolling Stone US
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