訃報は愛用楽器の製作元Fodera Guitars社および長年の共演者アル・ディ・メオラにより公表された。Fodera社は「最も先見的で影響力のあるベーシストの一人、彼のレガシーは、FoderaのDNAに刻み込まれています。あなたの貢献によって、ベースの世界は永遠に豊かになりました」、アル・ディ・メオラは「6弦コントラバス・ギターにおける彼の天才的な創造力は、現代音楽の形を根本から変えました。晩年のアンソニーを愛情深く支えてくださったダネット・アルベッタさんに、心から感謝申し上げます。あなたの献身が、彼の人生に確かな変化をもたらしました」とそれぞれ追悼している。
ジャクソンは1952年6月23日、米ニューヨーク生まれ。70年代にセッション・ベーシストとして頭角を現し、ビリー・ポールやオージェイズとの共演で一躍注目される。以降、数百枚ものアルバム、何千件ものセッションに参加。ロバータ・フラック、チャカ・カーン、リー・リトナー、スティーリー・ダン、チック・コリア、アル・ディ・メオラ、ミシェル・カミロらジャンルを超えた名アーティストと共演を重ねた。
また、彼が考案した6弦ベース「コントラバス・ギター」は、従来の4弦に低音B弦と高音C弦を加えることで表現力を飛躍的に拡張し、多弦ベース文化の礎を築いた。スラップなどの派手なプレイに頼らないグルーヴ重視の演奏スタイル、アンサンブルを支える姿勢は多くの共演者から称賛された。
日本との関係も深く、1977年には深町純や日野皓正のアルバムに参加し、その後も渡辺貞夫、渡辺香津美、今田勝など多数の日本人アーティストと共演。
2017年以降は脳卒中とパーキンソン病で活動休止。同年に上原ひろみ、サイモン・フィリップスとのトリオで公演を行ったのを最後にステージを離れ、闘病の末この世を去った。
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