今回、3人にインタビューを行い、バンド結成の経緯や、初のEP『THE GOLDEN PROTOTYPE.』を完成させた上で得た手応え、また、今後の野望について語ってもらった。"黄金の試作品"のリリースに至るまでの過程をじっくり聞いていったため、非常にボリュームのある記事になってしまったが、3人が伝えたいことはただ一つ。さぁ、踊れ。
ーはじめに、皆さんの音楽的なルーツや今の活動に繋がる原体験について、お一人ずつ聞いていきたいと思います。まず、SOIさん、いかがですか?
SOI ANFIVER(Gt・Comp・Trackmaker):幼少期だと、親が音楽好きだったので、家でずっとリンキン・パークとかサム41とか、グリーン・デイもそうですし、いろいろ流れてたんですよね。日本の音楽だと、ONE OK ROCKとかELLEGARDENとかASIAN KUNG-FU GENERATIONとか、海外由来のサウンドのバンドが多く流れていて。今挙げた3組は自分の中で特別で、すごく好きなんです。小学4年生の時にONE OK ROCKのZepp Tokyoのライブに行ったんですね。ある種ワンオクのライブが家族旅行みたいになっていて、一番後ろで家族4人で観てて。
SOI ANFIVER(Gt・Comp・Trackmaker)(Photo by Goku Noguchi)
その後、いわゆる洋楽ロックばっか聴く中学生になりまして。で、セット・イット・オフっていうアメリカのフロリダ州タンパ出身のロックバンドに出会うんですよ。彼らはもともとポップパンク由来のロックバンドだったんですけど、僕が彼らを知った時期にはディスコとかゴスペルとかファンクとかいろんな音楽を取り入れた画期的なアルバムをリリースしていて、それを聴いて、あ、これは面白いってなと思って。それまでロック以外のものをあんまり聴いていなかったんで、いろんな音楽を取り入れられるんだっていうミクスチャーの面白さを知って、自分で調合したくなったんですよね。じゃあ俺はこれとこれとこれを組み合わせたい、みたいな。そこから曲を作りたい欲が強くなって。音楽を始めてすぐにやったのは、作詞と作曲でした。カラオケで歌う記憶が先行しちゃってたんですけど、今思うと、一番最初に手を取ったのはペンなんですよ。作詞して、曲名を考えて、ジャケットを考えて、バンド名を考えて、みたいな妄想ばっかしてて、そこから曲を書き始めたのが、僕の音楽活動の始まりでした。
ー続いて、サダさん、お願いします。
ユウキ サダ(B・Vo):お父さんがめっちゃロックバンド好きで、グリーン・デイとか、アヴリル・ラヴィーンとか、ハイスタ(Hi-STANDARD)とかが好きで、ずっとテレビにミュージックビデオが流れてて。キティちゃんのギターのおもちゃを持たされて、父から弾いてみろって言われてやってたのが幼少期で。でも、お母さんは、たぶんそっちに行ってほしくなくて。
全員:(笑)
ユウキ サダ(B・Vo)(Photo by Goku Noguchi)
サダ:たぶん、清楚に可愛らしい女の子に育てたくて、めっちゃクラシックを聴かせてて。で、『のだめカンタービレ』をきっかけにして、私は逆にそっちにハマっていって。それで、ピアノを始めて、って感じだったんですけど。私、音の鳴るものが好きで、手当たり次第、触れられる楽器を、全部「何この楽器?」って興味のまま試して。ギターに出会ったのは中学の時なんですけど、でも、「これって歌も歌わないといけないのかな」という感じになって。高校では吹奏楽をやって、いろんな楽器をやりました。お父さんの影響もあって、バンドはずっと好きだったんで、高校生の時にコピバンもやって、大学でも軽音サークルに入って。どこかで、「あ、私、音楽で食ってくしかないか」って気付いちゃって。本当は、最初はピアノの先生になりたいですって短冊にずっと書いて、大学でも教員系に行ったんですけど、教えるのがとても下手なことに気付きまして。
ーバンドは、具体的にどのようなアーティストを聴いていましたか?
サダ:銀杏BOYZとか、クリープハイプとか、もうとにかく全部ハマって。あと、特に好きなのが八十八ヶ所巡礼で。
ーそれこそベースボーカルのバンドですよね。
サダ:そうなんですよ。ベースボーカルはめっちゃ好きだったんですけど、その時は自分がベースボーカルをやろうとは思っていなくて。ヴォイスに入ってからは、基本的に洋楽が題材だったので、また洋楽を聴き始めて、やっぱ洋楽もいいなと思うようになって。八十八ヶ所巡礼もそうですけど、いろいろ辿っていくと、ここルーツじゃない?みたいな発見があって、洋楽って全部の根源かもしれないと思うようになりました。特にベースを始めてからはベースがかっこいい曲ばっか聴くようになって、レッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)とかをずっとカバーしてました。あと、ラリー・グラハムとか、ジャミロクワイとか、とにかくベースがグルーヴィーな音楽が好きで、聴いては弾く、みたいなことをずっとやってて。今はもう本当に洋楽ばっかになっちゃったって感じです。
ーAirAさんは、いかがですか?
AirA(Vo):私は、お母さんがギター1本持っていろんなお店を周って歌う人だったんですけど、その影響で歌はずっと好きで。
AirA(Vo)(Photo by Goku Noguchi)
ちゃんと歌とかギターを学びたいなと思い始めた頃に、たまたまVaundyさんがインスタライブでヴォイスの紹介をしていて。そこからオーディションを受けて、入塾しました。そこでちゃんと洋楽を学び始めて。その後、高校生になって、初めて軽音楽部でバンドを組んだんですよ。それまでずっと1人で弾き語りしていたので、軽音の仲間でバンドをやった時に、合わせるのってこんなに楽しいんだと思って。
ー続いて、OddRe:結成に至るまでの経緯について聞いていきたいと思います。3人が出会うきっかけは音楽塾ヴォイスの中にあったと想像しますが、最初の出会いのことは覚えていますか?
サダ:まず、SOIと私は、クラスは違ったんですけど一緒の曜日で。私が塾のロビーに入り浸っていて、そこで出会いました。
ーSOIさんの第一印象はいかがでしたか?
サダ:怖かったです。ボスみたいな顔して。(碇)ゲンドウみたいな。
SOI:エヴァに乗れ。
全員:(笑)
ー逆に、サダさんの第一印象はいかがでしたか?
SOI:うるさい奴だなっていう(笑)。でも、なんだろうな、すごい目に留まる子だなと思いました。それこそ、ロビーに入り浸っているサダを見てましたけど、場の空気を持ってくんで。あと、同い年だと思ってなかった。
サダ:たしかに。年上だと思ってた。
SOI:年下だと思ってた。
全員:(笑)
ー実は同い年だった、と。
サダ:私が人にうわーって話しかけるタイプなんで、「ここのコード何?」みたいな感じで、けっこうSOIにガツガツ行って。
SOI:めっちゃLINE送ってくるんですよ(笑)。
サダ:ヴォイスでは、勉強としていろんな洋楽を演奏するんですけど、ジャンルとか何も分かっていなかったので、「これはジャンルが何で、キーは何で、どういうコード進行なの?」みたいな感じでSOIにめっちゃ聞いて。で、途中で、同い年なんだ、みたいになった気がする。私、最初は敬語でした。
(Photo by Goku Noguchi)
ーAirAさんが2人と出会ったきっかけは何でしたか?
AirA:私が最初に出会ったのは、サダちゃんで。バンドとして顔合わせするよりもっと前に、ヴォイス内でのライブのオープニングアクト同士で初めて会って。
サダ:その時のオープニングアクトに選ばれたのが私とAirAだったんですけど、それまでは、曜日が違うので、AirAに会ったことなかったんです。それで、そのライブの時にヴォイスの方からAirAを紹介されて、「おお、この人が、もう1人のオープニングアクトか」ってなって、一緒にとんかつ弁当を食べて。
AirA:仲良くなりました(笑)。
ーそれぞれヴォイスの中で面識があった中で、どのような流れで、この3人でバンドを組むことになったのでしょうか。
SOI:一番最初は、サダが、バンド組みたいって言ってくれたんです。
サダ:私、曲は書けないし、そもそもあまり曲を書きたいと思わないタイプで。とにかく演奏したい、ライブしたい、バンドをやりたいっていう気持ちが強くて。それで、曲を書けるドンみたいな奴がいる、と思って(笑)。ちょうど仲良くなったタイミングで、毎週のように会っていたし、めっちゃLINEもしてたんで。そこでバンドやりたいけど一緒にできたらいいね、という話になりました。
SOI:その矢先に、ヴォイスの人から、やってみればっていう話をいただいたんです。願ったり叶ったりって感じで。
ーSOIさんとしては、当時、将来的にバンドとして活動していきたいという気持ちは強かったですか?
SOI:それで言うと、もともとは、わざとバンドという選択肢を排除してたんですよね。僕は、ものを作る行為っていうのは、誰か一人が責任を持って強い力で押し進めていく必要があると思っているタイプで。みんなで仲良くものを作るということには、うまく行く気が全然してなくて。それで、集団で音楽をやることをすごく敬遠をしていたところはあって。でも、ルーツはロックバンドなんですよね。だから、ちょっとちぐはぐで。観てきたものはロックバンドなんだけど、自分の制作哲学的にシンガー・ソングライターとしてやるほうがしっくりくるっていう。ヴォイスの中には、チリビ(Chilli Beans.)の前例もあったので、バンドとしてやる選択肢がなかったわけではないんですが、当時は、正直、バンドはあんまり考えてませんでした。だけど、そこでサダが声をかけてくれて、一気に、「あ、サダとならありか」ってなって。それこそ、第一印象で他の人とは違うなとは思ったんですよね。お互い技術的にまだまだ成長しなきゃだけど、でもすごい面白いって直感で感じて。人からバンドに誘われて、初めて「いいんじゃない」ってなった記憶があります。
ーその後、そこにAirAさんが合流することになる、と。
SOI:僕とサダが2人でバンドを始めた時、既に「FEVER TIME」のデモがあったんですけど、当初はサダがベースボーカルでメロディーを歌っていたんですよ。
サダ:それが難しすぎて……。
(Photo by Goku Noguchi)
SOI:けっこう記憶に残ってるのが、サダに「歌やりたい?」って聞いた時、「うーん、どっちでもいい」と言っていたことで。
サダ:「お前しか歌えないんだから」って言われたら、たぶんやらなきゃってなるんですけど、やんなくてもいいよって言われたら(笑)。
SOI:それを正直にはっきり言ってくれたのは、すごいでかくて。うちは、技術的にやりたいこともいろいろあるから、サダがそう思うならボーカルに徹してくれる人が1人いてくれたほうがバンドとして安定するよねって率直に思ったんですよね。で、ヴォイスの人に、「ボーカルいないですか」って聞いて、「FEVER TIME」の歌詞とオケをまとめてお渡しして。
サダ:そしたら、AirAが歌った「FEVER TIME」の音源がぺって送られてきたんですよ。その音源を聴き始めた時は、誰が歌っているか知らなかったんですけど、聴いていくうちに、ん? 一緒にとんかつ食べた人じゃん、ってなって。
ー前情報なしで、声だけ聴いて気付いた、ということですね。
サダ:その後、再会した時、おお、やっぱりってなって。
(Photo by Goku Noguchi)
ーAirAさんは、2人と合流してバンドを始めた時のことを覚えていますか?
AirA:はい。嬉しいなと思いました。サダちゃんがいるなら、絶対面白いバンドができるなと思って。みんなで顔合わせするまでは、SOIのことは知らなかったんですけど、でも、送ってくれた曲を自分が歌えるんだと思ったら、素直に嬉しかったです。
ーこの3人で集まってバンドを始める上で、当初、SOIさんの中にはどのようなビジョンやプランがありましたか?
SOI:すっごい乱暴な言い方をすると、僕がやりたいことをやるということです。なぜなら、僕には自信があって、この頭の中にあることをやれれば、たぶん天下は取れる。その確信があったから音楽家になったので。そういう意味では、特に難しいことは何も考えてないんですよ。僕の中にある面白い発想、アイデアを具現化する。そこに2人が賛同してくれるのであれば、OddRe:としてリリースができる。それだけの話なんですよね。
ー2人と一緒に音楽をやっていく中で、きっとSOIさんの中に、新しい気付きや学び、または、刺激が多くあったと想像しますが、その点についてはいかがでしょうか。
SOI:めちゃめちゃありますね。すごくシンプルに言うと、人と音楽をやるのは面白いと思いました。音楽はこうあるべきだっていう自分の中での反省もあったんですけど。今までは、曲は自分の内から出るものでしかなかったんですけど、2人とやっていく中で、しかも僕以外の2人がシンガーとして前に立つわけで、それを自分が作る楽曲にも反映させたいと思ったんですよね。僕がクリエイターとしてできることはなんだろうって考える時に、一つあるのは、2人を被写体として捉えて、僕がカメラマンになるっていう考え方になったんです。曲を1つの映像作品として捉えて、2人がこういう役をやったら面白いとか、こういう台詞を言ったら面白いとか、そういう感じで、ガンガンアイデアを乗っけて作るっていうやり方は、2人と一緒にやり始めるまではなくて。
僕の大きなフィルム、アニメの中に、被写体、登場人物が増えたことで、作る楽曲の幅がすごく広がりましたし、作り方も根本的に変わりましたね。僕、そもそもはオーディエンスに楽曲をどう思われるかって、あんまり考えてないんですけど、メンバーとかスタッフのことはすごく考えるんですよ。というのも、そこに伝わってなければ世の中に伝わるわけないと思ってるから。それこそ、サダとAirAがどれぐらい楽しく音楽をやれるか、楽しく音を鳴らせるかっていうことが大事で。音楽っていうのは、元来セッションであるべきであって、譜面はあるべきでないんですよ。ただ、僕らがポップスをやる上では、譜面があるわけじゃないですか。譜面を書く人間の責任としては、それを譜面と感じさせないこと。楽しさとパッションを、素直な形で譜面に残す。そうやっていかないとメンバーがついてこないなと思ってるから。ある種、自分で自分に課してるだけなんですけど、そうした厳しい視線を、僕は仮想的に2人から向けられている感覚で曲を作ってます。
ー今のお話は、まさに、自分以外の他者と手を取り合いながら音楽をすること、つまり、バンド表現の本質を表すものだと思いました。サダさん、AirAさんは、約1年半、3人で活動してみて、どういうことを感じますか?
サダ:2人は、私の苦手なものとか、私が持ってないものを持ってるから、なんかずっと、すげえなあ、さすがやなあ、って思ってます。
AirA:それぞれがそう思ってると思う。尊敬し合えてる。
SOI:明確に役割が違うから。それぞれが、それぞれに対して、潔く拍手を送っている状態なんですよね。
ーここから、初のEP『THE GOLDEN PROTOTYPE.』について聞いていきたいと思います。非常にバラエティ豊かな5曲が収められていますが、率直に、どのような手応えを感じていますか?
SOI:現状、OddRe:といえば、「FEVER TIME」だと思います。ただ、もちろん「FEVER TIME」だけはなく、今回の5曲だけでも、まだまだOddRe:のことは表現しきれていないです。人間だから、時間が僕らを変えていくから。時間が経った5年後のOddRe:もOddRe:だし、僕は、その5年後のOddRe:も大好きなんですよ。10年後も。どうなるか知らないけど、きっと大好きで。それをみんなに見せないと気が済まないから、バンドを続けるんです。だから、この5曲だけじゃまったくOddRe:の全ては伝わらない。この『THE GOLDEN PROTOTYPE.』というタイトルが何を言ってるかっていうと、バンドって続けてれば絶対、「初期のほうがよかった」って言われるんですよ。それを、初期である今、揶揄してやろうと思って。
ーすごく俯瞰した目線ですよね。
SOI:そう、どうせ言うんだろっていう。だから、お前らの大好きな初期のOddRe:だよっていう意味で、『THE GOLDEN PROTOTYPE.』っていうタイトルを付けて。そういうわりと面白みのあるタイトルだから、すごく気に入ってるんですよね。
ープロトタイプという言葉は、ある種の謙遜のようにも捉えられるけど、でも、そこにゴールデンという言葉が付いている。つまり、自信もある、という。
SOI:そうなんです。表面的にはね、ビギナーズラック的なタイトルに見えるかもしれないんですけど。実はそういう捻った意味があって。
ー5年後、10年後のOddRe:のファンが、いつか今作を振り返るわけですもんね。
SOI:だからわりと、未来の人たちに向けたタイトルです。このEPに帰ってきた時に、ね?ぜんぜん今違うでしょ、っていう。
ー初のEPをリリースした現段階で、それだけ先のことまで見据えていることに驚きますし、今後の中長期のビジョンがとても気になります。
SOI:もう先のプランがいっぱい頭の周りを泳いでて、楽しいんですよ、最近。全部迎えに行ってやろうと思ってて。
ーバンドの未来のお話は、3人でよくしますか?
SOI:今は、今のことばっかり話してる感じですね。
サダ:私は、あんまり未来のことに興味がないから。過去と未来には興味ないな。今しか興味がない。ギリ明日くらいですね(笑)。
AirA:未来のことを考えたら、本当にどうなるか分からなくて不安になることもあるけど、でも、今楽しいからいいや、みたいな感じだよね。
ーまさに、今、怒涛の日々が始まり、さらにどんどん加速していくタイミングですもんね。
サダ:ちょっと置いてかれてます(笑)。
AirA:考える暇なくない?みたいな。
(Photo by Goku Noguchi)
ー野暮かなと思いつつ、その上であえて一つ聞かせてください。中長期のことはまだ語れないことも多いかもしれませんが、例えば、次の1年という尺で切り取った時、どんなことに挑戦したいですか?
SOI:来年1年だけを切り取っても、全部をひっくり返そうと思ってますよ。そして、それは毎年そうで。
ー1年ごとにひっくり返していく、ということですか。
SOI:来年はひっくり返す。その来年もまたひっくり返すって。
サダ:ずっと言ってる。
全員:(笑)
SOI:でも、そうやって、本当に何かが変わっていくものだと思うから。そうですね、来年やるのは、世代交代です。
ー世代交代というのは、音楽シーンの世代交代という意味でしょうか。
SOI:そうです。僕はそれを目指してますし、できると思ってますね。そして、たぶん僕らから影響を受けたチルドレンが出てきて、その人たちがいずれ僕らを淘汰するんですよ。
ーそこまで織り込み済みである、と。
SOI:僕らは不要になる。
ー世代交代という言葉の裏にある想いについてもう少し聞いていきたいのですが、具体的に言うと、新しい世代の、新しい音楽観を持ったアーティストこそが、新しい時代を担うべきだ、というイメージでしょうか。
SOI:僕、ずっと思ってるんですけど、もともと音楽っていうのは、人間が複数人でやるものなんですよ。でも、コンピューターとかAIの発展によって、1人で完結できるようになった。2020年代に入る前ぐらいにシンガーソングライター全盛期が来て、業界にも明らかに風が吹きましたよね? で、そんなタイミングでコロナが来て、人々が隔離されて、人間が1人でどれだけ完結できるかっていう時代になっていって。それは音楽だけじゃなく、全部そうだったと思います。そうした大きな流れの中で僕らは、今この時代に生まれて生きて音楽をやる人間として、"それでも僕ら人間が手を取り合う理由"を示したいんですよ。それでも、バンドをやる。複数人で音楽をやる。もう一度、そこに戻る。人間が1人でも生きていける時代になってしまったことを僕は悲しいことだと思うんですけど、そういう時代になってしまった中で、本来1人で完結できている生物同士が、それでも手を握り合う。そういう次の時代を担うのが、OddRe:だと思ってるんですよ。昔の、例えば、1960年代のアーティストに比べたら、よっぽど1人でなんでもできるようになって、AirAとサダだってやろうと思えば1人で曲を作れる。でも、それでも僕らは、バンドをやるんです。それはかつて、1960年代にビートルズがバンドを組んだ意味とは全く違って。手を組まないとできないから、ではなくて、できるんだけど、やっぱり人って群れるんですよ。その面白さ、その起爆力、可能性を、いい加減やりたい、僕は。
サダ:いい加減(笑)。
ーすごくバカみたいな返しになってしまいますが、バンドっていいっすもんね。
サダ:いいっすねえ。
SOI:いいっすねえ。
全員:(笑)
(Photo by Goku Noguchi)
ー最後になってしまいましたが、OddRe:というバンド名に込めた想いについても聞かせてください。とても挑発的な響きのバンド名であり、時代に対して力強く訴えかけようとしているバンド名だと思います。
SOI:「東京ゴッドストリートボーイズ」のメッセージ性に近くて、まあいいから踊れ、っていうニュアンスがけっこう強いです。頭でっかちになって、つべこべ正論ばっかり述べてるこの時代だけど、ぶっちゃけ踊ってればなんとでもなるってすごく思ってて。だし、踊るっていうのは、どのジャンルでもできるんですよ。ソウルでも踊れるし、ハウスでも踊れるし、ロックでも踊れるじゃないですか。踊るっていう行為の柔軟さに、僕はすごく可能性を感じていて。踊ることは、ビートが繰り返されるから続けられるんですよ。前に進むわけじゃないんですよね。ずっと繰り返されてるものの上で、いかにして楽しく踊るかが踊りなんですよね。僕の中では、盆踊りみたいな、延々と繰り返されるビートの上で、いかにして舞うかっていうイメージが強い。踊るっていうのは、正しいかどうかとかじゃないんです。だから、OddRe:は、絶対説教臭いことは言わないし。世界最悪の凶悪犯罪者がいたとしても、その人にも響く音楽はあって。僕は、そういう人にも響く、寄り添えるのが、政治でも法律でも正論でもなくて、音楽だなと思うから。そういう意味で言うと、病んだり、自分を許せな買ったり、なんでもいいけど、それでも全部踊れるんですよ、やり方次第で。僕は、そういう音楽をやりたいんです。
ー今、SOIさんが話してくださった音楽観は、きっとAirAさん、サダさんも、共有しているんだろうと想像しましたが、いかがですか?
サダ:私はあんまり何も考えてない……。
SOI:まあ、それでも、踊れればいいから。
サダ:自分が楽しければいい。みんなが楽しみたいなら、一緒に楽しんでくれ、それくらいです。
ーAirAさんとしてはどうですか?
AirA:踊ります。心躍る音楽を与えます。
サダ:投げやりだな!
全員:(笑)
<リリース情報>
OddRe:
EP『THE GOLDEN PROTOTYPE.』
配信中
https://lnk.to/OddRe_THE_GOLDEN_PROTOTYPE
<ライブ情報>
OddRe:『OddRe: showcase LIVE ”TAPE:C-46”』
2026年2月5日(木)東京・SHIBUYA WWW X
時間:OPEN 18:30 / START 19:30
チケット:一般 ¥2,000(税込)
https://eplus.jp/oddre/
Official HP:https://oddre.jp/


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