なにより10年間お世話になりました
──最後にライブをやったのは、2017年11月名古屋のサーキット以来ですね。1年半なんでこんなあいちゃったんですか?
岡村健人(Ba):形式ばってんなー(笑)。特に理由はないよ。
上里洋志(Vo&Gt):集まる機会も減って、リハもなくなって、たまにやってるネットラジオで集まるくらい。次どうするって話もなかったし、そんな状況じゃなかったよね。
福島有(Dr):それの前もライブそんな入れてなかったし。年2、3回の感じやったよね。
洋志:やれる状況ではなかったですよね。モチベーションも、僕のコンディションも最悪やったから。なんかこれやっても、来てくれる人はやってくれる事を喜んでくれるだけで。Half-Lifeでやってくれてありがとうみたいな。身内とか、知り合いのバンドマンは見るに耐えなくて、ライブハウスから出とってったからね。これからもガツガツやるレベルじゃない。んで、暗黙の了解の中で休んだ方がいいかなって。
──声の不調は突然来たんですか?
洋志:『〆』を発売しますってなったときに、SHELTERで公開ラジオと、ライブをやったとき(2014年8月23日“FM TARO Half-Lifeのこっぱええ感じ公開収録&ミニアコースティックライブ”)に、喉を痛めちゃってあんまり声が出なくて。
──声の不調があって、それじゃあやってもしょうがないとなったと。意見の食い違いもありましたね。
有:俺は洋志のコンディションが戻るまで、やりたくなかった。
健人:俺はどういう状況であれ何でもやろうやって感じだったね。
洋志:僕はそもそも止まる理由が自分だから。とにかく医者行って治療受けて手術もしたけど、良くならなんくて。結局原因はなんだったかと言うと、そもそもの呼吸法だったり、Half-Lifeの歌を歌おうとする瞬間に出るイップスみたいな、職業性ジストニアまで辿り着いて。あぁじゃこれが全ての原因なんだとなってからは、リハビリですよね。
──そんな中、ワンマンをするわけですが、よくやる事を決心しました。
洋志:なんかコンディションというより、10年って節目を迎えられるのってこの先ないじゃないですか。純粋に10年間細々とやれた事を、自分たちと来てくれた人たちとで祝えればなって。もちろん、ベストなパフォーマンスを目指してやるけど、なにより10年間お世話になりました。ウス! って感じの事をしたかった。お世話になったライブハウス二カ所と、来てくれてるひとたちへ感謝の気持ちを込めたイベントをやりませんかと二人に提案しました。
──それを聞いて二人はどうだった?
有:おれはぜんぜんいいよーって。とりあえず俺らはライブをやりたくないわけではないから。あ、見どころも言いたい。
一同:(爆笑)。
健人:ボン・ジョヴィ流してな(笑)。マグマスパゲティ! オープニングアクトやから。上里きんに君(笑)。
有:どっちかで見れるから(笑)。そのためにも両方来て欲しいよね!
自分の中で音楽やる、やらないの葛藤はあった
──フルアルバム4作品、他にミニやep出しましたが、特に気に入ってる作品はありますか?
健人:俺はもう『Many comes,many past.ep』一択よ。思い出しかない。顔パンパンでアー写撮りに行ったから。強烈に残ってる。泣きまくった次の日、スプーンで目冷やして(笑)。あれはもう一生忘れられんな。
有:気に入ってんのは『〆』やな。思い出で言ったら『second narrow』はじめてやし。
洋志:いやもう最後の契約で、最後のアルバムで、これで結果出さないと首切られますってのが決まってて。だから、何よりも分かり易くて、何よりも一般の人たちが聴きやすいものをつくろうって頭の中であった。
有:俺もあって。何か嫌やなって思ったけど、寄ってしまって。それがあってからの『〆』やけん、何も寄ってないから気に入っとる。
洋志:そうだね、『〆』は本当にあの当時やりたい事全てつぎ込んだ。それで言ったら『second narrow』もそうで、今までやってきた事を一番最大限にやった作品。『table』とか『drama』は迷ったよね。自分の中で音楽やる、やらないの葛藤はあった。
健人:『J-POP』以降やな。
洋志:そうだねー。
──プレッシャーもあった?
洋志:プレッシャーもあったんすけど、自分への疑問。
健人:とにかく言われる。
洋志:シングルの『sympathy』出して、HMVがピックアップしてくれたり反響があったから、なんかきたかもって感じが正直あったの。それで満を持してavexから『second narrow』を出したときに全く反応がなかった。自分たちが思ってる以下の評価しかなかったのが凄いショックで。それまでは自分のことを天才と思ってたし、絶対にこのバンドで売れるって思ってたから。じゃあ何かしら変えなきゃいけないってなって、いろんな人の意見聞いちゃうから、一緒にやってた人達の意見はどんどん遠くなっていって、新しいことばかり取り入れるから迷うよね。
健人:武器がなかった。曲がなかった。〆切に追われてる、とかそういう負の連鎖が凄いあったね。
洋志:チームも含めて、お前達最高だから一緒にやってるんだよってところが少しずつ崩れているような感じはした。みんな良い方向に向かいたいから、もともと持ってたHalf-Lifeの本質の部分にテコ入れが入って、自分たちも疑問を感じちゃったよね。
有:あのとき、このままこれでやっていけっていう意見がなかったからな。
洋志:うん、確固たる自分たちの意志とね。
健人:自分たちを持ってなかったよね。自分自身を疑ってたから。
洋志:24、5歳でしょ皆。ブレブレだったね。でも、疑ったことで見れた事もあった。各作品を良いって言ってくれる人もいたから出すことができたわけだし。そういうのがあって『〆』に繋がっていったのかな。
──『〆』だけ異端というか、作風が違う感じがしました。
洋志:あれが、Half-Lifeってこういうバンドだよねっていう三人共通して出したい部分なんじゃないかな。
有:もともとハーフってあんな感じじゃないかな。泥臭いというか。『second narrow』はお洒落に見えるもん。
健人:やり過ぎたな(笑)。
──お洒落なイメージは先行しちゃってたかもしれないね。
洋志:それ凄い言われる。マイヘア(My Hair is Bad)の椎木にはじめて会ったとき、Half-Lifeってもっとスカしてるバンドかと思ったってたけど、ライブ観たときに泥臭くて意外だったって(笑)。あとはavexに入って、アー写とかジャケットの感じとかスタイリッシュに見え過ぎてたのかなぁ。自分たちはそんな意識まるでないけどね。
──ジャケは確かにスタイリッシュだなって思ってた。『〆』の洋志が爆笑してる写真でシュッとしたイメージは覆されたのかな。
洋志:シュッなんてしてないけどな(笑)。
健人:ぜんぜんしてない(笑)。
洋志:僕、昔こういうインタビューとかになるとめちゃめちゃスカしてたんですよ(笑)。作品に対してストイックに思ってるよみたいのがあって。
有:今思えば、ひろしがスカしてたときに、歌詞についての良いエピソードとか言えよ(笑)。
洋志:実は、『〆』に入ってる「SCORE」って曲あるでしょ。なんでSCOREって言うかわかる?
──わかんない…。
洋志:やっぱわかんないんだ!
健人:グドモ(グッドモーニングアメリカ)の幸一しか知らんかったやろ(笑)!
洋志:このアルバムの前に『○』、『△』、『□』って出したでしょ。○、△、□をSCOREの歌詞の中に入れてるの。例えば1番の朝日、眠気まなここすってタバコに火をつけたって、全部○に関連する歌詞が入ってるし、2番はセーラー服の後ろ姿、ピックとか全部△に関連してる事だし、最後は段ボール、氷のかたちとか□に関連するのが入ってる。3つ合わせてSCOREって歌なの。
健人:っていうのをあのとき言ったらよかったのに。
一同:(爆笑)。
有:最近それ知って。洋志凄いやんて(笑)。
健人:グドモの幸一から聞くという(笑)。
もうね、僕らだけの曲じゃないですよ
──阿佐ヶ谷ロフトで公開インタビュー(2014年7月8日”緊急決定! Half-Life初のファンミーティング!!!アルバム先行視聴&Rooftop表紙記念公開インタビュー”)やったときに言ったらよかったのに! さて、ワンマンでは新曲は聴けるんですか?
健人:もちろんつくってないよ。
洋志:正直、既存曲で精一杯です。LINE MUSICでたまたま「ghost」聴いたら、歌詞いっこも出てこなかった(笑)。
──じゃあ新曲は聴けないんですね。
有:聴けない可能性が大!
──節目を迎えてこれからのHalf-Lifeは?
洋志:まぁぶっちゃけこのワンマン次第じゃない? やってみてからだと思います。
健人:スタンス的には変わらないんじゃない。
有:やってみてかな!
洋志:何せ楽しくやろう、この10周年は。もうね、僕らだけの曲じゃないですよ。なんなら来てくれた人、1人ずつステージ上がって変わりに歌って欲しいぐらい。もうHalf-Lifeはみんなのもの!
──じゃあ最後、有くんワンマンにむけて一言。
有:今までより聴きやすくて格好良いHalf-Lifeをお届けします!
一同:(爆笑)。