ジャパニーズ・ロック・シーンに数々の旋風を巻き起こし、裸のラリーズ(Les Rallizes Dénudés)、夕焼け楽団、サンディー&ザ・サンセッツなどで活躍し近年は民謡ブームに先駆け、長年に渡り日本各地の民謡を発掘・紹介しながら独自の活動を極めるプロデューサー/音楽家・久保田麻琴。アレンジャーの池田洋一、マレーシアのMac Chew、Jenny Chinらとのプロジェクト、Blue Asia名義で2009年にリリースされ、のち2011年にはドキュメンタリー映画も上映され話題となった『Sketches of MYAHK』が10インチ・2枚組仕様で待望のアナログ化が決定した。
沖縄の宮古島や周辺島々に何世紀も伝わる神歌や古謡をフィールド・レコーディングし、それらにオーバーダブを施しリミックス/リワークという手法で構築された本作。 ワイルドかつブルージーなギターとリズムが久保田麻琴の言うところの「ヒッピーソウル」として放たれるA2「池間口説」。池間島の古歌で、島の一大祭”ミャークヅツ”では必ず唄われるという郷愁あふれるA3「宮古節の綾言」には唱歌や浪曲などのドメスティックな雰囲気も漂う質感。エキゾチックなメロディーと三味線の音色に、ロウなセカンド・ライン・ビートのフィーリングが絡みあうB3「古見ぬ主」。パワフルな唄声にワイルドなスライドギターが暴れまくるC1「中立ちのミガガマ」。トロピカリズモさながらといった感じの秀逸なD1「ナカヤマーブ」では、ほんのり名盤『まちぼうけ』のサイケデリック感も想起させるような表情もあり、所謂ボッサ・アレンジには終わらず、一筋縄ではいかない作り。 そして、ボーナストラックとして本アルバムの元ネタというべき、2009年に久保田麻琴自身のレーベル”ABY RECORD”から発表されたアルバム『IKEMA』から「池間口説」を特別収録。 現代的な音作りに拮抗する宮古の唄/音楽の雑食性と、久保田麻琴の手腕により過去と現代を行き来しながら沖縄音楽の古典を最新型オルタナティヴ・ミュージックとして生き返らせた、神秘的な音楽体験へと誘なう作品。ゲートフォールド・ジャケット仕様、帯付き。ご予約はこちらをチェック。
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