
溜池山王駅に直結し、日枝神社に隣接するラグジュアリーホテルといえば〈ザ・キャピトルホテル 東急〉。伝統的な和の要素を取り入れた和モダンな空間と、都心でありながら緑豊かな環境を有している。


このどちらでも美食を味わえることは間違いないけれど、特にエクスクルーシブ感があるのは、8席のL字形カウンターの鉄板焼。〈水簾〉板長を務める古屋敬さんのもと、鉄板焼チーフエキスパートの庄子俊也さんが、旬の食材を巧みの技で特別な一皿に仕上げてくれる。庄子さんはフレンチや日本料理にも通じる鉄板焼の巧者で、ゲストからの支持が高い随一のエンターテイナー。焼き手は、女性1人を含む4人で、庄子さんのもと自由闊達に才能を伸ばしている。
ここで体験したいのが、ディナーコースの“山吹”(2万5300円)。前菜、魚介類にはじまって、黒毛和牛、食事、デザートという構成で、〈水簾〉の鉄板焼の魅力が詰まっている。季節によって内容は新しくなり、取材当日のメニューを紹介しよう。

“アミューズ・ブッシュ”はとうもろこしの一品。ミラクルスイートコーンとも呼ばれるほど甘い“味来(みらい)”を鉄板でソテー。

冷前菜は“アマゴのカルパッチョ”。希少で食味のいい伊豆のアマゴを、マンゴーとレモンのドレッシングで爽やかに仕上げた。



“蝦夷鮑”と“国産伊勢海老”は、どちらかをチョイス。蝦夷鮑は熟練の技でやわらかく仕上げた。肝を用いたソースは、ほんのりと差す苦味が全体の食味を引き締める。伊勢海老は、XO醤で味付けした意欲作。干し海老と干し帆立貝の旨味が、伊勢海老の佳味を底上げする。ほんのりとスパイシーで、心地よい刺激。
“焼き野菜”では、一般的な鉄板焼では3種類から4種類のところ、8種類もの野菜を味わえるから嬉しい。定番のナス、インカのめざめ、シイタケに加えて、グリーンアスパラガス、レンコン、パプリカ、ペコロス、紅はるかと、味わいも彩りもバリエーション豊かになっている。
コンディメントも充実していて、カレー風味のディアブルソース、レフォール入りピリ辛のトマトのチリソースに、ワサビ、生(き)醤油。





お食事の定番はガーリックライス。タマネギ、大葉、ガーリック、肉、シイタケに、味付けは醤油、塩、胡椒と、シンプルでエレガントに仕上げる。カリカリとして香ばしい“おこげ”は好みに応じてつくってくれるので、リクエストしてみて。

“フルーツのフランベとバニラアイス”は、デザートながら鉄板で仕上げてくれるから目が離せない。アメリカンチェリーを豪快にフランベして、郁郁たる香りが広がる。
料理に合わせて日本酒やワインを中心としたアルコールを合わせるのがおすすめ。何がよいかわからなければ、ソムリエの松井亘平さんに相談するといい。

“テルモン レゼルヴ・ド・ラ・テール”(4174円)は、爽やかな味わいのオーガニックな極辛口シャンパーニュ。生き生きとした活気が感じられ、最初の一杯にぴったり。
おすすめの白ワインは、山梨県の“グレイス 甲州 菱山畑 2023”(2403円)。カボスやスダチの香りが全体を引き締め、ミネラル感があるので、前菜に完璧なマリアージュ。
“ドメーヌ・クヘイジ ニュイ・サン・ジョルジュ 2020”(6578円)は1647年創業の愛知県にある酒蔵〈萬乗醸造〉がブルゴーニュで造る赤ワイン。赤い果実の香りに、スパイスの芳香もある。きめ細やかなタンニンを主体としているので、鷹揚に黒毛和牛を包み込んでくれる。
デザートに合わせたいのが、ポートワインの“フォンセカ ヴィンテージ ポート 1985”(5692円)。天草の風味がさわやかで、甘口で柔和な印象。
〈水簾〉の鉄板焼は、隠れ家的な佇まいもあって、特別感にあふれている。ラグジュアリーホテルの知る人ぞ知る鉄板焼として、覚えておくとよさそう!
●山吹 2万5300円
・アミューズ ブッシュ
・アオリイカのカルパッチョ
・蝦夷鮑または国産伊勢海老
・焼き野菜
・黒毛和牛サーロイン150gまたは黒毛和牛フィレ100g
・ガーリックライス または スパイシービーフ焼き飯
・赤出汁 香物
・デザートは下記のメニューより1品選択
フルーツのフランベとバニラアイス/フルーツ盛り合わせ/クレームブリュレ
・コーヒーと小菓子
INFORMATION
●〈ザ・キャピトルホテル 東急〉日本料理〈水簾〉
住所:東京都千代田区永田町2-10-3 ザ・キャピトルホテル 東急3F
営業時間:11:30~15:00(14:00LO)、17:30~22:00(21:00LO)
定休日:なし
TEL:03-3503-0873
URL:https://www.tokyuhotels.co.jp/capitol-h/restaurant/suiren/index.html
※サービス料込み
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文=東龍 text:Toryu
1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。